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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 189

Posted by 碧井 漪 on  




「お茶ですか?それとも紅茶?コーヒーでいいなら、余分にありますよ。」


賢一の問い掛けに皇は無言を貫いた。


「・・・・・・」


「余っても捨ててしまうだけなので、よろしければ飲んで下さい。」


賢一は二人分のコーヒーを注いで残ったコーヒーポットに蓋をして、客用のソーサーに載せたコーヒーカップと皇の愛用するマグカップと共に、テーブルの上に放置して、賢一は朝臣の部屋に消えて行った。


キッチンダイニングに漂う、コーヒーの香り。


皇は、ケトルでお湯を沸かすのをやめた。

悔しいけれど、皇の淹れるコーヒーより、賢一の淹れるコーヒーの方が何倍も美味しかった。香りもコクもまるで違う。


朝臣も賢一の淹れる以外のコーヒーは受け付けない。外で飲むコーヒーは不味いと言って、家以外では専(もっぱ)らオレンジジュースを頼む。


用意されたコーヒーカップと自分のマグカップに、賢一の淹れたコーヒーを注ぐ。またキッチンにコーヒーのいい香りが広がった。


同じ豆を使っても、どうして賢一のような味にならないのだろうと首を捻る。


美味しい淹れ方のコツを訊けば教えてくれるのだろうが、皇は賢一に何かを頼むのも嫌だった。


かつて朝臣の恋人だった聖子の兄。


今は、朝臣を支えるビジネスパートナー、そして朝臣を肉体的精神的に支える人。


賢一がいなければ、今の朝臣はなかった事は分かってはいても、皇はどうしても、賢一を認める事が出来ずにいた。


皇はコーヒーカップとマグカップをトレーに載せ、スティックシュガーとミルクポーション、スプーンを引き出しから出してそれも載せると、あっ、と思い出し、戸棚からクッキーの缶を出した。


よし、と皇はトレーを抱え、自分の部屋に戻った。

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碧井 漪

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