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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

乙女ですって 233 (R-18) 波乱の初夜

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綱島家で行われた結婚式と披露宴は、午後八時にお開きとなった。


菜津子の体調を考えて、本来はもっと早く終える予定だった。しかし菜津子が「大丈夫です。」と言うので、皆、それに甘えてしまった。


ドレスを脱いだ菜津子はシャワーを浴び、寝巻きに着替えた。台所に立ち寄り、病院で処方された薬を飲んでから、自室に戻ると───


そこには、二組の布団が敷いてあり、誰より愛しい人が正座して菜津子を待って居た。


「菜津子、体は大丈夫?」


立ち上がった隆人は、菜津子の背中に腕を回し、敷かれた布団の上にゆっくり座らせた。


「ありがとうございます。大丈夫です。」菜津子は、そうは言ったものの、本当はお腹の張りを普段より強く感じていた。


そうそうない 66 2015年12月20日のこと(9)

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僕の頬に貼られた缶コーヒーは冷たかった・・・とすると、美和の右手の缶コーヒーは温かいのだろう。


冷たいのを差し出されているから、ここはそのまま冷たい缶コーヒーを選んだ方が良いだろうけど・・・海風の中でこれを飲んだら、もっと体が冷えそう。


しかしそれは美和も同じ。


やはり僕はこっちの冷たいのを──


「はい、元はこっちね。あったかい方。」


迷って、返事の出来なかった僕に美和は、右手に握っていた缶コーヒーを握らせた。


温かい。


私はこっち、と美和は冷たい缶コーヒーの蓋を開け、先にゴクゴクゴクと飲み始めてしまった。


近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 11 秘密の始まり(74~79話)

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左手の薬指に嵌めた指輪を隠すのは、仕事中だから。


輝美は頭の中でそんな言い訳をぐるぐる廻らせながら、年度末に差し当たって提出する書類の整頓をしていた。


隠す──それは決まって悪いことのような気がしてしまう。


隠匿、隠蔽、隠謀、隠滅…


時代劇の悪代官と商人の企むシーンを浮かべてしまうのって、想像力貧困ね。


そうではなくて──


「塩谷さん、お昼どうしますか?何か買って来ましょうか?それとも食堂に行きますか?」上着を脱いでワイシャツ姿の加集さんが、捲った両袖を元に戻しながら訊いて来た。私の怪我した足を気にしてくれている。


午前中だって、私はずっとここで座り仕事をさせて貰って、物を運んだり内線に出たり、いつも以上に忙しく動き回っていたのは加集さんの方。


食堂に行くかどうか──流星が働いていると知ってから、以前より行き難くなったという事は、流星に言えない。


そうそうない 65 2015年12月20日のこと(8)

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「最初にどこ行く?」


「どこでもいいよ。」素っ気なく言ってしまうと、少し怒ったように美和は、

「元に訊いてない。わーさんに訊いてるの。」と手を当てた耳を、わざとらしく僕の持つ手提げに近付けた。


だから、わーさんじゃなくて写真だって。答えてくれる訳がない。


「え?何々?まずは乗り物に乗ればって?それから水族館でイルカショー?了解しました!」


馮離 A面 25

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馮離A25
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オリジナルBL小説・・・ストーリー系


どうするんだろう、と考えていると、

賢さんは、俺の乗っている車椅子を押して、大きな和傘の下の、赤い長椅子の前に移動すると、ブレーキを掛けた。


そして、「せえの!」と声を出し、俺の体を抱え上げると、ヨタヨタ歩き、長椅子の上に俺を下ろした。


「ここで待ってて。」


そう言って、走り出した賢さんは階段を急いで上がり、店内に入って行った。


お店の入口付近、レジを挟んで立つお店の女性から何か貰って、賢さんは走って戻って来た。


「はい、メニュー。」


差し出されたのは、ラミネート加工された二つ折りのメニュー表。


そうそうない 64 2015年12月20日のこと(7)

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「そろそろ行く?」


そう美和に言われて、僕がポケットから取り出したスマホを確認すると、開園5分前だった。


もうそんなに経ったんだ。


「そうだね、丁度時間だから行こうか。」

と答えると、美和は自分に巻いているマフラーを外して、僕の首に巻き付けた。


そして、

「冷えちゃったから、走ろう!よーいドン!」

美和はいきなり走り出した。


暁と星 67 深紅の薔薇

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星良は、目醒めて半年後には、食事も自立歩行も出来るようになっていた。


今は、酷い頭痛や発熱も起こらなくなった。


しかし、まだ安心は出来ない状態で、並川の傍から離れる事は出来なかった。


目醒めて九か月後、迎えた12月24日クリスマスイブ。


星良は初音と一緒にクリスマスのご馳走を作っていた。


「お、すごいなー、美味そう。一個もーらい!」


「あっ、センセ、つまみ食いは駄目!」


「いいじゃん。暁良、今日も遅いんだろ?」


星良は、手作りケーキをデコレーションしている手を止め、

「年末だから忙しいみたい。」と真っ暗な窓の外に目を向けて言った。


縺曖 238

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司書室に居た副岡先生に「先生、一年の藤野くんはまだ来ていませんか?」と訊ねたら、


「藤野くん?さっきまで居たけれど、図書室内に居ない?」と言われたので、僕は図書室内をぐるりと一周確かめた。でも皇くんは居なかった。


トイレに行ったのかもしれないと、入口脇にある荷物置き場のロッカー内も確かめたけれど、皇くんのリュックは見当たらなかった。


「居ないみたいです。」


「じゃあ、帰っちゃったのかしら?さっき藤野くんにも訊かれたわ。あなた達、行き違い?」


「訊かれたって、僕の事をですか?」


乙女ですって 232 (R-18) しあわせな日

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パタン。


奥の襖が閉まると、隆人はゆっくり息を吐き出した。


「隆人さん。」椅子から立ち上がった菜津子が、隆人の隣に膝を折った。


「菜津子、大丈夫。俺、頑張るから。」


菜津子は隆人の手を握った。菜津子より冷たい隆人の手を、菜津子はやさしく両手で包んだ。


隆人さん、愛しています。私もあなたの傍にずっと───


その時、玄関の方から音がした。


閉められた襖の向こうから、廊下を歩くいくつかの足音が響いて来る。


おそらく菜津子の結婚相手とされる男とその両親のものだろうと菜津子は察した。


菜津子に握られた隆人の手にも力が籠(こも)る。


そうそうない 63 2015年12月20日のこと(6)

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波打ち際に向かって一歩一歩と踏み出す美和に、ついて行くしかない僕は、マフラーに唇を埋めて考えながら歩いた。


美和は女───だから、愛についての捉え方が僕と違うのは、止むを得ない。


美和も愛されたいって思ってたんなら、こんな田舎に逃げて来ないで、もっと人の多い場所で自分の考える愛とやらに見合う人を見つけて恋愛すれば良いんだ。


「そろそろうちに居るのが飽きたなら、出てってもいいよ?」僕はじっと海を見つめる美和の横顔にぶつけた。


僕と暮らして居たら、恋愛出来ないだろう?お墓の事は、業者に委託すればいいだけの事だし、美和を家に置いておく理由は特にない。


大来名駅近くには単身者用のアパートがあって、幼稚園まで徒歩で通える。不便な場所にあるあの家に居座る必要なんかないのに。

近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 10 愛の始まり(64~73話)

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「あんな所、一人でウロついて、そんなにオトコが欲しかったのかよ。こんなに濡らしてさ…下着通り越して、ストッキングまでビチョビチョじゃん」


流星の右手の指先は、ストッキングを掻い潜り、輝美のショーツの中の濡襞の入口に到達していた。


「や、ぁ…やめ…て…」


くちゅ、流星の中指の先が、輝美の膣の入口をなぞると、ふるり、輝美の内腿が震えた。敏感になった秘処に連動して、輝美の乳首はジクジク疼き出した。


「さ…」


触って欲しい、流星に向かってそう言えない輝美は下唇を噛むと、息を止め、漏らしそうな喘ぎ声を堪えた。苦しそうな輝美の表情を見た流星は、輝美の秘処に当てていた指先をショーツの中から抜き取った。


「輝美、そんなに俺が嫌い?誰でもいい以下の存在?俺、よっぽど輝美に嫌われたんだ…わかったよ、俺、ここ出てくよ」


「え…?」


俯いていた輝美は、ハッと顔を上げた。


そうそうない 62 2015年12月20日のこと(5)

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歯が、ガチガチ言い始めた僕は、車から取り出したフリースショールと、わーさんのマフラーを取り出した。



僕はマフラーを首にグルグル巻いた。長いんだ、わーさんのマフラーは。


少し動きにくくなったけれど、風が遮られて、あったかい。


そうして僕がマフラーを首から肩に掛けて巻き終わった時、美和が戻って来た。


「マフラー?私も持って来れば良かったかなあ?」と言うので、元々美和に渡すつもりだったフリースショールで美和の背中を包んだ。

馮離 A面 24

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馮離A24
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決意した翌朝の天気は、雨だった。


薄曇りの天気雨。


打たれる程の雨量では無かったが、その雨に触れてみたいと思った俺は、パジャマのままベランダへ出ようと考えた。


鍵を開け、窓を開けた。


しかし・・・ベランダには出られなかった。


段差があり、車椅子では無理だった。無理に出ようとすれば、車椅子は倒れ、転んだ拍子に頭でも打ち兼ねない。


仮にそうなって死んでも構わなかった。だけど今の状況でそれをすれば、賢さんに迷惑を掛ける。


勝手するのは一人になってからだ。今ではない。


そうそうない 61 2015年12月20日のこと(4)

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「な、なんで・・・!」


「だって、一緒に来たかったんだもん。」


絶句した僕の目に入ったのは、わーさんの遺影。


「だからって、仏壇から持って来ないでしょ。」


「ごめんなさい、勝手に持ち出して。」


「もういいよ。今更。」


僕だって今朝、確かに思ったよ?


わーさんと一緒に水族館に来たいって。


だけどさ・・・これ、持って来ちゃう?


そう考えていたら急に、ふっ、と笑いが込み上げ、止まらなくなった。


暁と星 66 (R-18) あなたの愛に輝く瞬間

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部屋に二人だけになると、暁良は星良の着物を脱がせ、体を清めた。


痛みに苦しんでいるとはいえ、今夜の星良の意識ははっきりしていた。


体を拭く間、恥ずかしそうに時折声を上げていた星良。


星良は抵抗こそ出来ないものの、体に触られる事がとても嫌そうで、暁良はこの後の事を考えると、本当にそれで星良の体に快楽物質が補えるのかと不安になった。


星良の為にはよく見えない方がいいだろうと暁良は思ったがしかし、治療室の灯かりを落とす事は出来ないので、いつも通り部屋が明るい状態のまま、暁良は服を脱いだ。


そして、痛みからだけではなく目を瞑っている裸の星良の上に跨り、キスをした。


軽く浅くから、激しく深く、暁良がキスをした後、ようやく星良の目が開いた。


さっきと同様、機械の警報音が鳴り響いた。そうしてしばらく鳴り続けた後、音は消えた。


縺曖 237

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火曜日、放課後。


いつも授業が終わるとすぐに図書室に向かうのに、今日は何だかあまり早く行きたくなくて。


意味も無く、教室内の最後の一人になってみたりした。


朝早く来た時よりは、人の熱気を感じるけれど、静けさは変わらない。


どうしようかな。図書室に向かおうか。


そうするしかない。行かないで帰るという事は、僕には出来ないのに。


乙女ですって 231 (R-18) 綱島家

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スーツに着替え、荷物を纏めた隆人は、ホテルを出ると、菜津子の家へと急いだ。


6月6日土曜日。時刻は午前九時三十分を回った所。


天気は曇り。生温(なまぬる)く湿った風が、隆人の不安を煽るように頬を撫でる。


灰色の雲に覆われた空からは、今にも雨が降り出しそうだった。


誰からも見捨てられて、どん底状態だった隆人を救ってくれた槇尾と、あんな風に別れた事を、隆人は少し反省していた。


あの人が菜津子の実家を侮辱した事が許せなかった、けれど、俺も彼の事を言えたものではない。


今までお世話になった恩も返さず、こんな風に飛び出して来てしまった事。


そうそうない 60 2015年12月20日のこと(3)

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どんなに好きでも家族と認められない者達からすれば、嫌いなのに別れずに一緒に居るという人は馬鹿だと言いたい。


死んだ後の事は選べない。生きている内の事は選べる。


死んで一緒に居たくない人と生きている内に一緒に居る、考えただけで勿体ない。


どうせなら、生きている内に好きな人と一緒に居た方がいい。


死んだらどこへ行こうと関係ない。


近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 9 嘘の始まり(58~63話)

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独りの土曜日。


輝美は朝から何をする気にもなれないまま、ただひたすら流星が帰って来るのを待っていた。


あなたが居たら、それしか考えられなくなって、リビングのソファーから動くことが出来なかった。そうして何も出来ないまま夜になった。


疲れ果てた頭を何とかしようと、輝美は禁じていた湯船に熱いお湯を張り、肩まで浸かった。


昔から熱いお湯に浸かるのが好きだった訳じゃない。ぬるいお湯の方が、肌への刺激が少なくていい。いつからかしら…熱いお湯に入るようになったのは。


勤め始めて、寒い夜。その頃はまだマンションを買ってなくて、アパートのお風呂にはテレビがなかった。観たい映画の放送時間までに何とか体を温めたくて、いつもより熱いお湯に浸かって、今までにない刺激的な感覚を得て以来、急いでない時でも、その刺激を求めて熱いお湯に浸かるようになってしまった。


段々、のぼせるまで入るようになってから、カラダの奥がムズムズするようになった。彼と別れたから寂しいのかも…付き合っている時、年上の彼とのセックスの回数は月に平均二回位。けれど、別れてからは0だった。


お風呂でのぼせて、その後、自慰に耽る時間は、輝美にとって愉しみな時間となって行った。


そうそうない 59 2015年12月20日のこと(2)

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『可愛い・・・かぁ』


『うん』


『元も志歩理社長みたいな人なら、結婚してもいいって思った?』


『うーん・・・思わなかったよ。わーさん居たし。それに、志歩理は、そういう関係になってもならなくても特別である事に変わりないから。実の家族より家族みたいな感じかな』


『ほー・・・いいね、そういうの。私の事もそう思ってくれる人が欲しい』


『美和はこれから見つかるよ。若いんだから』


『おじさーん発言』


『悪かったな、おじさんで』


『うそうそ、思ってない。元、わかーい!』


『わざとらしいぞ。ほら、明日、早起きするなら早く寝ろよ』


馮離 A面 23 (R-18)

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馮離A23
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ちゃぷん、ぽちゃん。


天井から落ちて来る水滴が、湯面に波紋を作った。


そして「冷たっ!」朝臣の額にも落ちて来た。


ぽちゃんぽちゃんが、ボチャボチャに変わった頃、

「賢さん、そろそろ出ようよ。」と朝臣は、朝臣の体を後ろから抱いた状態で入浴している賢一に声を掛けた。


賢一は、首を前に傾(かし)げながら、その目を閉じていた。


そうそうない 58 2015年12月20日のこと(1)

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12月20日、日曜日の朝は、この冬一番寒いのではないかと思える程だった。


目覚まし時計のアラーム音が鳴り響いた。


ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ・・・毎朝聞き慣れている音だが、長時間聞くのは苦痛な音。


ぼんやり目を開くと、まだ暗い。


夜と間違えそうな、朝4時半。


こんな時間にアラームを掛けて、起きるならまだしも・・・


「うー・・・ん。」


もぞもぞ、美和は布団の中から手を伸ばして、いよいよアラーム音を止めるのかと思いきや・・・違った。


美和は寝返りを打って、頭からすっぽり布団を被った。


オイオイオイー!


腹が立った僕は、一度起き、少し離れた位置で眠る美和に向かって手を伸ばし、掛布団ごと美和の体を揺すった。


暁と星 65 快楽欲求

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星良の熱が下がり、暁良と気持ちを通わせ、しあわせな時が流れたのも束の間、星良は、原因の分からない頭痛に苦しめられていた。


「う、ううっ・・・!」


今朝方、熱が下がり、微笑みも取り戻した星良の姿に安堵して、暁良は仕事の為、屋敷に向かった。


しかし、夕方から星良の容体が急変したとの知らせに、暁良が急いで戻って来ると、星良は頭に測定器を付けた状態で、痛みに苦しんでいた。


日は暮れ、外は闇に包まれている。あの日と同じ、長い夜の始まりになるのでは、と暁良は怯えていた。


「並川さん、何とか痛みを和らげる事は出来ないのですか?」


乙女ですって 230 (R-18) 本心

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ぐすっ、ぐすっ・・・


すすり泣いているのは菜津子ではない。


では、誰が?と隆人は、気配を感じる廊下を覗いて見ると、

「あ・・・!」

開いた両膝を、廊下の床につけた姿勢の加集が隆人を見上げながら、気まずそうに声を上げた。


その隣に座り込み、すすり泣いていたのは木南だった。


「良かった、良かったです・・・ぐすっ。」


涙を止められない様子の木南は、隆人が戸口に立って居る事に、まだ気付かない。


そうそうない 57 2015年12月18日のこと

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12月18日金曜日。午後九時半過ぎ。


美和に僕の終活プランを話してから一月半経っていた。


この間(かん)、僕は手紙を認(したた)めた。


今も電話の一つも出来ないでいる、両親と妹への手紙。


そしてそれは、仏壇の終活ファイルの中に収まっている。


勝手ながら、僕の死後、遺体の火葬と埋葬をお願いする手紙だ。


近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 8 別離の始まり(46~57話)

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「輝美がお父さんに似てるのは、見た目じゃなくて中身。頭のいい所とか、弁が立つ所とか、おじいちゃんと話してると、時々輝美と話してるんじゃないかと錯覚する位だよ。俺の事、大好きだって、傍に居ていいって、あれ…甥としてじゃなくて、男としてだって言ってくれない?」

「……」

「もういい加減、俺と結婚してもいいって言ってよ。輝美のパンツ洗っても平気な男って、俺だけだよね?それで十分じゃん?輝美の結婚してもいい男の条件」

「パンツって、それは…」

「例えばだけど、俺が今、事故に遭って半身不随になったとする」

「縁起でもない事言わないで!」

「寝たきりで、介護が必要になったら、輝美はどうする?」

「どうするも何も私には──」

そうそうない 56 2015年11月3日のこと(2)

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この時点で思う。まだ僕の気持ちが固まっていないじゃないか。それなのに美和に話すなんて僕は順番を間違えたんだ、と恥ずかしくなった。


「私に協力出来る事はするけれど、あんまり役に立たなそうだから期待しないで。」


「え・・・?」


美和の一言で、僕の前に道が拓けた気がした。


否定されたら折れていたかもしれない気持ちが、少し軽くなっていた。


「そう言ってくれて、ありがとう・・・」


嬉しくなった僕は美和を見れず、手にしている、栗の落ちそうなどら焼きを見つめていた。


馮離 A面 22

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何を隠したんだろう?賢さん。


出版社の封筒かな。裏だったから社名は見えなかったけれど。


こんな時間まで出掛けていたのって、まさか・・・


賢一が会っていた相手が、出版社の人間ではないかと考えてしまった朝臣は、もしそうなら、俺はこれから賢さんの期待を粉々に打ち砕く言葉を言う事になるんだ。


【もう小説は書かない】


たったそれだけ言えば、終わる関係。


俺に小説を書かせる為にここに住み、会社まで辞めてしまった賢さん。


縛りたくないだなんて、言い訳にもならない。


そうそうない 55 2015年11月3日のこと(1)

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僕は拍子抜けした。美和は『死後の事を話すなんてまだまだ先だよ!』って言い出して、僕の話を聞いてくれないかと思っていたから。


「あるんだよ。」


「それで?契約したの?」


「それがまだ。ちゃんとした所を選ばないと、履行されない場合もあるらしくて・・・」


「それって詐欺だね。」


「それと、頼む所によって、費用もバラバラだから。」


「最低いくら位から?」


「僕が調べたのだと、最低五十万位かな。家の処分なんかも含めてだから。」

暁と星 64 健やかなる時も病める時も

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「オウジは星良ちゃんの事をとても愛していたのに、星良ちゃんが酷い事を言うから、傷付いたんだよ。男は女より心が繊細で脆いんだよ。可哀相にオウジ・・・」


「そ、んな・・・」


「まあ、いいんじゃない?旺ちゃん若くてカッコいいし、星良ちゃんと離婚したって、素敵な女性と出逢えるわよ。でも勿体ないわよねー、星良ちゃん。あんなに愛してくれる人と離婚しちゃうなんて。」


「・・・・・・」


「星良ちゃん、言っておくけど、オウジが居なかったら、星良ちゃんはとっくに死んでたからね?せめて一言、お礼くらい言ってあげたら?」


「あら、お礼なんていいのよ。それより星良ちゃんの気持ちでしょ?旺ちゃんの事をどう思って居るのか。他の女に持って行かれちゃっていいの?あんなにいい男なのに。」


「そうは言ったって、星良ちゃんはオウジと離婚したいんだから、無理だろ。」


「違うわよ。星良ちゃんは、旺ちゃんの事を好きだから、負担になりたくなくて、ほんとは好きだけど別れようとしたのよ。」


縺曖 235

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行を変えて伸長は

【嬉し】と書いた所でハッとして、ペンケースの中から、慌てて消しゴムを取り出した。


“嬉しかった”なんて書いたら変に思われるかもしれない。


日記を書く事に対して、嬉しいという感想はおかしいとも思えた僕は、”嬉しい”に代わる言葉を考えた。


ええと、ええと・・・”楽しい”?


乙女ですって 229 (R-18) 絶対にしあわせになれる

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隆人さんと、結婚は出来ないのです。


隆人は顔を上げ、眉尻の下がった顔のまま、静かに菜津子を見つめた。


どうか、そんなに悲しそうなお顔をなさらないで下さい。


私だって、叶う事ならあなたと結婚したいのです。


ですが・・・「明日、私は結婚するのです。」


「結婚?明日・・・誰と?」隆人は目を見開き、握る手に力を籠めた。


「両親の選んだ人です。」


「どんな人?」


そうそうない 54 2015年10月13日のこと(4)

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「電気消すよ?」


「はーい、OKです。おやすみなさーい。」


「おやすみ。」


パチッ。電気を消した僕は、仏壇をちらと見た。


わーさんの写真は見えない。でも、心の中で”おやすみなさい”と唱えた。


“おやすみ”と返って来た気がするのは、僕の心が穏やかになったからだろう。


これでいい、これで良かったんだと思う時、わーさんもうん、と頷いてくれている気がするから。


やっぱり僕は、わーさんが僕の事をどこかから見守ってくれていると思っていたい。


近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 7 情欲の始まり(37~45話)

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悪戯に微笑む流星に捉えられたままの輝美の唇の隙間からは、喘ぐ声と吐息が零れ続けた。

「はっ、んくっ…んっ、ん…!」輝美の膝はガクガクと揺れ、脚はすでに力が入らない状態になっていた。

ソファーの背凭れに押し付けられている背中に体重を預けた輝美は、流星に上から塞がれる唇から、全身を巡る甘やかな痺れに囚われたまま動けなくなってしまった。

キスをしながら流星は、輝美の上気させた頬と、目尻から零れる涙を見て、とても嫌がっているようには見えず、輝美を更に喘がせたい衝動に駆られた。

「はっ、はっ、はぁ…!」

ようやく流星のキスから解放された時、輝美は上半身を裸にされていて、頬も上半身も赤く上気しているのが、流星だけではなく輝美にもはっきり判る程だった。

「あっ、ちょっと流星!シャツ!ブラも返して!」
「俺のパンツ脱がしてくれたら返す」

輝美は絶対しないだろうと、勝ち誇って見える流星の顔が癪に障った輝美は、流星の挑発に乗り「…いいわよ。こっち向いたまま動かないで」自分のカラダと入れ替えた流星の背をソファーの背凭れに押し付けた。

自殺相談所 31 他所とうち

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午前九時過ぎ、遅めの朝食を終えると、渡辺が柊を連れて近所の公園へ行って来ると言った。


掃除、洗濯を手伝いたいと思いつつも、渡辺一人に柊を任せる訳には行かないと、梢は「それじゃあ、私も一緒に・・・」と言うと、


「この人に任せておいていいわよ。それより梢さん、お布団干すの手伝って。」と渡辺の妻に頼まれた。


梢は本当に渡辺一人に柊を任せて大丈夫かと不安だったが、手伝いを断る訳にも行かないと、


「分かりました。」と、柊と渡辺の二人を送り出した。


洗い物を済ませ、布団を干すのに続けて、洗濯物を干していると、昨日着せた柊の服もあった。


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