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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

とてもかくても 1 (R-18・エロス系) 

Posted by 碧井 漪 on   0 

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    生きてる事ってとにかく苦しい。


    辛い。


    悲しい事ばかりある気がする。


    死ぬまで繰り返し続く。


    息切れしても毎日休めずに続く。


    でもさ、死んだら、全部消えちゃう。


    今まで築いてきたものもすべて。


    集めたものも、貯めてたお金も、出逢った人達も、積み重ねた知識も、記憶も、感情も、


    感覚も失って、サヨウナラ。


    過ごした時間は無駄になり、費やしたお金も資源もすべてパァ。


    何の為に生まれてきた?って問われる。


    何の為に死んだ?かな?


    何の為に誰の為に生きた?とは聞かれないのは何故だろう。


    自分が死んだ後、


    葬式に集まる生前の家族・親戚・友人。知人達。


    好き勝手言ってくれている姿が見える。


    何の為、誰の為に生きた?


    それだけは誰一人、口にしなかった。







    ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ・・・


    夢かと解って、ホッとしたかって?


    いや、落胆した。


    寝てる間に息が止まれば安らかにイけるとか考えていたから、


    ああ、また今日も息苦しい日常を汗水垂らして一生懸命に生きるって芝居をシナクチャならないわけね、と哀しい自分を宥める。


    芝居とは、我ながら上手い事言ったものだと思った。


    親の期待に外れないようなイイコを演じ続けてイキ続けるコトに疲れた。


    そんな事したってこの世では報われないってコトがよくわかった昨日。


    今日は、違うコトをしよう。


    いつもの自分と真逆の事をして、


    バチが当たって死んでもいいから、


    イイコではないコトをしよう。


    このカラダに快楽を浴びせてアゲよう。


    サイゴに。










    それから七年経った。


    まだ生きている。


    今は、死ぬとか云々(うんぬん)考えている時間の余裕がなくなって、必要なくなった死のうと考える気持ち。


    誰かを羨む事もなく、自分はこれでいいと思う場所に今は居る。


    人の心なんて簡単に変えられる。


    特に、カネと権力を手に入れてから三年とかからなかった。


    自分の命の価値を決めるのは誰かなんて考えている内は成功しない。


    とてもかくても、だ。


    私は私を死ぬまで生きるしか出来ない代わりに、


    生き終えるまで、


    とてもかくてもあたしを主張する事に決めている。


    とてもかくても 2 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    すごいな、ぐちゃぐちゃでどろどろ・・・


    やわい内側の襞が指にうにゃうにゃと、掻き分けても掻き分けても纏わり付いて来る。


    「あん、あっ・・・あぁっ、い・・・ぃっ!イッ・・・ちゃ、うぅっ・・・!」


    冷静に考えて挿れるのは無理だ。


    「このままイけば?挿れないから。」


    とてもかくても 4 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    すすっ、すすっ、と神無さんの筒状の形にに保たれた指が上下に動く。


    唾液で濡らされて、ぬめぬめと滑りが良い。


    俺の先端の内側の皮膚の薄い部分に這わされる舌先のザラリとした感覚に、


    ぶるりと身震いすると、


    俺の前に跪いて、上目に見上げたその視線にエロスと余裕を感じた俺は、


    「もっと、深くして。」と彼女に要求していた。




    とてもかくても 5 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    快楽を"しあわせ"というものだと錯覚し始めた頃の俺。


    志歩理はとうに、その地点を通り過ぎて、もっと先の場所に居たのだと、後から俺も快楽=しあわせという地点を通過して気付いた。


    俺は何をしても、この先の人生、


    しあわせと呼んでもいいと思える日常のとてもささやかな喜びを毎日繰り返し見つけるだけの穏やかな生活の中で、


    決してそれだけでは満たされないという事に気付き始めてしまっていた。

    とてもかくても 6 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    寂しいという感情がまた襲って来る。


    嵐のように、と言いたくなるけれど、違う。


    まだ嵐の真ん中で雨や風に揉まれている方がいいと思える程、


    何も感じたくなくなる程の気怠く息苦しい感覚。


    どうにかして息をしようと焦るか、このまま息を止めてしまえば感じなくなるかと、


    逃れたくなる、


    静か過ぎる世界。


    またそこに放り込まれる私は、


    前世なんてないと思っていたけれど、


    もしあったのなら、どちらがより寂しい人生だったのかと考えた。

    とてもかくても 7 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    「子どもは産めないの・・・だから別れて。」


    命を懸けて生んだとしても、その後をあなたに一生任せる選択は出来ない。


    「何で?何でだよ!折角芽生えた命だろ?社長とはご無沙汰だって、俺の子の確率が高いなら、産んでよ!」


    あなたの子よ、と告げて、それから私の病状を知らされたあなたは私と同じく絶望的な気持ちに陥った後、


    "結婚しよう"と言った事を後悔する筈。


    「だからよ。社長の子なら養育費いっぱい貰えるでしょう?だけど子どもを産んでヤスと、この暮らしを捨ててまで一緒に居られないと思ったの。


    プロポーズは嬉しかったけど、私は結婚する気はないわ。今のままの関係も一生続かないから、今日で終わりにしましょう。」


    私が弱っている今、あなたの事を支える力もないから、一緒に居てあなたに取って良い事はなさそうよ?


    「何だよ、それ・・・俺って志歩理に必要ないって事?俺じゃだめなの?」


    だめよ。


    あなたが私よりくたびれててどうしようもない男だったのなら、


    どうなってもいいと思える相手だったら、私の抱えている問題を吐き出して、


    一緒に崩れて行くという選択もあったかもしれないけれど。


    「そうね。あなたより年上の金と躰目当ての女の事は忘れなさい。私もあなたの事は忘れるわ。今まで愉しませてくれてありがとう。」


    私には不可能な、あなたがしあわせを感じる穏やかな生活を与えてくれる相手を見つけて一緒になって。


    苦いのは私だけでいい。


    だってあなたは私より若いから。


    苦い思いをしない道を歩くのは難しいけれど、


    一つでも多く、私と居るよりも甘い思いを感じられたらいい。





    とてもかくても 8 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    子宮全摘・・・がん?


    「それじゃ、子どもは・・・」


    「畠山さんの事を知ったのは、私の友人も子宮頸がんで手術して、そのお見舞いに行ったら、畠山さんも入院されてて。


    彼女はお子さんは望めない体になってしまったと、


    その当時結婚して二年目だった私に、子どもを持ちたいなら産める内に産んだ方がいいわと言いました。


    だから私は、それから妊娠するよう努めて、妊娠が判ったら三か月後に会社を辞めました。


    二人目も出産、育児をして、中途でこの会社に入ったんです。」


    「そうだったんですか。知りませんでした。」







    とてもかくても 10 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    築二年のマイホームの前に立って眺めた。


    全六棟の建売り住宅、その中でも南向きで人気の区画を手に入れて、


    妻と息子と普通の家族。


    大きな不満もなく、このまま行けばそれなりに幸せな人生を全う出来る道の途中で、


    今、俺は立ち止まっていた。


    とてもかくても 11 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    本当に疲れる。


    あと何回、繰り返すのだろう。


    不安の後に訪れる束の間の安堵感、


    それも次の検査までの短い間。


    一度病気になって治したとしても、


    再び病気にならない保障はなく、


    結果として体も心も、


    決して休まる事がない。


    生きる事を諦めたら別だけど。


    「今回の検査では特に異常は見つかりませんでした。」


    五年生存率、


    その間にがんが再発しない訳じゃない。


    生存している人=再発していない人という訳ではない、


    と知ったのは手術後の検診を受けてから、それは医師に教えられた事。


    五年過ぎたら再発しない訳ではないし、結局その恐怖というか心配はずっと付き纏う。


    がんと診断された事のない人より、より体の事に対して敏感になっていると感じる、


    気の休まらない日々を送っている。




    とてもかくても 13 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    いつもとあまり変わらない22時頃に帰宅した泰道は、

    覗いた風呂場の壁に立てかけられている風呂の蓋を見て、軽く溜め息を吐いた。


    また今夜もシャワーか。

    たまには風呂に浸かりたい。


    それも、湯船に滔々と張ったお湯に、

    ざぶんと入って、ざばーっと溢れさせる、そんなささやかな贅沢を、

    何の愉しみも訪れてくれない短い夜に味わいたくなる。


    とてもかくても 15 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    この真っ赤なピンヒールには何かのチカラが宿っているのかしら?


    いいえ、特に意味なんて持たせたくないから、深く考えてはだめよ。


    カツッ・・・


    志歩理は社内のエレベーターの到着を待ち切れずに、

    選んだ階段を階下に向かって一歩踏み出した後、慌てて視線を逸らしたが、

    どこを見てよいか迷っていた為、足元が覚束なくなっていた。



    とてもかくても 16 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   7 

    会社前から路地を曲り、線路沿いを駅前の大通りに向かってカツッ、カツッと、歩いていた志歩理は、立ち止まって、赤いピンヒールを見つめた。


    久しぶりに女らしい恰好をしたから、この靴を選んだ。


    ピンヒールから延びる影、月明かりに気が付いた。


    とてもかくても 19 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    伸ばされて止まった泰道の指先と志歩理の距離は、ほんの僅かだった。


    心の距離は、もう無い。


    自分が相手になったみたいに解る、気持ちが流れ込んで来る、こうして二人だけと感じてしまう空間の中で目を見つめ合っただけで。


    泰道は私に触れようとしている。触れたがっている。私も、そうされてもいいと思っていた。


    タブレットの事を私に訊いて確信してしまったヤスは私の気持ちに気付いてしまったのだろうか?


    でもだからって、どうして?


    あなたは私の事なんて、何とも思っていない筈。


    私の事をあなたが男の目で見ていると感じてしまったのは私の自意識過剰、そうでしょう?


    泰道は志歩理に向かって伸ばしていた手を戻して胸の前で拳を作り、何かを言いたそうに口を動かした。


    だけど声になっていない。


    志歩理は、話がないなら帰って、と言おうとして

    「昔、志歩理が俺の子を妊娠した時、病気が見つかって手術したって聞いた。」

    と言われ、ああ、その事と少し冷静になれた。


    「ええ、それが?」


    「それが、俺と結婚しなかった理由?」


    そうだけど、と思いつつ志歩理は、それを素直に泰道に打ち明けるつもりは微塵もなかった。


    「違うわ。あの時も言ったでしょう?お金も権力もなくて冴えないあなたとなんか、私が結婚する訳がないって。」


    どきどきしながら、志歩理は、あの時も今も泰道の持っていないものを見下すように並べ上げてそれを理由にした。


    「本当に?」


    泰道にじっと見据えられた志歩理は視線を逸らしながら、

    「ええ。」と腕組みをして答えた。


    「俺は、志歩理が好きだ。愛してる。」


    そう来るとは予想していなかった言葉をはっきりと泰道に告げられた志歩理は目を瞠ってしまった。


    再び泰道の指先が志歩理に向かい、視界の中、スローモーションで近付いて来る。


    「だ・・・」


    志歩理が声を上げ、慌ててソファーから立ち上がると、

    近付いて来る泰道との距離を保つ為、急いで後ずさった。


    しかし、机にぶつかり、志歩理は縁(へり)を後ろ手に握った。


    泰道の右手の指先が志歩理の手に触れる寸前に、志歩理は机から持ち上げた左手を、

    「め。」と言った瞬間に、右手で隠すようにして胸の前に抱え込んだ。


    「他の、駄目な理由を訊きたい。」


    「私は、愛してないからよ、あなたを、絶対に愛したりしない。」


    泰道・・・私の心の中を探るようにじっと見つめている。

    きっと私が何を言っても、嘘はもう通じない。


    真剣に真っ直ぐ迫って来るあなたに、私の取り繕ったような嘘は見抜かれた。





    とてもかくても 20 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    本当にこれで良かったのか?


    俺は、好きな女に突然やけっぱちにもとられそうな告白をしてフラれ、

    まだこんなにも胸の奥の更に奥が熱く震えているのがありありと解るのに、捨てなきゃならない想いをどうしようも出来ずにいるなんて。


    だけど、久しぶり、いやかつてないと思う激情をこのまま捨てたら、

    二度とこんな風に胸を焦がす出来事には、死ぬまで多分出逢えないだろうな。


    甘くて酸っぱくて切なくて、それでいて身を蕩かして浸り切ってしまいたくなる甘い溜め息の零れ出す気持ち。

    とてもかくても 21 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    「え・・・?嘘、本当に?」


    「いつ言おうか迷ってたけれど、そろそろ潮時かなと思って。」


    私は、思ってもみなかった。


    すっ・・・白い封筒が目の前のテーブルの上に置かれた。


    でもまだまさかと思っていた。


    現実ではない、夢だと。


    彼とは別れずに、私が死ぬまでずっと一緒に居られるものだと思っていた・・・のに。



    とてもかくても 22 (R-18・エロス系) +BL

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    「何してる?」


    咎めるようにも、本当に何で?というようにも聞こえてくる表情の声が上から降って来た。


    ぎくりと一度肩を揺らして振り返った木村元啓(きむらもとひろ)は、

    「おかえり、わーさん、早かったね。」と返事をして、またダンボールに入れる手を速めた。



    とてもかくても 23 (R-18・エロス系) +BL

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    なるべく埃を立てないように二組の布団を畳の上に並べて敷いて、やれやれと息を吐いた僕はパタパタと手を叩いた。


    わーさんは早寝早起きだ。


    21時には寝ている。


    だから、志歩理には申し訳ないけれど、ここ一年、僕も定時に退社するようになった。


    とてもかくても 24 (R-18・エロス系) +BL

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    「捨てるとかゴミとか要らないとか、もしも俺が思ってたら、元に黙って居なくなる。行き先も言わないから。」


    「え・・・?」


    「俺は、こんな俺の命より、元啓の人生を大切に思ってる、というか、しあわせになって欲しくて堪らない。

    一緒に居たいよ。

    だけど俺は病気だし、確実に先に死ぬ。

    その時大切な元啓が一人で寂しさを味わって、これからの人生を送る事になってしまうかもしれないのが嫌なんだ。

    親と同じ事を言うけれど、それは元啓が一人で寂しい一生を終えないで貰いたいって、愛しているからその結果、口やかましく言ってしまうという事なんだ。」




    とてもかくても 26 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    今夜、木村がお世話になった呼びたい人って誰だろうと思っていた。


    それが泰道だったと知った時は、どんな顔を見せれば良いのか戸惑って、それで泰道に挨拶すら出来ずに居る。


    何でもないのなら平然と挨拶位出来る筈・・・とは思うのに、首が言う事を利かない。





    とてもかくても 28 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   2 

    いい匂いがする、温かくてやわらかな抱き心地に安らぎを覚える。


    理性と唇、そんな言葉で埋まってしまった頭の中が痺れて行く。


    鮮やかだけど上品な紅さが堪らなく欲しくて、薄く開かれ微かに震えて見えるそれを見てしまったら他の事はだんだんと何も感じられなくなって来た。


    志歩理を強く抱きしめていた泰道は、志歩理の背を後ろの壁に押し付けた。


    そして上から、志歩理の唇を奪う・・・

    しかしその前に志歩理が下を向いて、唇が触れ合うのは回避された。


    泰道は志歩理のこめかみに軽く唇を付けた後、耳殻をやさしく食んだ。



    とてもかくても 29 (R-18・エロス系)

    Posted by 碧井 漪 on   0 

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      私を「愛してる」と言った男と会えなくなってから二度目の秋が訪れた。


      あの時、別れ際に泰道がお金を受け取ってくれたから、だんだんとあれは純粋に好きだったのではなくて、やはりお金を持っている女だからという理由があったのだと、


      心のどこかでお金を借りたいと思っていたのだと考えるようになると、私の泰道への未練はすーっと、さほど苦しむ事なく消え去った。


      とてもかくても 30 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   0 

      普段通りのデートなら、このホテルのバーで飲んだ後はお食事をするか、もしくは一緒にホテルエントランス前に停車しているタクシーに乗って、それぞれのマンションの前で降りて帰る、というパターンだったけれど、


      今夜は違う。


      このまま、このホテルの部屋に彼と泊まる。


      大人の男女が同じ部屋に泊まって一晩過ごすと聞いて思い浮かべてしまうような事を、断る理由はない。


      断らなかった時点で必然的にそういう関係になるという事を了承したと取られている。


      先延ばしにしてもいずれ訪れてしまう日、


      それが今夜になったというだけ。


      とてもかくても 31 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   1 

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      私はホテルの玄関を出て、その前でタクシーを待っていた。


      片方の踵が壊れてしまった赤いピンヒールを右手に持ったまま、

      黒く冷たい大理石の上のストッキング一枚のつま先を見ていたら、

      その足よりも惨めに思える自分の気持ちに泣き出してしまいそうだった。



      とてもかくても 32 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   0 

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      秋風が、宵闇が、冷えた躰に纏わりつく。


      私の躰を包んでくれるのは、もうそれだけなのね。


      誰かのぬくもりを求めたって、結局こうなってしまうのが私の人生なのよ。


      それでいいじゃない・・・いつも私の手元に残るのは愛ではなくてお金。


      志歩理は泰道から返されたお金の封筒を入れたバッグの持ち手をギュッと握りしめた。


      コッコッコッ・・・はっ、はっ、はっ・・・気配が、だんだん近付いて来る。


      とてもかくても 33 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   3 

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      志歩理が安藤を捜しながらバーの二階への螺旋階段を慎重に上がると、少し離れたその後ろを泰道が付いて来ていた。


      隆人さんに何だか申し訳ないわ・・・今夜一緒に過ごすという約束を反故にしただけでなく、お付き合いも続けられなくなってしまう事を告げなくてはならない。


      その上、指輪まで・・・買い取るつもりだとはいえ、折角の好意を無駄にしてしまうような仕打ちになる。


      仕事上の付き合いはないから会社の業務に影響は来たさないけれど、それでも・・・


      ズキンと痛む私の気持ちなんて全く考えてくれない、私の動向に後ろでハラハラしながら不審な動きをする男・・・



      とてもかくても 34 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   0 

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      志歩理と泰道は、出張で一緒に来ていた泰道の後輩で共同経営者の鶴屋とホテルの前で別れた。


      別々にタクシーに乗る前に、「後でボーナス下さいよ!」と聞こえる声で鶴屋は泰道に耳打ちした。


      にやにやした顔で志歩理を見ながら鶴屋は泰道に言い終えると、すでにタクシーの後部座席に乗り込んでいた志歩理に向かって愛想良く手を振った。


      泰道と違っていて顔も体型もまあそこそこの男性で、女性にはモテそうな感じだけど指輪はしていなかった。


      泰道が「ほら、早くあっちのタクシーに乗って、明日9時半にS駅前だから。」と鶴屋さんを後ろに停まっているタクシーの方に追いやった。


      とてもかくても 35 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   0 

      愛し合う男女二人で過ごす時間の中での甘いと甘くない時間の長さを比較してみたら実は甘くない時間の方が長いという事を嫌という程知っている。


      その筈なのに、ううん、その筈だから・・・


      そんな話を誰かに聞かされなくても十分経験して来た私達は、

      甘くない時間を極力避ける、或いは作り出さない、もしくは無理矢理甘くしてしまうか、究極は、甘くないと感じないようになるか・・・この甘すぎる感情は一過性のもの、慣れ過ぎては二人にとって毒になってしまう甘い時間。


      それなのに、私達は抱き合ったまま離れられないでいた。


      後で辛くなるとしても、離れたくないわ。


      付き合い始めたばかりの若い男女のようにベタベタしても嫌ではないのは今の内だけかもしれない・・・それを考えたら滑稽な時間よ。


      ただね、今はいくら貪り合っても足りない。私も泰道も。


      今までの時間を埋めたい訳ではない。別の気持ちに動かされている。それが何かは解からないけれど、止められない。


      これからいくらでも一緒に居られる筈なのに、流れて行ってしまう一瞬一瞬が惜しくなる程に、深くもっと濃く、お互いの熱が欲しくて堪らない。


      今までこうして触れ合っている間に感じる熱が無くても、一人で辛い事にも堪えながら生きて来たというのに、一度その存在をお互いに自分の中に必要だと認めてしまったら、

      磁石よりもぴったり引き合わさせて、離れられない力が心に強く働いて、きっともう無理に剥がされたら心がぐしゃりと潰されてしまうと、急に脆さが顕れてちっぽけな人間になる。


      あなたと私、この世界の中で、ただの小さな一人と一人。


      それだけで良かったのに、ここまで来るのにとても回り道をしたわ。


      それでも遠回りの道を辿って来なければ、私とあなたの間をとても深く結び付ける愛は生まれていなかったと思うの。


      そうして、やっと落ち着きを取り戻して来た志歩理は、大丈夫・・・と泰道と体を離すと、決心したように口を開いて気になっていた事を訊き始めた。



      とてもかくても 36 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   2 

      「どうしたの?やっぱり嫌になったんならやめたら?」


      私だって不安よ。ずっとしていない・・・八年、もうそんなになるのね。


      「違うよ、何か・・・」


      「何か?」


      「嬉しい。俺を待っててくれたみたいで、運命を感じる。」


      「ぷっ・・・運命だって。随分ロマンチックね。」


      「そうだよ。志歩理が冷めてる分、俺がロマンチックにならないと、だろ?」


      「冷めてるって、あなたが好きだと言った女に対して、随分な言い草ね。」


      「俺、そんな事言ったっけ?」


      「言っちゃったわよ。」


      「じゃ、それやめて、言い直す。」


      「言い直す・・・?」


      とてもかくても 37 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   0 

      夕食を取っていないのに不思議とお腹が空いているとは感じなかった。


      それぞれ別々にシャワーを浴びて汗を流した私達は、頂き物で一度も袖を通した事のなかったペアのバスローブを着た。


      何だか・・・恋人同士か夫婦みたい。お揃いの薄いピンクとブルーは照れを連れて来てどんな顔をしたら良いのかわからなくなる。


      薄いブルーのバスローブを着てベッドに腰掛けている泰道とは、先程から上手く口が利けなくなって来ていた。


      だけどお酒を飲む気分ではなかったので、私が冷蔵庫から出した炭酸水を脚付きの細いグラスに注いでベッドまで運び、静かに乾杯して、ごくりと飲んだ。


      味はしない。


      喉の奥に届いた炭酸のシュワッとした強い刺激でさえも、どきんどきんと、躰の中で大きく振動しながら音を立てる緊張感には叶わない。


      初めての時よりも緊張しているみたい・・・馬鹿ね、本当に馬鹿。


      だって、上手く出来ないかもしれないのよ?どうして”セックス出来る”なんて泰道に言ってしまったのだろう、と志歩理は後悔し始めていた。


      とてもかくても 38 (R-18・エロス系)

      Posted by 碧井 漪 on   4 

      だけど分かってる、快楽がしあわせじゃないって事はもう分かってる。


      セックスさせてくれる相手だからとか、快楽を共有出来る相手だからとか、


      そういう事じゃない。


      お互いに見ていたい相手を見つけた。


      いい日も悪い日も、


      相手の傍に居る人間が、今は自分だったらいいなとお互いに思い合う関係。


      自分が存在して居たいと、思う場所を見つけた。


      心から、一番近くに居て、


      ずっとこの手に触れていたいと願う相手。


      恥ずかしくても、


      「愛してる!」と叫びたくなる相手。


      誰にも渡したくない、俺だけの女。私だけの男。


      「愛してる・・・」


      「愛してる・・・」





      とてもかくても 39 (R-18・エロス系) 最終話

      Posted by 碧井 漪 on   2 

      変な気持ち、嬉しい気持ち、夢かもって思う気持ち。


      剥き出しの感情をぶつけあって結んでしまった躰同士は気怠いけれど満ち足りていた。


      あんな気持ちになれるなら、これから二人で居るだけで困難や苦痛を伴う日があるとしても、乗り越えて行けそうだと実感が湧いて来ていた。


      ただ・・・自分がしあわせを感じている分、家族を捨てる原因になってしまった泰道と私の恋は、世間一般の道徳に反しているとも思いながら、泰道はすでに離婚しているのだから、法は犯してないと自己弁護のような考えを頭の中で交互にめぐらせてしまう。


      私も同じ罪を受ける・・・泰道と共に歩いて行くつもりなら、捨ててしまった家族からの泰道に対する想い、そして泰道の中にも離れないでずっと残っている家族への想いはこの先も変わらず、私も理解して、共に胸の奥に抱えて歩くのよ。


      決して良い面だけだとは言えない関係。


      完璧なしあわせなんてないけれど、より一層、それを願ってしまうから、めぐりめぐって現在こうなってしまったのかと色々考えていると、

      「おはよ・・・机の上のあの眼鏡、必要?」とブラインドを通過した朝の光で明るくなったベッドの中でこちらを向いた泰道は、志歩理の眉間をぐっと人差し指で押した。


      「痛いわね!何よ!」泰道に向けて、思わず大きな声を出してしまった。






      とてもかくても あとがき+おまけ「乙女ですって(R-18)」プロローグ

      Posted by 碧井 漪 on   2 

      「とてもかくても」=副詞 (決意や強意の表現を伴って)どのようにしてでも、どうあろうと


      という言葉を知りませんでした。


      日常的に使った事がありませんでした。


      「とにもかくにも」=副詞 いずれにしても、どうこうしても、とにかく



      【出典 小学館現代国語例解辞典】

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