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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

そうそうない 252 2016年4月2日のこと(11)

Posted by 碧井 漪 on  


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今とは別人のような美和の写真。僕の知らない女性みたいで、だけどこれが美和だと言われたら僕は、今美和がこの写真と同じ恰好をしても好きなままだろう。

しかし、以前の僕だったら避けて居ただろう姿の美和。

僕は自分が外見だけで人を判断して居るとは思って居なかったが、実はそうだったんだと初めて気付いた。

女性というものはこうだと勝手に決め付けて、苦手意識を持って居たんだ。

よく知れば、もっと多くの女性と上手く話せたかもしれない。

志歩理だって女性だった。そう、志歩理と長年付き合って来れたのは、気心が知れて居たからだ。

ちらと志歩理を見ると目が合って、「何よ?何か言いたそうね。」と鋭い。

「いや・・・何でもない。」

僕は写真たてをアンティークボードの上に戻し、静かに美和の隣に腰を下ろした。

そうそうない 251 2016年4月2日のこと(10)

Posted by 碧井 漪 on  


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美和はあのプロポーズを"嘘"にしたかった────訳ではなさそうだけど。

「元啓、早く美和ちゃんの事、安心させてあげて?」

「単身赴任中は無理。」

「そうね、それは申し訳ないと思って居るわ。」

「ちゃんと考えてる。だから簡単に言えないんだよ。言いたくない訳じゃない。まだ準備が───」

「用意周到なあなたの事だから、結婚準備が整い次第じゃないとプロポーズ出来ない事は分かってる。でもね、女は待ってるのよ。好きな人に強引に迫られる事を、実はね。美和ちゃんだってそうよ。だけど、相手があなたの場合、待って居られないわよって私が教えたの。もしも木村元啓を好きで居たいなら、甘えを捨てて、積極的に、かつスピーディーに。」

「それ、何か違う気がするけど・・・」

「実際、美和ちゃんは変わったわよ。女の子女の子してたけど、今じゃ髪も服も男の子みたいにさっぱりして、メイクだってほとんどしてないでしょう?」

そうそうない 250 2016年4月2日のこと(9)

Posted by 碧井 漪 on  

「それは、あなただけでしょう?美和ちゃんは寂しかったと思うわ。強い人だけどね。」

僕よりも美和の事をよく知って居ると言いた気の志歩理。"強い人"って、虫とか怖がらない所を言って居るのかな?なんて考えて居ると、

「美和ちゃんには本当にビックリさせられたわ。最初、あなたに一目惚れしたと鬼気迫ったように打ち明けられた時はね。」と志歩理は組んだ両手に顎を乗せて苦笑いした。

「それ、いつの事?」

「結婚式終わって、ハネムーン行って帰って来てすぐかしら?美和ちゃん、突然社長室を訪ねて来てね────」

「え?」

「『社長!一生のお願いです。どうか、木村元啓さんの事を教えて下さい!』って真剣に訴えられてね。理由を訊くと、元啓に『一目惚れしてしまいました!』ですって。」

その時の事を思い出したのか、志歩理は、あははと笑った。

そうそうない249 2016年4月2日のこと(8)

Posted by 碧井 漪 on  


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いや・・・今の美和のこの姿を見る限り、僕を"好き"と言うよりも、志歩理を"愛してる"と言った方が正しいのかもしれないと思えた。

うーん、複雑だなぁ。いいなぁ、志歩理。美和と抱き合っ・・・いや、こほん。

「お茶淹れますね。適当に座って下さい。」と泰道は、僕らを広いリビングに残して、一人、ダイニングキッチンへと行ってしまった。

「何見てるのよ、元啓。」

志歩理が美和の背中を抱いたまま、僕にじろりと視線を向けた。

その両手はまだ美和の背中と腰を抱いて居る。

「別に・・・」

僕はぷいと顔を背け、美和と志歩理が抱き合う姿を見ないようにした。

縺曖 279

Posted by 碧井 漪 on  

時計を見ると、19時を過ぎて居た。

もうこんな時間!

リュックの中から取り出した携帯電話を見ると、母からの着信が五件程あった。

どうしよう。心配している。

そうそうない 248 2016年4月2日のこと(7)

Posted by 碧井 漪 on  


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「これなんか、楽しそうでいいよ。」と父は僕にスマートフォンの画面を見せた。

そこに現れた画像は、僕の日常の姿を映した物。

「いつ、こんな・・・!」何故これを父が。恥ずかしい。

「時々美和ちゃんが送ってくれるんだ。」そう言って父は笑った。

「美和、勝手に・・・」と呟くと、

「お前、知ってるのかと思った。そうか、内緒だったか。だからって美和ちゃんの事、責めたりするなよ?我々が喜ぶ事をしてくれて居るだけなんだから。」
と父が僕の肩をポンと叩いた。

「だからって・・・」気の抜けた顔の数々。どれも情けない写真ばかりだ。

縺曖 278

Posted by 碧井 漪 on  


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「俺の事、嫌いなら嫌いってちゃんと言って。そしたら、すぐには無理だけど、晴香の事、忘れるようにするから。」

「・・・・・・」晴香は片瀬に背を向けた。

「嫌なら振り解いて。」

そう言って片瀬は、後ろから晴香を強く抱き締めた。

「やっ・・・・・・」

俯く晴香の耳元で片瀬は囁いた。


そうそうない 247 2016年4月2日のこと(6)

Posted by 碧井 漪 on  

志歩理の誕生月は電話で訊けば教えてくれるだろうが、美和のは───あれからキャビネットの中を調べても履歴書は無く、結局分からずじまいだった。

いや・・・美和の履歴書を見つけられて居たとしても、それを勝手に見て購入したジュエリーなど、美和は貰っても嬉しくはないだろう。

やはりやめよう。志歩理にも美和にも、僕がジュエリーを贈る理由が見つからない。

「あの────」「こちらならいかがでしょう?大切な人へ贈るお守りとして。」



縺曖 277

Posted by 碧井 漪 on  

どくんどくんと、僕の心臓はどんどん動きを速めた。

手にした本のしおり紐を引っ張ると、後ろから1/3の所のページが開いた。

物語は佳境を迎え、もうあと少しで終わる。

僕も読んだ恋物語は、三角関係の男女の心模様を描いたもので、

恋愛とは激しく、切なく、人を動かす力を持っているものだと思い知らされた。


縺曖 276

Posted by 碧井 漪 on  

「冷たっ!」と皇くんは肩を竦めた。

「あ、ごめん・・・」

「なんで謝るの?ありがと。」皇くんが笑った。

「僕、帰るね。」

「え?もう?」

皇くんのその一言で、僕の心は舞い上がった。

そうそうない 246 2016年4月2日のこと(5)

Posted by 碧井 漪 on  

スマートフォンを手に取って確かめると、電話は志歩理からだった。

丁度かけようと思って居た時だった。長い付き合いだと、思考が似て来るのかな。

「はい、木村です。」と電話に出ると

『おはよう。早速だけど、美和ちゃんに代わって?』

「代わってって、今ここには居ないよ。」

『えっ?だって、美和ちゃん、元啓の実家に泊まるって聞いたけど?』

「誰から聞いたの?」

縺曖 275

Posted by 碧井 漪 on  

「伸長くんの困った顔、何だか可愛いよね。」

突然そんな事を言われた僕は、益々困ってしまった。

ふふふ、と笑う皇くんが、ゴホンゴホンと咳込んだ。

「み、ず・・・薬も、取って・・・・・・」

ベッドの上に体を起こした皇くんが指差したのは、机の上の500m入りの水のペットボトル。傍らに白い錠剤のシート。

縺曖 274

Posted by 碧井 漪 on  

「"二度と会わない"って、何で?彼女の気持ち分かってて言ってるの?」

「分かってるつもり、だけど・・・」

「彼女はいい子だよ。それも分からない?」

「それは分かってるよ。いい子だと思う。」

「だったら、二度と会わないって言うの、おかしいよね?彼女の事、嫌いなの?」

「ううん、違うよ。僕を嫌って居るのはイサダさんの方。」

「えっ?勇田さんが伸長くんを嫌ってるって?」

縺曖 273

Posted by 碧井 漪 on  

「理由も分からないのに謝ったって、謝った事にならないと思わない?そんなの気持ちが籠もってないよ。」

皇くんに言われて、僕はまた"ごめんなさい"を口にしてしまって居たと気付いた。

「ごめ────」また言い掛けてハッとし、慌てて口を噤んだ。もう、どんな言葉を口にすればいいのかも分からなくなってしまった。

「伸長くんは何がしたかったの?それを教えて。謝りに来た訳じゃないでしょう?だって謝る理由がない。」




縺曖 272

Posted by 碧井 漪 on  

もう一度"ごめんなさい"と謝りたい気持ちはあった。

けれど、元気が無く、どこか一点をぼんやり凝視したままの皇くんに向かって、それは出来なかった。

謝ったからと言って、相手の気持ちが治まらない時もある。

簡単ではない。

特に、好きな相手が、友人の態度のせいで気分を悪くして、自分の部屋から帰ってしまった時の気分の治し方なんて、どうすればいいのか分からない。



そうそうない 245 2016年4月2日のこと(4)

Posted by 碧井 漪 on  

「行きましょうか。」

母は美和を玄関へ促した。

僕もそれに付いて行く。

「美和ちゃん、先にどうぞ。」と言う母に、

「いえ、お母さんからどうぞ。」と美和が答えた。

"お母さん"とはつまり僕の母だからそう呼んで居るのだろうけれど、

"お義母さん"つまり姑と思って呼んで居てくれるのであれば、昨夜のプロポーズも嘘ではなくなる。

そうそうない 244 2016年4月2日のこと(3)

Posted by 碧井 漪 on  


恋愛小説(純愛)


朝食後、僕は一人、戻った自分の部屋でこっそり大きな溜め息を吐き、肩を落として居た。

それは、今日、美和と二人で出掛けるという役目を、母に奪われて居たからだ。

明日帰ると言う美和との今日の約束を先に取り付けて居たのは僕ではなく母の方だった。

『───という訳で、今日のお昼は美和ちゃんとどこかで食べて、午後は一緒にお茶飲んで帰って来るから。いいわよね?元啓』

駄目と言えば、僕に譲ってくれるかもしれないが、美和は気にするだろう。

正月に両親揃って訪ねて来た時に、すでに美和と遊びに行く約束をして居たのは、僕も憶えて居る。

だから今日、僕の入り込む余地は無かった。

縺曖 271

Posted by 碧井 漪 on  

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覚悟して入った皇くんの部屋のどこにも、イサダさんの姿は無かった。

お手洗いかな?と思ったけれど、さっきあったイサダさんの鞄が無くなっている事に気付き、

「イサダさん、帰ったの?」とぽつり訊くと、

「帰った。」ムスッとした皇くんの声が耳に届いた。

「ごめんね・・・」


縺曖 270

Posted by 碧井 漪 on  


BL小説

「隠さなくていいよ。」と先生が言った時、

コンコン、と部屋の扉がノックされた。

僕はハッとしてそちらに意識を向けると、パシャッ、またシャッター音がした。

しかし、すぐにそんな事は気にならなくなってしまう。

「朝臣、何してんの?」

部屋の入口に立って居たのが皇くんだったから。



縺曖 269

Posted by 碧井 漪 on  


BL小説

カシャッ。

小さな音に気が付いて、ハッとすると、先生が僕に向かってスマートフォンを構えて居るのが分かった。

「えっ?」と戸惑った瞬間にカシャッ。

先生がシャッターを切った。

「ごめんごめん、先輩がいい顔してたから撮っちゃった。いいよね?」

「いい顔って、そんな・・・」

正直、僕の顔は"華が無い"と言われる、冴えない顔つき。

そうそうない 243 2016年4月2日のこと(2)

Posted by 碧井 漪 on  

「元、あの、もういいから、そろそろ寝よう?」

その言葉、そういう意味ではない事は分かって居るけれど、履き違えられるものなら履き違えてしまってもいいなんて思う。

もぞもぞ、僕の腕の中で暴れる美和に、

「美和のせいで眠れない。責任取って僕が眠るまで傍に居てよ。」なんて、情けない言葉で甘えると、美和はぴたりとおとなしくなって僕を見上げた。

「うん、いいよ。」と、それはもうすっかり先生の顔で僕に笑い掛けた。

あれ?僕は言い方を間違えたかな。わーさんの時のようには行かないなと思った。

だけど────「早く寝よう。」と、美和は僕を布団へ促した。

縺曖 268

Posted by 碧井 漪 on  

僕の、この気持ちの正体は何なのだろう。

"友情"?

それとも"恋愛"?

皇くんにとって望ましいのは"友情"だろうと思う。

それは、皇くんの"好きな人"がイサダさんだからだ。

もう一つ、大きな理由がある。

それは、

縺曖 267

Posted by 碧井 漪 on  


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「切ない顔してる。好きなんだね、そんなにも。」

きっと情けない顔をしていると気付かされると、途端に恥ずかしく、顔全体がカッと熱くなった。

「好きですけど、でも、それは迷惑な気持ちなんだと思います。」

「迷惑?そう言われたの?」

「言われてはいませんけど、だけど・・・僕の気持ちを知られて嫌われたくはないので、これからは少し距離を置こうと思います。」

"距離を置こうと思います"なんて、最近まで僕の使う言葉の中には無かった。


縺曖 266

Posted by 碧井 漪 on  

「だけど、迷惑だった?」と先生は僕が思ってもいない言葉を口にした。

「迷惑だなんて、それは僕の方で───」

賢さんとぶつかってコーヒーで廊下を汚してしまい、お風呂や着替えまで借りる事になって・・・

「すみませんでした。」

「ううん、こちらこそ。それに引き留めてごめんね?本当は早く帰りたかったんじゃない?あとで賢さんに車で送って貰うから少し時間貰っていいかな?」

「いえ、僕は暇を持て余していますから大丈夫です。それに送って頂かなくても一人で帰れます。先生とお話させて頂けるなんて光栄です!」

「そう言って貰えて嬉しいよ。良かったらここに座って。」

先生に示されたのはベッドだった。

縺曖 265

Posted by 碧井 漪 on  

「朝───」僕が口を開いてすぐ、

朝臣先生は口の前に人差し指を立てた。

"静かに"と言う事なのだろう。

「えっ、と・・・」掠れる程低い声で戸惑いを吐き出した僕の前に、朝臣先生は居た。

縺曖 264

Posted by 碧井 漪 on  

僕がお風呂から出ると、皇くんの服が置いてあり、汚れてしまった制服は見当たらなかったので、皇くんの服を借りた。

以前にもこんな事があった。雨で濡れて、それで・・・

考えながら、借りたタオルを脱衣所に干して廊下に出ると、とても静かだった。

リビングまで歩いても、誰も居ない。

縺曖 263

Posted by 碧井 漪 on  

「先輩!大丈夫ですか?」

皇くんの肩越しに、イサダさんの心配そうな顔が見えた。

とても恥ずかしくて、居た堪れない。

「大丈夫だから、離して。」声を絞り出して、ぎゅっと目を瞑った。

「駄目だよ、ゴホッ、制服、シミになる。」皇くんが咳込んだ。

「僕は平気だから、皇くんは寝てて。」

そうそうない 242 2016年4月2日のこと(1)

Posted by 碧井 漪 on  

こんな時、どうしたらいいのかな。役に立つと思って居た過去の経験とやらは、どの引き出しにも入ってなくて、初めてのほろ苦い胸の疼きの前に、僕はただ美和を抱き締めるだけで何も出来なかった。

告げたい言葉は見つからないまま、やわらかくあたたかな体を抱き寄せたまま目を閉じた。

美和の匂いがする。他の誰とも違う匂い。

このまま、何も考えず眠ってしまえれば楽なのにな。

ずっとこうして、ただこのまま─────コンコン、コンコン。

そうそうない 241 2016年4月1日のこと(5)

Posted by 碧井 漪 on  

「寒いからお布団の上で話そう?」

「あ、ああ・・・うん。」

別にいやらしい想像をした訳ではない、と平静を装った僕は、美和の座る布団の上に胡坐を掻いた。

「はい、これ掛けて。寒いから。」

バサッと美和が僕の背中に掛布団を掛けた。

「いいよ、僕は。美和が掛けたらいいでしょ。」

「駄目。元が風邪引いたら困────くしゅん!」

縺曖 262

Posted by 碧井 漪 on  


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【嫉妬】

小説を読んで知った言葉が今、僕の心の中にある。

"嫉妬"だ、これは。

イサダさんに対して、僕は嫉妬している。

自覚した途端、恥ずかしく、逃げ出したくなった。地の果てまでも逃げて、もう二度と、皇くんにそんな目で見られたくないと思った。


そうそうない 240 2016年4月1日のこと(4)

Posted by 碧井 漪 on  

首元で結んだ白いエプロンの紐を揺らして振り返ったのは、やはり美和だった。

ダイニングチェアから立ち上がった僕は「何でここに・・・?」と訊きながら、キッチンに立つ美和に近寄った。

「元のお母さんから誘われて来ちゃった。驚かせようと思ってて、黙ってたの。ごめんなさい。」

「あ・・・」と僕は、開いてしまう口を右手で覆った。

「カレー、出来たよ。テーブルに運ぶね。元、座って。コーヒーとお茶、どっちがいい?」

「コーヒー・・・」

「了解。」

美和はカレーをテーブルに運んだ。

その後に付いて椅子に腰を下ろした僕に、不自然な程ニコニコ笑い掛けながら美和が口を開いた。

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