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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 368

Posted by 碧井 漪 on  

例えば日本でなくていい。現在でなくても。


過去や未来の異世界、そして皇くんは皇くんのまま、僕は僕で無くていい。


皇くんの好みの女性になって、そうしたら僕は、自信を持って彼の隣で、彼を好きだと言ってもいい。


告白してもいいんだ・・・好きで居続ける事も許されるんだ。


もしも、そうなれるならいいな。


・・・ならないけれど。


電車が再びガタンと鳴って揺れた後、駅に着いて扉が開いた。


乗客が乗り降りする様子を僕は見て居た。


男の人、女の人、若い人、年を重ねた人、どの人も自分の人生を懸命に生きて居る感じだった。


僕は、僕以外の人間にはなれない。


空想の時間は終わった。


僕は僕の人生を生きるしかない。


白岸伸長として、彼の親友として、

“恋”を否定して、

ずっと生きなくてはならない。


彼を好きでも彼に好きだと告げてはならない。


彼を好きでも彼の手を握ってはならない。


彼を好きでも────


望めば望むだけ苦しくなる。


傍に居たいと思う度、辛くなる。


せめて親友として接したい、そう思っても、

それだけでは嫌だ、なんて我が儘も勝手に溢れてしまう。


僕の頭はおかしくなってしまった。


自分でもどうにも出来ない。


眠る彼の顔を見て居ると、切なくなる。


好きなのに好きと言えない。


彼に恋して居る事を告げられる人は、とてもしあわせな人だと思う。

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碧井 漪

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