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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

累とみみ 1 -僕のしあわせは君と居る事-「暁と星」派生編-

Posted by 碧井 漪 on  


恋愛小説(純愛)
「暁と星」特別編です。面白そうだと思われましたら応援して下さい。(オクラさんにならないように・・・φ^^;)
【星良と励が婚約する一年前の三月中旬。蔵持家の長男・累の恋が始まった】

累とみみ 1



「しあわせにするから、絶対に。」


「うん。」




僕の力でしあわせにしたいと初めて思ったのが君だった。


御曹司と呼ばれ、何不自由ないこの暮らしを捨てても、君と生きたい。


君は僕を曇りのない瞳で、いつも真っ直ぐに見つめてくれる。


君にあげたいと思っていた贅沢な暮らしを、僕は君から奪ってしまう事になるけれど、それでも僕は君が欲しかった。


何より大切な君は、僕の秘密の宝物。君がいれば他に何も要らないと言うけれど、本当にそうだと思う。


今まで僕は、しあわせになるにはお金がないとなれない、そう思っていた。


実際、お金に困り、不幸な顔をして家にやって来た人達を、幼い頃から見続けていたから。


お金がないのは不幸な事。


お金があれば、人はしあわせになれる。


僕の家にはお金があった。今までお金に困った事もなかった。だから、不幸だと感じた事はない、筈だった。


でもそれは、しあわせが何かも知らなかっただけだと知ったのは、君と出逢ってから。


「僕のしあわせは、君と居る事。」


「あたしも。」


お金はないよ、でも、しあわせが次から湧いて来る。君と居るとね。




累とみみ 3

Posted by 碧井 漪 on  

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食べさせてあげたいな。


でもそんな事を言ったら、みみはさっきのように、同情かと怒るだろう。


「お腹ペコペコだ。どこかに食べに行かない?」本当は、僕のお腹は空いてない。


「でもあたしお金ない。」


「奢るよ。その代わり、みみのお勧めの店を教えてくれたらね。」


「え?本当に?いいよ、行こう、累!」


「待って待って、あ、いてて。」


「早く早く!こっち!」


「待ってってば。」


みみが案内してくれたのは、駅前の古い商店街の中にある、お世辞にも綺麗とは言えない中華料理と看板の掲げられた店だった。

累とみみ 4

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日曜日、お昼前。


いつもならのんびり、自分の部屋で一人、珈琲を愉しみながら好きな音楽を聴いて、読みかけの本を開く。


しかし今日は朝から慌ただしい。


僕というより両親が。


ゆうべに引き続き、僕のお見合いが会社近くの料亭で行われる。


今日の相手は、うちのメインバンク頭取の姪というから、両親も力が入ってしまうのだろう。


政略結婚という訳でもないが、それなりの家で育った女性とではないと、蔵持家の長男の嫁は務まらないという考えを両親は崩さない。


『自分の結婚相手は自分で決めます』


僕がはっきりそう言える男だったのなら、良かったのだろうけれど、

この世に生を受けてから一度も、女性とお付き合いした事がない僕に、そのような台詞を吐ける訳もなく、言われるままお見合いを続けるしかない今日この頃。

累とみみ 5

Posted by 碧井 漪 on  


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両親と共に乗った車で二十分、馴染みの料亭に着いた。


洋風な我が家と違い、和風なこの料亭に来ると、自然と気が引き締まる。


こちらです、と通された部屋。すでに到着していたお見合い相手の顔を見ると、大層美人だった。


佐久間悠美(さくまはるみ)さん24歳。趣味はお菓子作り。大手企業の一般職に就いているという。


これで性格も良かったら、蔵持家長男の結婚相手としては申し分ない。


両親もそろそろ決めたいと焦っているから、今日は殊更気合が入っているのが傍目にも判る。


お見合いをする張本人より真剣なのが可笑しくて、笑ってしまいそうになるのを必死で堪える。


ポーカーフェイスを保とうとする時の僕の顔は”仏頂面”らしい。

累とみみ 6

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僕は家から離れられない。弟達と違い、蔵持家を継ぐという宿命を背負っている。


当主の器ではないと思いながらも、与えられた使命を果たさなければならない。


料亭から、一人ぼんやり歩いていた僕は、いつの間にか会社の前に立って居た。


見上げた高層ビル。家を継げば、このビルも僕の所有になるらしい。


コツン、コツーン、ビルの前に響くのは、空っぽでつまらないという男の足音。


それから向かった先は、ゆうべのあの白い橋。


赤い橋を眺めながら土手道を歩き、階段を下りた。


ゆうべと違って明るいから、踏み外して転んだりはしない。


視線を足元から前へ移すと、そこにある河はいつもと変わらず、悠々と流れている。

累とみみ 7

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テレビ、ない。エアコンはあるけれど、とても古くて動くのかも判らない。


こたつは電気コードを抜いているし、ストーブもない。


どこからか風が吹き込んでいるようだ。気密性が低い。部屋の中だと言うのに、寒くてコートを脱ぐ事が出来ない。


窓でも開いているのかと見ると、何故か硝子一面、梱包材で覆われていて、外が見えない。防犯対策?それとも飛散防止?


「今、作ってるからね。」


台所を見ると、コンロの前に立つみみの背中が見えた。


「何を作っているの?」


「お・た・の・し・み。もう少し待ってて。」


変わった匂いがして来た。これは何だ?


何かの香辛料?よく分からない匂いだ。


火から下ろした鍋の中身を、みみはどんぶりに移し、お盆に載せて僕の前に運んで来た。


どんぶりの中には、まるでマグマのようなと言いたくなる、謎の赤い汁が入っている。


累とみみ 8

Posted by 碧井 漪 on  


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本物の僕って何だ?益々解らなくなった所で、

「今度、累のおうちに遊びに行ってもいい?」と訊かれた。


「え?僕の家?」


「駄目?迷惑?」


「い、いや・・・そうじゃないけど。」


「じゃあ、いいの?」


僕が自宅にみみを招く所を想像してみた。


両親は腰を抜かすかもしれない。励はニヤニヤしそうだ。


侶偉は友達になりたがるかもしれない。


考えたら、みみは侶偉と同い年だ。


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