fc2ブログ

sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 62

Posted by 碧井 漪 on  

「話、聞こうか?」

麗太朗が夢野の視線に今気付いたかのように、解いた膝の上に組んだ両手を乗せて言った。

────伯父さま譲りの低過ぎない声。声優とかならお仕事出来るのかも・・・なんて、今は麗ちゃんの事じゃなくて、でもどうしよう。話す?話さない?

「いい事言えるか分からないけど、聞くだけ聞くよ。」

────あー、もう麗ちゃんって専攻してないのに、私より心理学勉強してる。

「あのね・・・」

夢野は昨晩の出来事を麗太朗に話した。



────恥ずかしい。こんな事、誰に話しても多分そう。経験前は何ともないと思ってたけど、違うんだ。本当に恥ずかしい。カフェテリアで平気で話してる女の子達と、私違うのかな。

「・・・で、夢ちゃんはどうするつもり?」

麗太朗の反応は他人事と思っているかのように冷静だった。

「どう、するって、どうもこうもないよ。」

────先輩には拒絶されて、私からも”無かった事に”って言っちゃったし、だからゆうべの事は夢とか、無かった事とかにするしかない。

「納得してないって顔してるから。どうするのかなって思っただけ。」

────麗ちゃんはモテるけど、誰とも付き合った事がない。麗ちゃんは誰ともそういう事が出来ない体質だから、経験談は聞けない。なのに、何で相談しちゃったんだろう。麗ちゃんから、私が望む答えを貰えるなんて思ってない。ただ話してスッキリしたかっただけ?分からない。全部分からないから、話しちゃっただけ。こんな時、どうしたらいいのか、本当に・・・・・・

「夢ちゃんのしたいようにするしかないんじゃないの?」

「・・・・・・」

「どうしたいか、言ってみて。」

「分からない。」

「“分からない”って言うのは、迷っている証拠。”成す術がない”の反対の選択肢、言ってみて。」

「そんなの無いよ。」

「無かったら、ここには来ないよ。」

確かにそうだった。悩んで無かったら、今頃一人で家に帰って眠ってる頃だろう。

「選択肢、か・・・」

夢野の願望、それはある。けれど、口に出しても叶わないと諦めていた。

「どうしたいの?夢ちゃん。」

再び麗太朗に問われた夢野は、ゆっくり口を開いた。

「私は────」








それから夢野が自室のベッドに倒れ込んだのは、一時間後の事だった。

あの後、麗太朗が呼んでくれたタクシーに乗り、帰宅した夢野はすぐにシャワーを浴びてルームウエアに着替えた。

幸いな事に、家族は全員出掛けて留守だった。

────どんな顔して会ったらいいか分からなかったから丁度良かった。

ゆうべの事を思い出すと、恥ずかしい夢野は、ボフッと枕に顔を埋めた。


関連記事
碧井 漪

Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation.

PVアクセスランキング にほんブログ村
該当の記事は見つかりませんでした。