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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

忘れられない日 4

Posted by 碧井 漪 on   0 

忘れられない日4



さっきのって、1/2でキス出来る方法?と思っていたみくは、それまで繋いでいた手を離して、みくの被っていた雨合羽のフードを下ろした満久を見た。


資材置き場のフェンス前にあった古いベンチの上に、濡れないようにとビニール袋に入れていた二人分の鞄を満久がとすんと置くと、みくの方を振り返った。



満久は頭に巻いていた濡れたタオルを取って、それもぽいっとベンチの上に投げ、

みくと向き合って立った。


雨がまた段々と強くなって来たせいか、人も車も通らない、


ざあざあと斜めに壁に打ち付ける雨に囲まれ、遮断されたように思える空間で息を吸うと、

資材の置かれた地面の雨に濡らされていない場所から、埃っぽい匂いが湿気と共に喉の奥に入って来る。


そして、満久の喉が動いて、こくっと鳴った。


その仕草にどきんとしたみくが体を強張らせた瞬間、

体を近付けた満久の左手のひらが、

みくの耳を包むように頬に触れた。


私、口を開けない。


息が、止まっちゃう!


そう思いながらそっと上を見上げたみくの顔を、

満久が隠すように上から覆った。


そして、近付けた顔を至近距離で止め、

みくに小さな声で告げた。


「嫌なら、しないから、拒否って・・・」


「・・・・・・」


みくは、頬を真っ赤に染め、息を吐けない為に声が出せなかった。


「嫌なの?」


その問いに、ふるふるとみくが首を振ると、満久は背を仰け反るようにして、近付けていた顔を離し、

手のひらで包んでいたみくの頬からも手を退(ど)かした。


「ごめん、俺、こんな無理矢理みたいにしたかった訳じゃなくてって言い訳だよな・・・ごめん、あんまりみくが可愛くて、あー、上手く言えないけど、俺・・・」


「満久、あのね、嫌じゃ・・・ないから。あのね、私した事ないからキスの方法って知らなくて、どうしたらいいかわからなくて、でもね、キス・・・してみたいよ、満久とだったら・・・教えてくれる?」


「なっ・・・!お、教えてって、そんなの俺だって、知らないよ・・・実はキスした事、ないから。」


「えっ、うそ・・・」


そう言ったみくは、満久が誰ともキスした事がないと聞かされて、嬉しかった。


「ほんと・・・だから、多分下手。それでもいい?」


「キスって、上手いとか、下手とか、あるの?」


「さぁ?」


「それじゃ、してみて。でも、私も下手だと思うよ?」


「上手いとか下手とか、みくも判らないんだろ?」


「そうだけど・・・」とみくが返した時、

今度は両手でみくの顔を挟んだ満久は、みくを斜め上に仰がせて、

「・・・そんなら、いくよ。」と告げ、

「うん、いいよ・・・」

そう返事をして、ぎゅっと目を閉じたみくの唇を見つめていた満久は、

その閉じられている可憐な薄紅色の唇に吸い込まれて行くように、

気が付いた時にはキスをしていた。


触れたか触れないかの距離で我に返った満久は、本当に心臓が跳ねた、と感じた。


そして、

音も立てずに軽く何かやわらかなものが触れて離された一瞬の感覚に、

みくは、ぱちくりと大きく瞬きをして、

本当にしたのかと不確かな・・・キスだったの?


もしもキスだったのなら、

これって”ファースト・キス”なのかな?


疑問符が付きそうなキスを本当にキスだったのか確かめたかったみくは、

照れて逸らされている満久の顔をみつめて、その表情から判断しようとしたけれど、

判らない・・・


しばしの沈黙の後、「あのっ!」と二人同時に発せられた声の後は、

「何?」と満久が続けた。


「ううん、満久が言って・・・」とみくが譲ると、


「いや、何でもない、みくは?」と満久が訊き返した。


「ん・・・あの、これってファースト・キスになるのかなって?」


目を瞑っていたから、私の唇に触れたのは、本当に満久の唇だったのかは判らない・・・


満久に訊いたみくは、耳まで真っ赤になっていた。


「え、ああ、そうかな?そうかも。」


「そ、そっか・・・」やっぱりキスだったの。


キスは味がするという知識を得ていたけれど、一瞬では味までは解らなかった。


でも、どうしたら唇でも味が解るのかな・・・?長くくっつけていれば解るの?


どぎまぎした様子のみくは向き合っていた体の角度を満久から90度逸らし、

曲げた右手の指で唇に触れ、確かめるように擦っていた。


でもでも、確かなのよね。


私、とうとう、キスをしちゃったのね。


キスシーンはマンガとかで見てたけど、早くない?


あれって、大体高二とか、あ、でも受験生が高校に受かって、ご褒美にキスするっていうマンガもあった・・・って事は、高一でキスって普通なの?


だけど何か、これって、本当に付き合ってるっぽい・・・感じ?


彼氏、彼女に初めて自分がなった気がしているみくだった。


頬を赤くして視線を逸らしたままのみくの横顔を見ていた満久も急に恥ずかしくなり、

「あー、えっと、口直しに、アイスとか食べに行こうか。」と、自分の火照った顔がみくに気付かれる前に冷まそうと考えた。


口直しって、私とキスした感覚が嫌だったのかな?


それって、確かにこの唇とあの唇が触れたって事で・・・と改めて満久の唇を見てしまったみくは、どきっどきっとし始めた。


雨は、再び小降りになっていた。








俺、キスするの初めてて、あんな軽い・・・ちゃんとキスとも言えないような風にしか出来なかった。


だっていきなりそんな・・・は無理だって。


初めてで巧くは出来ないとやっぱり思ってたから、失敗したくなかったし、でも今回のは失敗と言えるか。


俺、絶対、みくにキスの下手な奴だと思われてる。


溜め息を呑み込んだ満久は、

ビニール袋から取り出した二つの鞄を持ち上げて左肩に掛け、畳んだままの傘も二本いっぺんに掴んだ。


そして、さりげなく右手でみくの左手を攫って、恥ずかしさを忘れたくて、わざときゅっと強く握って引っ張り、

失敗を決めた場所から離れながら、

「嫌じゃなかったら、また今度・・・してもいい?」と訊いた声は自信が無く、だんだん小さくなってしまっていた。


「また今度って?」


くりくりとした瞳を揃えて、何の事かな?という顔をこちらに向けて訊き返して来るみくに対して、

どう続けようかと満久は一旦言葉を詰まらせたが、

「今度また、キスするから!」と普通の声の大きさで、何とかそう宣言しておいた。


すげー、恥ずかしい。余裕ないし。


どんな反応か、右斜め後ろを手を繋いで黙って付いて来るみくの顔を見るのが怖いから、

アイスを買うつもりの駅裏のコンビニまで、

気になり過ぎる彼女の表情を見ないで歩こうとした緊張から、

俺はどうしても手と足が同時に出てしまって慌てている。


満久は、みくに気付かれずに何とか直そうと、一生懸命になっていた。



みくに向かって“またキスする”とはっきりと宣言した後、

真っ直ぐ前を向いて、あと少しの駅までの道を堂々と歩いているように見える満久の態度に、

みくは、良かった・・・私とキスしたくないと思われなくて、とホッとしながら、

みくの手よりも大きくてごつごつ骨ばった握りやすくない満久の手を、

自分の手とぴったりと合わせて、少ない握力で目一杯きゅうっと握ってみた。


だけど、私のドキドキが、この手のひらから彼に伝わらないといいな。


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