FC2ブログ

sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

相違相恋 5

Posted by 碧井 漪 on   4 

駅前のコーヒーショップに一人で入った光樹(ひろき)は、


きょろきょろと店内を見回した。


「いらっしゃいませ。」とどこからからか声が聞こえるけれど、


特に席に案内されるという事はなさそうな様子。


そう判断した光樹は、入り口付近で止めていた足を店内奥へと運んだ。



とてもかくても 11 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   0 

本当に疲れる。


あと何回、繰り返すのだろう。


不安の後に訪れる束の間の安堵感、


それも次の検査までの短い間。


一度病気になって治したとしても、


再び病気にならない保障はなく、


結果として体も心も、


決して休まる事がない。


生きる事を諦めたら別だけど。


「今回の検査では特に異常は見つかりませんでした。」


五年生存率、


その間にがんが再発しない訳じゃない。


生存している人=再発していない人という訳ではない、


と知ったのは手術後の検診を受けてから、それは医師に教えられた事。


五年過ぎたら再発しない訳ではないし、結局その恐怖というか心配はずっと付き纏う。


がんと診断された事のない人より、より体の事に対して敏感になっていると感じる、


気の休まらない日々を送っている。




とてもかくても 10 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   2 

築二年のマイホームの前に立って眺めた。


全六棟の建売り住宅、その中でも南向きで人気の区画を手に入れて、


妻と息子と普通の家族。


大きな不満もなく、このまま行けばそれなりに幸せな人生を全う出来る道の途中で、


今、俺は立ち止まっていた。


もっと、すきに、させて (R-18)  改稿版 7 (49~57最終話)

Posted by 碧井 漪 on   0 

「今日も遅いから、あやは先に寝てていいよ。」


「次はいつお休み?私ね・・・」


「いつ休めるか解らない。時間ないから、いってきます。」


「いってらっ・・・しゃい。」


バタン、玄関のドアが閉まる音が、馨の代わりに私を拒絶している風に聞こえるようになったのはいつからだろう。


もう半月以上こうだ。


あまり口を利いてくれない。


私がお兄ちゃんと手紙のやり取りをしているのが、馨の気に障ったみたい。

とてもかくても 8 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   2 

子宮全摘・・・がん?


「それじゃ、子どもは・・・」


「畠山さんの事を知ったのは、私の友人も子宮頸がんで手術して、そのお見舞いに行ったら、畠山さんも入院されてて。


彼女はお子さんは望めない体になってしまったと、


その当時結婚して二年目だった私に、子どもを持ちたいなら産める内に産んだ方がいいわと言いました。


だから私は、それから妊娠するよう努めて、妊娠が判ったら三か月後に会社を辞めました。


二人目も出産、育児をして、中途でこの会社に入ったんです。」


「そうだったんですか。知りませんでした。」







とてもかくても 7 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   0 

「子どもは産めないの・・・だから別れて。」


命を懸けて生んだとしても、その後をあなたに一生任せる選択は出来ない。


「何で?何でだよ!折角芽生えた命だろ?社長とはご無沙汰だって、俺の子の確率が高いなら、産んでよ!」


あなたの子よ、と告げて、それから私の病状を知らされたあなたは私と同じく絶望的な気持ちに陥った後、


"結婚しよう"と言った事を後悔する筈。


「だからよ。社長の子なら養育費いっぱい貰えるでしょう?だけど子どもを産んでヤスと、この暮らしを捨ててまで一緒に居られないと思ったの。


プロポーズは嬉しかったけど、私は結婚する気はないわ。今のままの関係も一生続かないから、今日で終わりにしましょう。」


私が弱っている今、あなたの事を支える力もないから、一緒に居てあなたに取って良い事はなさそうよ?


「何だよ、それ・・・俺って志歩理に必要ないって事?俺じゃだめなの?」


だめよ。


あなたが私よりくたびれててどうしようもない男だったのなら、


どうなってもいいと思える相手だったら、私の抱えている問題を吐き出して、


一緒に崩れて行くという選択もあったかもしれないけれど。


「そうね。あなたより年上の金と躰目当ての女の事は忘れなさい。私もあなたの事は忘れるわ。今まで愉しませてくれてありがとう。」


私には不可能な、あなたがしあわせを感じる穏やかな生活を与えてくれる相手を見つけて一緒になって。


苦いのは私だけでいい。


だってあなたは私より若いから。


苦い思いをしない道を歩くのは難しいけれど、


一つでも多く、私と居るよりも甘い思いを感じられたらいい。





とてもかくても 6 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   0 

寂しいという感情がまた襲って来る。


嵐のように、と言いたくなるけれど、違う。


まだ嵐の真ん中で雨や風に揉まれている方がいいと思える程、


何も感じたくなくなる程の気怠く息苦しい感覚。


どうにかして息をしようと焦るか、このまま息を止めてしまえば感じなくなるかと、


逃れたくなる、


静か過ぎる世界。


またそこに放り込まれる私は、


前世なんてないと思っていたけれど、


もしあったのなら、どちらがより寂しい人生だったのかと考えた。

とてもかくても 5 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   0 

快楽を"しあわせ"というものだと錯覚し始めた頃の俺。


志歩理はとうに、その地点を通り過ぎて、もっと先の場所に居たのだと、後から俺も快楽=しあわせという地点を通過して気付いた。


俺は何をしても、この先の人生、


しあわせと呼んでもいいと思える日常のとてもささやかな喜びを毎日繰り返し見つけるだけの穏やかな生活の中で、


決してそれだけでは満たされないという事に気付き始めてしまっていた。

とてもかくても 4 (R-18・エロス系)

Posted by 碧井 漪 on   2 

すすっ、すすっ、と神無さんの筒状の形にに保たれた指が上下に動く。


唾液で濡らされて、ぬめぬめと滑りが良い。


俺の先端の内側の皮膚の薄い部分に這わされる舌先のザラリとした感覚に、


ぶるりと身震いすると、


俺の前に跪いて、上目に見上げたその視線にエロスと余裕を感じた俺は、


「もっと、深くして。」と彼女に要求していた。




もっと、すきに、させて (R-18) 改稿版 5 (33~40話)

Posted by 碧井 漪 on   0 

お風呂上りに別荘のお部屋で、日焼けした肌にローションを塗っていると


「さっき、あの男と何話してたの?」ベッドに寝そべって本を開く馨に訊かれる。


あの男だなんて・・・おとうさんでしょう?


「何って・・・おとうさんにはただ、おかあさんと馨をよろしくお願いします、って頭を下げられて。


私はそんな風におとうさんにおっしゃっていただける人間ではないのにね。」


クスと笑って言うと


「そんな風に言うな。文は・・・文の方が母に必要なんだから。」

相違相恋 3

Posted by 碧井 漪 on   0 

「あっ、ちょっ、小椋、待てって・・・」


急いで絵本を棚に戻した廉(すなお)は、図書館の外に出て行った桃の後を追いかけた。


ガーッと図書館の自動ドアが開く音が聞こえた希が顔を上げると、


玄関から出て来た桃の姿が見えて、


希はバッグを前に抱えると、建物の角まで走り、その陰に隠れた。


オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 22 (最終話)

Posted by 碧井 漪 on   6 

「はっ、はぁ・・・っ・・・!」


ビクン、ビクッと跳ねる、愛らしいカラダ。


とろりと蜜で潤った穴の中に、指を挿し入れて確かめてから、


「・・・いいですか?」と訊ねると、


受け入れるカラダの持ち主は仰向けに横たわって脚を開いた状態でこくりと首を縦に動かした。


もっと、すきに、させて (R-18) 改稿版 4 (25~32話)

Posted by 碧井 漪 on   0 

傍に居るのは当たり前だと思っていた。


今までもこれからもずっと続く。


永遠に愛してる。


だけど知っている?この世界に永遠なんてない。


あるとしても永遠、それがいつまで続くのかという事を「永遠に」と言う人も言われた人も知らない。


明日終わる永遠かもしれない。


ある日突然絶たれる永遠という名の約束。


それを絶ったのは神様ではなく自分だと気付いた時、


初めから永遠も愛もなかったと言い訳のように思い込む事をしなくては、


ここで一人だけ生きている事を許せなくなっていた。



オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 21

Posted by 碧井 漪 on   0 

「先生・・・結婚したから、初夜ですよ?」


「そうですね。」


あれから一月程の間に二人は入籍して一緒に暮らす事になっていた。


互いの両親には、発病するまでは病気の事を伏せたままでいようと玉果が強く希望したので、一梢はそれに従った。


「そうですねって、それだけですか?」


玉果は続けて「初夜なのに・・・」とつまらなそうに呟いた。


「他に何か?・・・描きたくなるような見事に丸い月ですね。」


「ご主人様、描くなら私のカラダにして下さい。」


せめて絵を描いて貰おう、と玉果は裸になった。


恋願わくは (R-18) 改稿版 4 (31~40話)

Posted by 碧井 漪 on   0 

「ええっ?!」


ざわざわとした食堂の中、一瞬だけ社員の皆さんの視線が佳奈先輩と私に注がれたように感じた。


「先輩、しーっ・・・」


私は人差し指を口の前に立てて先輩に示した。


「だ・・・だって、そんな事になってるとは。」


「続きはメールで・・・」


「了解。」


オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 20

Posted by 碧井 漪 on   2 

「あなたに傍に居て欲しいと言ってしまった事を取り消します。」


「だめです!オトコが一度口にした事ですから、取り消しは出来ません。」


「玉さん!」


「バチなら、私にもバチを当てて下さい。


先生を愛して愛されて、離れられなくなってしまったバチを。


移して、私にも。先生と同じ病気になって、同じ日に死にたい。


それがだめなら、今すぐ、ここで私と一緒に死んで下さい。」



オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 19

Posted by 碧井 漪 on   0 

「玉さん、着替えないと、体が冷えて来ましたよ?」


「先生と離れたくありません。」


離れたくない、それは私もだと一梢は思っていた。


「それならば・・・今夜からずっとここで暮らしませんか?こんな所で玉さんがよろしければですが。」


「先生!それ、まさか、プロ・・・くしゅん!くしゅんっ!」


「風邪を引いたら大変・・・とりあえず、これに着替えて。」


オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 18

Posted by 碧井 漪 on   2 

ガチャリ、


シャワーの水音が止(や)んだ後のバスルームのドアが開いた。


そして玉果が出て来た。


水滴と、湯気を纏った、この世にたった一つしかない、彼女の美しい裸体。


だめだ、と頭の中で鳴り響く警鐘音。


それなのに、彼女カラダから目を逸らす事がどうしても嫌だった、出来なかった。


見蕩(みと)れてしまう、魅入られたオンナのカラダに。


オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 17

Posted by 碧井 漪 on   2 

玉果はコピーした資料を、眠れずに布団の中で読んでいた。


先生がこのAIDSという病気を将来発症して死んで行く。


私を愛した事を忘れて、二度と絵を描けなくなる遠くの世界へ行ってしまう。


ガクガク・・・私の膝が震え出した。


胸の奥も、キンと冷たくなる感じがした。


怖い、とても怖くなった。


先生を失う・・・失ってしまう。


私をやさしく包んでくれる先生との時間が永久に奪われる。


オンナダカラ オトコダカラ (R-18) 16

Posted by 碧井 漪 on   0 

玉果に病気を告白し、別れてから一梢は絵筆に触れようともしなかった。


絵を描く以外、何かをしたいと思わない。


だが、絵はもう描かないと決めた。


玉果を自分の画家として描いた絵の最後のモデルにしたいという想いが、


一梢の気持ちの堰となっていた。


描けば思い出してしまう。


カンバスに向かって筆を取り、記憶の中から写し取るように彼女の滑らかな曲線を辿ってしまえば、忘れるどころか、このまま今すぐ彼女の家の近くまで走って行ってしまいそうだ。


逢いたい。


それから、愛してる 目次

Posted by 碧井 漪 on  

「それから、愛してる(完結)」
↓こちらの2サイトでも公開中
小説家になろう 「それから、愛してる」
comico 「それから、愛してる」改稿特別版

□ それから、愛してる 1  夜の天気雨×試し愛  2013/10/17
□ それから、愛してる 2   2013/10/19
□ それから、愛してる 3   2013/10/21
□ それから、愛してる 4  2013/10/22
□ それから、愛してる 5  2013/10/23
□ それから、愛してる 6  2013/10/24
□ それから、愛してる 7  2013/10/25
□ それから、愛してる 8  2013/10/27
□ それから、愛してる 9  2013/10/29
□ それから、愛してる 10  2013/10/30
□ それから、愛してる 11  2013/10/31
□ それから、愛してる 12  2013/11/02
□ それから、愛してる 13  2013/11/03
□ それから、愛してる 14  2013/11/04
□ それから、愛してる 15  2013/11/05
□ それから、愛してる 16  2013/11/07
□ それから、愛してる 17  2013/11/08
□ それから、愛してる 18  2013/11/09
□ それから、愛してる 19  2013/11/10
□ それから、愛してる 20  2013/11/11
□ それから、愛してる 21  2013/11/12
□ それから、愛してる 22  2013/11/14
□ それから、愛してる 23  2013/11/15
□ それから、愛してる 24  2013/11/16
□ それから、愛してる 25  2013/11/17
□ それから、愛してる 26  2013/11/18
□ それから、愛してる 27  2013/11/19
□ それから、愛してる 28  2013/11/20
□ それから、愛してる 29  2013/11/21
□ それから、愛してる 30  2013/11/22
□ それから、愛してる 31  2013/11/23
□ それから、愛してる 32  2013/11/24
□ それから、愛してる 33  2013/11/25
□ それから、愛してる 34  2013/11/26
□ それから、愛してる 35  2013/11/27
□ それから、愛してる 36  2013/11/28
□ それから、愛してる 37  2013/11/29
□ それから、愛してる 38  2013/11/30
□ それから、愛してる 39  2013/12/01
□ それから、愛してる 40  2013/12/02
□ それから、愛してる 41  2013/12/03
□ それから、愛してる 42  2013/12/05
□ それから、愛してる 43  2013/12/08
□ それから、愛してる 44 最終話  2013/12/21

もっと、すきに、させて (R-18) 改稿版 3 (17~24話)

Posted by 碧井 漪 on   0 

朝から要さんと一緒に数人分のご飯とお弁当を作って、お掃除して、作ったお弁当を持ってお屋敷から大学に向かうのは、すっかり慣れてしまっていた。


お屋敷のあるここの場所は閑静な住宅地の高台で、下を眺めるとホテルが見える。


馨の部屋も。


馨が出勤するのを見届けてから、私も屋敷の裏の住宅街を抜けてすぐの大通りからバスに乗る。


交差しない道。


あれからもうすぐ一ヶ月半、電話はしていない。かかって来たとしても出なかった。


馨も諦めたのか、私に電話をかけて来なくなった。

該当の記事は見つかりませんでした。