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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

相違相恋 6

Posted by 碧井 漪 on   0 

僕の顔が行き交う人達にジロジロと見られていたのは、どうしてなのか判ったのはその日の夜の事だった。


“自意識過剰”かな位にしか思っていなかった僕は、


二つ年上、現在私立高校二年の従兄弟、五月瞬太朗(さつきしゅんたろう)くんに自意識が過剰ではなかった"事件?"を知らされた。

「ちょっと来て。」と後はもう寝るだけと、僕がスウェットに着替える前に呼ばれた瞬太朗くんの部屋で見せられたのは、


デスクトップパソコンの中に表示された僕の画像だった。


場所は駅のカフェの中と外、それから改札を通り抜けた後、伯父さんの家に向かうまでに歩いた通りが背景に映り込んでいた。


それらは、隣におかあさんが映っていたり、僕だけだったり、色々な角度から撮影されていた。


「瞬くん、今日駅に居たの?僕の写真こんなに撮ってどうするの?」と訊いた。


瞬くんの趣味は写真だっけ?と首を傾げた時、


「うん、これね、俺が撮ったんじゃないから。」


「え・・・?」


「ほら、よく見て。動画投稿サイト。」


瞬くんはPC画面の上方に表示されたサイトタイトルロゴを指差した。


「動画?・・・投稿?」


それは光樹も時々アニメ情報をチェックするのに閲覧しているから知っている、名の知れたサイトだった。


「勝手に撮られて投稿されたんだ・・・ごめんね、光樹。」と瞬くんが言った。


「え?何で謝るの?」撮ったのは瞬くんじゃないって言ってたのに。


「うちの父のせいだから。」


「伯父さんのせい?」


「ここ見て。」


瞬太朗が再生した動画に付けられたタイトルとコメント・・・


『五月梧朗の息子?』


『ぽい。本物?』


『そっくりさんっていうか、激似!!!』


親戚だから似るよね・・・いけない事なの?


うーん・・・伯父さんの息子は瞬くんなんだけど、僕が息子と間違われて、それで何で瞬くんが謝るのかがよく解らない。


「伯父さんのせいでも瞬くんのせいでもないよ。」


「そうかもしれないけど、嫌でしょ、正直にいうとさ。」


「嫌って何が?」


「だから、五月梧朗に似てるって色々言われたり訊かれたりするの。」


「ああ、そういえば今日、試験の前に訊かれたかな。」


「五月梧朗の息子か、って?」


「うん。違うって言ったよ。」


瞬くんは、ふーっ、と息を吐いてからベッドにドスンと座って、その隣を僕にも勧めた。


「親達が有名だと苦労するよな・・・うちの場合、どっちの姓を名乗っても、みんな知ってるからさ・・・」


伯父さんは俳優・五月梧朗、伯母さんは脚本家・花村姫麗、


僕は日本に住んで居なかったから、瞬くん達兄弟が注目される家の子だという事をそんなに理解していなかった。


「俺は母似だから、普通にしてても光樹程騒がれないからいいけど、甥の光樹の方が父に似てて騒がれるのが申し訳ないって思うよ。」


それは、本来なら騒がれて注目されるべきは自分なのに、と瞬くんは申し訳なく思ってくれているからなのだろうか?


いいんだよ、親戚、従兄弟なんだから。


うーん、確かに、親戚の中では僕が一番伯父さんに似ていると言われた事があった・・・けど。


瞬太朗くんには弟が二人いるけれど、みんな目元が伯母さんに似ているせいか、伯母さん似だと言われている。


性格は、瞬太朗くんは伯父さんとも伯母さんとも違う、冷静で一歩引いた大人な感じで、

次男の懸太朗くんが一番明るくて元気、特に伯母さんに似ていると感じる、僕より一つ下の中学二年生。

三男の麗太朗くんは対照的に物静かで上品で中性的な雰囲気、同じ年の僕の妹よりも女の子みたいに見える小学六年生。


「申し訳ないだなんて、そんな、瞬くんが謝る事じゃないよ・・・僕の顔はおかあさん似だけど、妹はおとうさん似で、どっちに似たからいい悪いじゃないし、性格はどっちかっていうと僕はおかあさんには似てなくて妹の方がおかあさん似だよ。」


性格は妹の方がおかあさんに似ていると思う。


やさしくて細やかで気が利いて、素直でとてもかわいい。


素直で思い出した、


試験場で”五月梧朗の息子か?”と僕に訊いたすなおくんは、正面切って堂々としていたあたり、

名前の通り素直な人かもしれないとちらと思った。


彼がこの隠し撮りされたという動画の数々を見て、どんな感想を述べるのかが気になった。


"動画撮りたいなら本人の許可貰って、堂々と正面から撮ればいいだろ?"とか言いそう。


くくっ、許可って、そんな、僕なんて撮っても面白くないのにねぇ。


すなおくんって、アニメでいうなら主人公の純粋で真っ直ぐな少年タイプ?


高校に合格したら、彼にまた会えるかな。


「夢野ちゃんは、麗太と同じ年だったよね、春から中学だっけ?公立に行くって叔母さんから聞いたけど。」


「うん。そう。受験したくないみたいで公立に行くって。おとなしいから新しい友達が出来るか、いじめられたりしないか心配なんだ。」


「妹かぁ、うちには弟しか居ないから解らないけど、話合う?仲いいの?」


「滅茶苦茶かわいいよ。ほんと、僕の妹とは思えない、天使みたい、いや天使なんだ!」


「はは・・・そっか、いいね。」


瞬太朗は、妹の話を目を輝かせて話す光樹の様子から、シスコンかな?と考えていた。








日本に戻ったら、僕は芸能人ではないけれどそういう目で見られるのか、なるほどなぁ、と海外の自宅に戻った光樹は、


学校のクラスメイトにどうしたらベストか相談したところ、


それなら今と見た目を変えたらいいという事になって、


日本で暮らす際には、伯父さんに似つかない髪型、そして更に度の入っていない眼鏡を掛ける事にした。


流行りの眼鏡男子ってやつだ。


知的に見えるから、ちょっと女の子に人気が出ちゃうんじゃない?モテモテかもよ?とクラスメイトに冷やかされた。


えー?そうかなぁ?


夢野は、目が悪くないのに眼鏡を掛けるのはおかしいけど、お兄ちゃんが掛けたいなら掛けたら?と言ってくれた。


動画サイトに投稿された映像は、瞬くん経由で伯父さんの事務所の人が動画サイトに削除依頼をしたらすぐに消されたらしく、


僕の日本旅行記念動画は、海外のクラスメイト達に見せられなくなって少し残念だった。


瞬くんは、


「こっちに住むなら、目立たないようにした方がいいよ。海外に比べて、自己主張が弱い程上手くやって行ける場所だから。

俺は日本から離れたいな。

海外でのびのび暮らしてる光樹が羨ましかったのに、でも叔父さんの転勤じゃ仕方ないもんね・・・」


と残念がった様子で言っていた。


「ええー?日本の方がいいよぉ。アニメだってマンガだって音楽だってイイ作品がすぐ買えるし、治安もいいし、テレビ番組だって・・・」


日本カルチャーに憧れている僕は、早く日本に住みたくて仕方がなかった。


瞬くんの言っていたそれがどういう事なのか、


高校&物心ついてからの日本生活デビューを同時にする緊張とウキウキでいっぱいだった僕には、これからの僕自身を取り巻く環境について、少しも具体的に想像出来ていなかった。


相違相恋6


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