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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

感情

Posted by 碧井 漪 on  

感情

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伝えたいことば。


苦しい事ばっかりの一年だった、そう嘆くあなたの未来は誰が決めるんだろう?


どうにもならない事がある、それはある。


だけど、世の中はどうにもならない事だけでは動いて行かない。


人の力でどうにかなる事があるから、今こうしてこうなっている。


苦しい人と楽しい人、みんなの力でこの世界を作って動かしている。


苦しさも回っている。楽しさも回っている。


順番に回っているんだよね。


感覚を研ぎ澄ませると、色々なことに気が付く人になれるんだよ。


だからあなたは、楽しさも、苦しさも、両方手に入れてしまったんだね。


片方だけだと、「苦しい」と比較するものがなかった筈だから。






乙女ですって 158 (R-18) 叶和(きょうわ)

Posted by 碧井 漪 on  


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絶望した俺の前に現れて、心を掻き乱す女神。


俺は、ずっと思ってた。



溪ちゃんを抱きたいって。


でもその願いが叶う前に、俺達は別れることになった。


願いというのは、手が届きそうになった時に叶わなくなってしまうとショックが大きい。


諦めたあと、二度と望みたい気持ちが起きなくなって、アレも起きなくなって―――望みを失った心の亀裂から入り込んだのは絶望だった。


ただ、絶望を感じている内は、まだいいらしい。痛くて辛くて投げ出したくなる心を持て余すと、心の存在ごと消したくなるとか――――溪ちゃんがそうだったのなら、危ないところだった。


お互いに願わなくなった今だから、叶いそうになっているのかな?


じゃあ、願わない方がいいかな・・・溪ちゃんと一つになりたいって。


吐息を交わしながら何度もくちづけて、これからどうするか考えなくてはならないのに、のぼせ上がった俺の頭の中には何も浮かばなかった。


ただ熱くて、ただこうしていたい、それだけしか判らない。


百世不磨の心 55 (ムーンライトノベルズ70話)

Posted by 碧井 漪 on  

百世70

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長編小説、ノベルシリーズ



辿り着いた観覧車前の短い列に並んで待つ間に、西の空が暖かそうなオレンジ色に変わり始めた。


今日は、ずっと私と手を繋いでいてくれる金ちゃんの様子に、少し不安になって来た。


大学まで内緒で迎えに来た事もそうだし、突然遊園地に連れて来られた事もそうだし、


一体どうしちゃったんだろう?


銀矢先生ならともかく、金ちゃんがするとは思えない行動に、もしかして金ちゃんじゃなくて銀矢先生だったとか?


階段をのぼりきった琥珀は、前のめりになって、隣に立つ金矢の顔を覗き込んだ。


「何?俺の顔に何か付いてる?」


「ううん、ただ、今日の金ちゃん」「どうぞー。観覧車動いてますので、ご搭乗の際には、お足元十分ご注意下さい。」登場案内係の人の声が大きく響いた。


「琥珀、乗るよ!」「う、うん!」


金矢に引かれた手に導かれるまま、琥珀は扉が開かれたゴンドラに先に乗せられた。


琥珀が向かって左に腰掛けると、乗り込んだ金矢は右に腰を下ろした。


積み重なって解けるとき 33 (「乙女ですって 157」溪編)

Posted by 碧井 漪 on  

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溪の前方に見えた加集の背中が止まり、そしてくるりと振り向いた。


「け、溪ちゃん!」加集は溪を見た瞬間、驚いた顔を見せた。


はっ、はっ、はっ・・・溪は、振り返った加集の前で足を止め、胸を押さえて前屈みの姿勢で、荒くなった息を整えていると、


突然、

「よかっ、た・・・!」加集が溪の体を正面から抱き締めた。


びっくりした溪の息が止まった。


加集さん、どうして?私のこと、嫌いな筈では・・・?


抱き締められた嬉しさより、戸惑いの方が上回った溪は、何の言葉も発せなかった。


「溪ちゃんが死んだら、俺も死ぬしかないって考えた。ごめん、俺が悪かった。」


えっ?!どうして私が死のうとしたことを知っていたのですか?


そんなに責任を感じないで下さい。謝るのは私の方です。考えなく死んで、益々ご迷惑をお掛けしてしまうところでした。


乙女ですって 157 (R-18) 雪解

Posted by 碧井 漪 on  


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駅に着いた加集は、驚いた。


改札前から、駅のコンコースには人が溢れていたからだ。


すでに22時半を過ぎて、この人の量は尋常じゃない。


何だ、これは・・・何かあったのか?


人波の中をすり抜け、何とか改札まで辿り着くと、駅の電子表示板を見た。


『S駅~N駅間、雪による架線切断の為――運転休止――運転再開時刻未定』


「架線切断?じゃあ、電車には乗れないし、タクシーは?」加集は、電車に乗れず立ち往生している利用客のザワザワ声の中、呟いた。


そして、コンコースを更に進み反対の端まで来ると、商店街へ向かうのとは反対方面のバスロータリーに目を向けた。


タクシーの乗り場の屋根の下には十名以上並んでいるが、タクシーの姿はない。


乗り場ではない場所には、一般車両が家族を迎えにパラパラと入って来る。


それらの車は皆、スタッドレスタイヤかチェーン装着で、徐行運転だ。


溪ちゃんはタクシー乗り場にはいなかった。


すでにタクシーに無事、乗れたのかな・・・そうかも。


でも何故か、この時の俺にはちっともそんな気がしなかった。


まだ、どこか外に居るのなら、俺が迎えに行きたい。


積み重なって解けるとき 32

Posted by 碧井 漪 on  

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“邪魔しないで、俺の人生に踏み込まないで”


私、私は、加集さんの人生の邪魔をする女になってしまっている・・・?


「あ・・・」溪は震える拳で口を押さえた。


「泣くなら俺の前で泣かないで、外で泣いて。」と加集は畳みかけ、立たせた溪の背中を玄関の方へ押した。


「待っ・・・加集さ・・・」


「早く出てって。それから、二度と来ないで。」


玄関ドアを開けた加集は、スニーカーをつっかけた溪の背中を、両手で玄関の外に押し出した。


「さよなら。」


彼から放たれた言葉が私の胸に突き刺さった。


すべてを失ってしまったと感じ、全身から力が抜けて行った。


もう、おしまいだわ・・・


積み重なって解けるとき 31

Posted by 碧井 漪 on  

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駅の公衆電話の受話器を戻した溪は、手袋を外した手のひらの中にある100円玉をギュッと握り締めながら、コンコース奥に陣取った柱の陰に戻った。


溪はそこに商店街から持って来たみかん箱を敷き、手袋を置いていた。


他にも、駅で立ち往生している人は、やはりどこからか段ボールを持って来て、コンコースの床に敷いて座っている。


良かった・・・加集さんに貰った100円玉があって。家に連絡出来た。


明日、タクシーが動けるようになったら、それに乗って帰ろう。


溪は、電車の運行が再開するのを待つ人々と共に、駅のコンコースで夜を明かす事を決め、今夜加集に再会した時の事を、忘れたくても、そう出来ずに、繰り返し思い出していた。






仕事が終わる時間に加集に会いに来た溪は、水曜日、そして木曜日も、加集の自宅裏の小さな公園で待っていた。


積み重なって解けるとき 30

Posted by 碧井 漪 on  

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取材の片付けを終えた哲が店を閉め、一つ残ったウ・ア・ラ・ネージュを入れた容器を持って自宅に戻ると、出かけようとしている溪と玄関先で顔を合わせた。


「姉ちゃん、その恰好・・・それ着て、どこ行くの?」


溪が着ていたのは、哲が高校入学時に購入したが、すぐにサイズが合わなくなって着られなくなった黒のウインドブレーカーだった。


「ちょっと、トレーニングに行って来ます・・・心配しないで。遅くなるようだったら電話するから。」


「トレーニング?」


哲は おかしいな?と一度思ったが、溪がスニーカーを履き、小ぶりのリュックを背負っていたので、本当かもしれないと考え、「くれぐれも気を付けて。まさか、登山じゃないよね?」と言った。


「登山じゃないわ。ちょっとだけお散歩。本当に心配しないで。」


哲は、散歩なら寒く暗くなる夕方になってから行かずに、朝の明るい時から行けばいいのに・・・と言いたいのを堪え、「夕飯、どうする?」「ごめんね、食べられないと思う。いってきます。」「気を付けて。いってらっしゃい。」と、玄関を出て行く溪を見送った。





その後、哲は夜に走る時、吉夜に、ひかりから告白された件を相談した。


「ひゅーっ、色男。さすがだねぇ。ダイエット効果あったな。そのまま巧く、店に来る女の客を誑(たら)し込んで売り上げ倍増だ。」吉夜はとんでもない事を言い出した。


「何言ってるの!そんな事する訳ないでしょう。誑し込むって何?」


「飲食店経営っていうのは近年難しくなってる。特に喫茶店。外に出て人と逢う時間を削る現代人が、コーヒーを飲む為にわざわざ喫茶店に入ってのんびり寛ぐ時間とか作れる訳がない。コンビニに入れば低価格のコーヒーが一分以内で手に入る。立地も良くない。

駅前ならともかく、年数の経った住宅地の中にある店。幾ら宣伝したとしたって、味以外の目的が無ければ正直ここまで歩いて来ないって。ウエイトレスがコスプレ美少女とか、動物連れ可とか、音楽ライブが出来るとか、そういう付加価値を求める客層を狙えないんだったら、俺の考えた”店長がイケメン!カフェ”っていうのが手っ取り早い上にコスト0だろう?」


「そのイケメンって、僕が?そんな風になれる訳がないよ。」


「なってるなってる、十分。哲の場合は中身がイケてるから。体格○、見た目◎、中身ハナマル、それで行け!」


「僕じゃあ、無理だよ。」


「そんなら、多少胸のある公子に頼むか。セクシーな接客服にして、腕とか足とか鎖骨とか出して、男性客を呼び込むってのもアリだからな。」


「・・・吉夜、投げるよ?」吉夜に言われた哲は、ちらりと公子の下着姿を思い出し、自分に対しても怒りを湧かせた。あー、もう僕は馬鹿なんだから!


「わわっ、路上ではやめろ。受け身も忘れたし。それより、その一目惚れ女だけどさ、上手く断れよな。逆恨みとかされてストーカーにでもなられた日には、面倒だからな。哲が公子を好きだなんてうっかり口滑らしたら、公子だって危険かもしれないぞ?」


「ストーカーって、そんな・・・」と哲は吉夜に返しつつも、溪がストーカー被害を何度も受けた事を思い出し、可能性が全く無いとは言い切れなかった。


ないとは思うけど、きみちゃんに対してひかりさんが何かするとか・・・ううん、そんな事はないだろう。


ただ、哲も吉夜の言う通り、ひかりへの返事は慎重にしようと考えた。


町内を走り終え、店の前で吉夜と別れた哲は、公子の部屋の窓をそっと見上げた。


灯かりは点けられていない上に、カーテンも開いたままで、今夜は公子に見送られなかったと判った哲は、どこか寂しさを感じていた。


君=(は)いちご

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いちご 手

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また今朝も僕は 君を傷付ける言葉を吐いたらしい

そんなつもりはない 売り言葉に買い言葉



小遣いは残り少ないんだから言わなけりゃいいのにと溜息吐いて

仕事帰りに 君の好きないちご売り場の前で固まる



君みたいに 見た目が鮮やかで 酸っぱいのに 時々甘くて

高価な女に見えて来る


君の大好きないちご

とりあえず いちごを持って

戻ったという君の実家へ向かわなければ



ああ 今夜は祝日

電車を降りる頃 駅から出発するバスは 多分ない

それでも 君に向けて

寒い中全力疾走しなければならなくなってしまった僕


取り扱い注意の上 今の僕に必要な いちごを携えて






百世不磨の心 54 (ムーンライトノベルズ69話) 初めての・・・

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百世 手

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まだ夕方にもなっていない、平日の午後。


ラブホテル入口の「ご休憩・ご宿泊」の看板文字を目でなぞる琥珀の脳裏には、夏に美優生と入った時とは違う状況だと判って、足を止め、金矢に引っ張られ続ける右手がそれ以上先に進まないように力を込めた。


「琥珀?どうしたの?」


「あ、あの・・・まだ、夜になってないから、甘い物でも食べない?」


「お腹空いたの?じゃあ、早く行こう。」


「あの、金ちゃん!」


「ほら、歩いて。歩けないなら負ぶろうか?」


そんな事をされたら、却って心配になる。


金ちゃんのカラダは・・・


乙女ですって 156 (R-18) 吹雪

Posted by 碧井 漪 on  

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シャワーを浴びた後、スウェット上下に着替えた加集は、溪が置いて行ったコンビニ弁当を袋から取り出し、電子レンジで温めた。


食べている間中もずっと、胸に何か詰まって、塞がっている感じが取れない。


何だかな、苦しい・・・ゴホッ、ゴホ、お茶でも煎れよう。


沸かしたお湯を入れた急須から、湯呑みにお茶を注ごうとした時、加集の耳に微かなメロディーが聞こえて来た。


携帯電話の着信音?俺のとは違う音だ。


着信音はすぐに切れず、長く鳴り続けている。


音の発生源は、玄関のたたきに置かれていたスーパーのビニール袋の中と判明した。


これは、俺のじゃない。


ハッとした加集は、濡れているビニール袋の口の結び目を急いで解いた。


バッドエンド&ハッピーリスタート 2

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アンド1

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12月のクリスマス前の人気(ひとけ)のない午後の海。


けじめをつける為に彼女を海へ誘った。


初めてのデートは今とは真逆、夏の夜、花火大会だったな。


髪を切ったばかりだから似合わないよ?と前置きした彼女が披露してくれた浴衣姿は、今まで見たどんな恰好より可愛くて、俺は握った手に汗をかき、彼女と手を繋ぐタイミングを失った。


浜辺前の道路に立ち並ぶ人ごみの中で肩が触れ合ってどきどきしたのは束の間、すぐにぎゅうぎゅう鮨詰めになり、とにかくはぐれないようにと彼女の肩を抱いた。高二の俺は、それだけでもう頭ン中カーッとなって、人混みの中、余計暑さが増して辛かったのはよく憶えている。


驚いて上げた彼女の頬の色が変わっていたかは暗過ぎて判らなかったけれど、嫌がられなかったようだったのでホッとしたな。


暗がりの中、上がる花火の光に照らされた彼女の、いつもより艶めく唇を見たいけど見ていられなくて、ずっと足元のくたびれたスニーカーを見てた。


それから帰り道、どうやって帰って来たんだか、浴衣と唇でいっぱいになった俺の頭から、見た筈の花火や帰り道の記憶は全てブッ飛んで・・・


乙女ですって 155 (R-18) 三次元のオトコ

Posted by 碧井 漪 on  


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加集が部屋でスーツの上着とズボンを脱いで、ワイシャツ・パンツ・靴下姿になった時、ピンポーンとインターホンが鳴った。


「はーい?」誰だろう?21時過ぎだから宅配便ではなさそう。菜津子さんかな?


ドアの向こうからの返事はない。


ほんとに誰だろう?


加集は脱いだばかりのズボンを穿くと、玄関に向かって歩きながらチャックを上げ、ベルトを締めた。


「はい、どちら様ですか?」


カチャンと鍵を開け、玄関常置のサンダルを突っ掛けた。


誰だよ、と加集はドアを開けた。


隙間から吹き込んで来る風は湿気を含んで重く冷たい。


くそーっ、寒いな。


パタ、パタッとつま先の靴下に雪が落ちて来て少し濡れた。


百世不磨の心 53 (ムーンライトノベルズ68話)

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TL好き、ティーンズラブ好きv

美優生は、向き合う琥珀から手を離した。


「あれは・・・銀矢先生、の方?」美優生は、銀矢は”萩原”と呼んでいたから、違うと気付きながら、そう思い込みたい状況に追い詰められていた。


「ううん、金ちゃん。」


近付いて来る金矢を見て冷静に返した琥珀と反対に、美優生は狼狽えていた。


琥珀は彼氏に別れを告げるつもりだから、俺と抱き合っていたところを見られても、焦らないっていうの?


乙女ですって 154 (R-18) スノーフレークス

Posted by 碧井 漪 on   28 

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先に退社する鈴木さんの「おつかれさまでした。」という声に反応した俺は、広報部の自分の机に向かっていた椅子を半回転させ、「おつかれさまでした。」と返した。


他の課の同期の女性社員と並んで立っていた鈴木さんは、俺の机に近付き、「これをお願いします。」と二つ折りにしたメモを机の上に載せた。


「はい。」・・・何だろう?


「お先に失礼します!」鈴木さんは俺にお辞儀すると、女性社員の元へ戻って行き、振り返らずエレベーターの方向へ歩いて行った。


俺は机の下の膝の上で、置いて行かれたメモをこっそりと開いた。


『明日の時間と場所はお任せします。今夜、お電話下さい。鈴木』


時間と場所・・・待ち合わせの事か。


それ以外の事は書かれていないシンプルなメモは、もしも誰かに見られても何の事か判らないよう気遣われた内容の気がして、それって、秘密感が増し、若干悪い事している気持ちにもなる。


部下の弱味を握った上司が、口止めして欲しいなら、ゲヘヘヘ・・・?


乙女ですって 153 (R-18) ミジンコサイズ

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「加集さん?どちらのお店に向かっているんですか?」


俺の隣を小さな歩幅でちょこちょこと歩数を増やして付いて来る、制服の上にベージュの軽そうなコートを羽織った鈴木さんに訊かれ、ハッと辺りを見回すと商店街の中だった。


俺は無意識の内に、帰宅ルートを歩いて、鈴木さんを商店街に連れて来てしまった。


「あ、えーと、何がいいかな。そばとか、かつ丼とか、ピザとか・・・」


「あそこは駄目ですか?」


「どこ?」


「お好み焼き。」


「あ、お好み・・・うん、いいよ。俺、あの店、たまに行くんだ。」


最近行ってなかったな。


最後に行ったのは、溪・・・あー、もう、忘れろ忘れろ。


俺は引き戸に手を掛けて、ガラガラガラッと開け、紺地に白文字の入った暖簾を潜った。


乙女ですって 152 (R-18) 捨てた恋の副作用

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さてと・・・薬を飲んで一時間が過ぎた。


立ち食いそばを消化した俺の腹がぐーっとなる前に、貰ったチョコの包みをテーブルの上に並べた。


溪ちゃんから貰ったチョコは、まだ冷蔵庫の中に残っている。


縁の切れた女から貰ったチョコだけ大事にしている事に腹が立ったので、捨てようかと思って冷蔵庫から取り出した時、


それに重ねてあったもう一つのチョコの箱は、菜津子さんから貰ったチョコだと思い出した。


菜津子さんからチョコを渡された時に感じた違和感。


菜津子さんが溪ちゃんのチョコを預かって渡した・・・という事実が菜津子さんの嘘だとしたら?


どうして気付けなかったんだろう。


乙女ですって 151 (R-18) ED

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小説15禁・18禁(性描写あり)

ED(勃起不全) erectile dysfunctionは治る見込みがあって、

インポテンツimpotence(陰萎)は治る見込みなしを言うらしい・・・


問診票、加集敦也32歳、男。生年月日、住所、電話番号・・・

比較的残業の少ない木曜日の夜、定時に会社を出られた俺は、

三駅離れた場所にある、大きな駅に隣接するビルの医療エリアの中の男性専門クリニックに来ていた。


スタッフも男性ばかりだというのは安心だ。泌尿器科に行くのは女性もいるからと躊躇して、とりあえずこちらに来てみた。


自分の体の症状を調べれば調べる程心配になってしまった俺は、早期治療で治るというホームページの謳い文句に縋る気持ちで、たった今、プライバシーに配慮された受付前で一人、問診票を書き終えて提出し、ホッと息を吐いたところだ。

SとS (BL) R-18 あとがき+人物家系図(相関図)

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「試し愛」からお付き合い下さいました皆さま、ようやくセイも"何とか"落ち着かせる事が出来ました。


「SとS(BL)」は、「相違相恋」の番外編として一年前から書き始めました。


当初はラストを考えておらず、キャラクター達の動きに任せようと書いていましたが、一時頓挫し、10月から連載再開しまして、作者の20%予想の方向へ進んでしまいました。


SとSの意味については、さしすせそ、しっくり来る意味を探しました。


それでいいのか瞬太朗!と心の中で叫びながら(?)執筆するsと、

これでいいんだ、とある意味宇宙のように広いセカイに行ってしまったS監督と、

未知なるセカイにさらわれてしまった青年S太朗と、

それについて、息子なのに嫁に出したと思おうとする俳優Sと、

そいつらに振り回されながらも頑張る20年前(「試し愛」)はヒロインだったH麗。


大団円を迎え、五月家はこれで安泰・・・?


松田家と高橋家は「相違相恋」が未完結なので、まだ・・・続くのかナ?・・・φ(T▽T;)サクッと次回最終話にしたい・・・←ムリデス


時間はかかると思います。でも書き続けられるだけ続けます。誰に向かって誓っているのかわからなくなる時は、未来の自分に向けた日記という事にしようと思います。






下のざっくりチャートは複雑で、どこから読んだらと、作者自身も解説出来ませんm(_ _)m執筆順(公開日順)に読むと、ネタバレが少ないです。


ラストから読みたい某作者sと同じ方は、「SとS(BL)」のみで十分で、他のシリーズはご覧にならなくても良いでしょう(^-^;)と思います。




【シリーズざっくりチャート】

「試し愛」→「騙し愛(試し愛・過去&未来)」→「本当は甘いのが好きなんだ(BLデゴザイマス)(試し愛過去)」→(「それからシリーズ」)→「相違相恋」→「SとS(BL)」=五月家・潮田家


「試し愛」

「それから、愛してる」→「それから、ずっと、愛してる」→(「それでも、アイシテル」)→「相違相恋」→(「SとS(BL)」)=松田家


「夜の天気雨」→(「それから、愛してる」)→「夜の天気雨 番外編」→(「それから、ずっと、愛してる」)→「相違相恋(二世)」=高橋家




過去作品で、作者が読み返せなく(//x//;)なっているものを、そろそろ限定公開にしようかと思います。BLに限らず初期のものを。


自分がBLを書くとランキングがどんどん下がるので、もう書くなという読者さま御意見の反映だと考え、BLよりしばらく遠ざかれるようにしたいと考えてはおります・・・

ただ、「哲と吉夜」の公子妄想編とか、完全ノーマルなTとKの二人なのですが、公子妄想の中で遊ばせてみたいとも考えてしまいます。


今度BL(R)を書きたくなったら、エロひいき(限定記事)で書こうかな・・・φ(T▽T*)シバッテツッコンデナカセル?ケイ・・・イタソウダカラ、ヤメヨウ(^-^;)


SとS相関図

百世不磨の心 52 (ムーンライトノベルズ67話)

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百世67

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大学の講義室で午後の授業が始まる前に、明後日締め切りの課題のレポートの仕上げをしていたら、

「一口頂戴。」女の子の声がした。


だけどその声の主は違う、女の子ではない。


右を向いた私の視界の中、右前の机の上に置いてある水のペットボトルに向かって、斜め上から伸ばされた男の手。


その骨ばった、長くて細い小指から順番に包まれて持ち上げられるペットボトルと共に、私は視線を上げた。


左手に持ったペットボトルの白い蓋を、右手でクルクルと回した後に外し、女より幅のある顎が下に動いて口が開かれると、そこに近付けたペットボトルの口を、形の綺麗な下唇に当てて、仰いだ。


コク、ゴク、ゴクン・・・顎下から真っ直ぐ伸ばされた首の途中の喉仏が上下する間、私は視線を動かせずに、


美しく整っている彼の横顔を見ていた。


風邪みたいに移して 19

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公子が寒さで目を開けると、ベッドの上に横たわっている自分を覆っていた筈の掛布団が、ベッドの下へ落ちていた。


その形状から、体が熱くなって、蹴り落としてしまったのだと考えられた。


開いたままのカーテンの外は真っ暗で、枕元の目覚まし時計を掴んで見ると、一時五十一分だった。


ずっと眠ってた?お母さん起こしてくれたら良かったのに。


今更と思いながらも、公子はベッドから起きて、パジャマに着替えた。


熱かった体は、嘘みたいに冷たくなっていて、喉はカラカラだった。


公子は、戻した目覚まし時計の隣に置いてあったペットボトルの水を口に含んだ。


コク、ゴク、ゴクッ、ぷはっ・・・喉の奥が潤って、冷たい感覚が胃へと落ちて行く。


熱が下がったんだ、良かった。明日はお店に―――と考えたすぐ後、

昼間見てしまった、哲と女性が店で談笑していた姿を思い出し、

お店、行きたくないな・・・という気持ちになってしまった。


乙女ですって 150 (R-18) 最強の"K"

Posted by 碧井 漪 on   0 


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「おい加集。昼、食ったか?」


広報部の俺宛てに、九子先輩から内線が掛かって来たのは昼休みが終わる頃だった。


「食べてませんけど、何か。」


胃が痛くて、食欲なんてない。性欲もないのに。


残るのは睡眠欲、それすらも危うい。


ここのところ見てしまう夢、溪ちゃんが他の・・・いや。


「丁度良かった。いい物やるから、取りに来いよ。」


いい物?またAVとか?今はありがたいけど、いくら先輩でも会社に持って来ないだろうし、違うよな。


いつも通り横柄な九子先輩に逆らう元気もない俺は、古巣の総務部へ向かった。


積み重なって解けるとき 29

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「お付き合い、どちらにですか?」


“お付き合い”=交際


とは早合点だ、と哲は、惚けたとも取れる訊き方をした。


「そうではなくて、恋人になって頂けませんか?」


「いえ、あの、僕はそういうのは・・・」


「もしかして、男性が好きとかそういう・・・」


「違います。女性が好きですけど、でもまだ鈴木さんの事をよく存じませんし、鈴木さんも僕の事を何もご存知ないですよね?」


「一目惚れです。」


「はい?」


積み重なって解けるとき 28

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再びカウンター内に立った僕へと視線を向けた鈴木さんの左手のひらの上には、飴の糸冠が載せられていた。


その飾りが気になるのかな?と考えている僕に向かって、

「このウ・ア・ラ・ネージュ、同じカラメルでもソースではなくて糸状にしているのは何か理由があるんですか?」と鈴木さんが訊いた。


「よくご存じですね。どちらかのお店で召し上がった事があるんですか?」


「昔、ホテルのレストランで、家族と。カラメルソースだけ、ほろ苦かったのを憶えてます。」


「コーヒーに合わせるなら、カラメルソースが無い方がいいと思って、代わりに糸飴の冠を載せたんです。」


「そうなんですね。コーヒーの味とも合うように考えられて、素晴らしいです。」


こんなに店のお菓子を褒められた事はない。案外、恥ずかしいものなんだなと、哲は思った。


鈴木は右手でボールペンを握り、傍らに開いている手帳の上を懸命に走らせていた。


そしてその視線の先が糸冠と手帳を絶えず行き来している。


鈴木の様子に、哲は、ぷっと吹き出してしまった。


「何でしょうか?」


「あ、いいえ。熱心でいらっしゃるなと、感心してました。」


「仕事ですから。哲さんも、コーヒーとお菓子に対して真摯に臨んでいらっしゃいますよね?」


「真摯にと言われるとお恥ずかしいですけれど。」


鈴木はペンを置き、糸冠を皿に戻した。


「哲さん、その丸縁の眼鏡を見せて頂けませんか?」


「これですか?」


哲は眼鏡を外し、ティッシュペーパーでレンズを拭いてから、差し出された鈴木の手のひらの上に「どうぞ」と折り畳んだ自分の眼
鏡を載せた。


積み重なって解けるとき 27

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    定休日の哲の一日は、両親を送り出した後、のんびりと家事をこなし、食材の買い出しに出る。


    平日のお昼も、雨の日などは昼の時間を避けて休憩を取って店を閉め、車でスーパーへ行く事もある。


    公子が一緒に行くと言えば、連れて行く。


    二人で買い物をする時間は、哲にとって楽しくもあり、少し苦しさも覚えた。


    いつか失う時間を心から楽しんで、そのいつかが訪れてしまったら、どうなるのか。


    走り回る小さな子どもに手こずりながらショッピングカートを押した夫婦とすれ違う度、哲は公子とそんな風になれたらいいなと心の底では願っているのに、頭では考えないようにしていた。


    自殺相談所 4 自殺相談所所長との出逢い

    Posted by 碧井 漪 on   0 

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    俺は、サングラスとマスクをむしり取った・・・といっても、普通に取っただけだ。


    憤りを表わす為に、自分の顔を隠すものをパッと剥ぎ取った。


    「ちょっと!ここの責任者いますか?」


    ウサギの着ぐるみは、頭を横に振り、オロオロする仕草をみせた。


    自殺相談所の実態を調べる為には、ここで声を荒げてはならないと判っていた・・・のは、”つもり”だけだったようだ。


    カーッと頭に血が上のぼった。


    何に対して?


    自殺を簡単に扱う事に対してだ!


    ふと、床に目を落とすと、紺色のビニールテープが線状に貼られていて、辿ると先端が矢印になっていた。


    白いプラスチックボードの間仕切りで、道が五つに分けられている。


    そして、『レスラー』『イヌ』『所長』『ネコ』『占い師』と矢印の途中に貼られた白いテープに黒マジックで書かれた文字を見つけた。


    俺は、真ん中『所長』の矢印のある通路へ踏み込んだ。


    「あっ!ちょっ・・・!」くぐもった声だけど甲高い、女の声だった。


    振り向くと、着ぐるみウサギが白いモコモコの両手で口元を覆っていた。


    中身は女だったのか、と驚いた。何となく男かなと思っていたからだ。


    頭がでかいから、俺より身長があると感じ、そう思い込んでいたんだな。


    ずんずん歩く俺の後ろをウサギも慌てて付いて来て、後ろから俺の背中をトントン叩く。


    立ち止まりも振り向きもしない俺の血走っているであろう目に、背凭れの有る回転椅子に座る男の背中が見えて来た。


    あいつが所長か?

    百世不磨の心 51 (ムーンライトノベルズ66話)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    百世66

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    暗い坂道は勾配が急だった分、上って来た半分の距離で大通りに出られた。


    「あー、良かった。バス、まだ来てない。そして、あそこの信号で長く停まるから・・・あんたの携帯貸して。」


    「私の携帯を?」


    「ほら早く。あ、やった、同じ機種!偶然。」


    「ほんとだ・・・」


    「使い方わかって良かった。ピッ、送信っと。はい、これで連絡先交換完了。」


    「あの、でもどうして私の連絡先なんかを?」聞いてどうするのだろう?


    「センリの事。ほっとけないから。」


    「え?どういう事ですか?」


    「あんた、センリの妊娠の事、興味本位で他の人にペラペラしゃべらないって約束して。」


    「え、あ、はい、それは勿論、ですけど・・・相手って、聞いたらマズイですか?」


    「相手の婚約者ね、死んだらしいわ。」


    「相手が死んだ?う、嘘っ・・・!」


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