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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

乙女ですって 207 (R-18) 一夜

Posted by 碧井 漪 on   2 

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菜津子は、暗くした部屋の窓から夜空を眺めていた。


その手の中には、隆人が買って、取りに来ないトパーズのリングネックレスが握られていた。


菜津子が連絡すると言って、母から預かっているが、まだ隆人に連絡出来ずにいた。


隆人の引っ越し先の住所は、総務に異動した加集に訊いて知っている菜津子は、そのリングを宅配便で送る事も、直接届けに行く事も出来るが、何故か躊躇していた。


これを隆人に送り届けてしまえば、菜津子との縁が完全に切れる───それが分かっているからだった。


ブブブブブ、ブブブブブ・・・机の上に置いた菜津子の携帯電話が振動した。


知らない固定電話の番号だった。


手に取って、「はい」と出ると、

『菜津子さんですか?』知らない男性の声で訊ねられた。

風邪みたいに移して 51

Posted by 碧井 漪 on  




ふぅ・・・今日も何とか一日乗り切ったわ。


お昼休みに飲んだ解熱剤が、そろそろ切れて、熱が上がって来た。


頭痛はしないけれど、頭の中はぼんやりしている。


てっちゃんも今日は何だか、ぼんやりしているように見えた。


私の事を気に掛けてくれているのかなって、てっちゃんをちらっと見ると、別の方を見て、何かを考えているのかいないのか。


いつもより会話も少なくて、まるで喧嘩中のような雰囲気。


私達、本当に恋人同士になったんだよね?


神社での出来事が、実は夢だったのかもしれないと思えて来る。


ええと、今日で三日目か・・・でも、デートもまだだし、風邪引いちゃってキスも出来ないし・・・あ!昨日と一昨日はキスしたんだ。今日はキスしてくれないの?・・・なんて、私からは聞けないよ。

縺曖 195

Posted by 碧井 漪 on  

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生憎、公園のベンチはさっきまでの雨で湿っていて、まだ当分座れそうになかった。


他にあるのは滑り台と砂場、そしてブランコだけだった。


ブランコも勿論、雨で濡れて乗れない状態だった。


誘ったはいいけれど、どうしよう・・・と伸長が考え始めた時、


「伸長くん、こっち。」と皇がブランコを指差し、歩き始めた。

縺曖 194

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マンションを出ると、さっきの雨はすっかり上がり、茜色に染まる空には、その色に霞む雲がちらほら見えた。


雨の後の湿り気を帯びた、ほのかに温かい空気を吸いながら、夕映えの街を見下ろした。


伸長は皇と共に坂を下り、駅まで歩く道すがら、不意に皇が口を開いた。


「コーヒー、どうだった?美味しかった?」


伸長はコーヒーに砂糖を少し入れて、残さず飲み干していた。


「うん。僕、あまりコーヒーって飲まないけど、美味しいと思ったよ?」

暁と星 41 モヤモヤ

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明日は、星良が三年間通った高校の卒業式。


アルバイトが出来るというだけではなく、学費がかからないからという大きな理由から選んだ公立高校。


特に思い入れなどないと思っていた。


勉強とアルバイト、家事までこなしていた忙しい高校生活の間中ずっと、星良は早く卒業して働いて、今より楽な暮らしをしたい、とそれだけを考えていた。


専門学校や大学に進学する同級生達を羨ましいとも考えないようにしていた。


けれど今、星良は一か月前まで知らなかった世界を知り、ゆったりと送れずに終わりを迎えようとしている高校生活を手離す事が急に寂しくなった。


星良は修学旅行にも行けなかった。学費はかからないとはいえ、修学旅行の費用は別だった。往復の飛行機代、宿泊・体験学習費、その他旅行に必要な物を揃えるとなると10万円にも及ぶ。


母には修学旅行の話を伏せ、旅行当日は学校で補習授業を受けた。

縺曖 193

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夕方、乾いた自分の服に着替えた伸長は、皇の部屋を出た。


リビングに朝臣と賢一の姿は無く、伸長は皇に、

「先生にご挨拶してからお暇(いとま)したい・・・な。」と言うと、

「いいよ、そんなの。朝臣、多分執筆中だから。」と皇に断られた。


「そっか・・・」


それでも、黙って帰るのに気が引ける伸長は、玄関へ向けなければならない足の動きを止めた。

乙女ですって 206 (R-18) すべてを失った男

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翌日、隆人は舞の入院する病院近くの洋菓子店でプリンとシュークリームを三個ずつ買った。そして病院前の花屋でミニブーケを買って病院の面会受付に行くと、丁度午後一時半だった。


面会者名簿に名前を記入すると、首から提げるカードホルダーを手渡された。


【面会者 015】


三階の病室に行く前、ちらりと見える新生児室。


ガラス張りの部屋の中には小さなベッドが並べられ、生まれて間もない赤ちゃんが並べられていた。


小さいなあ・・・隆人は階段で足を止め、しばし見とれた。


顔をくしゃくしゃにして泣き声を上げる赤ちゃんは、小さな体にも拘わらず、大人より生命力に満ち溢れていて、何だかキラキラと眩しかった。


舞と俺の子もあんななのかな。


そういえばまだ予定日も聞いてなかった。

縺曖 192

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笑ったせい?それとも・・・二人の間に言い様のない空気が漂った。


「はい、ティッシュ。伸長くん、笑い過ぎて涙目になってる。」


「あ、うん・・・ありがとう。」


伸長は皇から渡されたティッシュで、目尻を拭った。


皇くん、やさしいな。


僕、皇くんとまだ友達でいてもいいという事なのかな。


何だか、胸がいっぱいで、また目が熱くなって、視界がぼやける。

縺曖 191

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「そう・・・続き、気になるんだ。」


「凄いね、皇くんは。僕には考え付かないストーリーで、あっ、火熾しをしてみたいって、もしかしてこの小説の続きを書く為だったの?」


「うん。」


「そっかぁ・・・僕も手伝うよ。役に立たないかもしれないけれど。」


「そんな事ないよ。ありがとう。」


伸長は皇に”ありがとう”と言われた事が、とても嬉しかった。

そうそうない 1 2014年8月30日のこと(1)

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そうそうない 1


「とてもかくても +BL」の続編




【登場人物】


僕・元(もと)──────木村 元啓(もとひろ)(43) 


わーさん────────毛利 橋(わたる)(48)




十年近く一緒に暮らしていた恋人同士は、わーさんの病をきっかけに、

2012年11月、共に仕事を辞め、購入した田舎の古民家に二人で移住した、

その後のお話。




縺曖 190

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キィー、パタン。


片手でトレーを胸の前に抱え、後ろ手にドアを閉めた皇は、机の上のノートパソコンの画面を食い入るように見つめる伸長の姿に、気恥ずかしさを覚えた。


コーヒー、持って来たのはいいけど、置く所がないなと考えた皇は、仕方なく、トレーをベッドの上にそっと置いた。


「伸長くん、あの、コーヒー・・・」


マウス片手に伸長は、皇の書いた小説を一生懸命読んでいる。


伸長は、皇の声など耳に入らないようだ。

暁と星 40 あなたを忘れる日

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眠れない夜、星良はロイに借りた詩集を読んだ。


恋の詩。


今なら少し解る。この気持ちが。


旺治郎を見る度、感じる事。


これは恋なのだと、私以外の誰かが認めてくれたとしても、この恋は私の胸の中に収めて置くしかないもの。


だから苦しい。


それでも、吐き出して壊してしまう事が出来ない。


2月28日。私は18歳になる。

縺曖 189

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「お茶ですか?それとも紅茶?コーヒーでいいなら、余分にありますよ。」


賢一の問い掛けに皇は無言を貫いた。


「・・・・・・」


「余っても捨ててしまうだけなので、よろしければ飲んで下さい。」


賢一は二人分のコーヒーを注いで残ったコーヒーポットに蓋をして、客用のソーサーに載せたコーヒーカップと皇の愛用するマグカップと共に、テーブルの上に放置して、賢一は朝臣の部屋に消えて行った。


キッチンダイニングに漂う、コーヒーの香り。


皇は、ケトルでお湯を沸かすのをやめた。

乙女ですって 205 (R-18) 知らなかった事

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19時過ぎ、賞味期限の切れたカップラーメンを食べ終えた隆人は、再び舞に電話してみた。


しかし、舞はどうしても電話に出ない。


メールも送ってみたが、返信はなかった。


あと少し待ってみよう。


ソファーに腰掛けながら、隆人はスマートフォンを弄っていた。


電話帳を開き、舞の行き先を知って居そうな人を探すが・・・


舞の友人は知らない。親しくしていた同僚も殆ど辞めたと聞いている。


離婚してから随分経った。舞が今誰と付き合っているのか、そういった事もまるで知らない。

縺曖 188

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「あの、服、貸してくれてありがとう。」


「いいよ。それより伸長くん、何飲む?」


「あ、ううん、お構いなく。」


「コーヒー飲める?」


「うん。」


「じゃあ、淹れて来る。と、その間に、これ・・・読んで欲しいんだ。」


皇は机の上のノートパソコンを開いた。そして電源を入れ、マウスでファイルフォルダを開いた。

縺曖 187

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伸長が困っている所へ、皇が伸長の背後からやって来て、

「朝臣、お茶とかそういうの、俺がやるからいいってば。」と伸長の背中を両手で押し、回れ右とばかりに伸長の体を回転させた。


「えー?お茶煎れるからさあ、ここで話そうよ。俺も混ぜてよ。」


「だーめ。俺が用事あって連れて来たんだから、伸長くんは俺の部屋に連れてくの。」


「じゃあ、用事済んだらこっちで話そう?」

縺曖 186

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シャワーを終えた伸長は、籠の上に置かれたバスタオルに手を伸ばした。


このタオル、すごくふわふわだ。いい匂いもする。


タオルを取った籠の中には、白いTシャツ、その下にグレーのスウェットズボンとビニールパッケージ未開封のボクサーブリーフ、真新しい黒の靴下が入っていた。


「これ・・・僕が着てもいいのかな?」


脱衣所には伸長以外、誰も居ない。

縺曖 185

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脱衣所で、皇は大きな洗濯機の蓋を横に開いた。


「脱いだらこの中に入れて、蓋して、ここのスイッチボタン押してくれる?」


「ええと、このスタートっていうボタン?」


「そう。洗剤入れとくから、このまま入れて蓋してピッて押して。」


そう言うと、皇くんはうちとは違う、横に傾いている洗濯槽の中に、スーパーボールをポンと放り込んだ。

暁と星 39 この世で一番醜い感情

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「せ・・・」


息を呑んだ旺治郎は、その場に立ち尽くした。


「執事、いい所なんだから、邪魔するな。」


ベッドの上で、励は星良の体を押さえ付けたまま、部屋に入って来た旺治郎を見ようともせず答えた。


「何をなさっているのですか。」


「何って、そんな事一々説明しなくても分かるだろ。」


「分かりません。」


励に反論した旺治郎はベッドに歩み寄ると、星良の上を覆う励の肩を後ろから掴んで、星良から引き離した。


「何するんだよ、執事!婚約したんだからいいだろ?」

縺曖 184

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城に戻った皇子は、少しだけ取り戻した記憶を駆使し、密かに旅支度を整えた。


水、食料、地図、テント、ランプ、銃と短剣も携え、団長から譲り受けたマントに身を包んだ。


そして、厩(うまや)に残された団長の愛馬に跨り、団長の後を追いかけた。

乙女ですって 204 (R-18) 二度と会わない方がいい

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5月2日土曜日、世間はゴールデンウイークと呼ばれる大型連休真っ只中。


俺は一月半振りに、住み慣れた街の駅のホームへ降り立った。


ここは引っ越し先よりも都会で、空気も悪く、人も多くて騒がしく落ち着かないが、俺は思いっ切り息を吸い、吐き出した。


すうっ、ふうーっ。


落ち着く、安心する。何故なのだろう。


今まではさして感じなかったこの匂い、何と言うのかな、決して綺麗でも美味くもないけれど、この感じ、とても恋しかった。


君の暮らす街。


会えなくても、近くに君がいる、そう思うだけで心が満たされて行く。

縺曖 183

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「いくら団長でも、大した理由もなく、二人も斬って殺したら国を追われるよ?どうして、僕なんかの為に・・・」


「お前は皇子だ。なんかなどと言うな。」


町で騒ぎになっていた行方不明の同盟国の皇子・・・年恰好が同じ事や異国訛りのある事から、若い男はもしかして自分が、と思い始めた矢先、二人組の男に襲われた事から、自分が行方不明の皇子・・・そうなのだと思い始めていた。


記憶はないが、誰よりも信頼している団長に断言され、自分は行方不明になっている同盟国の皇子なのだと信じる事にした。


「団長、どこへ行くつもり?」

縺曖 182

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僕はどこから来たんだろう───


その頃、騎士団の詰所で、皇子の人相書を見た団長は吃驚した。


行方不明の同盟国の皇子は、家にいる若い男にそっくりだった。


伸びた髪を切れば・・・はっとした団長は、その場で休暇願を出し、急いで家に戻った。


縺曖 181

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ある国の城門の前に、素性の知れぬ見すぼらしい若い男が倒れていた。


不審な男は城の騎士団に捕らえられると、身ぐるみ剥がされ、裸で地下牢獄に放り込まれた。


他の囚人の男達に犯されて意識を失くした所を、様子を見に来た騎士団長が見つけ、若い男を牢から出して助けた。


騎士団の団長はとても厳しい男だが、弱い者にはやさしい人で、その若い男は団長の付きっ切りの看護で意識を取り戻した。しかし、記憶喪失だという事が分かり、このまま牢獄に戻したり、国外に放り出したりなど出来ないと、団長は自分の家にその男を置く事にした。

暁と星 38 執事と婚約者

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子猫は、抱かれている旺治郎の手からピョンと飛び、ベッドの中で目を閉じているだけの星良の顔へ擦り寄った。


「にゃーん。」


その声とふさふさした毛に顔を擽られた星良はすぐに目を開けた。


窓辺に立つ旺治郎の視線は星良に注がれていた。


星良は旺治郎の視線を受け止めきれず、胸元で丸まる子猫へ視線を移した。


どき、どきどきどき・・・


旺治郎が帰って来た。本当に、夢じゃなくて本物。


起きなくちゃと思うのに、体は固まって動けない。

縺曖 179

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「どうぞ。」


「お邪魔します。」


皇に促された伸長は、緊張しながらスニーカーを脱ごうとした。


しかし、その時、スニーカーの中敷きも靴下もじっとりと、濡れて肌に貼り付いている事に気が付いた。


この状態で人様のおうちに上がるのは、さすがに・・・


スニーカーの中で浮かせた踵を押し戻し、伸長は顔を上げた。


乙女ですって 203 (R-18) 雲になりたい

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「会いたいんでしょう?彼もきっとそうよ。なっちゃんに会いたいと思っているわよ。」


母の言葉に、菜津子は喜べなかった。


会いたい───その気持ちは、私と隆人さんを苦しめるものでしかありません。


忘れようとも出来ない相手。


隆人さん、苦しいのならどうか私の事は忘れて下さい。


私はあなたに会いに行きません。


会いたいからと会ってしまえば、益々あなたを苦しめてしまうだけの事。


私達はもう、どうにもならないのですから。


自殺相談所 25 他人の家

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渡辺によって自殺を止められた古沢梢は、長男・柊を連れ、自殺相談所を出た後、渡辺の自宅へ招かれた。

その途中、夕飯の買い物をする為、スーパーに寄ろうと言う渡辺に、寄りたくないと言えない梢は俯いたまま「はい」と従うしかなかった。

柊を連れての買い物はいつも楽ではなかった。

スーパーの入口で固まったように動かなくなったり、ショッピングカートに乗せようとしても嫌がったり、擦れ違う中年男性に怯えたり、お菓子を持たせてそちらに意識を向けさせようと試みても、そのお菓子が選べなかったり、また別の日には、突然、梢の手を振り切って走り出してしまう事もあった為、梢は日々の買い物を宅配サービスに頼り、スーパーにはしばらく足を踏み入れていなかった。

柊は、渡辺と手を繋いでおとなしく歩いている。

でもきっと、スーパーに入ったらいつもの通り・・・

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