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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 15

Posted by 碧井 漪 on  

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ガチャッ。


リビングのドアを開けると、向かって右の明るいキッチンに母、左のリビングのソファーに、姉が座ってテレビを見ていた。


「おねえ、ちゃん・・・」


「のぶ、おかえり。」


ソファーに座ったまま、顔だけをこちらに向けた姉が言った。


「何で、どうしたの?」


「明日から連休でしょ?たまには実家に羽を伸ばしに来たの。」


「お義兄さんは?」


「出張だって。」


「大型連休に仕事?」

「イベント展示会だって。関連会社の招待でね。二日連チャンだから、ホテルに泊まるんだってさー。ははっ、浮気旅行だったりして。」


「やめなさいよ、日和(ひわ)。しょうちゃんは浮気しないわよ。」


「そんなのわかんないじゃない?」


「どうしたの、喧嘩でもしたの?」


「べっつにー?あ、それよりさ、のぶ、彼女出来た?」


「え?」


「え?って、その反応。やっぱ、まだなんだ。」


はーあ、と残念そうに溜め息を吐いた姉は、ソファーの上で両膝を抱えると、リモコンを手にした右手を、テレビへ向け、スッと真っ直ぐ伸ばした。


質問を投げ掛けて放置する、姉は昔からそうだ。


答えを返す前の僕の表情から、瞬時に判断して納得する。


訊かなければいいのに、と思う。


姉は空気が読める人とは思わないが、人の気持ちが読める人に分類されると思うのは、友人の数が多いからだ。


中・高と、姉はバレーボール部に所属し、先輩からも後輩からも慕われ、男女問わず、よく家に遊びに来ていた記憶がある。


空気も気持ちも読めず、誰も寄り付かない僕とは正反対の姉は、現在僕が通う高校の卒業生でもある。


空気もそうだけど、一番苦労しているのは気持ちの方だ。


僕は、人の気持ちを慮る事が出来ない。


人の心を読む事が出来ない人間は、駄目な人間。でも僕のどこを探しても、そんな能力、持ち合わせていないと知る。


それが顕著に表れたのが、得意な国語の苦手な問題。


『問 作者はどのような気持ちで、このお話を書いたのでしょうか』


お話を書いた作者ではないからわからない。


「着替えて来なさい。」


ぼうっとしている僕に、母が声を掛けた。


「うん。」


回れ右をしたら、ガサッ、右手に持ったままだった紙袋が右脚にぶつかった。


明日から飛び石連休。


三日間でコミックス十二冊と文庫二冊、先生に借りている1/2冊を読み切ろう。


伸長は、わくわくしながら階段を上った。


まだ理解出来ないBLの世界。


この世界の事もまだよくわかっていないのだから、同じだ。


ただ楽しもう。わからないままでも読める。


この世界で人の気持ちがわからなくても生きていられる僕の楽しみは、理解出来なくても問題のない虚構の世界を辿り、誰からも気持ちを慮る事を求められない時間。



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碧井 漪

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