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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 144

Posted by 碧井 漪 on  

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小説書いてる人~全員集合!!


その通り。内心申し訳ないと思っていた。


ある時、誰かに”白岸くんって無表情で何を考えているか解らない”と言われた事はあったけれど、こんな風に表情を読み取られた事はなく、「どうして解ったの?」と訊いてしまった。


訊いた後で、ハッとして、口を押えたけれど遅かった。


「ははは、やっぱり伸長くんって解り易い。」


自転車を歩いて押しながら、皇くんは笑った。

風邪みたいに移して 49

Posted by 碧井 漪 on  




マスクをしたてっちゃんが私の部屋を訪れたのは、夕飯のお粥を食べ、薬を飲んで、ウトウトしていた18時半過ぎ。


朝と違い、寒気は治まったけど、全身はカッカと熱くなって、18時に体温を測ると38.6度だった。


解熱剤を飲んで三十分経過し、そろそろ効き始めた筈なのに、てっちゃんが来てくれた瞬間、カッと顔が熱くなる・・・これって風邪のせいだけじゃない?


何とか体を起こそうと、両腕を突っ張ってみるけれど、熱いし力が入らないしで大変だった。


枕を背中で押し上げるようにして体を起こす事に何とか成功した私は、ゆうべ離れた瞬間からずっと会いたかったてっちゃんの顔を見た。


てっちゃんがお店、今日一人で開けてたってさっきお母さんから聞いて、心配してた。


それに今日、お店に行くと約束したのに、それを守れなくて申し訳なくて──

縺曖 143

Posted by 碧井 漪 on  

「え・・・?」


「朝臣の本、読ませてあげるよ。」


それは、皇くんが大事にしているという藤野先生の小説の事?


嬉しいけれど、本当にいいのかな?


考えて言葉を出すのが遅れたら、「読みたくない?」と訊かれた。

銀と千の心 31 (R-18)

Posted by 碧井 漪 on  


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堪らないな、ほんと。


白い肌、細い腰、たわわに揺れる胸、どれも男にはない美しさで見ているだけで先が濡れる。


今、俺がイカセた部分に突っ込んで、俺もイキたい。


まだイッたばかりの千里の息は荒くて辛そうだけど、早く繋がりたくて、俺は千里の膝裏を両肩に担いだ。


千里の腰を浮かせ、目的の場所へ俺は自分の先を埋め込んで行った。


ズプ、ズブズブ、ズプン。


千里のナカが濡れているから、滑らせながら根元まで押し込めた。


あー、気持ちいい。


千里のナカはまだ軽くヒク付いて、360度、俺の周りは千里の熱い襞に包まれた。


ズッ、ズク。


軽く引いて、押し込む。

縺曖 142

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「皇くん、帰るんじゃ・・・?」


「んー、明後日までに提出のレポートあるから、それ書いて待ってる。」


“待ってる”──何を?


僕を?


“一緒に帰ろう”、”待ってる”、僕の事を──


誰かにそんな風に言われたのは初めてで、僕は嬉しくて、また胸と目の奥がじわり熱くなった。

縺曖 141

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オリジナル小説発表


今日の当番が居なくなってしまった図書室で僕は、先に帰った二人の代わりに副岡先生を手伝う事を決めた。


しかし・・・大した仕事はない。


利用者が来た時に貸し出し手続きをする位だ。


しかも現在、利用者は一人も居ない上、この後 来そうな気配もない。おそらく来ない、いや、過去の経験から来ないと言い切ってもいい。


それでも、このまま帰るのは何だか嫌だ、と伸長は司書室の扉をノックして、はいと返事を待ってからガチャリと開けた。


乙女ですって 193 (R-18) 送別会

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業務を終え、定刻に会社を出られるように準備を整えていた菜津子は、フラワーアレンジメントとネクタイの入った紙袋、それから室長から渡された会費と電子メールをプリントアウトした予約番号を携え、総務部を出てエレベーターを待った。


下から上がって来たエレベーターの扉が開き、降りて来たのは加集だった。


しかし、ぼんやりと視線を足元に落としていた菜津子は加集に気付かず、軽く頭を下げた後、空のエレベーターに乗り込もうとした。

その時、「菜津子さん。」加集が菜津子を呼び止めた。


「えっ・・・はい。」足を止め、振り向いて顔を上げた菜津子の前に立って居たのは加集だと、菜津子はようやく気付いた。


「加集さん。」


「お疲れ様です。菜津子さん、もしかしてその花、安藤部長のですか?」


どきり。


菜津子は、加集の口から隆人の名前を聞かされただけで緊張した。


「はい。室長から送別会への出席を頼まれまして・・・」


「そうですか。俺もです。部長代理と出る事になって。」


「はい・・・」隆人の顔を思い浮かべ、胸がいっぱいになってしまった菜津子は、他の言葉が出て来なくなってしまった。


菜津子は、本当は私が出るべきではない、そう思いながらも、これで隆人の姿を見るのが最後になるかと思うと、疼く心を無視出来なくなっていた。


会いたい──どんな形であっても、不自然でなければ、あなたに会いたいです。

縺曖 140

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付箋のメッセージを読み終えた僕は、皇くんと顔を見合わせた。

皇くんは、ふうと溜め息を吐いて、

「勇田さん、普段はこんな礼儀知らずじゃないんですけど。」と少しムッとしたような表情を見せた。


確かに急に居なくなってしまった事に対して怒りたくなってしまう皇くんの気持ちも解るけれど、先に逃げ出したのは僕の方だから、彼女の行動を責められない。


それに、本当に急用があったのかもしれない。

縺曖 139

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「だってさ、伸長くんこそ不愉快な思いしたんだから・・・でも、勇田さんの事、許してあげて。」


「そんな、許すだなんて、僕は・・・」


そんなやり取りをしながら、図書室の前に着いた途端、口を噤んだ僕の心臓の鼓動は、どっどっどっ・・・一段と強く速くなった。


深呼吸して、それを何とか落ち着かせようとしたけれど、上手く息を吸えなくなっていた。


どうしよう。彼女と顔を合わせて、謝る以外のどんな事を話したら──


伸長は酷く緊張して、握った手のひらの中に汗を掻いていた。


縺曖 138

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「何もしてないなら、伸長くんが謝る必要ないでしょ。しかもこんな風に逃げて来たら、何かしたのかと思うじゃん。」


伸長が彼女に対して嫌がらせをしたとは思っていないという様な皇の口ぶりに、少し安堵しながら

「でも、彼女が不愉快な思いをしたのなら僕のせいだから――」伸長は反省している様子を語った。


「あのさ、それって自分の事を卑下し過ぎ。仮にそうだったとしても気にする事ないよ。勇田さんが大袈裟に騒いだせいで、伸長くんだって傷付いたんでしょ?」


どうして、それ—――

銀と千の心 30 (R-18)

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ちょいエッチ


ゆっくり もそもそパジャマを脱ぐ千里とは対照的に、銀矢はバッと素早く脱いで、一足先に全裸になると、布団の上に胡坐をかいた。


隣には、布団で眠る子ども達・・・背徳感を覚えた千里は全裸の銀矢から目を逸らした。


「まだー?」


銀矢が催促する。聖矢の言い方に似せていると気付いた千里は笑いを堪えながら、パジャマ上衣を脱ぎ捨てた。


パサリ・・・


どうしたらよいのか分からない千里は、取り敢えず銀矢の前に腰を下ろそうと布団の上に足を踏み入れた。すると、


「千里、動かないで。そのまま。目を瞑って。」


銀矢の指示通り、千里は立ったまま目を閉じた。

縺曖 137

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けれど、皇くんと彼女が恋人同士になる事についてはいいと思った。


ただ、そうなると・・・僕と皇くんが一緒に過ごす時間は減るだろう。


一緒に図書館やキャンプ場へ行ったり、お互いの家へ遊びに行ったりという事もなくなる。


そんなぁ・・・


ハッ!


鏡に映る自分の情けない顔に気付いた伸長は、「バカ、バカバカ!」と握り締めた両手で頭を交互に殴った。


「僕は・・・最低だ──」俯いて吐き出した伸長は、両手で頭を抱えた。

縺曖 136

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学年全体で見ると、何組かカップルが成立しているのを確かに僕も知っている。


だけど実際の恋人同士を目の当たりにした事はなく―――はっ、まだ恋人同士ではないみたいだけど、でも、何だかいい雰囲気だった。


二人共すらりとして、身長が僕より高く、並んで立った姿が雑誌のモデルさんみたいに絵になっていた。


皇くんの手は、彼女の肩に自然と触れ、二人きりになった図書館で、視線と視線が—――

乙女ですって 192 (R-18) あなたへの贈り物

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異動の辞令が社内全体に発表された週の金曜日、3月20日の夜、隆人の送別会が催される事となった。


参加者は隆人と同年代以上、30代半ばから50代前半の社員が主で、各部署の部長、課長と肩書のある者が多く集まる予定だったが―――


午後三時過ぎ、「弱ったな・・・」携帯電話を上着のポケットにしまいながら経理課室室長が呟いた。


その時丁度、室長の机の上にお茶を置いた菜津子に「綱島さん。今夜、空いてる?頼みがあるんだけれど。」と室長が告げた。

縺曖 135

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もしや皇くんは、僕が彼女に何かしたと疑っているのだろうか。


僕は何もしていないが、彼女を不快な気持ちにさせてしまったのなら謝るべきだと考えた。


空気が読めない僕は、男子ならまだしも、女子の気持ちは全く解らない。解りたくても、教えてくれる人がいないというのもあって、これについては、本の中で得た知識を掻き集めて対応するしかない。


雨のち晴れた日に 17 未来へ向かって

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長編小説、ノベルシリーズ


広いホールに並ぶ円卓の数々は、朱に金の模様を施された衝立(ついたて)と観葉植物で区切られていて、日曜の昼だが、半分しか埋まっていなかった。


こういう所は、夜の方が混むのかもしれないと考えながら、コタローはどこだ?とボーイの後ろを歩きながら、ホール内の各テーブルに目を向けた。


居ないな・・・もしかして飯田違いか?とヒヤリとした時、ボーイの足が止まった。


コンコン、と突き当りの壁にある大きな両開きのドアを叩き、「失礼致します」とボーイは片側のドアを開けた。


ガチャッ、という音の後、大きな窓を背にして円卓に着く三人の男の姿が見えた。


逆光で顔は判らなかったが、皆、ワイシャツにネクタイを締めたスーツ姿で、ただ、左端の一人だけ、でっぷりしていた。


よく見ると、そのでっぷりはコタローで、飯田間違いじゃなかった事にホッとしつつも、何故こんな大きな個室にスーツ姿で俺を待って居るのかと不審に思った。


そして、ホッとしたのは俺だけじゃなかったらしい。


「ゲンゲン、待ってたぞ。こっちだ。」


椅子を倒しそうな勢いで立ち上がったコタローは、前に伸ばした手で、早く早くと手招きした。


隣に座っている二人が誰なのか知らないが、何だか畏まったような場で『ゲンゲン』と愛称で呼ばれるのは恥ずかしかった。

縺曖 134

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「え、いえ、あの・・・」

女子生徒は体の前に、両腕で本を抱えたまま、オロオロとした様子で体を左右に振っている。

それを、彼女は委員の仕事が初めてで、どうしたらいいのか解らないのかな?と考えた伸長は、「僕が並べますよ。貸して下さい。」と女子生徒に近付き、両腕に抱えられた本を取ろうと手を伸ばすと、

「きゃ、きゃあっ!」女子生徒が短い悲鳴を上げた。

銀と千の心 29 (R-18)

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小説15禁・18禁(性描写あり)


みんなそろっての夕食時、真新しいお茶碗を使うと、聖矢は「おかわり!」となんとご飯を三杯も食べて、みんなを驚かせた。


今晩のおかずは肉じゃが。味付けはお義母さん。


パパは残さず食べ、私の作る料理を食べた後より満足気に見えた。


子ども達を寝かしつけた後、灯かりを落とした部屋の布団の上で、千里は銀矢との約束の10分の前に、その話をしてみた。


「パパはお義母さんの作る肉じゃが好きよね。」


「ああ・・・好きというか、母さんの料理の中でマシな方だったからじゃないか?味付けとかハズれようがないし、美味いとかじゃなく食べ慣れてるからかな。兄貴が入院したりすると、俺と父さんで食べたのはインスタントラーメンとかレトルトカレーとかだったから。まあ、兄貴が入院しなくたって普段から母さんは忙しくて、俺の事なんて一々構ってられないって感じだったからな。」


「そうなの?」

【夜の天気雨 特別編】また お会いしましょう~陽芽野と瑞樹~ 5 (最終話)

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10月10日。


夏は終わり、秋が深まる中、迎えた兄の誕生日。


学校が終わって、駅ビルのトイレで私服のワンピースに着替えた陽芽野は、そのままセイのマンションに近い駅へと電車で向かった。


ゴトッ。


電車内、自動扉脇の手すりに掴まって立っていた陽芽野の足元で、何かが床に落ちる音が響いた。


何だろうと視線を落とすと、スマートフォンが裏返しに落ちていた。


「すみません。」すぐ隣の座席にリュックを抱えて座っていた大学生位の男性が腰を浮かせて手を伸ばした。


陽芽野はそれに気が付いてしゃがむと、床に落ちたスマートフォンを拾い上げてその大学生らしき若い男に「これですか?」と訊いて差し出した。

縺曖 133

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しんとした図書室内。


ぱらり、カウンター内の椅子に腰掛けた伸長が本のページを捲る音だけの静寂な空間の中、

キイッ、パタン、と司書室へ続く木製ドアの開かれる音がして、

司書の副岡だろうと伸長は、手にしていた栞を開いているページの上に自然と置いた後、視線をドアの方へ向けた。


すると、そこに立って居たのは副岡ではなかった。

乙女ですって 191 (R-18) 二人を繋ぐもの

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異動辞令が発表された月曜日の夜、定時より一時間後に退社した隆人は、真っ直ぐ自宅マンションへ帰った。


「ただいま。」


「おかえりなさい。お風呂にする?それともご飯?」


「はなちゃんは?」


「今日はもう寝たの。疲れたみたい。」


「そう。」


「どうする?ご飯にする?」


マタニティーパジャマにカーディガンを羽織った舞の姿を見た隆人は、先に食べた方が舞は休めるだろうと、「先に食べるよ。着替えて来る」と返事をして、今は自分の部屋になった元物置部屋に入った。


縺曖 132

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吉池が制服のポケットからスマートフォンを取り出した。


伸長からも少しだけ見えた画面の内容は、日付けと人の名前が記入された一覧表。


アルバイトのシフト表かな?


伸長はスマートフォンも持って居ない。やはり父親が反対しているからだった。


伸長は、折り畳み携帯でも十分、と思っていたが、最近は人前で出すのに抵抗があった。


皇くんもスマホだった。クラスメイトもみんな。僕だけ違うと、人前で出す時、悪い気がしてしまう。


吉池はスマートフォンをポケットにしまった。


縺曖 131

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小説書いてる人~全員集合!!


吉池先輩は体は大きいのに気持ちは小さいと言うか細やかで、何かあるかも、といつも不測の事態を考えて動く人だった。


「いいですよ。僕、居ますから、心配しないで下さい。」


「そっか、ありがとな、助かる。」


「いえいえ。そうだ先輩、今、何の本読んでますか?」


「あー、今?なんか、受験用に文学全集とか読んでる。」


「そうなんですか。」

銀と千の心 28 (R-18)

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恋愛、恋、愛、ラブ


もっと、もっと深くに来て。私を愛してるって気持ち、カラダの奥に届けて。


絶対に離さないで、私の事、一番にして。


あ、ああ、あ・・・ん、ソコ、アツイ、や、もう、イッちゃうぅぅ・・・っ!


ぐぷ、ぐぷん、ぐちゅちゅっ、ぐちゅっ!


「あ、パ、パ・・・もう・・・んっ!」


「イクって?いいよ、俺もそろそろだ。」


パン、パン、パン、銀矢の抽送が速くなる。


「やっ、は、あんっ・・・っ!あ、あ、あ・・・っ・・・!」


ビクン、ビクッと千里の最奥が激しく蠕動した後、ドクッ、ドプンと銀矢の先から千里のナカへぬるいものが放たれた。


【夜の天気雨 特別編】また お会いしましょう~陽芽野と瑞樹~ 3

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何を言っているのだろう、この人は。


初めて出逢った人にハンカチを返される憶えはない。


どうしよう・・・と再びセイさんを見ると、やはり彼は映画に集中していて私の事を忘れてしまっている様だった。


セイさんの邪魔はしたくない、から―――自分で何とかしなくちゃ!


「あの、人違いです。」


ナンパ?それともストーカー?まさか・・・だけど怖いと思った。


ううん、そうじゃない、きっと他の人と間違えているのだと思い込もうとして言うと、


「最初は判りませんでしたが、彼を見て気が付きました。駅前で、僕にハンカチを渡した後、彼に引っ張られて行ってしまわれたのでお返し出来ませんでした。ですからこのハンカチは、あなたのです。」 とその男の人は言う。


駅?セイさんに手を引っ張られて?


ええと・・・ハンカチ?


「あ!あの時の。」


道を教えてくれたストライプスーツのサラリーマンさん。

縺曖 130

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文学青年と言うよりはスポーツマンに見える吉池は、中学時代までサッカーをやっていたそうだ。


けれど、大学受験の勉強とアルバイトをする為、高校に入学してからはサッカーをしていないと話していた。


『趣味でやるならいいけどね。この学校のサッカー部入っても、全国行けるような感じじゃないし、全国行くような部活だったら俺、練習付いて行けないから、どっちにしても入らないって決めてた』


少し寂しそうに語った吉池の楽しみは、バイト代で買う文庫の小説だと聞かされた。


『どんな本ですか?』伸長はわくわくしながら訊いた。

乙女ですって 190 (R-18) 25歳と45歳

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「メグちゃん、結構上手いじゃない。飲み会で歌いなさいよ。」


「嫌ですよ。」


「ありがとね、写真も。お母さんにありがとうって言って。」


「追っかけの頃に撮ったヤツらしいんで、大したモノじゃないけどって。泣く程、喜んだって知ったら、次に何出して来るか分からないんで、黙っときます。」


「メグちゃん、今夜って時間ある?お礼と言っちゃあ何だけど。」


「何ですか?デートの誘いですか?」


「ばーか。私には超カッコイイ彼氏が居るの。その人に会わせてあげる。」


「はぁっ?何故俺が西尾さんの彼氏に会わなくちゃならないんですか。」

縺曖 129

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『俺より嬉しそう。じゃあ、読書の邪魔しちゃ悪いから、また明日、放課後に図書室で』


皇くんは、まるで今の僕の姿をどこかから見ているように思える事を言った。


少しドキドキしながら、

「うん、電話してくれてありがとう。」

それじゃ、と僕は電話を切って、はーっと息を吐いた。口の端が不自然に上がっているのに気付いて、慌てて指で下げる。


電話を切って少ししてもまだ、胸はどきどきしていた。


皇くんと知り合ってからの僕の毎日は、今までと全然違う。


根暗と言われていた僕の人生とは思えない程、楽しくて、きらきら輝いて、僕自身、宝物を見つけた時みたいな幸福感に包まれている。


それからもう一度、はあっと甘い溜め息を吐いた伸長は、にこにこしながら本を読み進めた。


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