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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 434

Posted by 碧井 漪 on  

副岡先生は振り返った僕の顔を見るなり、

「ここ!白岸くん!」と言って両手の人差し指を左右のこめかみに当て、円を描くように動かした。


「えっ?」


面食らう僕に向かい、つり目の先生は続けた。


「こうやって解すといいわよ?」

縺曖 433

Posted by 碧井 漪 on  

書き終えた日記の文字列は、普段より整って居なくて、

それはどうしてかと言うと、僕が急いでペンを走らせたからだった。


後ろめたかったせいなのか、焦りからなのか、逃げの表れなのか、

とにかくその時間を早く終わらせたかったのだろうと、綺麗とは言えない筆致を見て後悔した。

縺曖 432

Posted by 碧井 漪 on  

未来に囚われ、過去から逃げて、現在何をすべきか・・・・・・


真っ白な日記帳のページを見つめ、そして昨日あった事を隠さず書かなくてはと思いつつも、僕はそれを閉じてしまった。


────書けない、どうしても。

縺曖 431

Posted by 碧井 漪 on  

誰かがそう言ったから歩んだ人生だった、と未来で後悔して文句を言う人間になるのは嫌だ。


選ばざるを得なかった人生、そうなる中の最善を人は選んで生きるものではないか。


結果、自分の人生の責任を負うのは自分だけなのだから、黙ったまま周囲の傍観者に穢されるのはおかしい。

縺曖 430

Posted by 碧井 漪 on  

高校を卒業して大学へ行って・・・それが近道だとしても、それをして僕は一人前の大人になれたと感じられるだろうか。


まだ分からない。だから考えなければならない。僕にとっての一人前になれる人生というのを。


「はい、お茶。どうしたの?ぼんやりして。お弁当食べないとお昼休み終わっちゃうわよ?」

縺曖 429

Posted by 碧井 漪 on  

【大人になるという事は、自分の命を自分で守り、維持して行く事だ。

何の為に生まれたかなんて分からない内は、それをやる為に生きる。

縺曖 428

Posted by 碧井 漪 on  

虚飾を交えて描いたら、それは日記や作文と呼べないと言う人は、自身の体験を文章にする事をつまらないと感じるかもしれない。


どちらかと言えば僕もそうだ。


体験以上によく見せようとする日記や作文を書けない。


だから上手ではないと人からも言われ、自分でもそう思うようになった。

縺曖 427

Posted by 碧井 漪 on  

扉を開けると副岡(そえおか)先生が居て、「どうしたの?」と僕に訊いた。リュックサックを背負って居るのを見て、早退するのかとでも思ったのかもしれない。


「顔色が良くないわ。お昼食べた?」


「いえ、まだです・・・ここで食べてもいいですか?」

縺曖 426

Posted by 碧井 漪 on  

嬉しいけれど、時々切ない。


好きだけど、少し疲れる。


止まれなくて、でも止めたくなくて。


こっちを向いて欲しくて、だけど恥ずかしくて。


苦しいのもまた、嫌いじゃなくて。

縺曖 425

Posted by 碧井 漪 on  

彼の事を“嫌いになれ”とか”忘れろ”とか誰かに言われたとしても、

今の僕なら“嫌だ”と拒否してしまうだろう。


彼を”忘れる”時は、僕自身が”消える”時だと考える。


以前よりもずっとずっと、彼に惹かれて、彼の住むこの世界がとても美しく感じられるようになった。

縺曖 424

Posted by 碧井 漪 on  

────生きてる。


同時に、さっきの皇くんのそれは夢だと分かって、また気持ちが沈んだ。


彼が僕を”好き”だなんて、現実である筈がないのに、期待してしまう。


“好き”だから”嫌われる”より”嬉しく”なってしまう。


浅ましくて嫌気が差すけれど、少し同情もする、自分に。

縺曖 423

Posted by 碧井 漪 on  

好きだよ、誰にも明かせないけれど。


好きだよ、どうしても。


もしも君が僕を気持ち悪いと軽蔑するなら、今すぐ暗い海の底に沈んで消えてしまいたいと思う程絶望する。


だから明かしたくない。この想いも隠したまま手離したくない。

縺曖 422

Posted by 碧井 漪 on  

居場所を求めて飛び出した家に戻ると、それまで考えて居たよりホッとしたのが不思議だった。


家のどこかに居るであろう両親とは顔を合わせる事なく、僕は静かに二階へ上がると、自室に籠もった。


背負って居た荷物を下ろすと、窓を開けて横になる。

縺曖 421

Posted by 碧井 漪 on  

だからと言って、僕が本当に皇くんに想いを伝えたら、軽蔑され、絶交されてしまう。


皇くんでなくてもBLを理解出来ず、嫌う人は少なくないだろう。

しかし、以前から僕は、BLについては好きとか嫌いとかではなく、ただそういう気持ちがあってもいいと考えて居た。

縺曖 420

Posted by 碧井 漪 on  

僕の気持ちを知って居るのは朝臣先生と、気付いて居れば賢さんもかな。


お二人は、僕の気持ちを皇くんに話したりしないと思う。


自分の気持ちを偽らなくてもよい関係、何よりお互いがお互いを想い合って居る所が羨ましい。

縺曖 419

Posted by 碧井 漪 on  

けれど、異性であるイサダさんならそれが出来る。


友達が居ないと言っていた皇くんの唯一”好きな人”。


皇くんの友達は僕で、恋人はイサダさん。


それが今の僕の理想だった。

縺曖 418

Posted by 碧井 漪 on  

「本当におひとりで大丈夫ですか?」


「うん。ごめんね、迷惑掛けて。」


「いいえ・・・あの、それでさっきの────」


「さっきの?」

縺曖 417

Posted by 碧井 漪 on  

そして皇くんは苦しむ。


僕はそれが何より悲しい。


嫌だ、嫌だ、

今のままがいい。


好きも恋も愛も知らなくていい。


僕はただ、皇くんと親友で居たい。

近くの星

Posted by 碧井 漪 on  

自分の目の前には今、二つの道が見えて、どちらかを選ぶべきなのだろうけれど、
どちらを選んだらいいのか分からない。


選んだ方の道しか歩けない。


だから人は悩むという事は知って居る。


二つとも選べたらいいけれど、僕は一人しか居ない。


本当にこっちでいいの?最後まで歩けるの?諦めずにずっと希望を持ちながら。


そう考えると、どちらを選んでも同じかもと一歩踏み出すのを躊躇ってしまう。


いつからか期待しなくなった。未来にわくわくする事があるかもしれないなんて。


そんなものはない。あったのは子どもの頃だけ。


そうして、そのわくわくすると思って居た未来がこれだった。

縺曖 416

Posted by 碧井 漪 on  

ふと、口から首筋がベタベタして居る事に気付いた。


起き上がれないまま、痺れる手をやっとの事で動かし、顎先に触れた。


口の中はオレンジ味。


あ、そうか!


オレンジジュースだ。

縺曖 415

Posted by 碧井 漪 on  

ああ、もうどうしたらよいのだろう・・・頭の中に靄(もや)がかかってぼんやりする。


体中熱くて、何だか怠い・・・


「あの、僕──────」


ドサッと何かが地面に落ちる音がして、僕はそれを見ようとしたけれど、全部真っ暗闇に包まれて、


「先輩、先輩、先輩・・・!」イサダさんの声も遠のいた。

自由解放

Posted by 碧井 漪 on  

頑張りすぎなくていいよって

今まで勘違いしていた

頑張らなくていいよと同じ意味なのかなって



期待していないという意味では無く

期待しているけれど一人で背負わなくていいよという意味なのだと

まるで理解していなかったらしい


先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 48 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

快人は夢野の耳元で囁いた。


「お前のオク、サイコウだった。」


「・・・っ、えっ?」


夢野は耳を疑い、快人の胸から顔を上げた。


「顔に似合わず、エロい躰でビックリした。」


普段真面目な快人の方こそ、こんな男だったとは、私の方が驚いて居ると夢野は言いたかったが、夢野のナカを指で突き上げながらでは、声が出せなかった。


そして快人は、震える夢野の首筋を唇で辿った。


唇が離れた時、もう終わりかと夢野が目を開けた瞬間────ガプリ。






縺曖 414

Posted by 碧井 漪 on  

「迷惑ですか?私が先輩を好きで居る事は。」


「そんな、迷惑だなんて思わないよ。嬉しいよ。」


人に慕われる程、素敵な事はないと思って居る。


僕が人から慕われるべき人間であるかどうかは別として。


だけど────彼女は他でもない、親友の想い人。それを、彼女の事をまるで知らない僕がお付き合いするだなんて、考えてもみない事だった。

縺曖 413

Posted by 碧井 漪 on  

”彼女”とは、”恋人”という意味ではなく、いやいかし、前後の話をもう一度繋ぎ合わせてみると、

僕の”彼女”はイサダさんで、その事をイサダさんから皇くんに報告するというもの。


僕が皇くんの想い人であるイサダさんと”お付き合い”する?

縺曖 412

Posted by 碧井 漪 on  

でも、変だなと思った。もう二度と関わる事がないのだから、僕が彼女の名前を呼ぶ事も、彼女が僕の名前を呼ぶ事も無い筈なのに。


ああそうか、皇くんと三人で会ってしまった時の為かな。


一応僕と皇くんは友達だから。


僕らが絶交した事を皇くんに知られたくないのかもしれない。


縺曖 410

Posted by 碧井 漪 on  

“腕長い”というのは褒め言葉にならないのだと、僕は意識して居なかった。


“脚長い”というのも良くないとしたら、

“僕は手足の長いイサダさんの体形は素敵だと思う”と言っていいものか分からなくなった。

縺曖 409

Posted by 碧井 漪 on  

勿論、疚(やま)しい気持ちはないけれど、イサダさんもそうだろうけれど、さっきから通り掛かる人達の僕らをチラチラ見る視線が何か言いたそうで、もしかするとそれは僕らの仲を誤解したものだったとしたら・・・イサダさんと皇くんに申し訳ないと思った。


もしも同じ学校の人に見られて、悪い噂を立てられたら良くない。


「先輩、どうしたんですか?」


「ううん・・・飲んだら行こう。」

自殺相談所 52 失調

Posted by 碧井 漪 on  

一週間ぶりに見た彼の顔色は決してよいとは言えないものだった。

元々の顔色も詳しく知る仲ではないのだから俺の思い過ごしなのかもしれないが、口を開こうとしない彼の横で気の利いた言葉一つ掛けられず、居た堪れなくなった。

だけどここで逃げ出しては・・・と、考えた俺は少し黙って待った。

すると、彼が口を開いた。

「すみません。今僕、誰とも会いたくない。」

どんどん小さくなる声と丸まった背中。それだけで、先週より落ち込んでいる風に見えてしまう。

何かあったのかな。

でもそれを訊くのは難しくて、

ただ所長の真似をして「そうですか。」とだけ言うと、程無くして彼はベンチからスッと立ち上がった。








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