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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 103

Posted by 碧井 漪 on  

中央図書館最寄り駅に到着した。


電車を降り、階段を下る間(ま)に、僕と皇くんの距離は他の乗客が間(あいだ)に入った事で離れて行った。


自動改札機にICカード乗車券を翳(かざ)した皇くんは、通学定期を清算処理する僕を振り返る事無く、南口の方へスタスタ歩いて行ってしまった。


おそらく、僕が付いて来ていると思っているのだろう。


こんなにモタモタしている人、とは思っていないらしい。


風邪みたいに移して 46 (「積み重なって解けるとき 56」)

Posted by 碧井 漪 on  


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「神様はその願い、聞いてくれないよ。」


てっちゃん、どうしてそんな事を言うの?


「そんな事ない!」私は向きになった。


「僕が毎日笑って過ごすなんて無理だよ。帰ろう。」


てっちゃんがお参りをやめさせようと、私の手を取った。


そんな・・・駄目だよ。てっちゃんに笑う事の出来ない毎日を過ごして欲しくない。


絶対百回お願いする。


てっちゃんの手を振り解いた。


「嫌!これはてっちゃんに『関係ない』。私の勝手なお願い事だから。てっちゃん一人で先に帰って!」


公子はまた、一人黙々とお参りを始めた。


気配が離れた。


てっちゃん、帰ったのかな?


しかし、公子の考えとは裏腹に・・・


ペタペタペタ、石畳を走る足音がもう一つ増えていた。


哲も裸足になり、公子に倣ってお参りを始めた。


パンパン。哲の拍手が響いた。


「てっちゃん・・・」


「僕のお願い事も叶うかな。」

縺曖 102

Posted by 碧井 漪 on  

これは僕が独自に分析したBLについての――ガタン!


カーブに差し掛かった電車が大きく揺れ、僕の体は前のめりになった。


わわわっ!


「先輩!」


その声と共に、僕の左腕に力が加わった。


「大丈夫ですか?」


左側に顔を向けると、ドア横に立った皇くんが僕の腕を掴んで、転びそうになるのを止めてくれていた。


銀と千の心 18 (R-18)

Posted by 碧井 漪 on  


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まだ少し時間があるな。


ベッドの中で胸に抱き締めている千里の髪を撫でていた銀矢は、その手を止め、

「もし妊娠したら産むって・・・あんなに働きたがってたのに、いいの?」千里に訊ねた。


銀矢は千里には外で働いて欲しくないと願っていたのに、訊かずには居られなかった。


どうして急に、もしも”妊娠したら産む”という覚悟を決められたのかと、何か大きな理由があるのではないかと気になった。


「うん・・・」


千里は銀矢の体に腕を巻き付けながら返事をした。


積み重なって解けるとき 56 ※哲編 「風邪みたいに移して 45、46」

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僕は、僕を無視するきみちゃんに近付き、腕を掴んで、僕と向き合わせた。


そして、

「さっきはごめんなさい。」と謝った。


きみちゃんは無言だった。


あんな事をした僕の事を怒っているのだろう。


その証拠に、僕の顔を見ようともしない。


そしてまた、お参りを開始した。


そんなに一生懸命、どんな願い事をしているのだろう?


僕なんて、地獄に落ちろ、とか?


だったらもう地獄だよ。きみちゃんに嫌われた僕は、悲しくてどうしようもない。


縺曖 101

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「え?」僕がタオルを受け取ると、

「汗、拭いて下さい。」と皇くんが言った。


僕はタオルを持っていない手で自分の頬をぺたりと触ってみる。


確かに火照った感じはするけれど、汗は乾いている。


僕より、皇くんの方が大量の汗をかいている。


馮離 A面 17

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馮離 A17
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ぱさっ。


何かが頬に触れた。重い、そして生温(なまあたた)かい何か。


うーん・・・


目をゆっくり開いた朝臣に見えたのは、人の腕だった。


あれ、何だこれ、夢か?


ぱちぱちと瞬きしてみる。


隣には、うつ伏せのまま、顔を半分枕に埋め、眠る賢さんの姿があった。


俺の左頬は、賢さんの右手に包まれている状態。


何故?


ゆうべの記憶を辿ってみる。


風呂から上がって、着替えて、ベッドでマッサージを受けて・・・


縺曖 100

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「え、皇くん・・・」驚いた伸長の右手人差し指は、皇を指していた。


「先輩、遅れてすみません。待ったでしょう?」


はあ、はあ、まだ息を切らしている所を見ると、相当走ったと窺える。


皇を指したままの指に気付いた伸長は、慌てて引っ込めながら、

「ううん、今来た所。」と皇に返事をした。


これって何だか、恋愛小説で読んだ待ち合わせのシーンみたい。


雨のち晴れた日に 10 奏でていれば

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「どんなのでもいいから、ギターを借りたい。」


「ぎ、ギターって、あれか?弦六本のあれか?音の出る楽器の・・・」


コタローは驚き、薄茶のサングラスの真ん中を右手の中指で押し上げた。


「他にあるのか?」


「いや、ない、ないけど、ええと、ギター、アコギかエレキか?形はどんな・・・」


どうしてコタローが慌てているのか、さっぱり分からないが。


「弾ければ何でもいい。贅沢言えば、弦が錆びてないヤツ。」


「あ、あるよ、家にある。戻って、すぐ持って来る。」


トイレに行きたいのか?コタローは、ソファーから腰を浮かせてそわそわしている。


縺曖 99

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2016年5月7日土曜日、午前9時5分、空見谷駅前。


皇くんとの待ち合わせは9時30分だったけれど、駅へ向かうバスの時刻に合わせて出たら、この時間になった。


あと30分近くある。待つのは苦じゃない。何か空想をしていればすぐだから。


どこかに座って、人の流れの邪魔にならないようにしよう。


そう考えた伸長は、辺りを見回した。


しかし生憎、駅前広場にあるベンチは全て埋まっていた。


年配の人に、子ども連れの家族。若い男女。


高校の最寄り駅だけど、土曜日なので学生の姿はない。

銀と千の心 17 (R-18)

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「産んでもいい?」


「えっ?!」


銀矢は驚いて目を見開いた。まさか千里の口から三人目の子どもを産むと聞けるとは考えていなかったから。


「えっ?てダメなの?もしも妊娠したら、私、堕ろすのは嫌だよ。だって、パ・・・先生の子どもだもん。」


「ダメなんて言ってない。逆だよ。千里は産まないって言うかと思ってた。だって、いつも避妊しろって、それに最近はご無沙汰だったし・・・」


「まだ寿矢が小さいから、妊娠したくないとは思ってる。でも、妊娠したら産みたい。」


風邪みたいに移して 45

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泣いたから、頬が熱い。


多分、物凄く酷い顔だって判ってたから、このまま家に帰れなかった。


メイク出来たらいいけど、それは無理そう。せめて、どこかで洗って・・・


仕事着のまま、コートも着ていない。さすがにエプロンは外して手に持ったけど。


今、近所の路上を当てもなく歩いている。


持っているのはスマホだけ。


寒いから走ろう。


最近運動不足だったしね。丁度いいわ。

縺曖 98

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中央図書館。地上五階、地下三階建。蔵書数150万冊以上の大きな図書館だ。


一日平均3000人以上の人が来館する、そんなすごい場所へ・・・かつて行った事のある僕は、一階フロアの書架1/3程度しか覗く事が出来なかった。


閉館時刻になって外に出た僕のあの時の思いは、何とも言い表しにくい、とにかく苦い想い出だった。


あれ以来、図書館には、行きたいと思う気持ちより怖ろしさの方が先に立って、行く事が出来ずにいた。

積み重なって解けるとき 55 ※哲編

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「何だそれ、飴か?公子どこ行った?」


「出てった。」


「はぁ?なんで。公子の話、聞いたんだろ?お前、何て答えたんだよ。」


「何も。」


「どういう事だよ!まさかお前、断ったのか?」


僕が断る?吉夜は何を言ってるの?


「きみちゃんに『大嫌い』って言われた。」


「何で『大嫌い』?話がまったく分からん。ちゃんと説明しろ。」


そんな事を言って吉夜、本当は分かってるんじゃないの?


「キスしたら、嫌われた。」


キスした事を言いたくない気持ちより、吉夜にきみちゃんを取られる事の方が嫌だという想いから言った。


積み重なって解けるとき 54 ※哲編

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でも、今朝見た夢と同じになってしまったら・・・と怖くもなった。


まずは、キャンディーの味を聞いてからにしよう。


「どうだった?昔食べた味とは違う?」


「うん・・・似てるけど。」


残念そうな顔のきみちゃん。


素人の僕が作るキャンディーでは、想い出の味に敵う訳がなかった。


「そっか、ごめんね。どこかで売られていないか、もう一度探して・・・」


「違うの。ごめんね、てっちゃん。」


「え?」


「私が食べたかったキャンディーはね、その・・・てっちゃんの口から貰ったキャンディーだったんだ。」


縺曖 96

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皇の様子に居た堪れなくなった伸長は、「本は読みたいけど、僕・・・実は図書館に入れないんだ。」と告白した。


「図書館に入れない?どうしてですか?」


「変だから。」


「は?」


「変な人間なんだ、僕は。本の沢山ある所に行くと、片っ端から開かずには居られなくなるんだ。」


銀と千の心 16 (R-18)

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少し乾いて、何か言いたげに開いた千里の唇を塞いだ銀矢は、腰を引いた。


舌を絡めながら、銀矢は千里の最奥まで突き込んだ。


パン、パン、パン、二人のカラダがぶつかる音がバスルームに反響する。


くちゅ、くちゅ、くちゅっ。


気持ちいい・・・先生のキス、そして下半身に与えられる激しい刺激。


私のカラダの中を貫くあなたの熱に、ジンジン感じてる。


風邪みたいに移して 44

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どっくん、どっくん、どっくん・・・


この後、本当は聞きたくない。


『きみちゃんの気持ちには応えられない』


『僕は、他に好きな人がいるから―――』


この世界が崩壊する言葉を、てっちゃんの口から聞きたくない。


でも・・・私にとっては必要でも、てっちゃんにとっては要らない世界なんだったら、壊してもいいよ。


ガラガラガラって、私の気持なんか全部瓦礫(がれき)の山にしちゃって、それで、私みたいな幼馴染が居たって事は綺麗さっぱり忘れちゃっていいから。


「こっちに来てくれる?」


顔を上げられず、お辞儀したままの私の背中をはてっちゃんに促され、厨房の冷蔵庫の前に連れて来られた。


てっちゃんは、私がさっきケーキを見つけたのとは違う扉を開けて、冷蔵庫の中から何か取り出した。


その透明な袋の口は、赤いリボンで縛られている。


縺曖 95

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司書室から出た伸長に向かって、「どうでしたか?」と皇が訊ねた。


「うん・・・図書室に入れて貰うとしても来年度になるって。」


「来年度って事は、少なくとも一年先?」


「そうみたい。」


「そうですか・・・」


積み重なって解けるとき 53 ※哲編

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両手に抱えた置き看板を店の隅に置いた哲は、

「勝手な事しないでくれる?」

カウンター内に立つ吉夜を睨んだ。


「何だと?勝手なのはどっちだよ!」


バシッ、手に持っていた布巾をカウンターに投げ付けた吉夜は、今にも哲に掴みかかりそうな形相だった。


気付いた公子は哲と吉夜のぶつかる視線の間に入った。


きみちゃんが、僕の目を見た。後ろのカウンター内に立つ吉夜を庇うように。


今日、ここに二人で居たの?


いや・・・ゆうべからずっとかもしれない。


ひやり・・・手も、体の中も冷たくなって、体温を感じなくなった。

積み重なって解けるとき 52 ※哲編

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“最後”だから、話を聞いてやって・・・と吉夜が僕ときみちゃんを二人きりにした。


お店を辞めるきみちゃんの”最後”の話は何だろう。


「綿雪哲さん、好きです。昔から、小さい頃がずっと好きでした。」


嘘だと思う反面、僕も──という気持ちが溢れ出した。


「きみちゃん・・・僕も、小さい頃からきみちゃんの事がずっと好きだった。」


「そう言ってくれてありがとう、てっちゃん。もうこれで思い残す事はないよ。」


「え?」


「お店辞めるから、最後に言いたかったんだ。ありがとう、好きだったよって。」


“だった”?過去形・・・


「えっと、きみちゃん?」


「私、4月から吉夜と同じ会社で一緒に働かせて貰う事にしたの。住む所も吉夜が用意してくれるって。」


吉夜と一緒に?


「二人は、その、付き合ってるの?」


「まだだけど、結婚しようって言われてから意識するようになったの。今までは喧嘩ばっかりだったけど、吉夜っていい所もあるよね?」


「・・・・・・」うん、と言える筈なのに言えなかった僕は、こんなに心が狭い人間だったのかと悲しくなった。


「ここを離れても、時々吉夜と二人で来るから。実家隣だしね。」


「そうだね・・・」


三人は、二人と一人に分かれる。僕は一人の方になった。


「今までお世話になりました。吉夜が帰って来たら、一緒に荷造りするから。」


「うん・・・」


「バイバイ、てっちゃん。今までありがとう。」


言いたくないな、言いたくないけど・・・言わないとならない言葉。


「バイバイ、きみちゃん。今まで・・・ありがとう。」


これでいい。


だけど、きみちゃんを忘れたかった筈の僕の胸は、とても痛かった。


縺曖 93

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伸長も立ち上がり、書架へ向かう皇の後に付いて行った。


「ここですよね、小説の棚って。」と、右手人差し指で、皇が収められた本の背表紙を一つ一つ辿りながら伸長に訊ねた。


「うん。小説のタイトルは?」


「『縺曖』です。」


「恋愛・・・見かけた事、ないな。」


「俺も、蔵書目録の引き出しにあるカードの中に、『藤野朝臣 縺曖』ってあったから探したけど、ずっと棚になくて・・・今日もないですね。まだ返却されていないみたい。」


「え・・・?」

銀と千の心 15 (R-18)

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ちゅぷ、ちゅぷっ、じゅ、じゅぷっ、ちゅぷ・・・


銀矢のモノを咥える千里のカラダが動くたび、湯船の湯面がちゃぷちゃぷ揺れた。


目を瞑り、しゃぶり付く事に集中していた千里の乳房を銀矢は開いている両手で下から悪戯に掬い上げた。


「んっ・・・!」


銀矢がその先端を弄ると、肩を揺らし、身を捩った千里は喉奥から音を出して、目を開いた。


千里は銀矢の雄を咥え続けながら、銀矢を見上げた。


濡れ髪の先から滴るしずくは涙のように、千里の桜色に上気した頬を飾った。


風邪みたいに移して 43

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「なんだ?虫が出たのか?クロイヤツ?」


「違うの。これ、これって・・・」


吉夜が公子の指差した先を見ると、真っ白な生クリームでデコレーションされたケーキが調理台の上にあった。


イチゴも何も載ってない状態。


隣には、そのケーキに載せられそうなイチゴとチョコレートのバースデープレート。


『おたんじょうびおめでとう』


「これが何?」


「こ、これ、わた、私の、なの、かな?」


「ちゃんと喋れ。」


縺曖 92

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目を合わせない皇に、伸長は近くの椅子に座ろうと促した。


「えっと、卑怯な事って?」


訊きながら、貸した本のページを捲ってみる。


特に破れたり汚れたりしていない。貸す前と変わらない状態だった。


風邪みたいに移して 42

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それから吉夜と二人、窓の外を気にしながら、暖房の効くお店の方で、てっちゃんの帰りを待った。


てっちゃんは、すぐに戻って来なかった。


結局、お店で夜を明かした。


朝──


吉夜より先に起きた私が見たのは、カウンターの中に立つてっちゃんの幻影だった。


グラスを磨いてる。私の好きなてっちゃんの顔。


でも今、てっちゃんの笑っている顔を思い出せない。


それが怖かった。


もう、てっちゃんを笑顔に出来ない私になるのが怖かった。


告白して、断られて、お店にも居られなくなって去る事なんてきっと悲しくない。


てっちゃんの笑顔を、もう二度と見られなくなってしまう事が嫌だから、今まで何も言えなかったんだ。


てっちゃんに好きになって貰いたい、じゃなくて、てっちゃんに嫌われたくない、だったから何も出来ずにいたんだ。


振り返ってみると、ただ待ってるだけの日々だった。てっちゃんに好かれる努力もしないで。


どうしたら好かれるか分からない、それじゃあ駄目だったね。


風邪みたいに移して 41

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ぐすっ。


公子が小さく洟を啜った時、吉夜の顔が公子に近付けられた。


ひゃっ、何?!


反射的に目を瞑った公子の右頬に、吉夜の頬が掠った。


そして公子は、先程吉夜が公子の右耳に唇を押し当てて来た事を思い出し、体を強張らせた。


嫌な筈なのに、体が動かないし、声も出せない。


やだ、耳がやけどしたみたいに熱い。


いつもなら『やめて』って吉夜を突き飛ばす所なのに、私、どきどきして・・・


自殺相談所 19 自己否定

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自閉症の男の子のお母さんは、フルサワコズエと名乗った。


年齢は30歳。旦那さんは34歳だという。


シュウくんの一歳半健診の時に大きな病院を紹介され、そこで自閉症スペクトラムと診断され、療育センターにも通い、自宅でも色々頑張っている、けれど効果が見られない事など、ぽつりぽつり話す内、コズエさんが育児の悩みだけで自殺しようと考えたのではない事が分かって来た。


コズエさんとシュウくんを取り巻く環境の中、シュウくんの将来を真剣に考えるコズエさんはあれこれ悩み、疲れ果て、死に救いを求めるようになった。

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