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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

夜の天気雨 17

Posted by 碧井 漪 on   0 

俺がパーティー会場の外のトイレから出ると、たんぽぽがこちらを向いて通路に立っているのに気が付いた。


「たんぽぽ。」と笑顔のたんぽぽに声を掛けてやると

「大和、帰るなら私も連れて行って下さい。」慣れないヒールで駆け寄って来て、ヨロけて俺の前で転びそうになったので、腕を掴んで支えた。


「ありがとう。」と言ったたんぽぽの笑った顔は、とても疲れているように見えた。

夜の天気雨 13

Posted by 碧井 漪 on   1 

ピッ、指紋認証。


俺が連れて来られたのは、たんぽぽのタワーマンション。


ドレスを買いに行く物だとばかり思っていたのに、何故?


たんぽぽは何か考えているみたいだが、その計画が駄目だと判ったら、さっきの店に逆戻りだな。


「ただいま。」


玄関で発するたんぽぽの声に、それが癖だという事を忘れていた俺は、この家に誰か居るのかとぎくりとして、下を見て靴を探した。


もしや、あの女が帰って居るのか?


出来る事なら、顔を合わせたくない。疚(やま)しさはないが、厄介だから。


「従姉妹はいないって言ったっけ。」


「はい、すずちゃんは多分まだ帰っていないと思います。」


ホッとした。

夜の天気雨 10

Posted by 碧井 漪 on   0 

「明日にすれば?」


「いえ、今夜はどうしても。」


ボロ家に連れて行けというたんぽぽ。


明日、朝から行けばいいのに。


結局、夜に来たけど、この家、寒いから嫌い。


この北風の冷たい季節に、エアコンもストーブもない部屋。


しかも隙間風が入って来るし。

夜の天気雨 9

Posted by 碧井 漪 on   0 

「もう嫌です。今日は絶対に帰ります。」


「いいのかよ。残業。」


「もう限界です。毎日毎日遅くまで。今日は代わって貰いました。」


「あっそ。」


「飲みに行きますか?」


「やだよ、何でお前と・・・」


総務の松田瑞樹、俺を好きだという男。


年末で忙しい総務課は残業続きで、今月に入ってからは俺の方が先に帰っていたから、会うのは朝と昼位。


それでも十分多いけどな。

夜の天気雨 8

Posted by 碧井 漪 on   2 

ごほ・・・ごほごほっ。


また咳が出て来た。


枕元に置いた携帯電話。


ポチ、とボタンを押すと、暗い部屋の中、ブルーライトが眩しい。


ピッピッピッ・・・電話帳ページの中、目的の名前まで送っていく。


『大和』


ヤマト・・・

夜の天気雨 7

Posted by 碧井 漪 on   0 

次の日、仕事が終わると、携帯電話が鳴った。


『たんぽぽ』


液晶画面に表示された文字。



丁度一階に下りて来た所だ。


会社の正面玄関を見ると居ないから、今日は来ないという連絡なのだと判り、通話ボタンを押した。

夜の天気雨 6

Posted by 碧井 漪 on   0 

バタン、・・・パタン、・・・バタン。


何やってんだ、俺は。


大和は、プラスチック容器で中身を埋められた冷蔵庫の扉を開けては閉め、また開けて閉めるを繰り返していた。


シンク下の半透明な収納ボックスには、米。


食器棚には御飯茶碗と汁用の椀が。


今日は空っぽの炊飯器。


静かな部屋の中でため息を吐く俺。


望んでいた平穏が戻って来たのに、空しい気がするのは何でだろう?



夜の天気雨 5

Posted by 碧井 漪 on   2 

悲しい時笑うのは、

悲しい時に泣いた事を、周囲に理解されなかったからだろうと考えていた。


或いは無視されたか、禁じられたか、とにかく、悲しい時に泣く事が出来なくなった人間。


だから笑うようになってしまった。

小説を読んで下さる皆様へ

Posted by 碧井 漪 on   2 

一年少々、このブログとアメブロの方で書かせていただいていますが、



書いても描いても(sazanami&ib)




未だに、これで良いのだろうかと悩む日々です。(マイナスブログという事はおいておいても。)













だったら書かなければ良い、書いても公開しなければ良いとも考えます。








夜の天気雨 4

Posted by 碧井 漪 on   2 

乾燥した大気の中で美しく瞬く星空を眺めながら歩く道。


川風が吹き、肌に感じる冷たさは突き刺さるという程でもなかったが、繰り返し吐く息は特に白く感じる夜。


黙ったまま、俺の半歩後ろをついて来る、とても金持ちの令嬢には見えない地味な格好の、赤縁メガネの女。


夜の天気雨 3

Posted by 碧井 漪 on   0 

「腹減ったな。昼、どうする?」


「お昼ですか。そうですね、何か作りたいのですが、今日は材料がなくて。」


ちら、と台所の方を見るたんぽぽに俺は、「どこかに食べに行くか。ラーメンは?」と訊いた。


「ラーメンですか?」金持ちの女が好むもんじゃないだろうけど、さっきのレストランみたいなのは時間かかるし、金もかかる。


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