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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

乙女ですって 255 (R-18) 愉悦の波

Posted by 碧井 漪 on  

「いいよ、俺が片付ける。」


「ううん、私が。」


「天気いいから、洗濯物干したら?俺、これも洗いたいし。」


今市が指差したのは、持参したシンク内の保存容器だった。


────そっか・・・もうここに来ないから、洗って持って帰るって事ね。うん、分かった。


「じゃあ、私、洗濯しちゃおう。」


「それがいい。」


エプロンを着けた今市が私に向かってフッと笑った。何故か嬉しい。


ドキドキドキ・・・変な気分。


私に色々言われて怒ったんじゃないの?口も利きたくないんじゃないの?


男って、よく分からない。

泣け

Posted by 碧井 漪 on  

泣いたって何も変わらない



だから安心して泣けるんだ



泣いても泣いても泣いても



良くも悪くもならない






このまま



ここに居るだけ




縺曖 529

Posted by 碧井 漪 on  

「そんな事ないと思うよ。勇田さん、伸長くんに見られて居たら却って頑張っちゃうと思うけどね。まあ、伸長くんが行きたくないなら行かなくてもいいよ。」


そんな風に言われると、僕が恋人の練習を見に行かない薄情な人間のように思えて来る。


「行きたくない訳ではないんだけれど・・・」


彼女の走る姿を見たくない訳では無いけれど、彼女がそれを望んでないらしい事を聞かされてまで僕は、彼女の練習を見に行く勇気がないだけだ。

縺曖 528

Posted by 碧井 漪 on  

本当は渡したくない気持ちがあった。でも拒んだら変に思われてしまう。


皇くんは僕から受け取ったからのペットボトルをカコン、躊躇いなく捨てた。


少し寂しい気持ちになった。


持って帰ってどうするつもりだったのかまでは考えて居なかったけれど、

彼が僕の為に買って来てくれたその気持ちを形にして残して置きたかったのかもしれない。


自分でも健全ではない考えだとは思うけれど、止められない。

縺曖 527

Posted by 碧井 漪 on  

でも今は、僕の暮らしの中から、彼との時間を失くす事など到底出来る訳がなくて、

寧ろ、彼との時間を失ったら僕は、何を軸に生きれば良いのかも分からなくなりそうだった。


だから怖いんだ。何よりも彼に嫌われる事が。彼と時間を共有出来なくなる事が。


同じ世界で、同じ時間を過ごせるしあわせ。


恋人になれなくたって構わない。


こうして会えるのならば。

乙女ですって 254 (R-18) 結婚は無理

Posted by 碧井 漪 on  

「いただきます。」

「どうぞ。」

変な気分だった。

土曜日の朝9時前、

恋人でもない男の手料理を、自分の部屋のダイニングテーブルで向かい合って食べる事になって居るなんて。

夢?

瞬きして見たけれど、今見えている光景に変化は無かった。

亜沙子はオムレツの端にフォークを入れた。

トロリと、中は柔らかい。白いクリームと共に刻んだベーコンが出て来た。

「はい、スプーン。」

いいタイミングで、今市が亜沙子にスプーンを差し出した。

縺曖 526

Posted by 碧井 漪 on  

「ぷはーっ。」


濡れて赤味が増した唇を、

彼は右手の甲でぐいと拭った。


その瞬間、僕の体は固まった。


熱くなった耳に、周囲の音がまるで入って来なくなった。


空になったペットボトルの口の部分と、彼の唇を交互に見て、

彼に間接的に触れられたと考えてしまう僕の唇が震え出した。

縺曖 525

Posted by 碧井 漪 on  

「こちらこそ。楽しかった。」


ブラインドから零れる光を受けて、金色に輝く君の髪は美しくて、

みすぼらしい僕と一緒に居て貰う事を申し訳なく思うけれども、


それに目を瞑ってでも一緒に居たい。


ああ、本当に僕は勇田さんの事も、皇くんのように好きになりたいと思うのに、

彼女もとても魅力的な人なのに、どうして僕は、こんなに皇くんにばかり惹かれてしまうのだろう。

縺曖 524

Posted by 碧井 漪 on  

それから三時間と少しで作業は終わった。


午後四時半手前。


僕一人だったら、明日も、ううん明後日まで掛かったかもしれない。


「ありがとう、とても早く終えられたよ。」


「そう?伸長くんの足手纏いにならなくて良かったよ。」


はにかむ皇くんの顔が、今日の僕の一番のご褒美だった。

縺曖 523

Posted by 碧井 漪 on  

皇くんは、食べながら教えてくれた。


「時間なかったから適当に・・・って言うか、長くキッチン占領すると賢さんに睨まれるからさあ・・・別に散らかす訳でもないのに『作りましょうか?』なんてすぐ言って来る。絶対、俺にキッチン使って欲しくないって思ってるよ。」


「そんな事ないよ。」


「いーや、あるね。賢さんって時々女みたい。朝臣の妻だとでも思ってるのかなって感じるよ。」


「そ、そうなの?」

大切なものを手離した後の苦しみがそれを上回る新たな喜びを運んで来る

Posted by 碧井 漪 on  

ひとりごと その他日記ブログ・テーマ
ひとりごと





昔の事を思い出して居た


毎日、苦しかった頃の事


しばらくは思い出せもしたくない程辛い記憶


今は大丈夫


こんな日が来るなんて想像出来たら楽だったろうけれど






我慢して、無理に笑って、心はボロボロで、体に不調が現れる位だったあの頃

それでも自分がおかしくなっている事に気付けない状態

嫌な事にしがみ付いて居れば

いつかしあわせが訪れると

或いは

それを手離してしまえば

もう自分には何も残らないと本気で思って居たんだ




命より大切な絆を失いたくない

失えない

心をすり減らし、身を切り刻んでも

例え命を危険に晒しても

それだけは大事にしなければいけない、何よりも




そんなおかしな使命感に操られる中


迎えたあの日






全てを失った





もう



何も残されて居ない















先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 72

Posted by 碧井 漪 on  



ふうっ、あちこち痛いなぁ・・・お腹も、胸も痛いよ。


すごく怠いのに眠れないし、体も火照って変。いつもと違う。これって先輩の言ってた薬の副作用とかなの?食欲は無いけど胃がもたれるような感じもする。あー、気にし出すと辛いかも。


取り敢えず眠ろう。何も考えない事が一番。



お腹に手を当て、寝返りを打った夢野は目を閉じた。


日曜日19時手前、

仕事の忙しい兄を除いて、父、母、妹と四人の夕食を終えると、夢野は母から、妹とお風呂に入ってと頼まれた。


午後少し眠れた事で、夢野の怠さは多少解消していたものの、今日は気が進まなかった。


「わーい、おねえちゃんとおふろー!」


縺曖 522

Posted by 碧井 漪 on  

今の僕が頑張れる事はただ一つ。


恋人である勇田さんの事を、皇くんよりも好きになる事。


彼女はやさしくて、僕のペースを壊さないようにしてくれる、僕には勿体ない人だ。


それなのに僕は、まだ皇くんに対してドキドキしてしまう事を止められない。


罪だと思う。恋人が居るのに、僕はまだ彼への想いを消せずに居て。


縺曖 521

Posted by 碧井 漪 on  

「飲もうよ、カンパーイ!」


皇くんは右手に持ったペットボトルを、、僕の手にくれたペットボトルにコツンとぶつけた。


彼の指が僕の指を掠める。それだけで、一々ドキドキして、嬉しくなってしまうのを止められない。


男同士であっても、僕に恋人が出来ても、変えられないままの気持ちを、僕は隠すしかないのに、

時々、この小さな胸の奥から溢れ出しそうになって、苦しい。


先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 71

Posted by 碧井 漪 on  

しかし、快人は他の人間とは違った。夢野を虐める所か、夢野に虐められていた。


────先輩はMだと思ってたのに・・・まだ信じられない、実は”S”だったなんて・・・ううん、もしかして、私が虐めすぎて復讐のつもりであんな風にぶつけて来たのだったら・・・


【復讐】


普段なら魅力的に響くその言葉は、今の夢野の心を何故か悲しくさせた。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 70

Posted by 碧井 漪 on  

【そうやっていつも俺を操って居るつもりだろうが、逆なんだよ。他のヤツを頼らないように、わざと弱味を握られた振りをしてお前の言う事を聞いてたって事がまだ分からないのか?】


────バスルームで声がぼやけて聞き取り難かったけど、確かに言っていたような・・・けど、それって変よね。”わざと弱味を握られた振り”って何?それって先輩、一個も得しない。本当に変な人・・・そう、先輩は変態よ!多分、甚振(いたぶ)られて喜ぶタイプ。M、ドM!そうでなければ”わざと”なんておかしい。


夢野は強く否定した。

乙女ですって 253 (R-18) どっちなの?

Posted by 碧井 漪 on  

菜津子に”また来ます”と言って、家に帰った木南亜沙子は、いつも通り部屋の灯かりを点けると、途端に寂しくなった。



────綱島さんは妊娠して、結婚して、実家暮らしで、きっとこの先の人生を独りで終える事は無い。


引き換え私は、ずっと独り。


結婚も出産もしない、誰かと暮らすという煩わしさやしがらみもない、だけど・・・それでは得られないものもあって、例えばこんな夜、全身を掻き毟りたくなるような寂しさが訪れて嫌になる。


遣る瀬無くてどうしようもない。電話する相手さえ居ない。


SNSはやってないしやる気もない。賑やかさを求めてテレビを点けたって余計に虚しくなるだけ。


お風呂に入って寝ちゃえばいいと思いつつも、体を動かせない。


自分が手離したら消せる命の前で、黙って蹲(うずくま)ったまま何も出来ない。




亜沙子は冷蔵庫を背にして膝を抱えた。


その時、ドクン、ドクンとお腹の奥が疼いて居るように感じた。



どん底のどん底

Posted by 碧井 漪 on  

どん底を知って居るからこそ

今はそうじゃないんだと思って余裕ぶって居る自分が見える


まだ下降するならと

今での自分が味わった事のある

どん底を思い浮かべる


「まだ大丈夫」


「多分大丈夫」


「あの頃程ではないだろう」


どん底は一つだとしか知らないくせに

この余裕はどこから来たのだろう?



先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 69

Posted by 碧井 漪 on  

夢野は、忙しい父にも、真面目な母にも、天然の兄にも、まだ幼い妹にも素直に甘える事が出来なかった。


すぐに僻む女友達は作れないし、下心だらけの男達にも気は許せなかった。


唯一、甘えられるというか、自分の黒い部分を曝け出せたのは麗太朗と、快人にだけだった。


麗太朗には全部知られて居る。快人には全部ではないが、夢野が腹黒い人間で敵に回さない方がいいという事は思い知らせてある。


大抵の男なら嫌がったり逃げ出したりするだろう。

自殺相談所 57 待ち伏せ

Posted by 碧井 漪 on  

「さっ、寒っ・・・!」


十二月初め。駅前のベンチに座る俺はコートのポケットに手を突っ込み、家を出る前、母に勧められた手袋を「要らない」と断った事を後悔した。


アウトドアブーツの足底を、駅前広場の床タイルにトントントンと小刻みに打ち付けて、寒さから気を逸らす。


いや、それにより、却って寒さを増したようにも感じるのでやめた。


まるで震えて居るみたい。


そうだきっと尻が冷たいからだと、俺は背後が花壇になって居るベンチから立ち上がった。


ふーっと吐き出す息は白い。昨日は暖かかったから油断した。本日の空はどんより灰色。陽はどこへ?


時刻はもう少しで九時になる。広場の時計と腕時計を見比べた。


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