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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

甘くなくて苦くもない (銀と千のバレンタイン・百世不磨の心・番外編)

Posted by 碧井 漪 on   0 

千里番外

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    「ふうぅぅーん、先生、意外とモテますね。」


    ビクッ!


    中学校の数学科準備室の閉めてあった筈の背後のドアの方向から、杜野千里(もりのせんり)と判る声がした。


    青木銀矢は教師になって三年目、現在は二年生の担任を受け持つようになり、準備室の銀矢の机の上には、女子生徒達から贈られたチョコレートと判る華やかな包みの数々が、古ぼけたよれよれの紙袋をパンパンにしていた。


    「ビックリした。せん・・・いや、杜野さん。こんな時間にどうしたの?それも私服で。」


    黒のキャップから覗くベリーショートの黒い髪、青いダッフルコート、黒のストレートパンツに黒のボディーバッグを背中に斜め掛けしている男子にも見える恰好の千里。


    2014年2月14日金曜日の夕方18時、まだ中学校で仕事をしていた銀矢の元に高校二年の千里が訪ねて来た。


    銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 1

    Posted by 碧井 漪 on  


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    「疲れた・・・」


    呟きながら、自宅マンションの駐車場に停めた車から降りた銀矢は、八階建ての三階の部屋を見上げた。


    水色の遮光カーテンの隙間から漏れる灯かりを目にして、どこかくすぐったい。


    車をロックして、エレベーターへ急いだ。


    部屋のドアの前でポケットに手を突っ込み、あ、そうだ鍵は千里に渡したんだった、とチャイムを鳴らした。


    ピンポーン。


    応答はない。


    けれど、パタパタパタ、と近付く足音が部屋の中から聞こえて来る。


    「センリ?」


    ドアノブに手を掛けて待つと、ガチャッ、千里が顔を出した。


    「先生、おかえりなさい。」


    「センリ、今、玄関の鍵、開けっ放しだった?」

    銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 2 ※R-18

    Posted by 碧井 漪 on  

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    「先生?」


    「千里は、俺のシャツ、脱がせて。」


    「はい。」


    くすりと笑いながら、千里は銀矢のワイシャツのボタンを、銀矢は千里のチェックのシャツのボタンを開いた。


    ホックを外したブラジャーの肩紐を下に落としながら、上を向かせた千里の唇にくちづける。


    目を閉じ、俺の仕掛けたキスに素直に応じる千里に、堪らない気持ちが込み上げる。


    それを抑えて、千里が俺に求めるのは、ただカラダだけだと言い聞かせる。


    先生に対する生徒の恩を感じていい期間は十分に過ぎた。


    今は、カラダだけ、千里の望む、誰でもいい男のカラダだけ提供するのが俺の役目。


    千里の白く滑らかな肌の上を泡で覆いながら、俺の次に、誰が千里のカラダを好きにするんだろうと考えて、無性に腹が立った。


    乱暴にしたら許さない。

    銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 3 ※R-18

    Posted by 碧井 漪 on  

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    千里は、自分のカラダに受けて来た傷を、いつか恋する相手に打ち明けるのが怖いんだろう?


    大丈夫。


    千里を好きになる男は、千里の傷ごと包んで、愛してくれると俺は思うよ。


    もしも、過去を黙っていたとしても、それに罪を感じる事はないよ。


    千里のせいじゃない。


    だから、大丈夫だ。


    神様が見ている。千里がしあわせになれるように、きっと導いてくれる。俺はそれを祈る。


    「先生、大好き。」


    千里は俺の胸に縋り付いた。


    裸の千里を抱き締める。肌が少し冷たくなって来た。


    「冷えるから、お湯に浸かろう。」

    銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 4

    Posted by 碧井 漪 on  

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    バレンタインデーの翌日、センリを送って行った帰りに、ちさとから連絡があって、会うと、「一日遅れちゃったけど、はい、本命チョコ。」と高級なブランドチョコの包みを渡された。


    ちさとらしい。


    「ありがとう。」


    でも、何だろう。


    センリから貰ったチョコの時の方が、胸が熱くなってた。


    あの時、一生懸命な千里を見て、自分も高校生に戻ったみたいに感じてたのかな。


    初めて作ったという、デコボコチョコ。


    誰にも買えない、世界でたった一つのそれを貰えた今年の俺は、とても光栄だったんだな。


    やばい、本当にこれじゃあ、元生徒に恋する先生になってしまうじゃないか。


    俺が本気になったって、いずれ千里に捨てられるんだ。


    同年代の男の方が良くなるに決まってる。


    「銀ちゃん、それで返事は?」


    「返事?」


    「本命チョコの返事。」

    銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 5

    Posted by 碧井 漪 on  


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    「何してんだ、こんな時間に。」


    「ちょっと、近くを通ったから。」


    バレバレの嘘。


    こんなに頬を冷やして、身を切るような寒さの中、俺が出て来るのを待っていたのか。


    駐車場に車があったからな、俺がまだ学校内に居ると判ったんだろう。


    それにしても、だ。


    「馬鹿。風邪引いたらどうすんだ。」思った事が、そのまま口を衝いて出た。


    会いたかった・・・


    風の音に紛れた千里の声。


    俺は聞こえない振りで、

    「車に乗りなさい。送って行く。」助手席のドアを開けた。


    車を走らせていると、

    「先生、ご飯は?」と訊かれた。


    銀と千のバレンタイン -苦いから甘さがわかる- 6 最終話

    Posted by 碧井 漪 on  

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    俺の手から取り返そうとするセンリの手を撥ね退け、何だこれはと見た物は、透明なケースに入った「シロクマ?」のぬいぐるみだった。


    「これとにらめっこしてたのか?」


    「何だか、見られている気がして。」


    白く丸い顔の真ん中に突き出した鼻の少し上に、黒く円らな瞳が二つ寄っている。


    「迫力ないクマだな。」


    「こういうのは、可愛く作られているんです。」


    「へー、これが可愛い?マヌケな感じだろ。」肉球がハートなんてありえない。


    「そうですか?先生に似てるのに?」


    「はぁ?これのどこが俺に似てるって?」


    「抱きしめたくなっちゃう位、可愛い所。」


    「・・・・・・」


    この間の事を言っているのか。まったく、大きな弱味を握られたもんだ。


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