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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 383

Posted by 碧井 漪 on  

うん、と小さく頷いた僕は手を洗った。


「はい、じゃあこのワカメ切って。」

母は、まな板の上に載せた黒々とした生ワカメを指した。


僕は傍らに置かれた包丁を手に取り、


「どの位の大きさに切ればいい?」と訊いた。

承認欲求

Posted by 碧井 漪 on  

君が僕を好きになってくれていたというのは、浅はかな僕の思い込みだった。

君は僕のことなんか好きじゃなかったんだね。

初めから君は、僕の想いも恋ではなかったことを見抜いていて利用しただけに過ぎない。

僕も君も、自分を認めてくれる相手にただ縋りたかっただけに過ぎない。

それを恋や愛と呼ぶのなら、僕らは間違いなく恋愛していたことになるけれど。

お互いの気持ちが冷めたのではない、最初からなかったものをあるように出来なくなっただけだ。

縺曖 382

Posted by 碧井 漪 on  

その時、僕を捕まえて居た男の手が離れ、

“やった!”と思った瞬間、金縛りにあったかのように固まって居た体から、ふっと力が抜けた。


僕の目が醒めた瞬間だった。


夢で良かったと思うけれど、もしも現実になってしまったら・・・良かったなんて言えない。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 47 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

快人の手によりパックリ開かれた夢野の秘部は、熟れた果実のように赤く、腫れていた。


少しの刺激でも感じてしまう夢野のそこに、快人はシャワーの湯を当てた。


強い水流に圧された敏感な内襞はビクビクと震えた。





縺曖 380

Posted by 碧井 漪 on  

『何々?お手々繋いでたけど、二人はそういう関係なの?』


『男同士なのにイチャイチャするってヤツ?女の子に興味ないんだ?』


『あー、でも分かる。彼、カワイイ顔してるもんね。女の子の恰好とかも似合いそう』

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 46 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

バスルームの椅子に座らされた夢野は、快人がバスタブにお湯を張り直すのをぼんやり見ていた。


────私を犯したのは先輩の方なんだから、この場合『お前のせいだから』ではなく『俺のせいだから』と言うのが正しいのではないの?普段とは全く違う性格。別人のよう・・・という事は、先輩は"多重人格"なの?そういう人に会った事は無いから、実在するかどうかは半信半疑だったけれど、もしも先輩がそうなら、話し方、考え方、口調や行動もすべて普段とは異なるのだから、実在すると言える。でも、でもでも待って。こっちが"素"で普段が"演技"だったら、先輩は"多重人格"ではない事になる?




縺曖 379

Posted by 碧井 漪 on  

今日あった事を思い出しながら、僕は日記帳のまだ何も書かれて居ないページに向かった。


けれど今日は色々あり過ぎて、何からどうやって書こうか迷った僕は、すぐには書けず、体の疲れもあった為、今日はもう横になって、明日の朝、目醒めたら書こうと決めて、日記帳をリュックにしまった。


灯かりを消して布団に潜り込んだ。


目を閉じたけれど、眠れないかも─────


縺曖 378

Posted by 碧井 漪 on  

しかしこれでは、今のままの僕では、仮に皇くんを好きで居ても良い世界に行けたとしても、いずれ再び悩む日が来てしまうだろうと思った。


気持ちを隠そうとする以前に、もっと自分の心を強くしなくてはならない事に気が付いた。


“好き”な気持ちをどうにかしようとしたって出来ない事はよく分かった。


縺曖 377

Posted by 碧井 漪 on  

“好き”な気持ちは止められないと本では読んだけれど、実際に直面すると、本当に、急坂をブレーキの壊れた自転車で下るようなもので、止まって欲しい、でも止めたら近付けない、そう思うと、怪我をするかもしれないという身の危険より、ブレーキが壊れた自転車で良かったとも考えてしまう。


実は止めたくなんて無いんだ。


ただひたすら、素直な気持ちを、好きを持ち続けて、彼を見つめて居たいんだ。


縺曖 376

Posted by 碧井 漪 on  

黒い表紙の日記帳。


僕と彼を繋ぐ唯一の物。


交換日記。


机に向かい、日記帳を静かに開くと、大好きな彼の日常が、彼の字で綴られて居た。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 45 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

快人は、その大きな手のひらを、夢野の額に当てた。


ふいに胸の奥がムズムズと疼き、それを恥ずかしいと感じた夢野は、触られている事に耐えられなくなり、

「や、めて下さい!触らないで!」と快人の手を撥ね付けた。


「それだけ元気があれば大丈夫そうだが、朝まで眠った方がいい。」

そう言って、快人も欠伸をした。


「眠るって、どこで?」


縺曖 375

Posted by 碧井 漪 on  

「心配してるのよ。」


だからって、皇くんの事を悪く言うのは許せなかった。


悪影響どころか、良い影響ばかりだよと強く言えなかった自分が情けない。


ただ、父に向きになって反論したところで、余計に父の機嫌を損ねるだけなのは、僕も母もよく知って居た。


縺曖 374

Posted by 碧井 漪 on  

姉の時に知ったけれど、父は僕らがあまり交友関係を広げない事で安心して居る人だった。


部活動に入って居ない僕は、先輩後輩の繋がりも無いと父には思われ、心配はないと今まで思われて居るらしい事は、母の口から聞かされて居た。

縺曖 373

Posted by 碧井 漪 on  

着替えを用意した僕は、再び一階に下りた。


父に気付かれないようにそっとお風呂場へ向かう。


シャワーで汗を流し、服を着てから台所に行くと、そのテーブル席にはやはり父が居た。


すでに夕食を済ませたの片付けられたテーブルの上には、広げた新聞紙と湯呑みがあった。


「今用意するから、座ってて。」

縺曖 372

Posted by 碧井 漪 on  

それから電車に乗って降り、駅から急ぎ足で歩いた僕は、19時頃にようやく自宅に着いた。


「おかえりなさい。」


台所から出て来た母は、エプロンで濡れた手を拭いながら、ホッとしたような顔で言った。


「ただいま。」


母の顔を見た途端、僕の気も緩んだ。

AIDA

Posted by 碧井 漪 on  

AIDA
詩、ポエム ポエムブログ・テーマ
詩、ポエム

彼女と別れてから一年経った。

言葉にすると短い365日。

辛かった。でも、楽しい日もあった。

長く一緒に居て、しあわせだった日も、悲しかった日もある。

どっちが多かったかなんて、今となっては思い出せない。

縺曖 371

Posted by 碧井 漪 on  

夜の駅前通り商店街。


暗さと明るさが混在して、様々な音も聞こえて来る。


雑踏を潜り抜けて僕らは駅前の書店に辿り着いた。


けれど中には入らない。


さっきのは僕の嘘。


そして自転車を押しながら、僕の隣を静かに歩いて来た皇くんの、用事があると言ったのも嘘。

縺曖 370

Posted by 碧井 漪 on  

先生のマンションに着く頃には、夕陽は沈んで居た。


辺りは暗くなり始め、僕は先生にカメラを渡すと、片付けをして自宅に帰る事にした。


「夕飯食べて行って。」と言う先生の誘いを丁重に断ると

「分かった。じゃあ、また来週もおいで。」と言われてありがたかった。


「それでは、大変お世話になりました。」

縺曖 369

Posted by 碧井 漪 on  

皇くんの後ろの窓の外はもう朱い。


綺麗な夕空。


電車に揺られるのも、あと一駅になった所で、僕は皇くんを起こした。


彼の肩を揺すり、

「皇くん、もうすぐ着くよ。」と小さく言った。

縺曖 368

Posted by 碧井 漪 on  

例えば日本でなくていい。現在でなくても。


過去や未来の異世界、そして皇くんは皇くんのまま、僕は僕で無くていい。


皇くんの好みの女性になって、そうしたら僕は、自信を持って彼の隣で、彼を好きだと言ってもいい。


告白してもいいんだ・・・好きで居続ける事も許されるんだ。


もしも、そうなれるならいいな。

縺曖 367

Posted by 碧井 漪 on  

僕の”恋”は背徳感で包まれて居る。その包装を解く日は、多分来ない。


それどころか、もっともっとと、僕はこの気持ちを隠そうと必死だ。


彼に知られて、軽蔑されて、二度と会えなくなってしまうのが怖くて堪らない。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 44 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

火照る体とは裏腹に、夢野の頭の中は冷めて行った。

「それは・・・ありがとうございます。」

"戯言"に対して繋ぐ言葉が見つからずにそう放つと、

「礼なんか言わない方がいい。」

低い声でぼそりと吐き出した快人の腰が一度引かれた。しかし、まだ熱い楔は再び夢野の深くまで打ち込まれた。



縺曖 366

Posted by 碧井 漪 on  

────危ない!


皇くんの左隣に座る僕は、咄嗟に彼の右肩に手を伸ばし、ギュッと掴んだ。


けれど、彼の体重を支え切るには力が足りず、僕の体も一緒になって右へ傾いた。


僕の体は皇くんの上に折り重なり、体重が掛かった事で、彼の目は醒めるだろうと思ったのに、まだ眠って居た。

縺曖 365

Posted by 碧井 漪 on  

窓を閉め、ホッとした僕らは同時に溜め息を吐いた。


風音が無くなった車内は蒸し暑さを取り戻した。すっかりおとなしくなった車内は、どこか物足りない気もした。


心地良い疲労感が僕を襲う。彼もそうなのかもしれない。


皇くんは普段より遠くに足を投げ出して、体を背凭れに預けて居る恰好。

縺曖 364

Posted by 碧井 漪 on  

開いた窓の隙間は、ほんの5センチもない位だけど、走り出した電車の速度が上がると、吹き込んで来る風がビュウビュウ音を立てた。


予想外の風の圧力と音に、僕らは窓を振り返り、そして車内を見回した。


数人の乗客が、僕らを見て居た。


窓の風音が気になるのだろう。僕らは慌てた。


「閉めた方がいいよね?」


「そうだね。少し涼しくなったしね。」

縺曖 363

Posted by 碧井 漪 on  

僕も助けようと、リュックを脇に置いて立ち上がり、皇くんの広げた腕の下から両腕を伸ばし、つまみを握って居る皇くんの手を下から掬うように、僕の手の甲が皇くんの手に触れた。


皇くんはハッとしたように、つまみから手を離した。

縺曖 362

Posted by 碧井 漪 on  

「間に合った・・・」僕が溜め息と同時に吐き出すと、

「無茶するね。」と少し驚いた風に皇くんが言った。


「ごめんね。」


手を強く引っ張ってしまったから、皇くんは痛かったかもしれない。

縺曖 361

Posted by 碧井 漪 on  

「どうしたの?」


皇くんの顔を覗き込むと、

「目的!」と皇くんが僕の目を見て言った。


「え?」


「目的果たせた?」


“目的”?


「あ、ええと・・・」


僕の”目的”は、皇くんとデートして、その感想を先生に知らせる事。

自殺相談所 50 失墜

Posted by 碧井 漪 on  

事務所の扉を開けた俺が、ちらとウサギを振り返ると、早く入れと言わんばかりに、ウサギは俺の背中を白くモコモコした手で強く押した。

押し込まれるように足を踏み入れた事務所には誰も居なかった。

ホッとしたのも束の間、ウサギが頭を取った。

顔を表したのは若い女─────と言っても、俺より年上だと思うが、年齢不詳で、名前も知らない。所長は"ウサギさん"と呼んで居る。

殆ど話した事はない。

俺をじっと見据え、何も言わないと思って居たウサギの口が動いた。

「止めたのに。」

制止を振り切り、勝手に相談ブースへ向かった俺を責めるでもなく言った。

あの時、焦って居た俺が辿り着いた所長の相談ブースには先客が居て、その人には、俺以上に気まずい思いをさせてしまったと申し訳ない気持ちになって居た。

「すみません。」

ぼそりと言って、俺は床に視線を落とした。反省して居る時、上を向いて居られないのはどうしてなのだろうか。

「あたしに謝ったって・・・」

小さな声で言ったウサギはモソモソと何かし出した。

気になってこっそり視線を上げると、背中を向け、ウサギ頭を再び被って居る最中だった。

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