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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

馮離 A面 21

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馮離26

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目一杯、手を伸ばした。痛い位。


なのに賢さんには届かない。足も動かない。車椅子も見当たらなくて、俺は独りベッドの上に取り残された。


伸ばした手を力尽きたかのようにベッドの上にパタリと落とした。


同情して欲しかったのか?


賢さんの同情を買ってまで、俺の傍に縛って置きたかったのか?


違うだろ。


だけど・・・俺は何とか賢さんの期待に応えたかった。


そうそうない 53 2015年10月13日のこと(3)

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美和がわーさんに甘えるなんて事は、おかしい。無いよ。


だって、美和は生きているわーさんに一度も会った事が無いんだから。


ざあっ・・・全身を廻っている筈の血が、いっぺんに足元に落ちたみたいに感じた。体が冷たい。


そうだ。美和はわーさんに会った事もない。


わーさんには、二度と、会えない。美和も僕も。


その事実を思い出した途端、僕の心は温かさを失った。


ゲームソフトを棚に戻し、ショップから出た僕は、冷たい風を頬に受けながら、真っ暗になった空を仰いだ。


あの星まで行っても、わーさんには会えないんだ。


絶望色した空にこのまま吸い込まれたくなる程の悲しみが僕を包む。


暁と星 63 (R-18) 愛という薬

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はぁ、はぁ、はぁ・・・


熱に浮かされる星良の顔と体は紅く染まり、とても苦しそうだった。


そして荒かった息はだんだんか細くなり、このまま何もせずに居たら、星良は確実に明日の朝を迎える事が出来ないというのは、誰の目にも明らかだった。


並川さんは、これしか手が無いと言う。


他にあるのかもしれないが、それを探る時間もない。


そして、僕に出来る事も、それだけだ。


あのクスリに効くという特定のアルカノイド。

縺曖 234

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帰宅した僕は、お風呂を済ませ、夕飯を食べると自分の部屋に向かった。


提出課題のプリントを終え、いよいよ・・・皇くんの書いた日記を読む時が来た。


どき、どきどき。


黒革の日記帳。ゆっくり開くと、一ページ置いて、次のページに皇くんの字が見えて来た。


【2016年5月28日(日)晴れ】


お天気まで書いてある。丁寧だなぁ、皇くん。

乙女ですって 228 (R-18) プロポーズ

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6月5日、金曜日午後七時を回った。


スーツ姿の隆人は、碧易商事と通りを挟んだ向かいのカフェの店内から、大通り越しに正面玄関脇の社員通用口を注視していた。


かれこれ一時間・・・菜津子はまだ出て来ない。


七時を回ると、出て来る社員は殆ど居ない。


以前に比べ、残業し難くなった。それは残業を失くそうという社会の風潮に影響を受けたもので、管理職だった隆人には、どっちが良いとは言い切れなかった。


加集も出て来ていない。総務に異動になった事は知っている。


菜津子と一緒に残業か?


それならもう少し待とう・・・


隆人がテーブルの上に置かれた、空のコーヒーカップに溜め息を落とした時、

槇尾から電話があった。


そうそうない 52 2015年10月13日のこと(2)

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わーさんの事を考えていない間の僕の中にも、わーさんへの愛は消えずに残っていて、その愛を秘めたまま、わーさんにしてあげられなくなった分を、誰かにしてあげる事が出来る。


僕の大好きなわーさんは、それを絶対喜んでくれる人だ。


人に冷たく接するより、人に温かく接する方が、この世にしあわせが多く生まれるから。


わーさんはそう言っていた。


意地悪からは何も得られない。自分も相手もいい気分ではいられない。


意地悪には親切で返せば、意地悪した相手もいつか気付いて恥ずかしくなる。そうしたら、一つ意地悪は消えると。


僕が昨日放った言葉も意地悪だった。正しいかそうじゃないかはともかく、美和にとっては冷たく聞こえる言葉だったろう。

そうそうない 51 2015年10月13日のこと(1)

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「元、ごめん。起きて。」


ゆさゆさ、掛布団に包まれた僕の体は揺すぶられた。


うっすら目を開くと、美和が僕の顔を覗き込んでいるのが見えた。周りは明るい。朝・・・?


「な・・・に?」


「寝坊しちゃったの。申し訳ないけど、送ってって。」


「・・・はっ?」


こうして僕は、いつも通り、車で美和を幼稚園に送る事となった。


『寝る時もご飯も別々』のような事を言っておいて、ゆうべの夕飯も一緒に食べ、寝るのも結局同じ部屋でだった。


何だったんだ、昨日の話は。


僕の言った事は、全部無かった事にされている?

近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 6 嫉妬の始まり(32~36話)

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「お待たせいたしました」近付いた店員の声と気配に、輝美はハッと前を向いた。白いソーサーの上に、背の低いカップとスプーンが載せられて、輝美の前に置かれた。

コーヒーの香りは、鼻が詰まっているから感じられない。

頼りない湯気が立ち昇るコーヒーを冷まそうと、スプーンでグルグル掻き回した後、輝美はカップの持ち手に人差し指を通した。

カチャ、ソーサーから持ち上げたカップの淵が唇に触れようとした時「いらっしゃいませ」店員の声が入口に向けられた。

「すみません。待ち合わせなんですけど」息を切らした若い男が入って来た…それは流星だと、輝美が店の入口を向く前に声で気が付いた。

「彩智!」
「流星、ここよ!」彼女は流星に向けて手を挙げた。

輝美は口を付ける前のカップを、カシャン、ソーサーの上に置いた。この喫茶店内に居る店員も、お客も、誰もが、二人はお似合いの恋人同士だと思っているだろう。

馮離 A面 20

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馮離20
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一人でシャワーを浴びた後、ベッドルームへ移動して着替えた。


よし、やろう。


ベッドルーム兼執筆部屋にしたのは、今日から。


パチッ。


ノートパソコンのスイッチを入れた。


しかし、さっきと同様、何も浮かんで来ない。


俺は、白い画面をぼんやりと見つめていた。


そして、何を書いたら賢さんは喜ぶだろう・・・そんな事を考えていた。


そうそうない 50 2015年10月12日のこと(7)

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僕の問い掛けに、美和はにやりと笑い、またしても「秘密。」と言った。


僕は生地の断面を見た。


少し硬いクリーム色の何かが入っている。


小皿に取った二枚をすでに胃に収めたらしい美和は、三切れ目、そして四切れ目に手を伸ばした。


パクッ、パクパク。


ホットケーキを頬張る美和の表情は、眉根を寄せ、無理して食べているように見えた。


「失敗したなら、無理して食べなくていいんじゃない?」


「・・・・・・」


「何入れたの?」

暁と星 62 死の淵

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「どうですか?星良の様子は。」


星良に拒絶されて4日目の朝。


初音と交代して、治療室からリビングに来た並川に暁良が迫った。


「自分で確かめたら?」


星良の希望で、星良の世話を並川と初音の二人で行う事になり、今まで以上に疲労の色を濃くした並川の機嫌は、相当悪かった。


それは負担が重くなった初音を思っての事でもあった。


「すみません。僕が星良に嫌われてしまったから・・・」

乙女ですって 227 (R-18) 運命を決める日

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6月4日木曜日。


菜津子は退院し、自宅に戻った。


退職届はまだ手元にあった。


入院、退院、退職、結婚、そして出産、育児。


今まで考えた事も無かった事が、短期間で次々その身に降り掛かり、まだどこか信じられないような気持ちになってしまう菜津子だったが、日々大きくなるお腹の中で動く子の事を考えると、現実をしっかり見据え、前を向こうと努めた。


そして菜津子は、横になった布団の上から、見る度、憂鬱になってしまうカレンダーから目を逸らした。

そうそうない 49 2015年10月12日のこと(6)

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美和は今頃、家の中で出て行く支度をしているのだろうか。


昨日も今日も散々手伝わせておいて、突然『出て行け』だなんて、どんな酷い人間なんだ、僕は。


いや別に、美和に”いい人”と思われたい訳ではない。


そもそも美和がここへ来たのも住み着いたのも、僕が望んだ事ではない。寧ろ迷惑していた事なんだ。


火傷させてしまったから、当分の間置く事にしただけで、今、僕が美和をこの家に住まわせる義理はない。


今夜からまた一人になる。食事の支度も、掃除も、畑仕事も、寝るのだって全部一人、ずっと一人。


朝、美和を幼稚園まで車で送る事もしなくていい。食材を買うのだって一人分でいいから運ぶのが楽だ。朝も晩も、以前のように静かに過ごせる。わーさんも独り占め出来る。


これでいい、これがいい。


僕はもう一秒だって美和に時間を割かない。全部、わーさんだけにするから。

そうそうない 48 2015年10月12日のこと(5)

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「秘密。」


「秘密って何だよ。言えよ。」わーさんは、僕の大事な人だぞ?


「じゃあ、元も教えてくれる?いつもわーさんと何を話しているのか。」


美和に言われて、ハッと気付いた。僕はわーさんに話している事はないと。ただ寂しいという事と、それから会いたいと願う事ばかり。


「話してないよ。だって、答えは返って来ないから。」


問い掛けても返事はない。返事が来たかのように、都合の良い方に考えを持って行く事もしたくない。


「寂しいなぁ。」お墓を見ながらそう吐き出した美和は、すくっと立ち上がった。


「寂しいよ。」


近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 5 恋の始まり(27~31話)

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「なんてね。輝美の傍に居られるなら、男として見られなくてもいい事に今はしておく」

流星がじっと輝美の目を覗き込んだ。

キスされる!

顔を背けた輝美の目の下に、流星はそうっと唇を近付けた。

あ…!ブルッ…

流星から与えられた触れるか触れないかのキスに、輝美のカラダは震えた。そのあと、輝美の耳に口を近付けた流星は囁いた。

「やっぱり、俺は出て行かない事にした。だから、寂しがって泣かないで」

どきん!

流星の囁き声に、輝美の肌が粟立った。

馮離 B面 25

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馮離25

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先の事を考えたくない、そう言っている人間は、この先の逃れられない嫌な事を、一秒でも味わいたくないからなんだろう。


自分のしあわせを追い掛けたいなら、親を捨てる非道な人間にならなければならない。


親に恨まれるのが俺だけならそうしても構わない。


しかし───そうではないから、俺はそうしてはならない。


そうそうない 47 2015年10月12日のこと(4)

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「ねー、元。こっち終わったよ。まだそっち残ってる?」


「ああ。でも後これだけだから、僕がやるよ。ゴミも纏めておく。」


「じゃあ私、お茶煎れるね。」


「うん。」


立ち上がった美和は、軍手を外し、縁台に置いた。

暁と星 61 真相

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人の隠し持った本心に触れる事は、時に危険な事なのだと、並川は改めて思い知った。


満知は、教授から愛されている事を知り、満知も教授を愛してしまった。ただそれは、許されない事だと罪悪感に苛まれた満知は、二人の関係を終わらせようと、自ら薬を飲んだ。


女性には危険だと知らされていても、薬を飲んだという事は、満知は死も覚悟の上だったのだろう。


現に、もう一通、自分が死んだ時の事を考えた、家族宛の手紙もあった。内容は、自殺と取れるように書かれている。


「ばかやろう・・・馬鹿、馬鹿だよ!満知・・・・・・」

縺曖 232

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僕には少年の気持ちも、皇くんの気持ちも、文字で呼んで理解した部分だけ分かるけれど、実際の心の中は複雑で、到底分からないと思った。だけど、分かりたいとも思う。


僕は皇くんの喜びも悲しみも理解して、分かち合いたいと思った。それを口には出せないけれど。


「僕の事、シロって呼んでもいいよ。”白岸”だし。」


真面目に提案してみると、皇くんは、手で口を押さえ、ぷっと吹き出した。


「何か可笑しかった?」


「可笑しいよ。だって、シロって、あははっ!」

乙女ですって 226 (R-18) 女子会

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終業後、社員通用口の前で、

「それじゃあ、由佳・・・」

申し訳なさそうな顔をして、由佳に向かって小さく手を振る渓の横には、

「それじゃあ、また明日。飲み過ぎないようにね。」と微笑む加集の姿があった。


「はーい。気を付けてね。」


通用口を出る二人を見送った由佳は、後は残業組しか残っていない社内で溜め息を吐いた。

そうそうない 46 2015年10月12日のこと(3)

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「ごめんごめん。でも、ありがとう。」


「何が?」


「ゆうべも今朝もありがとう。嬉しかった。私ずっとね、誰にもギュッてされる事なかったから。」


「えっ・・・?」黙るから嫌なのかと思ってた。


でも実は、僕が思っていたのと同じ事を美和も思っていた・・・?


「ギュッとされるのって嬉しいね。元もそうでしょ?」


ぎくりとした。抱き締められる事のありがたみを、今になって知った僕。


そうそうない 45 2015年10月12日のこと(2)

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「ほら、着替えないと風邪引くよ。」


僕はエアコンを点け、トイレで用を足した後、顔を洗った。


洗面所から出ると、入れ替わりで、服に着替えた美和が入って来た。


居間を覗くと、カーテンは開けられ、布団も片付けられていた。


僕も着替えて、台所に行くと、既に美和がコンロに掛けた鍋の前に立って居た。


何だか気まずさが漂っているようで、僕は何も喋れなかった。


冷蔵庫を開けた。


「元。」


突然振り向いた美和の呼び掛けに、ドキリとした僕は、口を開けても声が出せなかった。

近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 4 代償の始まり

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流星が寂しそうに吐いた”出て行く”という言葉が、私の胸に突き刺さる。

「輝美が嫌なら、俺は出て行くしかないよね」

私が”嫌”なのは、あなたじゃなくて、私のはっきりしない気持ちの方よ。

モヤモヤ、ぐずぐず、毎日繰り返して、どれが正しいのか、あなたにとって良い事なのか解らなくて、いくら考えても答えを出せずにいる自分を投げ出したくなっただけ──本当に悪いのは私の方なのに、あなたを遠ざける事しか今は思い付かない。

輝美が「悪いのは自分の方」だと気付いた時、流星は荷物が置いてある部屋に入って行った。

流星が本当に出て行ってしまう───それを考えた時、私の全身から熱が消え、緊張が解けた。

やっぱり、これでいいのかもしれない…流星の実家を奪うようで申し訳ないけれど、でも、いつまでも私の近くに居てはあなたが駄目になるとハッキリした今、私は心を鬼にするべきなのかもしれない。

あなたの私に対する想いは恋でも愛でもないの。母に求めたい愛情を勘違いしただけよ。

早く目を醒まして。いつまでもこんな私にしがみ付くのではなく、あなたはあなたを愛してくれる女性と結婚して、しあわせになるべきだわ。

流星は私を忘れる。離れたら、これまでの二年のように。

今まで私が正しい答えを出せなかったのは、戻って来たあなたを頼ろうとしてしまったからだわ。独りで生きて行くと決めていたのに、いつの間にか私はあなたを───

馮離 B面 24

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馮離24
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そう、今日は俺の誕生日。聖子の命日は昨日だ。


今年は20日の命日ではなく、俺の誕生日21日今日に来て欲しいと言われていた。


それでも、朝臣の体の負担や、仕事の事を考えると、やはり実家に居るよりマンションに戻った方がいい。


「ごめん、母さん。また今度───」「”今度”そう言って、また来ないつもりなんでしょう?」


俺を責め出した母さんにびっくりしたのか、朝臣は「一人で帰れるから」と俺の襟元で囁いた。


「いや・・・」普通の声でそう返した俺に、


「朝臣くん、ソファーの方がいいわね。ごめんなさい。向こうでお茶煎れましょうね。」と母さんが言った。


そうそうない 44 2015年10月12日のこと(1)

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2015年10月12日月曜日。体育の日。カレンダーの文字は赤。祝日だ。


僕が子どもの頃の体育の日は10月10日と決まっていた。


2000年からハッピーマンデーという制度を導入して、固定されていた祝日が一部、月曜日に移動した。


それ以来、体育の日は10月の第二月曜日、日にちで言うなら8~14日の内のどれかが、毎年祝日となる。


今年、2015年は12日が月曜日。美和の勤める幼稚園も休みで、まだ寝ている。


明け方、腰の痛みで目が醒めた僕は、トイレに立った。


暁と星 60 劇薬

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暁と星60
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星良が目を醒ますと、部屋の中はオレンジ色に染まっていた。


パサッ、パサッ・・・


紙を捲る音がして、辺りを見ると、机に向かう並川の背中が見えた。


並川さんか・・・良かった。


星良は暁良が部屋に居ない事にホッとした。


白衣を着た並川は、スーツを着ていた時より頬はこけ、髪もぼさぼさで艶が無かったが、それでも星良にはこちらの方が良く思えた。


初音に言われた、『星良ちゃんの為に』という言葉を信じる事が出来たからだ。


だけどどうしても、その言葉を暁良に当て嵌める事が出来なかった。










縺曖 231

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「何、じっと見て。俺の顔、何か付いてる?」


「あ、ううん。皇くんは借りた本、読んだ?」


「読んだ読んだ。児童向けと思って読んでたけど、読んだ後考えたら、何か深いなって思った。シンプルに書かれた分、隠された想いまで考えちゃうと、グッと来た。」


「少年が養父母と一匹の犬と暮らす話?」


「そう。俺も似たような境遇だったからかな。」


「え・・・?」

乙女ですって 225 (R-18) 似た者同士

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5月25日の夜。


残業後、会社の外に出た木南は、駅に向かって歩きながら、舞に電話した。


「もしもし、舞?体調どう?順調、そうなの。」


商店街のアーケードが見えて来た。


ちらほら閉まっているシャッター目指して、木南は歩く速度を速めた。


舞の声を聞きながら、辿り着いた一軒の店のシャッター前で、木南は立ち止まった。


「んー、用って言うか、その後、安藤さんと話、付いたのかなって気になって。」


この前も安藤さんの事を訊いてしまったから、何故そんなに気にするのかと舞に怪しまれたら・・・と木南の心臓はどきどき鳴り始めた。


「え?そうなの、そっか・・・ううん、ありがとう。順調ならいいの。また今度、遊びに行くね。うん、それじゃあ・・・」


電話を終えた木南は、ふーっ、と息を吐いた。


辺りを見回すと、飲食店以外、開いている店は、小さなスーパーとドラッグストア位。


今日も遅くなっちゃったから、綱島さんの所へは行けない。


行けたとしても、何も話す事がない。と言うか、しばらく行かない方がいいのかもしれない。


綱島さんの顔を見たら、言わなくてもいい余計な事まで言ってしまいそうで怖い。


そうそうない 43 2015年10月11日のこと(6)

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カチャ、カチャン、美和が皿を下げる音、

パタ、パタン、美和が冷蔵庫を開ける音、

トト、トトト、美和がまな板の上の何かを切っている音、

バタン、ピッ、ピピッ、美和が電子レンジで何かを温めている音・・・


僕はプハッと息を吐いて、畳の上にうつ伏せに倒れた。


疲れたせいだ。それで味覚がおかしくなったんだ。


あのカレーはそのまま、昔の通りの味なんだ。そうだ。二度と作れないなんて事は無くて───「元、起きて。」

近男 -Kindan- (R-18) 改稿版 3 罪の始まり(15~19話)

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責任は全部、私が一人で負うから──

ず、ずず、ずぷ…

ああ、この快楽が罪でも、私は抗えない──

ずちゅ、ずちゅっ、ずちゅん…

手離せない、何よりも──

「輝美のカラダ、最高!」

この世に二つとないあなたのカラダもね…もう、チカラが入らないわ──

激しい快楽の中に委ねた身は、どんどん沈んで解けてイク──

う…!はあぁあぁん!

カラダの中芯がドロドロに蕩ける。

ずく、ずくん、じゅく、じゅくっ…

あなたが私を求めるよりもずっと前から、私はあなたを求めていたって認めるわ。

何より大切な人──だから、この気持ちを絶対に、あなたに言ったりしないわ。

自殺相談所 30 他見

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長編小説、ノベルシリーズ


翌朝七時過ぎ、渡辺の家の二階で目覚めた梢は、起きてすぐ、隣の布団の中に柊が居ない事に気付き、慌てて一階のダイニングへ駆け込んだ。


ベンチチェアに座り、ダイニングテーブルの上に新聞を広げていた渡辺が顔を上げ「おはようさん。」とまだパジャマ姿の梢に声を掛けると、どうしようという表情を浮かべた梢が、


「おはようございます。あの、柊が居ないんです。」と渡辺に訴えた。


「柊くん?」


そう言いながら、渡辺は、眼鏡の奥の目をちらとキッチンの方へ向けた。


梢もキッチンを見ると、カウンター越しに、柊が渡辺の妻と並んで立って居るのが見えた。


柊は、梢の見憶えのない服を着ていた。そして、何か台のような物に乗っかっているのか、渡辺の妻の肩辺りに柊の顔はあった。

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