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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

自殺相談所 7 (R-15) 自殺願望

Posted by 碧井 漪 on  

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「ナガイさんは自殺したいと考えたのはいつ頃ですか?よろしければ原因も教えて頂けませんか?」


何も言えなくなった俺は、所長に訊かれた問いに、素直に答えるしかなくなっていた。


「俺が自殺したいと思ったのは、大学中退した五年前くらいです。理由は解らないけど、六年前突然電車の中で倒れて、それから乗れなくなって、心の病気だって診断されて。原因も解らず、毎日気分が落ち込んで、何も出来なくなって・・・大学も辞めて、生きる意味とかないんだったら死んだ方がいいんだろうなとか、でも死のうとする行動も起こせなかったから今、生きてる感じで。その当時、いい自殺方法を知ってたら死んでたかもなとは思います。」


「いい自殺方法ですか。それは私も知りたいです。何を以って”いい”というのでしょうね。」


乙女ですって 173 (R-18) 新居探し

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出産予定日。


それはもう決まっているけど、隆ちゃんには言ってない。だけど、言えない・・・言ったらバレちゃうから。母子手帳も隠してある。


「いつ頃になる?」


「ま、まだわからないの。次の検診の時にわかると思うけど・・・何で?」


「出産の時、病院を変える事になると思う。大体の予定日は10月前後になりそうだよね?」


「な、なんで10月だと病院を変えることになるの?」


もしかして、隆ちゃん、セックスした日から予定日を割り出したの?


それで出産予定日を算出しない今の病院に不信感を抱いてしまっているとか?


百世不磨の心 63 (ムーンライトノベルズ78話)

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翌日、日曜日の9時過ぎ、琥珀は金矢の部屋を訪ねた。


電話しても留守番電話で、メッセージを残したけれど、金ちゃんが聞いてくれているか分からない。


ドキドキドキドキ・・・・・・


玄関ドアの前で深呼吸した琥珀は、エイッ!と右の人差し指でインターホンのボタンを押した。


ピンポーン。


ドキドキドキ。


なんだか緊張して引き攣っちゃう感じ・・・ううん、笑顔笑顔。


シーン。


あれ?今、インターホン鳴らしたよね?


もう一回。


ピン、ポーン。


部屋の中から聞こえて来た音は確かに”ピンポン”。


んん?金ちゃんもう出掛けちゃったの?


それとも、居留守?と考えた時、


ガチャン、キィー・・・


中から鍵が開いて、ドアが開く。


乙女ですって 172 (R-18) 一緒に暮らしたい理由

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「今夜のお夕飯は何にしようかな?」


夕方17時過ぎ、隆人と離婚して、八年間離れていたマンションのキッチンで呟いた、舞は軽く膨らみ始めたお腹をエプロンの上から両手で支えた。


「でもほんと、ここに戻って来れて良かった・・・ね?赤ちゃん。そうだ、今日は焼き魚とおひたし、それから・・・」


舞は夕飯を作りながら、今日に至るまでの事を思い返した。


あのままだったら、私も、このお腹の中の子も、そしてはなも、しあわせになれなかったに違いない。


隆ちゃんには感謝してる。だけど・・・もう恋をしていない。昔みたいにときめいたりしない。


社内恋愛は、あくまで社内でだけ。


閉塞的な世界だから、恋愛感情がいつもより八割増しになるのよ――――


社内の隆ちゃん、今はアラフォー部長だけど、当時はアラサーの安藤隆人課長は、若くて勢いがあって、そして白髪もなくって、かっこ良かった。


優しくて頼りがいがあって、ティーン向け恋愛小説に出て来るイケてる上司って役にピッタリの男だった。


勿論12年後の今だって、同年代の男に比べてイケてる方だとは思う。


大きな企業の部長で、お金にルーズでもなければ、女にだらしなくもないし、


暴力や暴言なんて絶対にしない人だし、変な趣味もない。


それなのに何で離婚したのかって?


百世不磨の心 62 (ムーンライトノベルズ77話)

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『あの二人は昔から両想いだ』


へぇ、そうなんですか。


だから何だっていうんですか?金ちゃんと付き合ってるのは私です。


・・・とは、言えなかった。


胸張って、『私が金ちゃんの彼女です!絶対に別れません!』と言っても何の効果もなさそうなのは、銀矢先生の言葉を完全に疑えず、金ちゃんもちさとさんも両想いかもしれないと思ってしまうから。


それに、誰に対して胸張ればいいの?


銀矢先生は私と金ちゃんに、ちさとさんのことを抜きにしても別れて欲しいみたいだし、みゆきちゃんも―――――


もしも私のことを女として”好き”でいてくれるなら、金ちゃんと”別れろ”って思ってるかもしれない。


銀矢先生もみゆきちゃんも、そしてちさとさんも私と金ちゃんが付き合うことに反対?・・・ハッ!そうだ、思い出した。


私がちさとさんに初めて逢った時、頬を叩かれていた。


あれがもしも”嫉妬”もあったのなら、ちさとさんは金ちゃんを好きということになる、かもしれない。


そして、金ちゃんも、ちさとさんの話をすることがない。少しも話さないのって、おかしいよね?


考えれば考える程、疑惑の渦の中へ引き摺り込まれて行く感じ。


そして呑まれて、私さえ居なかったら、

銀矢先生はせんりちゃんと、金ちゃんはちさとさんと、みゆきちゃんはおっちょこちょいじゃない女の子と、上手く行くんじゃないかって考えてしまったりもしてる。


Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 後編

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何故こんな事に・・・


純白のウエディングドレスを纏った瞬太朗は、自分の姿が映っている鏡の方を向く事が出来なかった。


いくら光樹に「瞬くん、似合うよ。僕の代わりにモデル出来るね!」とかお世辞言われても、


「おにいちゃん、やっぱりおよめさんだったんだねー!」と愛麗に はしゃがれても、


「びじんー、しゅんくんすごーい!」と由宇野ちゃんに言われても、


俺の頭の中は、みんなが帰った後で監督に、

『何でドレスなんて着ちゃってんだよ。瞬太朗はサツキ(梧朗)とは違うんだから、そんなことしなくていいの!』はははっ・・・と、二人になった途端に笑われ、反省会が始まるだろうと怯えていた。


情けない、そして浅ましい、姿形も心も存在自体すべて。もうとにかく一生で一番恥を掻く日になったのは間違いない。


ああ・・・今すぐみんなの記憶を消去したい。


「出来たよー!」こうめちゃんの弾んだ声と共に、白のタキシードに身を包んだ監督がリビングに登場した。


Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 中編

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2月14日18時過ぎ、セイのマンション。


「瞬くん、来たよ。」


「おじゃましまーす、あいり、どいてよ!」


「なんでゆうのまできたの?」


「いいでしょっ、ゆうののおにいちゃんだもん!」


あーあー、この先が思いやられる。


光樹が由宇野ちゃんの手を引き、後ろには、荷物・・・?


「こんばんは。お邪魔します。」荷物が喋った。


「あ、ああ、気付かなくてすみません。」瞬太朗は光樹の後ろで衣装らしき荷物に埋もれるこうめに気付くと、慌てて荷物を受け取ろうとした・・・が、


「大丈夫です。どちらまで運びますか?」と、光樹と由宇野に続いて靴を脱いだ小柄なこうめは、荷物を抱えているので瞬太朗から顔が見えない。


「じゃあ、こっちの部屋にお願いします。」


「はい。」


瞬太朗は、かつて梧朗が使っていて今は衣類雑貨を置いている部屋にこうめを案内した。


「自由に使って下さい。足りないものがあったら買って来ます」と瞬太朗が言うと、こうめは「ありがとうございます。十分です」てきぱきと支度を始めた。


さすが、たんぽぽさんの娘さんだ。しっかりしてる。


Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 前編

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(「SとS」最終話の6か月前)


2月13日の夕方。


瞬太朗は23歳、正式にセイの養子になる為の手続きをしに、セイと共に日本に戻って来ていた。


芸能事務所へ行くというセイと別れ、瞬太朗は一人で実家に顔を出すと、父・梧朗はドラマの撮影で不在、母・姫麗は7月スタートの連続ドラマ脚本執筆の追い込みで部屋から出て来られない状態だった。


相変わらずだな。


料理は家政婦さんが作ったり、最近は麗太朗が作ったりしていると、愛麗が教えてくれた。


・・・けど、何だこのキッチン・・・酷い有様。


「これ、愛麗がやったの?」


「えーん、えーん!」


「泣かなくていいけど、何を作ろうと・・・あ、これ?ハートのチョコレートケーキ?一人で?」


「だって、ばれんたいんだから。でもママおしごといそがしいし、けんちゃんいないし、れいちゃんブカツだって・・・」


「愛麗一人で作るのは無理だよ。オーブンでやけどしたら大変。ママ、鬼になるよ?」


「ママがオニ?ううん、オニはけんちゃんだったよ?」


「節分の話じゃなくて・・・わかった。これはお兄ちゃんが作るよ。」


「だめ!あいり、まぜたいの!あいをこめて。」


「ぶっ!愛を込めて?一体誰に作るつもり?パパ?」


「ちがうもーん!けっこんしたいひと!」


「ええーっ?!誰?!」





乙女ですって 171 (R-18) 結婚したい人したくない人

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「はーっ、くしょん!」安藤隆人はくしゃみをした。


時刻は23時過ぎ、灯かりを落とした自宅マンション北側の7畳洋室で独り、フローリングの上に敷いた煎餅布団に包(くる)まる身を縮こまらせていた。


舞とはなが来るまで、物置としてしか使用していなかったこの暖房器具もない部屋は現在、舞とはなの衣類や雑貨を入れたプラスチックコンテナが積み上げられ、半月前までは舞とはなが眠る時に使用していた。


しかし半月前にベッドルームを親子二人に譲ったが為に、物置と化した狭い洋室の冷たい床に敷かれた薄っぺらい布団が隆人の今の寝床となっている。


地震が起こったら あっと言う間に崩れそうな荷物の山に囲まれ、まぁそれならそれでもいいやと思いながら。


寒いな・・・ラグのあるリビングの方がまだマシだ。エアコンもあるし、ここよりは安全そうだし。


でもあっちで寝ると、舞がうるさいしな。


『この部屋で私達は一か月耐えたんだからね!』と恨みがましく言われる。


別にいいけど・・・


加集と綿雪さんが結婚かぁ・・・二人で新たな未来を見つめる時期か・・・そんな事もあったな。


百世不磨の心 61 (ムーンライトノベルズ76話)

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琥珀達がセンリに会いに行った日、金矢は実家に戻って来ていた。


銀矢が結婚したら、マンションを出なくてはならないと考えている金矢だったが、琥珀の生活圏内からは離れている実家で暮らす事に少し悩んでいた。


「銀矢は学校?」金矢の母が台所でほうじ茶を煎れながら、ダイニングテーブルで新聞を読む金矢に訊いた。


「そう。どうしたの?用事?」


「住む所、どうするのかと思って。何か聞いてる?」


「聞いてないけど・・・俺、この家に戻って来てもいい?」


戻って来ないでと言われたら、一人で暮らせる・・・けれど、


「戻って来て。その方が安心よ。」金矢の場合、一人で暮らしなさいと言われる訳がなかった。


俺が一人で暮らす事を周囲が許さないのは当然だ・・・こんな時は、銀矢が羨ましくなる。


だからといって、俺と銀矢が逆であれば良かったとは考えない。


風邪みたいに移して 20

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出勤時刻、公子は厨房のドアを開けられずに、溜め息を吐いた。


建物の北側、陽の当たらない場所は朝でも暗くて、吐き続ける息も白い。


ドアノブを持つ手を放した公子は、表から裏に運ばれたプラスチックの大きなゴミバケツの蓋を開けた。


ゴミは無くなっている。


洗っちゃおう。


公子は外水道に付けたピンク色のビニールホースの先を手に持つと、蛇口を捻り、水を出した。


ジャババババ、バケツの中で渦を巻き、溜まって行く水を眺めて、公子は、また溜め息を吐いた。


あーあ、あと何回だろう。私がこのゴミバケツを洗うのは。


好きでも嫌いでもない仕事だったけど、それも近い将来出来なくなるのかと考えると、出来なくなるのは嫌だなと思う仕事だった。


お客さんが来なくて、手持無沙汰な時間も嫌だって思ってたけど、

てっちゃんと過ごせるかけがえのない時間だと考えると、一分一秒が贅沢な時間に変わって行く。


でも、いくら恋しても、届かない相手なんだよね。


ただの幼馴染みならまだいい方?


てっちゃんは幼馴染み以下に想っているかもしれない。


『関係ない』存在の私。


正直に『腐れ縁』だと言い切る吉夜の方がまだ、私の存在を意識してくれているような気がして来る。


店主と従業員・・・てっちゃんにとって私の価値は、吉夜の『腐れ縁』以下の所にある、多分。


改めて自覚出来ると、大層落ち込んだ。


百世不磨の心 60 (ムーンライトノベルズ75話)

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センリちゃんとソウさんが社員寮の前で車から下りた時、

「萩原さん、もう来ないでね。このベビー服は、ありがとうございます、っておじさんに伝えて下さい。」とセンリちゃんに言われ、


ソウさんは何か言ってくれるかと思ったけど、センリちゃんの後ろで、まーまー、と宥めながら「送ってくれて助かっちゃった。ありがとね!」とだけ言って手を振った、けど、

ソウさんのことだから、センリちゃんの赤ちゃんが産まれたら連絡してくれる気がする・・・私はフロントガラス越しに、寮の門を潜る二人に手を振り返した。


センリちゃんから直接、出産予定日聞けたし、収穫がなかった訳じゃない。


ちょっと暗い話を聞いちゃったけど・・・きっと婚約者が死んじゃった時の辛い話だったんだろう。


二人の姿が見えなくなるまで見送った助手席の私の隣で、みゆきちゃんは電話をしていた。


「もしもし、センセ?うん、今送ったとこ。これからそっちに向かうから・・・わかった、駐車場ね。じゃあ屋上で。飲み物?あー、じゃあ、俺はホットコーヒーで。琥珀は・・・何がいい?琥珀。」


「えっと、じゃあココア、は眠くなるから、カフェオレ!」


自殺相談所 6 自殺反対

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コンコン。


二つあるドアの一つ、俺が連れて来られた方のドアが外側からノックされた。


ハッとした俺は、首をそっちへ動かした。


「はい、どうぞ。」


カチャッ、ドアが開いて入って来たのは、鼻髭眼鏡の所長・タナカだった。


「お待たせしました。お師匠様。いかがですか、彼は。」


タナカはふざけた眼鏡を外し、机の上から普通の眼鏡を掛けてばあちゃんに訊ねた。


「あなたを待っていたところです。お茶が入りましたから、お二人でどうぞ。戸棚の中に頂き物のカステラがありますから召し上がって。次の方が見えられるので、私はそろそろ戻ります。」次の方が見えられるって、まるで予見しているみたいだ。


ばあちゃんはタナカに丸盆を手渡し、載せてある三つの湯呑みの一つを取ると、軽く仰いで飲み干した。あまりに早かったので、最初から湯呑みの中にお茶を、ほんの少しだけしか注いでなかったんだと思えた。


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