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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

乙女ですって 170 (R-18) 合鍵返却

Posted by 碧井 漪 on  


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大急ぎで戻った会社で俺を待ち受けていたのは・・・

小会議室に着くなり、ヘッドロック攻撃を仕掛けて来る九子先輩だった。


みんなは資料をここへ運んでいる最中らしく、不幸にも止める人が皆無な状況だった。


遠慮なく俺をぶちのめせるチャンスだと言わんばかりの九子先輩は、体全体で俺に技を掛けて来た。


「てめぇ、このヤロおぉぉ!」


「ぐわわ、先輩、何してるんですかっ、苦し・・・や、やめて下さいー!」


「うるせぇ!俺は社を代表して、お前に制裁加えてんだ。」


「制裁って、何の―――?」


「すっトボけてんじゃねぇよ!うちの社のマドンナを。」


「マドンナって、古っ・・・」と言ったところで、ああ、溪ちゃんの事かと思い当たり、口元が緩んだ。



積み重なって解けるとき 41

Posted by 碧井 漪 on  

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彼の部屋でシャワーを浴びた後、さっき脱ぎ捨てた会社の制服に再び着替えていると、

「溪ちゃん、ごめん!俺、もう戻らないといけない時間が迫ってて、あと少ししかいられない。」 と彼が言い出した。


お部屋の時計を見ると、あと10分で13時になる。


「えっ、あ・・・ごめんなさい!」急がなくては、と溪は手早くブラウスのボタンを閉めた。


彼は引き出しから取り出したものを、私の手に握らせた。


「急がなくていいから。これ、この部屋の合鍵。溪ちゃんが持ってて。」


「えっ、でも・・・!」


「好きな時に入っていいよ。何もない部屋だけど。」


ハンカチ、指輪、そして合鍵。


彼から貰って嬉しくなかったものなんてない。


だけどこれは・・・ただの物じゃない、彼が私に心を許している証だと思えた。


「あっちゃん・・・ありがとう。嬉しい。」私は、ぎゅっと両手で彼の部屋の鍵を握り締めた。


乙女ですって 169 (R-18) 制服白昼×××

Posted by 碧井 漪 on  


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会社の制服をこれでもかと乱して、肩で息吐(いきつ)く溪ちゃんの姿を見ているだけで、俺のカラダもどんどん熱を帯びる。


"嫌"って拒絶されたから触れられないけど、十分興奮させられる眺めだ・・・と、溪ちゃんの蜜には触れられなかった欲ボウを、宥めてんだか、煽ってんだか、よくわからなくなって来る。


やがて、溪ちゃんがモソモソ・・・再び脱ぎ出した。


これ以上どこを?と丸くした目でみつめると、溪ちゃんは腰の両脇から挿した親指で、ストッキングとパンティーを一緒にするする下ろしてしまった。


「ほ、ほんとに?」思わず声を上げてしまった俺は、すぐ「ほんとに、どうしたの?」と続けた。


積み重なって解けるとき 40

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「約束していたって、りいなちゃんとですか?」


あなたは、私と別れて一か月経たない内にもう次の相手を考えていた・・・・・・


「えっと、あの・・・」


「全部、教えて下さい。」


「うん、それは・・・先週金曜日、鈴木さんとお昼を一緒に食べていた時、土曜日に溪ちゃんの実家に様子を見に行こうと誘われて、それで・・・」


いつもの堂々とした彼らしくない態度が私を苛立たせて行く。


「それで?」こんな返し方は失礼だって解っているけれど、昂る気持ちを止められず、つっけんどんにしか出来なかった。


「鈴木さんがバレンタインに恋人と別れたばかりだから、ホテルのケーキバイキングでやけ食いするからどうかと誘われて・・・」


りいなちゃんが長く付き合っていた恋人と別れたこと・・・知らなかった。


やけ食いって、それなら私に・・・あ、私、休んでいたし、食べられない事も知っているから、誘われる訳ないわね。


「ホテルって、ケーキバイキングのことだったんですね。私はてっきり―――」でも、彼(加集)を誘うのはおかしい、気がする。男性とケーキを食べに行こうと考えるかしら?それもホテルに・・・


「て、てっきり、何?」気になる加集は続きを促した。


「りいなちゃんとホテルに泊まる約束をしたのかと・・・」


確かに彼は言った。『明日、女とホテルに泊まるから』そして、『俺はセックスしたいんだ』と・・・


「約束は、して・・・」加集が言葉を切った時、溪はこくんと小さく呑み込んだ。



百世不磨の心 59 (ムーンライトノベルズ74話)

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琥珀がお店の中の通路を急いでいると、「センリ、大丈夫?病院行く?」ソウが、お店前の通路端にあるベンチの前にしゃがみ込んでいる姿が見えた。


ベンチに腰掛けている人は、背中しか見えないけど、髪型とコートからセンリちゃんだと判る。


「いい、少し休んでたら治ると思うから・・・」


「ほんとに?無理しないでよ?」


「うん。」


「何かあったかい物、買って来るから。」


「え?いいよ、ソウちゃん。」


「琥珀、センリに付いてて。」


「はいっ。」琥珀が返事をすると、ソウは階下へ向かうエスカレーターに乗って、行ってしまった。


乙女ですって 168 (R-18) GIROCHIN

Posted by 碧井 漪 on  


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嘘をつき通せば良かったなんて思わない。


もっと早く伝えておけば良かっただけ、一番大切なのは溪ちゃんだって。


身から出た錆、傷付けるつもりはなかったんだ。


ただ、溪ちゃんと別れたくないって思ってただけなんだ。


加集はしゃくり上げる溪の背中に近付きながら、「ごめんね、溪・・・」伸ばした右手が溪の背中に触れる前に、突然溪が振り返った。


手を宙に浮かせたままの加集を見つめ、頬に涙の筋をいくつも作った溪は、胸の前で両手を合わせて握り締めながら、

「どうしたらいいのか教えてください。あなたが私を愛せなくなったら、私はどうなってしまうのか、怖くて考えられません。だからこの先、もしもあなたが浮気したら・・・私も浮気します!」はっきり宣言した。


乙女ですって 167 (R-18) 既視感(デジャブ)

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午後の会議資料作成を総務と合同でする事になってしまった為に、溪からの連絡を待ちながら時折時刻を確認していた加集だったが、連絡を待たずに、いよいよ昼休憩を取らなければならなくなっていた。


溪ちゃん、まだ連絡をくれない。


鈴木さんと何か話したのだろうか?


連絡がない理由は、それかもしれない。


でも、俺に疚(やま)しいことはない。


仮に、いや絶対にそうだと言い切っても、溪ちゃんがそう感じなかったら?


『りいなちゃんとホテルへ行こうとした時点でアウトです』とか・・・


それで怒って、一人で先にお昼に行ってしまったとか?


それとも忙しくて休憩に入れないとか?


どちらにしろ時間だ、と加集は席を立ち、コートを手にした。


積み重なって解けるとき 39

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りいなちゃん・・・うそ・・・私、りいなちゃんが彼をそういう風に見ているなんて知らなかった。


そういえば、バレンタイン前日に彼(加集)にチョコレートを渡していた。あれは、本命ということだったの?


頭の中がズンと重くなり、立っていられなくなった溪は、その場にしゃがみ込んだ。


「溪さん、大丈夫ですか?」りいなは、しゃがみ込んだ溪に気付き、下を見ながら声を掛けた。


「ええ、ごめんなさい・・・立ち眩み、みたい。少しこうして居てもいい?」


「もうお昼の時間ですから、来客も一段落しましたし、溪さん先にお昼に」「えっ?!溪ちゃん、先にお昼に行っちゃったの?」この声!


溪がしゃがみ込んで見上げているりいなの視線の先が、カウンターの外へ向いた。


積み重なって解けるとき 38 (「乙女ですって」 166・167)

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広報部の朝礼が終わり、一階の受付へ向かう為、りいなと共に広報室を出ようとした溪は、「綿雪さん、待って。応接室で村井部長代理と塩谷さんが話があるって待ってる。」 と加集に呼び止められた。


「はい。」


“綿雪さん”と呼ばれたのは、雪の夜にお部屋から追い出されてしまった時以来。


あの時の私は彼に心底嫌われて、一巻の終わりだと考えてしまったのに、今は彼と一緒に眩し過ぎる未来へ向かおうと歩き始めた―――けれど不安はまだ、私の心の隅に解けない雪の塊のように残ったまま。


私の隣で立ち止まったりいなちゃんに、「お話が終わったら、すぐに向かいます。」と告げ、彼と共に応接室の方を向いた時、「あの、加集さん、少しよろしいですか?」とりいなちゃんが彼を呼んだ。


「え?今?あ、うん・・・綿雪さん、先に」と彼はりいなちゃんを振り返り、対応する為、私に先に行くよう指示した、と思ったら、

「綿雪さん、ここで少し待ってて。ええと、鈴木さん、ちょっとこっちで話そう。」先に行ってというのを翻した彼は、りいなちゃんを連れて廊下へ出た。


ここで出来ないお話?


気になった溪は、加集とりいなが出て行った広報室の入口へ向かった。


不燃物から可燃物へ

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不燃物から可燃物へ

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死を恐れてしまうほどの幸福感を まだ知らない

広く危険な世界から 狭い檻の中で守られて

生きたい本能を失って ただ生きているだけの話

存在意義を問われても 答えられない器

何が出来る?

何も出来ないと答えたくはないけれど

何を答えてもそうみなされる

だからこの命 懸けられるものは

今この世界にないかもしれない

ただ口を閉ざすことで精一杯




百世不磨の心 58 (ムーンライトノベルズ73話)

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琥珀はソウと連絡を取り、日曜日のお昼頃に千里(せんり)を社員寮から少し離れたショッピングモールへ買い物に連れ出してくれるというので、そこで落ち合う約束をした。


「・・・という事は、日曜の昼に着くように、朝から車出せばいいんだな?」



「え?いいよ、みゆきちゃん。大変だし、私が銀矢先生の車に乗って、二人で行くから。」


だーっ、そっちの方が危険だから俺が車出すって言ってんのがわかんないのか、琥珀は、美優生は頭の中で喚(わめ)きながら、口では冷静に、

「金ちゃんが、よく許したね。」と言ってみた。


「うん。内緒だもん。」内緒って?!黙って出掛けるっていうの?


「バレたらどうすんの?双子の弟と彼女が長時間二人っきりって普通嫌じゃないか?」美優生は慌てた。


「そう?でも、先生と生徒だから大丈夫!」


いや、あのそれはね、生徒を好きになっちゃった先生じゃなければ問題にしないけど、銀矢先生は生徒を好きになっちゃった教師で、元教え子の琥珀と出掛けるには、十分問題あるから。


しかも双子の兄貴の彼女だろ?好みが似ているかもしれない。


琥珀だって、見た目は金ちゃんと同じの銀矢先生につい・・・ってな事があったら、俺だけじゃなく、何も知らされていない金ちゃんが可哀相・・・いや、別に金ちゃんの事はどうでもいいけどさ。


積み重なって解けるとき 37 (「乙女ですって」164・165・166)

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「溪ちゃんの家にこれからご挨拶に行っても大丈夫かな?」「はい。」


土曜日の午後、哲に電話をした後、加集さんに家まで送って貰った。


途中、デパートの地下で加集さんがお菓子を買って、私の実家に帰って来ると、電話で哲から聞いていた通り、両親は仕事で不在だった。


加集さんがご挨拶したいから、いつまでも待つというので、哲のお店に入ってコーヒーを飲む事にした。


加集さんのお部屋を出る時に哲に電話をした時には、全部は説明出来なくて、とにかく無事だった事と、これから帰るという事を伝えた。


「いらっしゃいませ・・・溪ちゃん!てっちゃん、溪ちゃんが帰って来たよ!」


お客さんのいないフロアにきみちゃんの驚いたという声が響いた。


後ろを見たきみちゃんの視線の先、カウンターの中にいつもと変わらぬ哲の姿があった。


乙女ですって 166 (R-18) 女の疑惑

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修羅場、それよりも・・・溪ちゃんに婚約破棄されたら、俺はおしまいだ。


何度も浮気がバレて何度も修羅場を掻い潜って来た九子先輩のように、溪ちゃんに巧く事情を説明する自信が俺にはない。


それでなくても言葉では伝わり難い溪ちゃん・・・今、とても無理だ。


せめて一晩理由を考えて・・・いや、鈴木さんに電話して婚約の事を話したら、気を遣ってくれる鈴木さんの事だから、溪ちゃんに対して余計な話は一切しない筈、と思いたい。


帰ったらすぐに鈴木さんに電話しよう。そして今この場は何とか誤魔化して切り抜けよう。


俺と溪ちゃんの明るい未来の為に、一度だけ嘘をつく事を許して欲しい―――――


加集は自分から言い出した『お互い隠し事はしない』という約束を破るのは気が咎めたが、背に腹は代えられないと、

「溪ちゃんの知らない人だよ。それに電話してないから約束は成立してないし・・・」と鈴木の名を伏せた。


「そうですか・・・私は広報部の」と、溪が言った時、加集が目を見開いた。





乙女ですって 165 (R-18) 一緒になる日までの道程(みちのり)

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溪の両親への挨拶を無事に済ませた加集は帰り際、溪の実家の玄関外で明日・日曜日の朝、迎えに来るという約束をした。


「それじゃあ、明日。」


「はい、明日。」


「また”はい”って言った。」


「あ・・・はい、じゃなくて、うん・・・」


「冷えるから中に入って。バイバイ。」


「バイバイ・・・お気を付けて。」


バイバイって頑張って言った後、“お気を付けて”だって・・・ぷぷぷ、一生懸命で可愛い。


加集は拳を唇に当てて軽く吹き出した後、手をひらひらと振ってから溪に背中を向けた。


繰り返し

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繰り返し

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喉が渇いて水を飲んだら

お腹が空いてご飯を食べた

お風呂に入って汗を流したら

眠くなって布団に入った



僕が彼女を好きになったのは

それらと同じなんだろう


いつか繋がりたい

その本能は表れて来ていないけれど


また会いたいなという気持ちが

話したい

触れたい

一緒に居たい


そうやって

眠れない夜を幾日過ごしたら

僕は満たされるのだろうか


その日が永遠に訪れないのなら

今すべてを諦めてしまいたくなるけれど

きっとまた

明日彼女を目にしたら

止められない想いが

僕の心をいっぱいにして苦しくなって

その苦しみすら欲してしまう僕は

明日も同じ生活を繰り返しながら

答えを探す


見つけるまでは

彼女と同じ世界の空気を吸っているだけでいいと誤魔化し続けて


乙女ですって 164 (R-18) 二人の人生を懸ける

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加集が溪にプロポーズし、指輪を贈った土曜日の夕方、加集と溪は、哲の喫茶店のテーブル席に二人並んで腰を下ろした。


テーブルを挟んだ向かいに、哲と公子が座った。


そして溪は、ゆうべ、雪の夜に泊まったのは加集の部屋だったという事と、左手薬指の指輪を見せて、加集のプロポーズを受けた事を明かした。


閉店時刻が迫る店内に他の客の姿はない。


今日は音楽も流れておらず、静まり返っていた。


三十分近く前に出されたコーヒーは、手つかずのまま冷め切った。


しかし加集と溪が、コーヒーよりも冷たく感じているのは哲の視線だった。


「そういうことで、哲・・・私、加集さんと結婚したいの。」


「哲くん。俺は必ず溪ちゃ、溪さんをしあわせにすると約束します。」


「・・・・・・」


積み重なって解けるとき 36 (「乙女ですって」163)

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商店街を通り、辿り着いた先、ここは・・・


『ジュエリーショップ ツナシマ』


加集は溪と手を繋いだまま、店の中に入って行った。


まさか、今日一緒にホテルに泊まると約束していた女性というのは、菜津子さんのこと?


そんな、嘘・・・でも、加集さんは、菜津子さんのことをずっと想い続けていた。


じゃあ・・・私は菜津子さんと加集さんの仲を邪魔してしまったの?


私は菜津子さんのことも、加集さんのことも好きで、しあわせになって欲しい。どうすれば・・・



百世不磨の心 57 (ムーンライトノベルズ72話)

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琥珀が千里(センリ)に会いに行ってから一か月が経過した12月最初の金曜日。


朝からコソコソそわそわしている琥珀の様子を訝しんだ美優生は、午後の講義が終わって大学図書館へ向かう琥珀の後を、こっそりつけた。


琥珀はいつも選ぶ窓際の席に、一人で腰を下ろした。


隣の席にバッグを置くと、レポート用紙を取り出して、スマートフォンの画面を見ながら、ぶつぶつ、何か書き写し出した。


琥珀の背後から気配を消して近付いた美優生だったが、肩からずり落ちて、背負い直そうとしたリュックのプラスチック部品が、後ろの椅子にぶつかり、カチャッと軽い音を立てて・・・琥珀に気付かれてしまった。


「あれ?みゆきちゃん?どうしたの?」


振り向きながら琥珀はレポート用紙とスマートフォンを同じく裏返した。


「いや、何を隠してんのかなーと思って。月末にレポート出したばっかりなのに変だなって。」


「あ、ははっ、これは何でもないの。」


「超アヤしい。教えなさい。」


「やっ、ほんとにっ、何でもな・・・っ!」バサバサッ、ゴトッ!



乙女ですって 163 (R-18) 求婚

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さっき溪ちゃんがシャワーを浴びている間に書いておいたメモの内容は、

『溪ちゃんに婚約指輪を贈りたいので、薬指のサイズを調べて下さい。予算は冬のボーナス位で』というものだ。


菜津子さんは、店に来たお客さんの指のサイズを目測出来る。それを俺は、以前繁忙期に店を手伝った時に知った。


「・・・かしこまりました。」


菜津子は店奥からゆっくり歩いて来て、入口付近に立つ溪の前に立つと「失礼します」溪の右手を掬い上げ、少しの間、溪の手をじっと見つめた。


「菜津子さん・・・?」


「はい、わかりました。溪さん、ありがとうございます。では加集さん、お好きなデザインをいくつかお選びになって下さい。」


「はい。」どきどき・・・指輪、溪ちゃんに似合うのはどれかな。溪ちゃんの指は白いからプラチナがいいかな。


「溪さんはこちらの椅子にお掛けになってお待ち下さい。」


「私より、菜津子さんが・・・」


「今日は体調が良いのです。私の事よりも、溪さんが加集さんとお話出来て本当に良かったです。」


菜津子は満面の笑みを浮かべた。



乙女ですって 162 (R-18) 決意

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「その人って、誰?」前の男じゃないとしたら、やっぱり鈴木さん?!あああ、マズイ!


加集は息を呑んだ。


「その人とは、菜津子さんです。」


予想していなかった名前を告げられ、首を傾げた加集は、「菜津子さん?どうして?」と溪に訊き返した。


鈴木さんと言われなくてホッとしたけど、でも何故菜津子さんが溪ちゃんと俺の関係に影響を与えたんだ?


「菜津子さんは安藤部長とお別れされてしまいましたけれど、でも、しあわせなんです。」


「別れたけど、しあわせってどういうこと?」


「お腹の中に、赤ちゃんがいるからです。」


積み重なって解けるとき 35 (「乙女ですって」161・162)

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朝になって、別れを覚悟していた溪は、想像していたこととはまったく逆の、夢の続きのような時間の中で、しあわせを感じれば感じる程、これが現実なのだとは益々信じられなくなっていた。


ずっと片想いしていて、だけど、これからの未来を夢見ることを諦めた日、溪の思い切った行動のおかげで、体は深く結ばれることが出来た。


あなたのカラダを治すことが出来て嬉しかった。


でも、あなたの熱を体の奥で確かめても、私の心の不安は消えて行かなかった。


言葉で伝えられていない。はっきりと、あなたの口から、私に対しての想いをまだ聞かされていない。


醒めない夢なのか、それとも、夢が終わった現実なのか、溪は自分の身に浴びているしあわせな時を、信じた途端に消えてしまうかもしれないと怯えた。


「もう一回、挿れさせて。このまま、溪ちゃんのナカにハイリコミタイ・・・」


「はい・・・何度でも、どうぞ・・・」


乙女ですって 161 (R-18) 同化

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「あの、どういう事?俺の子を妊娠したら」そこで加集は思い付き、「俺に黙って中絶するって事?」と溪に訊いた。


「違います!もしも妊娠出来たのなら、絶対に産みます!」


「じゃあ、何で黙ってるっていうの?」


「それは・・・私が産むと言っては、ご迷惑かと。」


「あの、話を最初から整理したいんだけど・・・でもどこから話そうか。」


きっとまたこんがらがる。正直、溪ちゃんとは話をしない方がいいと思ってる。


乙女ですって 160 (R-18) 夢オチ?

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バサッ、バサッ・・・


窓の外から聞こえる、何かが続けて落ちた音に気付いた溪は目を醒ました。


ん・・・?あっ、きゃっ!加集さんがお隣で眠っている!


・・・そうだった。ここは加集さんのお部屋のベッドの中。


掛布団から出ている肩が冷たい。


二人共、お互いに裸――――でも、セックスは叶わなかった。


加集さんを病気にしてしまったのは、過去を明かして別れを告げた私しかいないと思えた。


私のせいでもそうではなくても、どちらにしても悲しいこと。


一番辛いのは加集さん。私は何もしてあげられないまま。


溪は同じく掛布団から出てしまっていた加集の肩に、掛布団をそっと引き上げた。


すーっ、すーっ、すーっ・・・加集さんの寝息が聞こえる。


どき、どき、どき・・・こんなに近くに居られるなんて、夢の中でも起こらない事だった。


指を伸ばせば触れられる距離に、彼が居る。


嬉しい事が現実に起こってしまったら、あと少しで朝になってしまう現実より、醒めない夢の中でこうして居られる方がずっと良いのかもしれないと考えてしまう。


積み重なって解けるとき 34 (「乙女ですって」158・159)

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加集さんを愛していても、このカラダに触れられるのが怖かった。


それは、過去に味わった病気の痛み以上に、ただ欲をぶつけられるセックスをされるのが怖かったからだと今は解っていた。


そこにあって許されたカラダ、必ずしも私ではなくていい、セックス可能な女であるなら誰でもいい。


昔、ある男と付き合っていた頃の私は“本当の愛”を感じていなかったと思う。


ただ求めに応じて、恋人という関係だけで、当たり前のようにセックスさせていた。


それはだんだん苦痛な義務でしかなくなり、ある時、病気が判って入院した。


それまでの私の人生で、一番辛い時期に間違いなかった。


だけどその時、カラダの苦痛に耐える中で、ココロは解き放たれた気分になったのは救いだった。


それからすぐ私の元を去って行った男から愛されてなかったとはっきり判った時、安堵した私も、相手を愛してなかったと気付いた。


"本物の愛"って、本当にこの世にあるの?


男も女も、恋愛は欲望と打算で変わって行く気がして、それからは誰も好きになれないと考えていた。


百世不磨の心 56 (ムーンライトノベルズ71話)

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今日の授業は二限の10時半からだった・・・のに、臨時休講。


現在11時過ぎ、琥珀と美優生は大学の図書館に移動していた。


珍しく琥珀は、書架から何やら難しそうな分厚い本を持って来て机の上に置き、静かにページを捲っている。


俺は琥珀に昨日、彼氏とどうなったのかを訊きたかったが、訊けずにいた。


10時過ぎに廊下で顔を合わせた時に、「おはよ!」と、琥珀が最近見せなかった笑顔で挨拶をして来たからだ。


昨日はあんなに暗く思い詰めた顔だったのに、今朝はどうして晴れ晴れしてる?


その一、彼氏と別れて晴れ晴れしている。


その二、彼氏と仲直りして晴れ晴れしている。


その三、俺を差し置いて先に一人で大人になってしまって晴れ晴れしている・・・・・・?


どれかだろう。


自殺相談所 5

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俺の身が運ばれた先は、古いけど綺麗に掃除された、いかにも事務所という造りの場所だった。


机が並べられ、隅に見える黒い革張りの応接ソファーは磨り硝子の入ったパーテーションで仕切られている。


相談所の表と違って裏は明るい。開かれた窓にはカーテンがはためき、表と裏を逆にした方がいいんじゃないか?なんて悠長な考えを持てるようになったのは、


俺が椅子に縛り付けられて何分か経った後の事だった。


相談所の表から裏に連れて来られた俺は、背凭れが異様に高い椅子に座らされ、ヒゲ眼鏡の所長タナカという男とレスラーと呼ばれた覆面男、二人がかりで白いロープで椅子に縛り付けられた。両腕と胴体は背凭れに、足首は椅子の脚に。


おまけに、口に粘着テープも貼られた。これじゃあ、まるで銀行強盗に遇ってしまった人質。


「むー、んー、ふー、ぐ・・・!」なんで俺がー!




乙女ですって 159 (R-18) ×ボウ君

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「俺のをって、何を?」


「それは、あの・・・」口籠り、両手で顔を隠してしまった溪ちゃん。


挿れるって、もしかしなくてもコレの事?


普段はぶらーんって、程でもないけど、男ならツいてるモノの事ですか?


不能状態に陥って、オトコゴコロをズタズタにしてくれたアイボウ君の事?


今、久方ぶりに先が上を向いて、少し嵩増(かさま)したヤツの事で よろしいですか?


平に等しい

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平等

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人は平等だ、それを聞いて溜め息を吐く人は、

人は平等だと思っていない人だと考えられる。



等しくあらなければならないものと、等しくなくてもよいものがあるけれど、それを決めるのはそれぞれの想いによるから、偏ってしまうのは当然と受け止めてしまう。


平等、0、100、その位置は、やはりそれぞれ違うと考える。老若男女。


100対0で平等、例えば体重で決まる薬の分量など。


富めるもの、貧しいもの、病めるもの、健やかなもの、

平等とはなんだろう?


それを考えている人だけが持つ意識のこと?


平等とは考えても一人だけでは答えの出せないこと、みんなで目指しても叶いそうもないこと、

すでに平等だから考えるまでもないこと。


自分で考えなくても、正解はいつか誰かが教えてくれるかもしれない。


平等を願う人と、平等を願わない人、

平等になった場合、平等を願わない人が増えるのは解っている。






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