FC2ブログ

sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 531

Posted by 碧井 漪 on  

彼の吐息が、僕の首筋を掠めて耳に掛かった。


腕の重なる部分が、周りの暑さよりも熱くなって、鼓動が速くなる。


でも、僕の姿を見て、びっくりしたかのように一瞬動きを止めた勇田さんも、さっきより激しく、ブンブン手を振ってくれたのを見たら、僕の恥ずかしさは薄れた。


何度か手を振った後、もういいかとようやく皇くんは僕の手を放した。

まだ少し、彼に掴まれた感覚が残る手首は甘く痺れたまま。


そして、他の部員達が昇降口に吸い込まれて行った後も、一人残って小さく手を振る勇田さんに、僕も小さく手を振って、「行こう」と皇くんを促した。


「いいの?彼女待ってなくて。」


一拍置いて動き出した皇くんに訊かれた。


「うん。部活仲間と帰るだろうから。」僕は立ち止まらない。


「週、何日位会うの?」並んだ彼に訊かれた。


「その時によって。今は大会前で部活忙しいみたいだから。」


「確かに。」


彼女との日記のやり取りも、夏休みに入ってからは毎日ではない。


今日は、彼女が日記を持って居る。


皇くんとの方も、まだ皇くんが持って居る。

僕の手元にはどちらも無かった。


「あ、そうだ。日記渡すの忘れてた!」


僕が日記の事を考えて居たのと同じく、彼も考えて居てくれた事が驚きつつも嬉しい。


正門の外で皇くんは立ち止まって、リュックを前に抱えた。そして中から黒い日記帳を取り出し、

「伸長くん、後ろ向いて。」

と、後ろを向かせた僕のリュックを開けて、中に日記帳を仕舞ってくれた。

関連記事
碧井 漪

Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation.

該当の記事は見つかりませんでした。