fc2ブログ

sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

甘すぎる感情 171

Posted by 碧井 漪 on  

この体に眠る能力も、俺は抑えるだけで、役立てられない。


ヤツさえ、正しく使ってくれたら、それでいいのに。


俺はスマートフォンの録画ボタンを押した。ヤツにメッセージを届ける為に。


「なあ、聞こえてるか?俺は消えてもいい。いや、近い内に消える。その時、どうか、松田を守って欲しい。彼女の人生を邪魔しないで欲しい。俺の事をどれだけ憎んでも構わない。彼女の事だけはこれ以上傷付けないで欲しい。お願いします。」


画面に向かって頭を下げた。どんなに願っても、ヤツには届かないと思いながら、それでも頼まずに居られなかった。真っ暗な部屋の中、俺の表情は映らないから、動作に意味は無いのだろうが。


録画を終え、スマートフォンをベッドに放り出すと、寝転び、独り言を続けた。


「だって、俺はもうすぐ消えるんだ。残るのはヤツの方。この体も、これからの人生も、ヤツのものだ。
俺は全部手放して、消えるだけ。
でもさ、手放すのが苦しいんだ。
君との甘すぎる時間を最期まで忘れたくない。
さよならって言葉も出せない位、君を愛してる。
それが、君と俺を苦しめる事だって分かって居るのに。
消える間際まで、君の事だけ忘れたくない。
こんなに君で一杯になるなら、出逢わなければ良かった、そうは思わない。」


強がりじゃない。本当にそう思うから。
関連記事
PVアクセスランキング にほんブログ村
該当の記事は見つかりませんでした。
PVアクセスランキング にほんブログ村