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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

馮離 B面 2

Posted by 碧井 漪 on  

賢一 1
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カタ、カタカタ、カタカタ、カタッ。


音が止んだ。


「賢さん。」


キーの上に両手の指を載せたまま、振り向かずに彼は俺を呼んだ。


「はい。」


「いつものお願いします!」


いつもの──あれか。


立ち上がる時に、キシッ、マッサージチェアが小さく音を立てた。


スウッと息を吸い込んで、抑揚を抑え、うんと低音を意識して、そっと吐き出すように放つ。


「・・・殺したい程、愛してるよ。」


馮離 B面 3 ※残酷描写有

Posted by 碧井 漪 on  

賢一 白
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コトッ・・・


キーボードを叩く朝臣の左手と画面の間に愛用のマグカップを置く。


右側にはマウスがあるから、左側がコーヒーの定位置になった。


執筆時専用のコーヒーマグは少し重たいが、頑丈でシンプルな物。


書かない日はどんなカップでもいいが、書く日は絶対に、このマグカップではないと調子が出ない朝臣。


白いカップに焦茶のコーヒーのコントラスト。


頼りなく立ち昇る、雲ような湯気。


紅茶とは違い、苦く鼻を擽る香りを感じているのかいないのか、朝臣は手を止めない。


「ねえ、賢さん!」


「はい。」


「背後に立たないで。気になって嫌なんだ。」


「失礼しました。」すぐに移動する。


うっかりしていた。朝臣は執筆中、後ろに気配を感じるのが苦手だ。


馮離 B面 4

Posted by 碧井 漪 on  

馮離2-2
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藤野朝臣、22歳。


高校生の頃から、同級生だった俺の妹・聖子(さとこ)と付き合い、俺と朝臣は、うちのリビングで何度か会って挨拶を交わした事があった。


礼儀正しい好青年で両親も気に入り、妹と朝臣は、大学を卒業したら結婚するという約束もしていた。


大学在学中に日本純文学賞を最年少で受賞し、才能溢れる新進気鋭作家として名声と金、そして妹も手に入れようとした矢先の事故だった。


朝臣がしあわせに恵まれた分、妹に不幸が降りかかって来たんだ。


妹だけ死に、朝臣だけ生きている―――信じたくない現実。


夢かもしれない、早く目を醒まさなければ、聖子が消えてしまう・・・悪夢だと信じたい俺は、毎晩のように妹を夢枕に立たせ、苦しんだ。


絵を描く事が好きだった妹の部屋に入った俺は、ペンスタンドから、鉛筆を削る為の小さなナイフを持ち出した。


原因不明の吐き気で会社を休みがちになり、当時付き合っていた彼女とも付き合っていく気になれず別れてしまった俺の足の向かう先は、事故から半年近く経ってようやく退院したという藤野朝臣のマンション。住所は知っていた。


妹が帰って来なくなった日から半年以上が過ぎた12月下旬。


季節は夏から冬に移っていても、時の流れる感覚を失ってしまっていた俺は、一人取り残されていた。


馮離 B面 5

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馮離2-1
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「お願いだ。知っているならどんな事でもいいから教えてくれ。」


いつの間にか座り込み、力なく床に投げ出した両手の上に涙を零しながら、俺は朝臣に懇願した。


それで最後にしようと思った。妹の無念を想って、こうして泣く事をやめようと思った。


すると、涙も枯れ果てたような朝臣の目から、ボロボロと大粒の涙が落ちて来た。


驚いたのと同時に、朝臣は本当に生きていたんだと安心もした。


「聖(さと)、子、さんは・・・」


朝臣がその名前を口にしたのはいつ振りなんだろう・・・おそらく避けていたに違いない名前を、途切れ途切れに呼ぶ姿に、聖子の最期を訊いてしまった事を後悔もした。


妹がコンビニに寄った理由は・・・翌日に控えた兄の誕生日のケーキに立てる蝋燭を買う為だった──と、朝臣の口から語られた時、心が凍った。


そうなのだとしたら、俺のせい。聖子が事故に遭う原因を作ったのは──


聖子を車で轢いた加害者は勿論だが、朝臣からしたら、聖子がコンビニに寄る原因になった俺の事も憎いだろう。


俺の誕生日が事故の翌日でなければ──いや、俺がこの世に生まれていなかったら・・・


馮離 B面 6

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馮離6
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ガーッ、ガーッ、ガーッ・・・黒いプリンターから、印字された白い用紙が何枚も出て来る。


分厚く束ねたそれを俺が朝臣の向かう机の端にトンと置いた時、

「出来たー!」と朝臣は両手を突き上げ、執筆用の椅子の上で背中を反らした。


「お疲れさまでした。」


朝臣は首を左右に倒しながら、両肩を上げ下げした後、隣に立った俺を見上げた。


「あー、賢さん、ちょっと横になっていい?」


「わかりました。ベッドに運びます。」


傍らの車椅子を使えば朝臣一人で移動出来るが、原稿を書き終えたばかりの今は、甘えさせてやりたい。

馮離 B面 7

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馮離7
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あの日から四年、彼が再び小説を書き始めて三年。


短いようで長かった俺達の三年。


何度諦めようかと思った。


それでもここまで来れた。


あと一息だ。俺の役目は。


カチャ。


賢一は朝臣の眠る寝室へ入った。


一泊の荷物はあらかじめ纏めてあるが、そろそろ出掛ける準備をしないと、宿の夕飯に間に合わなくなるかもしれない。


「朝臣・・・」


賢一は、ベッドに腰掛け、朝臣の耳元で囁いた。


「ん・・・あれ?原稿チェック終わったの?」


「担当さん、帰ったよ。」


「あ・・・」


朝臣は気付いたみたいだ。俺の言葉が仕事モードから変わった事を。


目尻を下げた朝臣は、俺の首に手を伸ばし、


「キスは?」


両手の指で俺を引き寄せながら、仰向けで目を閉じる。


馮離 B面 8

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馮離8
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「そろそろ出掛ける?」


俺の考えている事を読み取ったかのようなタイミングで、朝臣が訊いた。


「うん。」と、俺は朝臣の上を覆う自分の体を動かした。


時々ある、朝臣が俺の考えをわかっているように感じる時が。


一緒に暮らしているから思考が似て来ているのか、お互いの欲しがる物とか、何となくわかる。


『あれ取って』『はい、お醤油』のような。


まるで老夫婦?


いや、男同士だから、夫婦ではないな。

馮離 B面 9

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馮離7
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陽が落ち、ペンションに着く頃には、夕焼け空は星空に変わっていた。


「ここ?ふーん、女性が好みそうな可愛い宿だね。」


「建物が星の形になっていて、真ん中が食堂らしい。部屋はそれぞれが独立して、真ん中の建物に廊下一本で繋がっている。シャワーは部屋に付いてるそうだ。」


「へー、詳しいね。もしかして、賢さん。昔、ここに彼女と泊まりに来た事があるとか?」


「ないよ。朝臣こそ、聖子と色々出掛けたんじゃないのか?」


「いいえ、ないですよ。聖子の家は門限あったからね、ご存知でしょ?お兄さん。」


「それはそれは、失礼しました。」


「ぷっ、やめようよ。何このくだり。」


「そうだな、早く入って夕飯に有りつこう。」







夕食後、朝臣を連れて外へ出た。


「寒くないか?」


「俺は大丈夫。賢さんは?」


「俺も寒くない。」


ここは、街から離れ、灯かりが少ない高原地の為、星が沢山見えた。


「星、綺麗だな。」


「うん。」


今日は天気も良く、夜空には沢山の星が、本当に降って来そうで、思わず手を伸ばしそうになった。


実は星は近くにあるのではないかと、十分錯覚出来た。


朝臣が右手を高く、星に向けて翳した。


暗闇に慣れた目で朝臣の姿を見つめると、彼は目を細めて、微笑んでいるような穏やかな表情で星を眺めていた。


あの頃の朝臣とは随分違う、別人のようだと思った。


俺のした事は、間違ってなかった―――そう思えると、もう俺の役目は終わったのかもしれないと、未来への不安は小さくなった。









三年前、朝臣に小説を書かせる事は簡単ではなかった。


脅しなんて通じない。


俺が会社を辞め、仕事をしなくなっても、元々生活費は朝臣が払っていたのだから、俺の収入など無くても何とでもなる。


マンションは一括購入してあって、ローンはない。


朝臣には貯金もある。


食費、光熱費、医療費等は、事故の慰謝料に加え、朝臣の貯金と障がい者年金と、賞を獲った本の印税があるので、彼が何も仕事をしなくても、一生食べて行く事は出来る。


だけど、本当にそれだけで生きて行くと言えるのか。


体が生きていても、心が死んでいるって、こういう人間の事を言うんだ。


心から笑って泣いて怒って、それが出来なくなって、求めるものを見失ってしまった朝臣。


聖子が天国で見ていたら、確実に悲しんでいるだろう。


『お兄ちゃん、朝臣を助けて。朝臣を笑わせて欲しいの』


そんな幻聴が聞こえて来そうだ。


でもどうやって―――


馮離 B面 10

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馮離10
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キッチンマットの上に掃除機をかけ終え、廊下にある納戸に戻そうとした時、車椅子の朝臣と目が合った。


引き籠もっていた寝室から、やっと出て来たんだ・・・呼びに行く手間が省けて良かった。


「おはよう。」


「・・・・・・」


まだ引き摺って口を利かない。決して良い状態とは言えないか。


「おはようくらいは言えよ。」


「おはよう・・・」


うん、喋る元気はあるな、よし。


「おはよう。と言っても夜だけど。夕飯食べよう。」


「・・・・・・」


「今日も食べなかったら、病院で点滴だからな。眠ったらすぐ身体拘束して連れて行く。」


「・・・!」


馮離 B面 11

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馮離11-2
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朝臣は、俺の作ったお粥をレンゲで掬い、口の前に持って行った。


「待った、朝臣!ストップ、食べるな!」


手のひらをパーに開いて止めたが、


「?」朝臣は口を開けたまま、レンゲを下ろさない。


「しょっぱくて、食べられた物じゃない。塩加減 間違えた・・・ごめん。」


ぱくっ。


わわっ!朝臣がお粥というよりお塩を口に入れた。


「しょっ、ぱ・・・」


朝臣は左手で口を覆い、顔を顰めた。


馮離 B面 12

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馮離11
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「どこ?コンビニとか?」


「ん、ああ・・・湾岸線でも走ろうかなって、車で。」


頭を冷やそうと思った。そして忘れようと。朝臣に小説を書かせたいと思った事も全部。


俺が朝臣の小説に拘らなくなれたら、朝臣から離れられそうな気がした。


「車・・・」朝臣は、俺が左足に靴を履く少しの間 考えてから、「俺も、行きたい。」と言い出した。


「えっ・・・?」車に乗るのを怖がる朝臣が?どういう心境の変化だ?


「お邪魔なら遠慮するけど。」


邪魔ではないし、遠慮する必要もない。だけど―――


「遠慮なんかしなくていい。けど・・・運転中、後ろ気にしてられないから、行くなら助手席に座らせるぞ?それでもいいのか?」


その時、卑怯だが俺は、厳しい条件を付けて朝臣を試していた。


馮離 B面 13

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馮離 13B
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「どうした?」


ここまで何ともなかったのに、急に異変が・・・!


俺は速度を緩め、車線を左に変更してから、ちらと朝臣を確かめた。


一瞬しか見えなかったが、右手で口を押さえ、左手は胸にあったと思う。


「・・・へ、いき・・・」


どこがだ。顔色までは暗くて判らないが、声は震えてる。


まさか、ずっと我慢してた?


「朝臣、手、右手ここに乗せろ。」


馮離 B面 14

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馮離 14B
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「そう。」と言いつつ、俺は目を泳がせる朝臣の様子が気になっていた。


息を吐き過ぎて、喉がカラカラとか?


あー、それとも人工呼吸されたから、口の中が嫌な感じとか?


んー、空気だけ送って、唾液とか入れてないつもりだったけど、入った?


とにかく、気持ち悪いのには違いないか。


紙袋とか、あったら良かったけどなぁ・・・とりあえず、うがい、出来るものは・・・ない。


賢一はキョロキョロ辺りを見回した。


すると、埠頭のベンチの後方に、ジュースの自動販売機がぽつりと立っているのが見えた。


所々塗装が剥げ、下の方は潮風でかなり腐食している状態だが、灯かりが点いているので動いていそうだ。


「あ、あそこに自販機があるから、何か飲む物買って来るよ。」


「お、れも、行きたい。何だか、熱いから・・・」


「んー、じゃ、おんぶでもいい?」車椅子を出すのが億劫だった。それに、下のアスファルトもあちこち割れて隆起しているから、車でも走り難いし、車椅子はもっとだと思えたから。


「俺はおんぶでもいいけど、賢さん重いでしょ。」


「自販機の前にベンチあるから、あそこまでなら平気だ。」


「・・・うん。」


朝臣を負ぶると、「ねぇ、賢さん・・・何で・・・」ボソボソと話し掛けて来た。


風に遮られ、耳に届かない。朝臣が何を言いたかったのか、気になった。


「何で・・・の後、何だ?」

馮離 B面 15

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馮離 B15
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頬をひやりと夜風が撫でた。


俺の意識は、想い出の中から現在に戻って来た。


あの夜も寒かった。


あの後、車で帰宅途中、夜遅くまで開いているスーパーに寄って冷凍炒飯を買って、家で食べたんだった。


それから朝臣のお気に入りになった冷凍炒飯。


「寒くないか?宿に戻ろうか?」


「思い出してた。」


「何を?」


聖子の事かと思いながら、俺は朝臣に訊き返した。


馮離 B面 16

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馮離 B16
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「は・・・っ?え、賢さん、今なんて?」


「今日は朝臣から、俺にキスして。」


「俺からって、え?何、賢さん、もう一回・・・」


「もー言わなーい。」顔がボッと火照った。


キシキシキシ、宿に向け、速度を上げた車椅子が軋んだ。


さっき来た道を五分も戻ると、宿に着いた。


部屋に入ると、体にぶつかっていた無数の風を感じなくなり、暖房を点けていなくても暖かく感じた。


灯かりを点けると、山の麓だからか、

生活音も外の風の音も無く、しんとして、感覚が研ぎ澄まされる。


カチャン、ドアの鍵を閉め、

カチャ、手にしていた鍵を下駄箱の上に置いた。


俺は靴を脱ぎ、朝臣の靴も脱がせた後、

車椅子のタイヤカバーを外し、

再び車椅子のハンドルを握った。


その時、

ひやり、と何か左手の甲に冷たい物が触れ、視線を向けた。


馮離 B面 17

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馮離B17
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皇くんが越して来てから、夜は二人きりになれなかった。


だから、俺も朝臣も、二人だけの夜は三か月ぶり。


「・・・どっちでも。風呂でもベッドでも・・・」


「じゃあ、こうしよう。俺は風呂場で、朝臣はベッドで俺にキスをして。」


「えっ・・・!」


「そーしよう。今夜は俺、ネコ。」


「ネコって、無理だよ。俺は・・・」


「俺だって、たまには襲われたい。」なんて言ってみる。

馮離 B面 18

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馮離B18
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元々涙脆い朝臣の涙は、執筆中には見慣れていたが、普段、聖子の話をした時に泣くという事は、今までになかった。


今日は特別な日―――聖子の命日、だからなのか?


いつもは口の端を歪めて、苦笑いしているような表情を浮かべて―――ああ、そうか、朝臣はずっと我慢していたのかもしれない。


こうして素直に感情を流す事を。


自由な俺の左手を朝臣の背中に回した。


丸めた背中を背骨に沿って、揃えた指で上から下へ撫で下ろす。


あたたかい。


ボコボコと朝臣の背骨の凹凸を指先に感じながら、俺はゆっくり息を吸って吐いた。


馮離 B面 19 (R-18) ※BL

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万年筆
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「や、ソコ、舐めんな!今日は突っ込むんじゃなかったのかよ。ソコばっか、しつこ・・・ああ、やっ・・・!」


「耳の裏弱すぎ。胸も。素直に嫉妬してると言えば、即突っ込んでもいいけれど、まだイキそうにないでしょう?」


「ひゃ、っ・・・そ、んな事、ない・・・、もう、あ、ダメ・・・だよ・・・っあ!」


「嘘吐き。」


賢一は、濡らした後孔に指を挿し込み、朝臣の感じる部分を集中的に刺激した。


「も・・・ダメ、これ以上イジメたら、ホントに出る・・・!」


棹を扱きながら、硬くなった乳首を舌で嬲る。


「出してしまえ。」


「何そのセリフ。萎える。」


賢一は、朝臣の前を扱く手のスピードを緩めた。


馮離 B面 20

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ペットボトル
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そう言う俺にも、秘密はあるが。


胸の奥に、何かがじわりと熱く滲む。


こんな事しなくたって、俺は朝臣の事を、いつまでも変わらず―――いや、それは違うか。


無償で不変な愛は、この世界に存在しない。


何か、見返りがあるから成り立つんだ。


俺の場合は、小説。


朝臣の最高傑作が読みたい。


小説が完成した時、俺の役目は終わる。


馮離 B面 21

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馮離21
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「今日は熱無いだろ。自分で飲め。」


「ケチ。じゃあ要らない。トイレ行きたくなるし。」


「飲めよ。脱水になるだろ。」


「嫌だ。おやすみ。」


そう言った朝臣は、背中に当てていた枕を抜き取ってポイと投げて戻すと、

両腕の力だけで、布団の中に頭まで潜り込んだ。


「こら、朝臣!」


馮離 B面 22

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馮離 22
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「ザッとシャワー浴びて、支度したら出よう。」


俺はベッドの足元をぐるりとして、朝臣の方へ回り込んだ。


俺を見上げる瞳が眩しい。


朝臣の小説の中で、キスマークは所有印だという表現があったが、

今まで半信半疑だった。


しかし今日の朝臣は、この背中を、俺以外誰の目にも触れさせる事が出来なくなった。


元より、俺以外に見せる事は無いのだが、

それでも・・・という、更に枷を増やしたような気持ち。


「何、見てんの?」


「いや・・・」


「あのさ、一つ忘れてた事があって。」


「何だ?」


馮離 B面 23

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2016年6月21日火曜日。


賢一の29歳の誕生日、賢一は朝臣を連れて、聖子の墓参りを済ませると、実家へ向かった。


【黒森】


久し振りに実家の表札を前にして思ったのは、どうして俺はこの家の一人息子なんだろうって事。


帰りたくない家。今年は正月だって顔を出したくなくて、昨年末の忙しい時期に少し立ち寄った位。


父さんはまだいい、問題は母さん。


一人娘の聖子を失って、それまで注ぎ込んでいた愛情とやらを、一人残った俺に向けるようになってしまった。


もう一人、息子でも娘でも居てくれたら良かったのに・・・と賢一は実家に帰る度、縁談と同居話をする母親に辟易していた。


馮離 B面 24

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馮離24
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そう、今日は俺の誕生日。聖子の命日は昨日だ。


今年は20日の命日ではなく、俺の誕生日21日今日に来て欲しいと言われていた。


それでも、朝臣の体の負担や、仕事の事を考えると、やはり実家に居るよりマンションに戻った方がいい。


「ごめん、母さん。また今度───」「”今度”そう言って、また来ないつもりなんでしょう?」


俺を責め出した母さんにびっくりしたのか、朝臣は「一人で帰れるから」と俺の襟元で囁いた。


「いや・・・」普通の声でそう返した俺に、


「朝臣くん、ソファーの方がいいわね。ごめんなさい。向こうでお茶煎れましょうね。」と母さんが言った。


馮離 B面 25

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先の事を考えたくない、そう言っている人間は、この先の逃れられない嫌な事を、一秒でも味わいたくないからなんだろう。


自分のしあわせを追い掛けたいなら、親を捨てる非道な人間にならなければならない。


親に恨まれるのが俺だけならそうしても構わない。


しかし───そうではないから、俺はそうしてはならない。


馮離 B面 26 (R-18)※BL

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ゆうべの痕の上から再び強く吸った。

朝臣の白い背中には、俺の唇で付けた無数の赤い斑点が、小さく可憐な花弁の如く散っていて、

痛々しいと見なければ、それは美しいものだった。

男とか女とか忘れる。そんな事どうでもよくなる位、俺は朝臣にのぼせ上がっている。

激しく抱いた後の満ち足りた時間、体に残る気だるさを心地よくも感じている最中、『このまま死んでしまいたい』なんてうっかりこぼしそうになる。

お前と一緒に居られるなら、死んだっていいよ。

いや・・・違うか。

お前と一緒に居られなくなるなら、死にたい・・・か。

どうして時は流れてしまうのだろう。

止まってくれるのなら、俺の気持ちは変わる事無く、永遠になるのに。

言えない言葉、たったの五文字。

言えたら楽になるかと言えば、そうでもないだろう。

だけど、言えない今も、楽じゃないよ。

本当は打ち明けたい。でもそれは、朝臣の為には、決してならないから。

俺一人の胸に留めておくよ。
















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