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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

とてもかくても 17 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   0 

結婚する前は毎日のように躰を求めても拒まれなかったのに、


そういった事は年齢のせいや日々の忙しさや生活習慣の違いから、


回数はだんだん減って行き、今や0に等しい。



半年以上前かな、そういう事をしたのは。


いやもっとだったかな?


夫婦の営みの月平均は何回か?という統計は発表されないし、

年代別に分けたとしても、年の差のある夫婦の場合どちらの年代に属せばいいのかという問題も生じるだろうし、

そんな統計調査に協力する夫婦は殆どいないだろうから、

実際のところ、それぞれの家庭の事は全く分からない。


既婚男性が性的犯罪を犯す背景って、ウチのようにセックスレスが原因か?とか思うと同情しえなくもない。

けれど、

今、俺は、ただセックスして性的欲求を満たしたいからというだけではない状況で、

今夜は妻を誘ってみようと思っている。


どこか満たされず空虚な想いが漂うこの心を、

一度、いっぱいにまで満たしたいと、

どうしても思ってしまって止められない。


いや、確かめるまで止められないと思う。


躰なのか心なのか、

俺が望むしあわせはどっちなのか、はっきりさせて選ばなくては一生はっきりしない、もやっとしたこのままだ。


躰が満たされた時、妻に愛され、妻を愛している事を確認出来る、そんな期待が半分以上を占めていた。


そうしたら、

志歩理が寂しそうで縋るような視線を俺に向けたという幻想は木端微塵に消し飛ばせる。


それで、志歩理の夢も見なくなるし、一目、遠くから志歩理の元気な姿を見たいとも思わなくなるだろう。

俺はこの人生で良かったと胸を張って堂々と認められるし万々歳だ。


しかし、俺の願いも希望も期待も、これまでとこれからの人生も、

妻の一言で全部消えた。


雑誌で立ち読みした『妻をソノ気にさせる方法』それを試す前に。


帰宅すると、息子は先に二階で眠って居ると言った妻は、珍しくリビングのテレビに向かい、ラブストーリー系の洋画を夢中で観ていた。


放送されている映画の途中で帰宅した俺はシャワーを浴びて着替え、邪魔にならないように静かに一人で食事を済ませ、

映画の終盤で、ぐすんぐすんとしている妻の隣に、持参したティッシュの箱を差し出しながら座った。


「ありがと・・・」という妻の肩を抱き寄せようとした時、

「あー、眠くなっちゃった。」俺が妻の躰に触れようとしたのを察知したのか、

ピッと鳴らしながらテレビに向けたリモコンと一緒に、片手と両膝を床に着けた姿勢で体を前に出した。


俺の伸ばした手は、体に触れられもしない。


ええい!ボディータッチやマッサージ、キス、ハグの手順はもう無視して、

「あのさ、アレ、まだあったっけ?」と俺は切り出した。


「アレって?」リモコンをリビングテーブルの上に置いた妻は訊き返した。


よ、よーしと意を決して、

「ああ、あの・・・コンドーム。」と滅多に口にしない言葉を発して、ちょっと居心地が悪い。


「あ、えっと、今日はちょっと・・・ごめんね、出来ればこれからも、そういう事はしたくない、かな。」


「ああ、そうだね、ごめん・・・おやすみ。」


「まだ起きているの?早く寝た方がいいわよ?顔色悪いし、疲れているみたい。」


無言の俺から、妻はトタトタと逃げるように聞こえる足音を響かせて二階へ上がり、寝室のドアをパタンと閉めた。


“出来ればしたくない”


決してやんわりには響かない、


“これから一生あなたとはセックスしたくないの”と妻に宣言された夫って、

地球上に何人位居るのだろうかと考えてみる。


たった今、俺は死ぬまで、いや、永遠に女とセックス出来ない刑に処せられた。終身の刑だ。


妻がどうしても嫌だという事を俺は無理に強要したくない。


あれだけ二人目が欲しいと言っていた妻がその為にさえもしたくないというのは、俺のセックスが下手だから・・・体に触られたくないから、男として人間として嫌いだから、

なのかもしれない。


嫌いな奴には触られたくないよな。


好きだから抱きたい抱かれたいと思うのだろう・・・


あれ?


それは違うのかな。


志歩理は俺が好きだったからとか、そういう理由で俺に近付いて抱かせた訳じゃなかった・・・よな。


最初は確か仕事のミスを取り成してくれるというその交換条件として志歩理に従うって事で、

俺は何か雑用とかこき使われるだけだと思って社長のだというマンションに連れて行かれたら、

いきなり”縛れ”とか”イカセテ”とか”挿れて”になって・・・


あの頃、俺は志歩理を社長秘書で、社長の愛人という噂を信じていたから、

俺の躰で遊ばれているだけだと思っていた。


それからも”好き”とかいうやり取りは無くて、

だんだん俺は、社長が志歩理を愛人にしておきたい程のイイ女であるという事に気付き、そして、志歩理を愛人として縛っておける社長に嫉妬を覚えていた。


社長が急死したら、志歩理は自由になって、俺を見てくれるかなとか思っていた矢先、

志歩理の妊娠を知ってしまった。


忙しい社長とはセックスしていないような事を話していた志歩理、するとそれは俺の子だったら、

それを理由に俺は志歩理を縛りたいと思ってしまった。


そして結婚を申し込んだら、あっけなく断られた。


理由は俺に金も権力もないから、それはそうだ、俺が女でもそう思うだろう。


その子が社長の子として、その後、産まれるかそうでないかまで、気にする権利も無かった。

志歩理にバッサリと突然切り捨てられた俺は、

寂しさを埋める為だったのかもしれない、同僚だった美那と付き合い結婚した。


誰でも良かった訳じゃない、だけど、美那じゃなければならなかった訳じゃ・・・ない?


それに今頃気付いてしまった俺はひやりとした。


人生は戻れない、やり直せない、取り返しが付かない。


割れたグラスのように、零れた水のように、

元に、戻れない。


志歩理とも、美那とも、昔のようには戻れない。


俺は誰にも愛されていない。


金も地位も権力もない。


だけど、愛がある。


いや、恋かな。


誰かを恋しく想う気持ち。


逢いたくて、逢えたら嬉しくて、自然に顔が綻んで、


しあわせってこういう事かなって、

その人の吸う空気を一緒に深く吸い込みたくて、いつもより多く呼吸してしまう気持ち。


何にもないけど、ただそれだけで満たされて行く。


誰からも愛されなくなった空っぽの俺が、唯一持っているもの。


しかし、俺が志歩理を想う気持ちは消さなくてはならない、この家で暮らして行く以上。


俺は一人の男である以前に夫で父親で、これから先の人生を自分の為だけに費やしてはいけない存在。


夫として失格になり、父親として失格になったら、

俺はどうすればいいのだろう、と考えた時、

いっそ失格になってこの家を出て、一人の男として暮らしたら気楽でいいとか、

そんな悪魔の囁きと呼ばれる類の考えが頭の中を幾度も過っていた。


離婚して、独りに戻ったら、

誰を好きになっても良くて、誰とセックスしても良い・・・


泰道は、ブンブンブンと頭を振った。


そんな、妻と息子、築いたこの家庭を捨てるなんて、絶対出来ない。


そうだ、きっと今夜はセックス出来ると思っていたから、欲求不満なんだ。


期待して待っている下半身をちらりと見た。


そうだ、自分で抜いてスッキリすれば、そんな考え消し飛んでよく眠れるだろう。


うん、そうしよう。


そうだよ。


これから一生セックス出来ないんだから、


折角だ、何か相手の代わりになるものを用意しよう。


AVはさすがに駄目だから、エロ雑誌のグラビア写真とかならいいかな。


妻と息子は二階の寝室でもう眠っている。


よし、ちょっとコンビニまで走って、用意して来よう。


泰道はコンビニで適当な雑誌を二冊程買い、

その雑誌を持って、ガチャリと鍵を掛けたトイレに籠もった。


深夜に自宅のトイレで家族に内緒で俺は何をしているんだという事はさて置き、

パラリ、エロ雑誌のグラビアで悩殺ポーズを決める女の躰の写真を眺めながら泰道は、

手で自分の性器を握り、雄の本能に赴くまま自慰を始めた。


しかし、全然イけない・・・


心には重苦しい感情が溢れていて、

勃起してはいるものの、吐き出してスッキリはしたいものの、

色々考え出すと、出す前に萎えてしまいそうになる。


“私が食べてあげましょうか?”


不意に声が聞こえて来た。


明るく弾むような志歩理の声。


「うん。」と小さく返事をした泰道は、目を閉じて、

自分の手を上下に動かし、擦り始めた。


志歩理、志歩理・・・


あ、ああ・・・イ、ク、イクッ・・・!!


ドクン、どぷっ、とぷっ・・・


出る直前に慌てて片手で引っ張り出していたトイレットペーパーで先端を塞いだ。


うっ、くっ・・・はっ、はぁ・・・もう、出ない、か。


はぁー、疲れた。


昇り詰めるまでがヨクて、後は要らない。


でも何か、イき足りないような、もう一回とまでは欲しくないような、

中途半端なカラダのナカのモヤ付くカンジがまた嫌な、

トイレの便座に脚を開いて腰掛けている俺の前に、

幻覚が見える。


俺の脳が都合良く作り出した、跪いた志歩理の姿。


ひっ詰めた髪は前髪が乱れてこめかみを隠し、

一層仕事のデキる女に見える眼鏡のふちを片手の指で支え上げて、

ブラウスから覗かせたブラジャーの谷間を見せ、俺の情欲を煽りながら、俺の膝と膝の間を通って顔を近付けて来る。


マニキュアを綺麗に塗った細い指が、汚れを拭き取っただけの俺のモノを包み込み、

まるでお仕置きといわんばかりにキュッときつく根元を締め付けた後、先端の穴に舌先を詰めて来て舐(ねぶ)られる。


あ・・・ああ・・・


こすこす、こすこすと根元から、しなやかな動きをする彼女の指で擦られて、

先端を口に含み、喉奥まで咥え込まれ、窄ませた唇を巧みに使って上下に動きつつ、

口の中では裏筋を舌先でつうっつうっと刺激されていて、

これでイカないでいる自信は、俺にはない・・・っ!


・・・はぁはぁ、はぁはぁ。


俺はやっぱり変態なのかもしれない。


妻にセックスを一生涯拒否された後、

昔、弄ばれただけの年上の女の幻影で抜くなんて、イカれたんだな。


ダルさと情けなさが俺を襲って、涙が零れた。


俺は最低だ。だから誰も俺なんて愛してくれない。


金もない、愛もない、このまま生きる希望もない気がする。


こんな俺なんかと結婚した妻が不憫に思えて来た。


そしてこんな俺なんかの子どもに生まれた息子も。


俺を愛してない妻、俺達の間には、

お互いにもう、愛はないのかもしれない。


今となっては最初から愛だったのかも疑いたくなる感情に変わりつつある。


まさか自分がそうなるとは、結婚した時まで遡って考えても、

思っていなかった事態だ。


・・・離婚、


それは簡単ではないと離婚を経験している同級生の噂を聞いた事があったから、嫌だなと思っていた。


家と車のローン、そして子どもが成人するまでの養育費、こちらから切り出したら、慰謝料も請求されるかもしれない。

だけど何だか、現実的に考えて、本当にそれでもいいのかも。


どっちがいいだろう。


ドロドロしてもきちんと清算して独りになって、死ぬまでそれについての責任を背負うか、

それとも全部投げ出して突然死ぬか。


楽=イイコト、

そうじゃないなら、

楽じゃない道を希望もなく独りで歩くのは、二択しか浮かんで来ない無気力になった俺には、イイコトなのかもしれない。


シャワーを浴びた俺は再び着替え、リビングのラグの上に一人寝転んで、

色々考えながら白い天井を眺め、そして明け方にようやくウトウトし始めた。



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    碧井 漪

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