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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 9

Posted by 碧井 漪 on  

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オリジナル小説を紹介しよう!

「俺は、こんなの絶対読みません。」


穏やかな口調で”絶対~しない”と全否定されると、僕の方が間違った発言をしたように思えた。


いや、しかし、本を読む読まないは、その人の自由だから僕が強要する事ではない。


ただ僕は、読まないより、読んで色々感じた方が後悔しないと思っている。


確かに数多の本の中には理解し難い物もある。


知識と経験がなければ楽しめない内容、何年かして読み返さないと、その良さに気付けない本もある。


読後、気分の良くなる本ばかりに出逢えるとは限らない。


「それでも、僕は本を読む―――」


呟いてハッとした後、顔を上げると、藤野くんは僕に背を向け、図書室の入口に向かって歩き出していた。


「あ、あの・・・!」


踏み出した右足のつま先は、何かにぶつかりバサッと音を立てた。


藤野くんが持って来た紙袋だ。文庫本がギッシリ詰まって、かなりの重量の・・・


僕が足元に気を取られている間にも藤野くんは歩みを止めず、

スーッ・・・僕が顔を上げた時に彼はもう図書室入口のドアを開けていた。


開ける人によって違う音の出る引き扉を、まるで地面から浮かせているかのように、藤野くんは上手に操った。


ああ、さっきもこうして静かに入って来たんだなと納得した。


藤野くんの左手、開いた扉から廊下に出るや否やひらりと身を翻し、扉の引き手を右手に持ち替え、閉まる扉の隙間から「失礼しました」と響いた後、黒いゴムの付いた戸当たり部分がトンと小さく跳ね返った。


しーん。


図書室の中は、再び僕一人の空間に戻った。


『白岸先輩』


藤野くんの声を脳内で蘇らせてみると、途端に変な気分になった。


どきどきどき・・・


そうだ、藤野くんの置き土産の本達、これをどうしようか。


借りると言うのは、返す約束をしたのと同じ事。


図書室への寄贈本として、紙袋の中の本達が認められなかった場合、僕は藤野くんに返しに行く事になる。


時計を見てから伸長は、床の上に置かれた二つの紙袋を両手に提げた。


ずしりと重い・・・これを一人で持って登校したのなら、凄く力持ちだ。



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碧井 漪

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