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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 348

Posted by 碧井 漪 on  

皇くんが僕の首筋に触れた理由に納得しつつも、ガッカリした気持ちが湧いて来た。

それはつまり、僕は皇くんに触れられて居たいんだという欲望の表れ。

叶うなら、もっと近くで皇くんの熱を感じたい。

寵姫先生の描くBLの濃厚なラブシーンも、きっとこんな気持ちの中で展開されるなら、いやらしくも何ともないのだろう。

お互いが求めるならば。

縺曖 347

Posted by 碧井 漪 on  

「にがーっ!」

飲み干した後、皇くんはベーっと舌を出して僕と顔を見合わせた。

くすっと二人で笑い合うと、途端に僕は、今がいつでどこで僕らが誰でどんな気持ちを抱いているのかを忘れた。

今は悩まない。だって、しあわせだから。

ただ浸っていよう。彼と二人で過ごせる今に。

皇くんは水筒の蓋にコップを被せると、リュックサックの中にしまった。

縺曖 346

Posted by 碧井 漪 on  

「はい、伸長くん。」

最後の一口を頬張った僕の前に、黒いプラスチックのコップが差し出された。

微かな湯気を立ち昇らせるコップと同じ色の液体。

「コーヒー、飲まない?」

縺曖 345

Posted by 碧井 漪 on  

ううん、やっぱり、これ以上を望まないから、このままで居られないかな。

それすら贅沢だって分かるけれど、僕は君を独り占め出来ないけれど、

本当はそうしたいんだと偽りたくない僕が、膝を抱えて胸の中を重くしてる。

「どうしたの?ぼんやりして。あ、お腹空いた?そろそろお昼にしようか。」

縺曖 344

Posted by 碧井 漪 on  

ドッドッドッ、僕の心臓の鼓動はどんどん速くなるばかり。

「か、からかわないでよ。皇くん。」

「からかうって、何が?」

「え?だから・・・」

“好きだなあ”って言った事。

僕の聞き間違い?

訊き返す勇気も無くて、

「何でもない。」と、僕はまた視線を皇くんから水面に移した。



"好き"

その感情に種類があるなんて知らなかった。

"恋愛の好き"と"その他の好き"は違うんだって事、鈍感な僕にも分かった。

それを教えてくれたのは、僕と誕生日一日違いの男の子。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 36 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

夢野は快人に手を引かれ、バスタブの中に引き入れられた。

先にお湯の中に沈んだのは快人で、夢野は向かい合う形で、快人の揃えた両脚の上を跨ぐ恰好でお湯に浸かった。

掴まる場所が無い夢野の両手は快人の肩を掴み、曲げた両膝は快人の腿を挟んでいた。

そして夢野の浮いてしまうお尻を快人が手で引き寄せると、「ひゃあ!」と悲鳴を上げた夢野の背中が仰け反って、前屈みだった姿勢の夢野は、反対に後ろに倒れそうになった。


風邪みたいに移して 53 (「積み重なって解けるとき64」)

Posted by 碧井 漪 on  

モグモグ、ごっくん。

あー、しあわせ。

大好きなてっちゃんに作って貰った美味しいグラタンを頬張る昼下がり・・・だけど、少し後ろめたさも感じてしまうのは、この腹肉のせいかしら。

ぷよん、ぷよぷよ。

やわらかい。抓める。

もし、もしもよ?無いとは思うけど万が一よ?

てっちゃんの手が、ここ(腹肉)に触れたら─────

縺曖 343

Posted by 碧井 漪 on  

「それは・・・」うーん、と皇くんが考え出した。僕の方が”先輩”だからお兄ちゃんに決まってると言われるかと思って居たら、

「俺かな。伸長くん、お兄ちゃんって感じじゃないでしょ。涎垂らすし、鼻血出すし。」くくくっ、と皇くんが笑った。

「もーっ!それを言われたら!」

僕の失態を改めて言葉にされ、恥ずかしさのピークを迎えた僕は、もう皇くんの顔を見て居られなくなって、柵に顎を埋めるようにして、ぷいっと水面に視線を移した。

縺曖 342

Posted by 碧井 漪 on  

だけど皇くんは答えてくれた。

「ああいうの苦手なんだ。家族で来てますみたいなの見るの。」

どういう事だろう?黙って居ると、

「俺んち、複雑でさ。ああいう普通の家族じゃないから、慣れてなくて。羨ましいのかなと思った事もあったけど、物心つく前から父親は居ないし、今一緒に居ない母親とも、あんな風にしたいと思えないから、多分羨んでは無くて。よく分からないけど苦手で。」普段より多く話してくれた。
それはきっと、皇くんの心の中にいつもある気持ちだからなのだろう。

縺曖 341

Posted by 碧井 漪 on  

声を掛けてもよいものか迷うけれど、そっとしておきたいなら、どうして追い掛けて来たの?と自分に訊いた。

僕は声を出さずに、皇くんの隣に並ぶと、皇くんと同じポーズをした。

胸の高さにある柵を握り、曲げた両肘を左右に開いて柵に乗せた。

そして体重を柵に預けて、下にある水面を見つめた。

波も無く、穏やかな水面には、葉っぱや虫が浮いていた。

縺曖 340

Posted by 碧井 漪 on  

はあ、はあはあはあ・・・!

林への道を走る僕の目は、だんだん近くなる皇くんの背中をずっと見つめていた。

スタスタスタ、と歩く皇くんのスピードは一定なので、走る僕との距離は縮まって行く。

こんな時、もっと速く走れたらと思う。

速く走る────それで思い出した。

積み重なって解けるとき 64 ※哲編

Posted by 碧井 漪 on  

本日の賄いはマカロニグラタン。


丁度焼きあがった時、キイッ、ガチャ、カシャン、と駐車場から音が聞こえた。


きみちゃんが帰って来た。


喫茶店の厨房にいる哲は、出来たばかりの賄いをサっとテーブルの上に並べた後、裏口のドアを目指した。


自転車に鍵を掛けた公子は、籠の中のホームセンターとスーパーの袋を持ち、佐藤家の勝手口に向かっていた。


「きみちゃん、おかえり。遅かったね。」


ビクリ!


鍵を開けた勝手口のドアノブを引く前の公子は、小さく肩を揺らした。


「ただいま。ごめんね、遅くなっちゃって・・・」


「ううん。それはいいけど、事故に遭ってないか心配になっちゃって。」


「大丈夫。ちょっと、お母さんに頼まれてた買い物があったの思い出して、ホームセンターに寄ってたの。」

縺曖 339

Posted by 碧井 漪 on  

“恋”って、甘くて苦いものだって小説で読んで分かっていたつもりだった。

でも、僕は”恋”を全然分かってない。

この先、僕と皇くんの歩む道の先に”男同士の恋”は”無い”からと、それを引き返す理由として捨てずに持っていようとしている弱い僕の心に気付いた。

男は女を好きになるから男で、女は男を好きになるから女。

では僕は、男を好きになってしまったから女なの?違うよね?

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 34 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

ぎゅっ・・・

夢野の局部には、男の硬いモノが押し付けられていた。

────また挿れられちゃうのかな・・・

快人の雄棒で、体の中心を串刺しにされたような痛みを思い出した夢野はゾクリとした。

────痛い、物凄く痛かった。内臓が裂かれるような痛み・・・また味わえるの?

夢野は酷い痛みを再び味わいたくて堪らなくなった。

縺曖 338

Posted by 碧井 漪 on  

多分残念なのだろう。座ろうと考えていたベンチに座れなくなってしまって。

「えっと、皇くん。別の所へ行こう?」

おそるおそる言うと、

「えっ?ああ・・・そうだね。」と皇くんは僕の方を見て頷いた。

縺曖 337

Posted by 碧井 漪 on  

土曜日のお昼前、大きな公園の広場は賑わっていた。

低い草の生えた原っぱに、所々若木が植えてある。

ベンチの数は多くはなかった。けれど、家族連れは狭いベンチを利用せずにレジャーシートを敷いて寛いでいたので、広場隅の方のベンチは空いていた。

皇くんに知らせて分かっているとは思うけれど、返事が無かったのでもう一度言ってみる事にした。

「皇くん、あそこなら空いてる。」

僕が指差すと、皇くんは「うん・・・」と浮かない顔で返事をした。











先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 33 ※R-18

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「暴れるなよ。」

怒って居るのとは違う低い声。落ち着いた大人を感じさせる快人の声に、夢野は大和を思い出してどきりとした。

────先輩って今23歳の筈よね・・・大和さんの足元にも及ばないのに。

夢野は大和のようなSで腹黒い男を理想として居たが、実際、大和とどうこうとは考えた事も無かった。

────大和さんとこんな事、死んでも出来ない。まだ先輩で良かったのかも。何とも思ってないし。だけど・・・

夢野には一つ心配な事があった。

それは快人が他言してしまう事。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 32 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

夢野は快人に肩を噛まれた。

一秒、二秒、三秒・・・離れる寸前、強い力が加わった。

夢野の白い肌に、赤い噛み痕が残った。

────先輩、何で噛んだの?支配欲の表れ?だけど・・・

違うかもしれないと夢野が思ったのは、快人が噛み痕ではなく夢野の目を見つめて居たからだった。

────何?どういうつもりか、全然分からない。先輩は一体何を考えて私を犯したの?

縺曖 336

Posted by 碧井 漪 on  

“親友”では嫌だけど、それ以上にはなれないし、それ以下にもなりたくない。

いい加減で狡い、卑怯者。

本当は好きな事、知られないように必死で。

僕が女の子でも、振り向いて貰える筈がない。

縺曖 335

Posted by 碧井 漪 on  

「それじゃあ、行く?」

「うん。」

僕がリュックサックから手を離すと、皇くんは潰れたサンドイッチを中に戻してから、背中に背負った。

「伸長くん、本当に大丈夫?」

皇くんは背を丸め、僕の顔を斜め下から覗き込んだ。

不意打ちの心配顔に、僕の胸がどきんと鳴った。

「う、うん・・・」

僕は右手で鼻と口を覆い隠した。

縺曖 334

Posted by 碧井 漪 on  

「どうしたの?」

僕は、皇くんを見上げて訊いた。

「あ、うん・・・別に平気。」

はっきり言わず、皇くんは目を逸らした。

僕はその隙に、お尻の下にある皇くんのリュックサックを引っ張り出し、ファスナーを開け、中を確かめた。

ガサガサ・・・くしゃくしゃになった白い紙袋を取り出して開けると、中から紙製のランチボックスが出て来た。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 31 ※R-18

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────何かを失った気がするのって、どうして?処女でいる事に拘りなんて無かった筈なのに・・・

ベッドから離れて、ティッシュ箱の前で淡々と事後処理をする快人の横顔、それを寂しく思った夢野の頬を涙が伝った。

「ぐすっ・・・」洟を啜った夢野はしまったと思ったが、遅かった。

夢野が泣いている事に気付いた快人が振り向いた。

そして快人は、再びベッドの上に乗ると、

「痛かったか?」と涙を拭えなかった夢野の両手を、オレンジの拘束具から外した。

縺曖 333

Posted by 碧井 漪 on  

────ごめんね。迷惑掛けて。とても大好きだよ。

僕は皇くんを見つめながら、言葉に出来ない想いを、心の内に止(とど)めた。

だけど、抑えようとすればする程、不思議な事に彼への想いは増えてしまうように感じた。

心の中いっぱいに広がる想いは、外に出られず苦しそう。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 30 ※R-18

Posted by 碧井 漪 on  

「挿れるぞ。」

いつになく低く放たれた快人の声に、夢野はぞくりとした。知らない男に犯されているようで、背徳感が募った。

────先輩もこんな顔するんだ・・・知らなかった。誰かとした事あるのかな・・・・・・

ズッ、ズズッ!

────い、痛っ!

あれこれ考えている暇は無かった。

自殺相談所 48 失言

Posted by 碧井 漪 on  

俺はタケノウチくんの顔を見た。彼もそれに気付いた時、俺は黙って頷いた。

彼は再び口を開いた。

「辛いから行かないのって逃げてるだけで何も進まないってのは分かってるいるんだけど、どうしても足が動かなくて。」

そういう時は誰にでもある。俺は歩道橋の手摺りをぼんやり見ながら首を縦に二度動かした。

その後、彼は黙った。俺がもう一度彼を見ると、

『どうしたらいいんだろう』と訊きたそうな顔に見えた。

迂闊な事は言えないと思いつつも俺は、

「行かなくていいと思う。行きたくなったら行けばいい。」

無責任とも取られそうな言葉を吐いてしまった。

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