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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

銀と千の心 14 (R-18)

Posted by 碧井 漪 on  


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ザアアア・・・水音と湯気、そして先生の腕に包まれる。


見つめ合う内に、キスをされた。


今日はずっと濃厚なキスばかり。


二人だけだから、本当に以前の、先生と生徒に戻ったような錯覚に囚われる。


「もっと、して・・・」


唇が離れた途端、次のキスをねだっていた。


「冷えちゃうよ。湯船に浸かってからにしよう?」


バスタブにお湯を溜めている間、

「俺はさっき洗ったから」と、先生は私の体を、ボディーソープを付けた指で隅々まで、舐めるように洗った。


風邪みたいに移して 40

Posted by 碧井 漪 on  


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バタン。ブオオオオ・・・


公子が哲を追って外に出ると、哲はもう居なかった。


あれ、お店の車がない。


今の音、車の・・・もしかして、てっちゃんが、車に乗って行っちゃったの?


どうしよう。


てっちゃんに告白出来なかった。


それを吉夜の部屋に戻って報告するのも気まずい。

縺曖 90

Posted by 碧井 漪 on  




奥の書棚まで歩いて来ると、カウンターからは見えない位置で肩を落とし、ふーっと大きく息を吐いた。


皇くんと話したかったけど、今日は無理みたいだ。


外見といい、接し方といい、皇くんは女の子にモテそうだ。僕とは違って。


僕は女の子にモテたいと思う訳ではないけれど、嫌われたくないとは考えている。


クラスでも、僕の席の隣になる女子との机の距離は、他の男子の平均値と比べて離れていると気付いた。


つまり、僕は女子に嫌悪されるタイプの男子・・・であると自覚している。


勿論、男子にも好かれてはいない。だから友達が一人も居ない。

馮離 A面 16

Posted by 碧井 漪 on  

馮離A16
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そして浴槽の中で、俺の開いた足の間にしゃがみ込み、目一杯身を縮こまらせた賢さんの姿がおかしくて、いじらしくて、「あははっ!」と笑う俺の目に、涙が浮かんだ。


賢さんは、こんな俺の為に色々してくれて、なのに俺は素直に『ありがとう』の言葉一つ満足に伝えられなくて、


いつも後悔している。


「可笑しいか?」


「うん、だって、そんなに端っこに縮こまってさ。」


「邪魔かと思って。」


そんな事、絶対にないよ。


俺は膝を曲げる為、右大腿を両手で持ち上げた。


「いいよ、足、伸ばしたままで。」


浴槽の中で賢さんは体の向きを変え、俺と向かい合った。


変な感じだ。男同士、向かい合って湯船に浸かるなんて。


「なんか、照れるな。」右手で頭を掻きながら、突然賢さんが言った。


この状況下、何を言い出すんだと思った。


俺はバクバクし出した心臓の音を気取られないように、

「女性とは何度も入ってるんでしょ?」と言ってみた。

sazanamiの物語 恋愛小説 官能小説 作品一覧+覚書

Posted by 碧井 漪 on  

センリ


【全年齢】 


学園青春系

「相違相恋(休載)」「忘れられない日(休載)」
「夢の影(完結・非公開)」
「そんなにアイシテル?(休載)」

「縺曖」(現在、全年齢)



恋愛系

「それから、愛してる(完結)」
「甘くなくてメンドクサイ(休載)」



短編完結

「静穏の切れ端」
「バッドエンドアンドハッピーリスタート」



短編連載中(続編未定)「再登板」シリーズ(一部R-40)








【R-15】

「自殺相談所(連載中)」
「さざなみのものがたり(限定)」








【R-18】


TL他完結

「雪の香(限定)」「しずく(限定)」
「もっと、すきに、させて(改稿版)」
「恋願わくは(改稿版)」
「それから、ずっと、愛してる」
「夜の天気雨(改稿中)」
「オンナダカラオトコダカラ」
「百世不磨の心」「銀と千のバレンタイン」



GL休載 「僕の好きな人には」


BL完結

「試し愛(限定)」「騙し愛(限定)」
「本当は甘いのが好きなんだ」「SとS(BL)(限定・ムーンライトノベルズ公開中)」
「とてもかくても(22~24・BL)」



BL連載中

「馮離 A面」「馮離 B面」



官能系短編完結

「水晶の雨」「星の中の1つ」「最後のえっち」
「それでも、アイシテル」「しゅわっとシたい」


連載中 「銀と千の心」


休載中 「好ましいアンド」




官能系長編


完結

「とてもかくても」「近男 -Kindan-」

連載中

「乙女ですって」





長編TL他


連載中 

「積み重なって解けるとき」
「風邪みたいに移して」
「雨のち晴れた日に」

休載中

「「みかん」のまま(限定)」
「暁と星(改稿前休・限定/改稿後ムーンライトノベルズに掲載)」






 

縺曖 89

Posted by 碧井 漪 on  




振り返った一年生の彼女は、唇に握った右手を当てながら眉根を寄せた。


そして目の下と耳をカッと赤くして、僕が近寄った事を怒っている、若しくは嫌悪しているんだと判った。


「ごめんなさい。あの、僕は・・・」変な事をしようとしたとかではなくて。


ぷいっと目を逸らした彼女の顔を、何故か僕は見つめたまま、一歩二歩ヨロヨロと後ろに下がり、

ガシャン!

僕の背中は、窓に掛けられたブラインドにぶつかった。


風邪みたいに移して 39

Posted by 碧井 漪 on  


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ぐすっ・・・今何時?21時半過ぎか・・


相当泣いた。もう涙が出ないってくらい。あーあ、明日また目が腫れちゃうな。


取り敢えず鼻水拭こう。ティッシュ、ティッシュ。


ベッドから起き上がり、机に向かった公子のつま先が、何かにコツンとぶつかった。


ん?何、この感触。


机の上の灯かりを点けて、足にぶつかった物の正体を確かめると、それは吉夜の姉に貰った本革のバッグだった。


そうだ、このバッグ、どうしよう。


公子はさっき、スマートフォンで求人検索をする合間に、頂き物のブランドバッグの値段を調べていた。


同じ型のバッグを見つける事は出来なかったが、よく似たバッグがオークションサイトに出品されていて、それは中古品でも10万円以上の値が付いていた。


これは私が吉夜の恋人で婚約者だからくれたのよね。


でも婚約者というのは真っ赤な嘘で、私は吉夜の恋人でもないし、結婚だって考えていない。


縺曖 88

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すらりとした女子生徒。僕よりも目の位置が高かった。


よく日焼けした色の肌にほっそりした頬、眉は凛々しく、目のくりっとした人。


僕の手に当たったのは、彼女の頭だと判って、

「ごめんなさい。痛かったでしょう?」と謝ると、

彼女は右側の短いおさげをギュッと引っ張りながら、「私こそ、すみません、先輩。」と頭を下げた。


銀と千の心 13 (R-18)

Posted by 碧井 漪 on  

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「あー、今、俺の事を変態教師だ、みたいな目で見ただろ。」


ぎくり。


「そんな事、ないよ・・・」


「じゃあ、これ着て。」


「着てって、どこからこの制服持って来たの?」


まさか、どこかの学校へ行った時に、女子生徒の制服を盗んで来たとかだったら大変!


「このホテルで貸し出してるんだ。有料で。」


「有料で貸し出し・・・」


わざわざお金を払ってまで借りたのだったら、着ないと勿体ないような気もして来た。

縺曖 87

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放課後の図書室。


灯かりが点いていない。


伸長は入ってすぐの壁にあるスイッチを三つ押した。


パチパチパチッ。


すると、図書室の天井にある蛍光灯がパッパッパッと点いて、廊下側が少し明るくなった。


東側と南側を窓で囲まれているL字型の図書室は灯かりを点けなくても十分明るかったが、午後になって陽が西に傾くと、北西の書棚の辺りが暗くなる。


伸長は机と椅子の並ぶ南側のスペースに目を向けた。



馮離 A面 15

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馮離A15
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吐いたものは、俺の膝の上ばかりか賢さんの服にまで掛かった。


「ごほ、ごほごほっ!」まだ喉に何か違和感があった。何かの粒?胡椒か?


「大丈夫か、朝臣。」


吐かれた事など気にも留めず、賢さんは俺の背中を手で摩(さす)り続けた。


「苦しいか?もっと吐くか?」


やってしまった。


恥ずかしさと申し訳なさに襲われ、穴があったらすぐに飛び込みたい位だった。


「こほっ、だい、じょ・・・ぶ、くほっ!」


急いでキッチンへ行き、戻って来た賢さんは、手にしたキッチンペーパーで俺の口や顎を拭うと、「風呂場に行こう」と車椅子を押した。

縺曖 86

Posted by 碧井 漪 on  


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昼休みに図書室で会おう、と約束していた訳ではない。


お昼休みに僕が図書室で皇くんを待って居るという事を皇くんは知らなかっただろうし。


5限目の準備で忙しかったとか・・・うん。


一度会えなかっただけで不安になるなんて、僕はどうしたんだろう。


避けられている、という事はないと思うけれど、そうだったりするかもしれないという疑念が大きくなる。


皇くんが僕に会いたくない理由は、貸した本の内容が彼の好みに合わなかったから。


銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 6 最終話

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俺の手から取り返そうとするセンリの手を撥ね退け、何だこれはと見た物は、透明なケースに入った「シロクマ?」のぬいぐるみだった。


「これとにらめっこしてたのか?」


「何だか、見られている気がして。」


白く丸い顔の真ん中に突き出した鼻の少し上に、黒く円らな瞳が二つ寄っている。


「迫力ないクマだな。」


「こういうのは、可愛く作られているんです。」


「へー、これが可愛い?マヌケな感じだろ。」肉球がハートなんてありえない。


「そうですか?先生に似てるのに?」


「はぁ?これのどこが俺に似てるって?」


「抱きしめたくなっちゃう位、可愛い所。」


「・・・・・・」


この間の事を言っているのか。まったく、大きな弱味を握られたもんだ。


銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 5

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「何してんだ、こんな時間に。」


「ちょっと、近くを通ったから。」


バレバレの嘘。


こんなに頬を冷やして、身を切るような寒さの中、俺が出て来るのを待っていたのか。


駐車場に車があったからな、俺がまだ学校内に居ると判ったんだろう。


それにしても、だ。


「馬鹿。風邪引いたらどうすんだ。」思った事が、そのまま口を衝いて出た。


会いたかった・・・


風の音に紛れた千里の声。


俺は聞こえない振りで、

「車に乗りなさい。送って行く。」助手席のドアを開けた。


車を走らせていると、

「先生、ご飯は?」と訊かれた。


銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 4

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バレンタインデーの翌日、センリを送って行った帰りに、ちさとから連絡があって、会うと、「一日遅れちゃったけど、はい、本命チョコ。」と高級なブランドチョコの包みを渡された。


ちさとらしい。


「ありがとう。」


でも、何だろう。


センリから貰ったチョコの時の方が、胸が熱くなってた。


あの時、一生懸命な千里を見て、自分も高校生に戻ったみたいに感じてたのかな。


初めて作ったという、デコボコチョコ。


誰にも買えない、世界でたった一つのそれを貰えた今年の俺は、とても光栄だったんだな。


やばい、本当にこれじゃあ、元生徒に恋する先生になってしまうじゃないか。


俺が本気になったって、いずれ千里に捨てられるんだ。


同年代の男の方が良くなるに決まってる。


「銀ちゃん、それで返事は?」


「返事?」


「本命チョコの返事。」

銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 3 ※R-18

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千里は、自分のカラダに受けて来た傷を、いつか恋する相手に打ち明けるのが怖いんだろう?


大丈夫。


千里を好きになる男は、千里の傷ごと包んで、愛してくれると俺は思うよ。


もしも、過去を黙っていたとしても、それに罪を感じる事はないよ。


千里のせいじゃない。


だから、大丈夫だ。


神様が見ている。千里がしあわせになれるように、きっと導いてくれる。俺はそれを祈る。


「先生、大好き。」


千里は俺の胸に縋り付いた。


裸の千里を抱き締める。肌が少し冷たくなって来た。


「冷えるから、お湯に浸かろう。」

銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 2 ※R-18

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「先生?」


「千里は、俺のシャツ、脱がせて。」


「はい。」


くすりと笑いながら、千里は銀矢のワイシャツのボタンを、銀矢は千里のチェックのシャツのボタンを開いた。


ホックを外したブラジャーの肩紐を下に落としながら、上を向かせた千里の唇にくちづける。


目を閉じ、俺の仕掛けたキスに素直に応じる千里に、堪らない気持ちが込み上げる。


それを抑えて、千里が俺に求めるのは、ただカラダだけだと言い聞かせる。


先生に対する生徒の恩を感じていい期間は十分に過ぎた。


今は、カラダだけ、千里の望む、誰でもいい男のカラダだけ提供するのが俺の役目。


千里の白く滑らかな肌の上を泡で覆いながら、俺の次に、誰が千里のカラダを好きにするんだろうと考えて、無性に腹が立った。


乱暴にしたら許さない。

銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 1

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「疲れた・・・」


呟きながら、自宅マンションの駐車場に停めた車から降りた銀矢は、八階建ての三階の部屋を見上げた。


水色の遮光カーテンの隙間から漏れる灯かりを目にして、どこかくすぐったい。


車をロックして、エレベーターへ急いだ。


部屋のドアの前でポケットに手を突っ込み、あ、そうだ鍵は千里に渡したんだった、とチャイムを鳴らした。


ピンポーン。


応答はない。


けれど、パタパタパタ、と近付く足音が部屋の中から聞こえて来る。


「センリ?」


ドアノブに手を掛けて待つと、ガチャッ、千里が顔を出した。


「先生、おかえりなさい。」


「センリ、今、玄関の鍵、開けっ放しだった?」

風邪みたいに移して 38

Posted by 碧井 漪 on  

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失恋したら髪を切る―――バッサリと。


少女漫画のヒロインなら、そう。


でも私は少女漫画のヒロインでもないし、バッサリ切るという程長い髪でもない。


それに、美容室行ったらお金かかるし・・・


これ以上短くするなら、パーマ掛けないと中学生の時みたいになって、また吉夜に馬鹿にされる。


カット&パーマで一万円弱吹っ飛ぶ。


はぁ・・・失恋して髪形変えるのにもお金が掛かるのよね。


退職した今、次の仕事を見つけるまでは無給。


新しい部屋の家賃、引越し費用、生活費、色々とお金が・・・ああ、お札がパタパタと飛んで行く。


美容室に行く余裕はないわ。





縺曖 85

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キーンコーンカーンコーン・・・バタバタバタッ、ハアハアハアッ・・・!


午後の授業開始の本鈴が鳴り終わった時、伸長は自分のクラス前の廊下に辿り着いた。


切らした息を整えて、シンとした廊下で教室の扉を横に引くと、カタカタカタと戸車の引っ掛かる音が教室内に響き渡り、クラスメイトの半数以上が僕を振り返った。


教壇には、既に先生が上がっていた。


ばつが悪い、そんな言葉が浮かんで俯き、自分の席へ静かに移動し、椅子を引いた。


すると国語の先生に、「白岸くん、どうして遅れたのですか?」と訊ねられた。


積み重なって解けるとき 51 ※哲編

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「だから、結婚しようぜ、俺達。それで丸く収まる。」


結婚?俺達って、え・・・?誰の事?


「だから、じゃなくて、私、その話は断ったでしょ?あ、冗談?冗談なら夢の中でお願いします。」


「夢?ああ・・・寝言はお前の方がひでぇけどな。」


「もーっ!ほんと、一緒に寝た時の事は忘れてよ!」


“イッショニネタ”──


僕の頭上に、大きな岩石が三つ位、今実際に落ちて来たら、この続きを聞かなくて済むのに。

縺曖 84

Posted by 碧井 漪 on  




5月6日金曜日。


連休中の登校日。


高校の正門を潜(くぐ)る生徒達の顔は、皆 気怠げだった。


その中で一人、いつもは存在感を放っていない二年生、白岸伸長だけは、口の端を上げ、空を見上げるようにしたその足取りも軽く、ぐんぐんと生徒達の間を縫って進んだ。


放課後、いいや、昼休みになったら図書室に行こう。楽しみだなぁ。


銀と千の心 12 (R-15)

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バタン。


ドアの閉まる音がして、ペタペタペタとスリッパを鳴らして千里の前に現れたのは、バスローブ姿の銀矢だった。


「千里、もう起きたの?」


「ぱ、パパ、ここって、あの・・・」


「ホテル。」


ホテルって・・・大人玩具の自動販売機や雨戸を閉められた窓を見れば、普通のホテルじゃなくて、ラブホテルだって私にも判る。


「な、なんでここに・・・」


「千里、よく眠ってたから。」

縺曖 83

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先生は『また来てね』と言ってくれたけれど、僕がもう一度先生にお会いするのは、難しいような気もしていた。


再び会う機会を得られたら訊いてみたい。でも、実際には訊けそうもない。


先生に会えたその時には、きっと緊張してしまって、頭の中から訊きたい事は全部抜け落ちて、たわい無い話になってしまうんだろう。


小説を書き終えた時、どんな気持ちですか。


僕が知っても、何にもならない事。


でも・・・あ、そうだ!休み明けに、皇くんに訊いてみようかな。

積み重なって解けるとき 50 ※哲編

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姉の作ってくれたお粥は、僕の知らない味だった。


インターネットか料理本で調べたレシピかもしれない。


蒸した鶏肉が解(ほぐ)され、溶き卵と共に散らしてあった。


だしは中華風。塩加減も丁度良かった。


料理を一生懸命頑張るのは加集さんの為。


「いいな、加集さんは。」


茶碗によそわれた分を食べ終え、腹の中が温まった時、そう思った。


自分が想い、自分を想ってくれる相手と一緒になる。


中々ない事だと思う。

縺曖 82

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図書委員になったばかりの頃は、

図書室に来る生徒にお薦めの本を紹介して、喜んで貰えたらいいなという期待を胸に抱いていた。


でも現実は、

図書室に来る生徒は僅かで、定期テスト前の勉強や資料探しを目的の生徒が主で、

古くからある名作や、長編小説など、借りて行く生徒は殆んど居なかった。


貸し出しで、唯一待たされる状態が発生しているのは、数年前に入ったという文庫の漫画コーナーにある本達。

図書リクエストにも漫画のタイトルを書く生徒が多い。そして漫画コーナーを拡充して欲しいという声も。


積み重なって解けるとき 49 ※哲編

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僕は弱いから

でも本当に強くなりたいなんて思った事は今までになかったのかもしれない




弱いままでいいなんて言わないけれど

今のままで居たいとは思った事がある




誰かが言ってた

変わらないと進めないと




時の流れるままに生きていてはいけないのかと

足掻いた時もあった




あの頃より今の僕は変わったのかもしれないし変わっていないのかもしれない




僕自身には何がどう変わったのかはっきりと判らない




ただ一つ分かった事は

僕は齢を取った




足掻いていたあの頃を懐かしむくらい




今年もまた一つ齢を重ね

変わったかどうかも分からない中身と来年には変わっている外見




それでも生きていられる事が

しあわせなんだろうと思う所まで来た




変わっても変わらなくても

僕は僕にしかなれない




今日も明日もそれからも



変わっても変わらなくても僕のままだと思う





縺曖 81

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伸長は、皇の部屋に本棚が無かった事が気になっていた。


それに、朝臣の書いた小説も読まないと聞いていたので、皇は本が嫌いなのかもしれないとも思い始めた、その矢先、伸長のお気に入りの小説を皇が読み始めた時には、二重の喜びを感じたのもある。


その本を読んで欲しい、そう願った。


「でも、俺は―――」皇は目を伏せ、唇を噛み締めた。


「本当に面白いんだ。読んでみて。」


「じゃあ・・・ありがとう。」


自殺相談所 18 自閉症スペクトラム

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椅子に座った女性の隣で男の子は、椅子に乗ったり降りたりを繰り返した。


今は椅子に座った状態で、ベビーカーを手繰り寄せては、遠ざけてを繰り返している。


坊ちゃん刈りのあどけない男の子。


対して女性の顔色は青白く、頬には涙の乾いた痕があった。


俺達の顔を見ようとはせず、膝の上に握り合わせた両手をじっと見ていた。


ジュースを買いに行ったワタナベさんはまだ戻って来ない。


女性は黙ったまま、何も話さなかった。


「死にたいですか?」


所長が静かな口調で言った。


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