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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

自殺相談所 8 自殺概念

Posted by 碧井 漪 on  

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「自殺したいと考えている人に関わりたくない、そう考えている方が多いのが事実です。中途半端な事を言って自殺されたら堪らない、ですけれど、あなたに相談者が自殺した責任を取れなどと言いません。自殺は自己責任です。誰かに”死ね”と言われて死ぬというのはすべて自分で選んだ道です。自分の人生は自分で決めなさい、それならば生きるも死ぬも自分で決めて良い筈ですが、大概の人間は仲間と意識する人間を生きる事へ縛りたがります。」


「俺・・・宗教とか、そういうのやらないんで。」


「宗教について私は詳しくありませんが、信仰心が無かったら自殺しているという方はいます。宗教が存在しなければ、多くの人が自ら命を絶つ世界となるかもしれません。」


「じゃあ・・・人って何の為に生きてるんですか?生きる意味って何ですか?」

百世不磨の心 68 (ムーンライトノベルズ83話) あったかい心

Posted by 碧井 漪 on  

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12月23日、週の真ん中の祝日、11時に、琥珀の大学最寄り駅前のコーヒーショップで待ち合わせた。


待ち合わせ20分前に店に入った金矢は、店内を見回し、琥珀の姿を捜した。


まだ来ていないか・・・ええと、こういう所は入ったことがないからどうすればいいんだ?


「いらっしゃいませー。こちらでご注文を承りまーす。」と俺と同じ位の齢の女性店員がカウンターの向こうから明るい声を掛けて来た。


「あ・・・」えーと、先に注文して席に着くスタイルの店かな?


俺だけ先に注文するか?それとも琥珀が来てから・・・と迷った金矢は、一度、ガラス張りの店の外を振り返った。


すると、店の前の歩道を、ターッと、左から右へ走り抜ける「琥珀?」の姿を見つけた。


「お客様ー?どうぞ。」


店の外を振り返っていた金矢の耳に、カウンター内の女性店員の声が飛び込んで来た。


百世不磨の心 67 (ムーンライトノベルズ82話) 心を動かすもの

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百世不磨67

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今、誰よりも会いたいのは琥珀だった。


俺に会いたいと来てくれるのは、琥珀しかいないのに、俺は何をしている?


琥珀・・・俺を助けてくれないか?何も出来ない俺の手を引いて、「絶対死なない!」と未来へ引っ張って行ってくれないか?


会いたいと思っていたからなのか、目を開くと琥珀が立っていた。


俺は、琥珀が立っているその場所に見憶えがあった。


小学五年生の林間学校、銀矢の写真に写っていた景色だ。


俺は行く事が出来なかったその場所へ、いつか行ってみたいと思っていながら、まだ行った事が無かった。


山に囲まれている湖へ続く林道は、緩やかな坂道。


山桜の終わった新緑を纏う樹々の中、遅咲きの桜なのか、どこからか花弁が風に散り、舞っている。


その景色の中に立ち、嬉しそうな顔をして陽の光を仰ぎ、手招きする琥珀の姿を目を細めて見ている――――のは、俺だけではなかった。


「琥珀!」喉から出した筈の俺の声は、もっと甲高い、聞き憶えのある声だった。


その声の主を思い出している間に、琥珀の隣に現れたのは、琥珀の親友・みゆきちゃんだった。


二人は手を繋ぎ、景色の奥へと向かって歩いて行く。


俺はそこへ行った事が無い・・・行けない。


声も出せない、足も踏み出せない。


琥珀、待って。


「金ちゃん、さよなら・・・」


振り向いて手を振った琥珀は泣いていた。


途端、俺は真っ暗闇に落とされた。


ああ・・・とうとう死んだのか。


死ぬなら、もう一度、琥珀を抱きしめておけば良かった。


俺が本気で琥珀を好きなこと、伝えてしまえば良かった。


百世不磨の心 66 (ムーンライトノベルズ81話) シロクマ

Posted by 碧井 漪 on  

シロクマ

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もしも明日、出発したら戻れない旅に出るとしたら、あなたは一番大切に想う人に、何と告げますか?


愛してる

さようなら

忘れないで



どれか一つ、または全部、或いは他の言葉。


俺は・・・相手の未来を考えるなら、さようならだと考えた。


だけど、心は違うみたいだ。


どれも言えずに、大切に想うとする相手から逃げた。


愛してるから愛される、そうじゃない愛なら素直に飛び込んで行けるのに。


俺が先に死んで愛せなくなるかも知れない。


その時に、不幸だと嘆かれない愛なら、俺は心から欲しいと言えるのに。


先の短い愛なんて押し付けられない。


だから退いたんだ。どうしようもなく欲する前に。


命には限りがある。あと何年、傍に居られるかわからない。


死なない、言われた通りにしたいよ。


琥珀と、もう死んでもいい頃だねって話せる位、長生き出来たらしあわせだろうけれど、それはきっと簡単じゃないと思ってる。


またいつ手術が必要になるかわからないし、日常生活だって、今までと変わらず制限がある。


普通の人、普通の生活、そういうものに憧れる。


普通は、誰もが持っている基準値ではないと思う。平均、そういえばいいのかもしれない。


俺の寿命は平均以下になる可能性が高い。


琥珀を手離さずに、死ぬ日を迎えること・・・・・・それは良いのか悪いのか、考えてもまだ、答えが見つからない。



乙女ですって 175 (R-18) おひなさま

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エレベーターの扉が閉まるところを目の端で捉えた菜津子は、慌てて5階のボタンを押した。


そのあとで、R階のボタンを押してある事を隆人に見られてしまったかもしれない、と気にした菜津子は、上昇している最中のエレベーターの床に落としたままだった視線を、首を回すようにして後ろへ向け、隆人の様子を窺った。


隆人は手にしているプラスチックのファイルを開き、その中へ視線を落としていた。


再びボタンの方へと首を回した菜津子が、ホッと胸を撫で下ろした時、

カクン・・・エレベーターが5階に到着し、扉が開いた。


コツ、カツ・・・隆人が前に踏み出す足音が菜津子の耳に届いた。


視線を斜め下に向けたまま、菜津子は右手で開のボタンを押し、左手で扉を押さえていた。


菜津子の横を通り過ぎ、エレベーターからフロアに足を降ろした隆人は、

「ありがとう。」と言った。


乙女ですって 174 (R-18) 秘めやかな愛

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三月三日火曜日の昼休み。


菜津子はいつものように、経理課室の自分の机でお弁当を広げようとしていた。


課長も他の社員も主に会社外で食べる事が多かった。


菜津子はいつも社員食堂でお弁当を食べていたが、最近は隆人の姿を見かけないようにする為、経理課室で食べるようになっていた。


菜津子がランチバッグを机の上に置いた時、珍しく木南が菜津子に声を掛けた。


「綱島さん、教えて欲しい事があるんですけれど・・・」


「何でしょうか?」


机の横に立った木南の顔を見上げながら、椅子に掛けたままの菜津子は姿勢を正し、ランチバッグから手を離して訊いた。



百世不磨の心 65 (ムーンライトノベルズ80話)

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金矢-1

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コートを脱いで、手洗いうがいを終えた銀矢は、ダイニングの椅子に腰を下ろした。


テーブルの上に置いた湯呑みにお茶を注ぐ金矢に向かって、

「コイバナって恋の話だよ。」とふっと笑いながら銀矢は、「男兄弟でする話でもないって思ってたけどな。」と続けた。


「コイって錦鯉?国魚の・・・」


「違う!・・・生物オタクめ。恋愛の方の恋だ。」


「レンアイのコイ?」


首を傾げながら金矢は銀矢の前に湯呑みを置いた。


「萩原!」


ゴトッ、バシャッ!


「えっ?あっちぃ!」


金矢が手で倒した湯呑みは、テーブルの上をゴロゴロゴロと転がった。


「金矢、何、動揺してんだよ。」


少し笑いながら銀矢は、箱から引き抜いた幾枚かのティッシュでテーブルの上に広がったお茶を拭き取った。


キッチンから布巾を手に戻った金矢は、入院した時も見せた事がない暗い表情を浮かべながら、「こは・・・萩原の話、しないで。」と銀矢に言った。


君の髪

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君の髪

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僕は、君の髪の毛になりたい。


笑う度 揺れる、やわらかそうな髪の先が、君のピンク色のほっぺたをやさしく包み込む。


放課後、放送室の西窓を通ったオレンジの陽に透けて、金色に輝いている君の髪。


君が嬉しそうな時、とても楽し気に動く。


君が悲しそうな時、それを隠して守る。


何も言わないけれど、髪は君の感情を表わす大切な君の一部で、多分僕より、今の君の気持ちを解っているところとか、羨ましい。


でも僕が、君の髪の毛になる事は不可能だ。


百世不磨の心 64 (ムーンライトノベルズ79話) 恋話

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センリ-1

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午前中は日陰だった公園のベンチ。


夕方近くなると、西に傾いた朱い陽は、ベンチで眠り込んでしまった琥珀の全身を鮮やかに包み込んだ。


こくっ、こくっ、カクッ、ガクッ・・・!


前後に揺れていた琥珀の頭が、大きく前に突出した時、

「危なっ!」ガシッ、琥珀の肩を掴んで前に転ぶのを止めた男は・・・


「ん・・・え、っ?」


薄く目を開いた琥珀の前に立っていたのは、

「金、ちゃん・・・?」そう思いたかった。


「よく見ろ。金矢じゃない。」

そう言って掴んだ琥珀の両肩をベンチの背凭れ側に倒したのは銀矢だった。


琥珀も何となくわかっていた。


ただずっと金矢を待ち続け、うたた寝の夢の中にも出て来たのは金矢だった為、ここへ来たのが金矢だと思いたい気持ちからだった。


「この公園でずっと金矢を待ってたのか。」


「すみません。どうしても会いたくて。金ちゃんが実家から帰って来る時、駅からマンションまで、必ずここを通るかなって思って。」


「それは勝手だけど、眠りこけてる内に金矢が通って気付かなかったらどうするつもりだったの?それに、陽が暮れてからも眠ってたら危険だぞ。」


「あ、ははは・・・そうですよね。だけど・・・そうしたら私、どうしたら・・・はっ、くしゅん!」


銀矢は首に巻いていたマフラーを外すと、琥珀の首に巻き付けた。


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