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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

そうそうない 52 2015年10月13日のこと(2)

Posted by 碧井 漪 on  

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わーさんの事を考えていない間の僕の中にも、わーさんへの愛は消えずに残っていて、その愛を秘めたまま、わーさんにしてあげられなくなった分を、誰かにしてあげる事が出来る。


僕の大好きなわーさんは、それを絶対喜んでくれる人だ。


人に冷たく接するより、人に温かく接する方が、この世にしあわせが多く生まれるから。


わーさんはそう言っていた。


意地悪からは何も得られない。自分も相手もいい気分ではいられない。


意地悪には親切で返せば、意地悪した相手もいつか気付いて恥ずかしくなる。そうしたら、一つ意地悪は消えると。


僕が昨日放った言葉も意地悪だった。正しいかそうじゃないかはともかく、美和にとっては冷たく聞こえる言葉だったろう。

顔も頭も冷やし、反省した僕は家に着くと、洗濯機を回し、その間に洗車して、布団と洗濯物を干した後、掃除機を掛けて、廊下の雑巾掛けもした。


ついでに窓硝子と網戸を拭いて、雑巾を洗いがてら洗面台を磨いた。


疲れたので、お風呂と台所のシンクとコンロは明日にしよう。ああ、換気扇もその内やらないとなぁ・・・


ふぅ。


僕はお茶を飲んで一休み。


ノートパソコンを持って来て開き、メールと株価をチェックした。


ついでに銀行口座の残高も確認し、何も問題なかったのでパソコンをしまい、時計を見ると後少しで11時半だったので、少し早いけどお昼を食べる事にした。


何にしよう。


今夜は魚かな・・・でも美和は肉が好きだから肉料理にしようか。


スーパーに行って、肉を見てからメニューを決めよう。


朝兼お昼はおじやにした。味噌汁の残りにご飯を入れて、卵を落として煮る。


くつくつ、ぐつぐつ、味噌の煮詰まる匂いが食欲をそそる。


火から下ろし、テーブルの上の鍋敷きの上に移動する。


刻み葱と揉み海苔を載せた熱々のおじやを、鍋のまま頂く。


コップに水とレンゲを用意して、「いただきます。」と、一掬い。


ふーふー、まだかな、もう少し、ふーふー、パクッ、ハフハフ、熱いけど美味しい。


喉を通って胃袋へ、あったかいのが動いてく。


この時僕は、またしてもわーさんより先に、美和の事を考えてしまった。


食いしん坊のくせに、寝坊して朝ご飯を食べられなかったから、お腹ペコペコだろうな。


今日は園児達がお休みだから、もしかして給食がないんじゃないか?


心配してもしょうがないけど。


お腹空いたー、とトホホ顔の美和が目に浮かぶと、笑いが堪え切れなかった。


取り込んだ洗濯物を畳むと、夕日がまだ沈まぬ内に家を出た。


ここ最近、一段と日が短くなったと感じる。


スーパーでゆっくり買い物したつもりだったが、17時半過ぎには車に買い物袋を積み込み終えてしまった。


約束まで後一時間もある。幼稚園脇に車を停めてそんなに待つのは不自然だろうと、スーパーから少し離れたリサイクルショップに寄る事にした。


リサイクルショップと言っても、ここの店は本が多かった。古本や中古のCD、DVD、ゲーム機などが並ぶ。


ゲームかぁ・・・昔、わーさんとやったなぁ。休みの前の日、徹夜した事もあった。随分前の話だけど。


わーさん・・・


懐かしく感じるゲームソフトを手に取って、彼の顔を思い浮かべた。


夜中、二人でゲームをやっている所を思い浮かべてみると、突然後ろから割り込んで来た客がいた。


美和だった。


僕ら二人の間に入り込み、「お夜食だよ!」と皿におにぎりを載せて、コーヒーマグ三つと一緒に大きなお盆に載せて運んで来た。


「食べよー食べよー。」と、美和は僕らがコントローラーを持つ手にそれぞれおにぎりを押し付けて来る。


わーさんは少し笑って受け取った。


仕方ないので、僕もゲームを中断しておにぎりを受け取る。


「これ、何?」


「コーヒー、ブラックだよ?」


「はあっ?おにぎりなら普通お茶じゃないの?」


「えー?そんな決まり無いし、和食とコーヒーって合うってテレビで見たよ?」


「まあまあ、元。折角だから頂こうよ。ありがとね、美和ちゃん。」


「わーさんはそうやっていつも美和を甘やかす。」


「わーさん、やさしいから好き!元は意地悪!」


美和はわーさんの腕に頭を寄せた。僕は嫉妬する。


「美和、僕のわーさんに触るなよ。」


「いいじゃない。ケチ!みんなのわーさんだもんね!ねー?」


「ははっ、元は、美和ちゃんの前だと子どもみたいだな。」


「もーっ、わーさんまでそんな・・・もういいよ!」


「拗ねるな、元。」


わーさんの左手が伸びて、美和を通り越して僕の頭を撫でる。


僕と美和はわーさんの子どもみたい。


「いいなー、元。わーさん、私も。」


はいはい、とわーさんは、今度は美和の頭に手を置く。


僕にとって、わーさんの前での美和は、憎たらしい妹みたいだ。


二人の時はそんな風に感じないのにな。どちらかと言うと、僕を甘えさせてくれる方。


わーさんが居ると、美和もわーさんに甘えるんだから───って、あれ・・・?


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碧井 漪

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