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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

忘れられない日 2 【「相違相恋」 派生】

Posted by 碧井 漪 on   6 

忘れられない日2




今日は大雨で練習が中止になったサッカー部。


明後日の日曜は他校との練習試合の予定が組まれているせいもあり、本日は早々に解散となった。


みくと満久が付き合い始めて一か月が過ぎようとしていた。


図書委員のみくを迎えに二階の東南にある、


晴れた日には明る過ぎてブラインドが欠かせない窓の多い図書室に来た満久は、


誰も来ないその窓際に座って、参考書らしき本をじーっと眺めた姿勢のまま固まっているみくの姿を発見して、


静かに背後に回ると、まだ気付いていないみくの目を、


両手でそっと塞いだ。


「きゃっ!・・・みつ、ひさ?・・・でしょ?」


「・・・・・・」


その問いに満久は、笑い声を上げないように歯を噛み締めて堪えて黙っていた。


「えっ、ちょ、ちょっと、違うの?や、やだ、ふざけないでよ、ねぇ、放して!」


怖くなったみくが声を上げると、


「俺だって。」


ぷっ、くくく・・・と笑った満久はみくの目から両手を離し、隣の椅子をカタンと鳴らして引き出すと座った。


「もっ、もぉー!満久のばかっ・・・怖かったんだからねっ!」


「無防備過ぎるよ。俺じゃなかったらどうすんの?」


「やっ、やだ・・・そうよね、あーもう!」


みくは、ほーっと息を吐いた。


「そんなに真剣になる問題?」


侵入者に気付かない程?


「だってぇ・・・実はね、この前の数学、追試になっちゃった・・・の。」


「えー?マジで?何でもっと早く言わないんだよ。みく、全然数学勉強してなかったから、余裕なのかと思ってたよ。」


「違うよ。全然解んないから・・・満久にバカって思われるとやだなって思って言えなかったの。」


「何それ。言えば良かったのに。俺、数学だけはマシな方だから。」


「そうなんだ・・・それじゃあ、この問題教えて。」


「いいよ。」


みくは、満久はサッカーばかりで勉強はあまり得意ではないという印象を持っていたから、意外な面を見せられて驚いていた。


満久は、手を離した時に覗き込んだみくの顔が、涙目で不安そうだった表情から一転、満久だと判った時に安心して、


表情を緩めて笑った顔に、ぎゅうっと心臓を掴まれたように錯覚し、胸の奥がじんと熱くなっていた。







「ゆえに・・・?」


「ゆえに、んー、解んない。」


可愛いな・・・そうやって顰める顔も、考え込む時に無意識の内に髪の毛をくるくると指先に巻き付ける仕草も。


「だから、ここがこう、それで、このみくの指が・・・」


「指が?何?」


髪をくるくる巻き付けていたみくは、指先をすっと机の上に下ろした。


「・・・っ!やめた、無理だって、こんなの。」


満久は、開いていた問題集をバタンと閉じた。


「無理って何が?」


「えーと、証明、っていうか確認の行動?俺を好きかどうか。」


「何それ・・・好きに決まってるでしょ、一応付き合ってるんだから。」


「一応ね・・・口先だけってカンジ?」


「口先だけって、それならどうやって証明すればいいのよ。」


「ん、じゃあ、手を出して。こうやって立てて、俺の方にみくの手のひら見せて。」


「こう?」


「そう。で、俺の手をみくに合わせる。」


みくの右手のひらに満久の左手のひらが合わせられた。


「これでどうするの?」


「これで、握って。」


満久は、指を折ってみくの手を握った。


みくも同じようにすると、手と手が組まれて密着し、さらに満久に力を籠められてぎゅっと合わせられた手のひらは熱くなり、急にみくの心に恥ずかしさが襲って来た。


「何か、これって、ちょっと・・・」とみくが言い、


「ちょっとって?」と満久が返した。


「だから、恥ずか・・・」と顔を上げたみくは、


満久の顔が赤くなっている事に気が付いた。


「満久、耳も赤いよ?大丈夫?」


みくはおかしくなって、机の上で満久と手を繋いだまま、くすりと笑った。


「大丈夫、じゃ、ないよ・・・俺これ以上、無理かもしんない。」


満久が空いていた右手のひらで胸を押さえて俯いた。


「何?どうしたの?大丈夫?苦しいの?」


心配になったみくは腰を浮かせて片手で椅子を近付け、俯いてしまった満久の顔を覗き込んだ。


「・・・・・・」


「熱あるの?保健室いこっか?あ、もう先生いないか。それじゃ、帰ろ?立って歩ける?」


「もー無理。我慢出来ない・・・」


「はっ?トイレ?お腹痛いの?」


「違う、みくが可愛い過ぎるから。」


「へっ?」


「キスしてもいい?」


「き、えっ?」みくは変な大声を上げてしまった。


「きえっ、て何?」クスクスクスと満久は笑い出した。


「え、だって・・・突然そんな事言い出すから。」


「だよなぁ、だから無理だって話なんだよなぁ・・・」


しんとなった誰も居ない図書室は、


窓にざぁざぁと雨が打ち付ける音以外、二人の呼吸する音しか聞こえなかった。


とくん、とくん・・・


どんどん速くなる心臓の音は、満久には聞こえない、よね・・・?


「どうして急に、き・・・なんて言い出したの?」


「んー、何かさ、部室内で彼女とキスする方法みたいな話になってさ、試したヤツが1/2の確率で成功したって言うからさ・・・」


1/2の確率で成功って、この方法でキスした人が部員内に半分居るって事?


「それで、1/2の確率でって、あの、これって失敗なの?」


「いや、まだ、全部試してなくて・・・」


「全部試すって?」


「んー、だから、この後?まだ続くんだけどさ、もう無理だよなぁ。」


ははは、と満久は照れ隠しに笑っている。


「えっと、じゃあ、とりあえず最後まで試してみたら?ホントにキスするかどうかは別として・・・」


みくはそれがどんな方法なのか気になっていた。


「え、でも・・・」


「成功しなかったら、1/2の確率は嘘かもね。」


「そ、それじゃ、えと、立ってでいい・・・?」


「うん。」


満久が椅子から立ち上がると背の小さなみくとは顔の位置が離れ過ぎた。


だめだ、これじゃあと思った満久は緊張したまま、


「やっぱり座って。」とみくを椅子に座らせ、自分は床の上に跪いて片膝を立てた。


その様子を見たみくも、どっきんどっきんと鼓動の音が大きくなって来るのを感じて、


顔が火照り出した。


や、ちょっと、えっ?


私、このまま本当に、満久とキス・・・しちゃうの?



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    碧井 漪

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    6 Comments

    くみ says..."数学は数が苦でした"
    みくちゃんと反対のくみ、
    みくちゃんと同じく、英語の文法は得意で、数学苦手です。
    英語の文法は得意でしたが、話す聞くは全然ダメ。

    満久くんみたいなステキ男子に、
    数学教えてもらいたかったなぁ…



    2014.09.10 00:16 | URL | #- [edit]
    みさ says...""
    イヤン…(*/∀\*)
    モジモジ(*ノд`*)σ
    若いわ…初々しいわ…(*´艸`)
    あぁ~こんな恥じらうような気持ち…何年…ぃゃ…何十年ぶりかちら…

    あのぉ…
    いつも思ってました…
    こうやって…毎日、小説を読ませていただく事…それも…タダで…
    自分で本を買ったり借りたりするわけじゃなく…こうして気楽にスマホで毎日…
    なんて贅沢でありがたいんだろって…
    そうして…今日みたく…懐かしくて甘酸っぱい気持ちを思い出させてもらって…
    昨夜…ここで読んだあと…
    旦那に聞いてみたの…初めて私とキスした時のこと…(*´艸`)
    私は高3、早生まれの旦那は同い年だけど社会人…心臓が口から飛び出すとはこの事…ってくらいにドキドキしたことを覚えてるって…
    読み物って…いいですね♪
    sazanamiさん…ホントにいつもありがと♪
    2014.09.10 07:31 | URL | #- [edit]
    碧井 漪 says..."くみさん コメントありがとうございます。"
    くみさんすみません。

    反対にするとみくになりますね。


    二人共、同じ漢字なのでどちらかがひらがなになってしまうのは、「もっと、すきに、させて」の文と同じパターンです。

    しかも、

    孝太の息子の和孝とオンナダカラ・・・の一梢はカズタカ、そしてさゆり兄・雄樹としずく弟・雄輝とカブっていて、

    名前辞典が欲しいこの頃です(T▽T;)


    満久はおそらく・・・シリーズを分けた作者のせいで、エロnamiに交代した後、"ステキ男子"返上してしまうと思われますm(_ _;)m


    相違相恋は健全に進みまして、こうめ編は、このブログを続けて行けたら、のちに分かれて光樹父を見習って?Rになるかもしれません(//x//)?ヤマトvsミズキ(父対決)が見られるカナ?

    2014.09.10 19:59 | URL | #- [edit]
    碧井 漪 says..."みささん ありがとうございます。"
    素敵な想い出を教えて下さってありがとうございます(//▽//)


    その瞬間をいつまでも色褪せずに心の中にきらきらと共有して居られるお二人って素敵で、憧れます。


    愛っていいな、って羨ましくなります。


    その瞬間に、その人とだけ一緒に居られるのはやはり運命なのかなと思います。


    運命の人は一人ではないという人も、一人だけという人も様々だけれど、

    生きている内に、一つでもたくさんの愛としあわせを感じていたら、

    その人の親も子も親戚も友人も、そして見ず知らずの人も、

    しあわせを感じる事が一つ増えると思っています。


    しあわせの連鎖の中に生かされているという事を忘れないで、そして初心を思い出して頑張ります。


    愛を感じさせていただけるコメントをありがとうございました。

    2014.09.10 20:10 | URL | #- [edit]
    くみ says..."光栄です!"
    みくちゃんと似た名前で、くみ光栄です♪

    登場人物の名前を考えるのって、大変そうです。
    松子、竹子、梅子とか、
    一郎、二郎、三郎とか、
    陸、海、空とか。
    あ~私の名づけセンスって、皆無です!

    名づけ辞典とかご覧になりますか?
    2014.09.11 23:54 | URL | #- [edit]
    碧井 漪 says..."くみさん ありがとうございます(*^^*)"
    名づけ辞典いいですね!

    書店で"ネーミング辞典"(学研)というのを見かけて開いてみたら、名づけの本ではありませんでした。

    ケーキ屋=ペイストリー・ショップ(英)=パティスリー(仏)=コンディトライ(独)=パスティッチェリーア(伊)・・・

    と、気になって買いましたけれど、全然使っていません(^^;)だめじゃん!


    ちなみに、

    いとしいきみ=マ・シェリ(仏)

    おしどり夫婦=カップル・オブ・ラバーズ(英)

    愛=エロース(ギリシャ)

    らしいです。

    8か国語2万9000語収録で読破するのは難しそうですが、コンパクトサイズで海外旅行には良さそうだと思いました。


    はっΣ( ̄□ ̄;)名づけでしたね・・・センスがないので結構苦しみます。

    松田瑞樹の時は、ちょっと中性的な名前がいいなと思って軽く付けたら、

    まさかこんなに使用するとは思いませんでした。


    そして、あやめ、こうめ、高橋家三姉妹にしたかったのですが、「××め」の名前がどうしても思いつかなくて弟にしました。

    空の息子は陸にしてしまったので、二人目を三宅海にしたらいいかも(^^)


    梧朗の父は志朗なので、息子は録朗とか?というのはやめて、

    瞬太朗にしました。星が瞬く太朗です。

    次男が一生懸命な懸太朗、三男が姫麗の麗を取って麗太郎にしました。

    この麗ちゃんはサッちゃんのカリスマ?を備えた中性的な男の子です。

    だけど顔は姫麗系の三兄弟の為、光樹が一番梧朗に似ているという設定です。


    まだ「7話」が書けていないので、もう少しお待ち下さいm(--;)m

    どれから手をつけたら・・・状態になってしまっているバカな作者ですみません。
    2014.09.13 20:44 | URL | #- [edit]

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