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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

相違相恋 2

Posted by 碧井 漪 on   0 

相違相恋2




今日は何かある日なのか?


聞き返さなければ良かったと後で思った。


聞かされないままでいたら、俺は穏やかな生活が送れていただろうか。


どくんどくん、と急に心臓の音が強くなり出した。


馬鹿、俺・・・何でどきどきしてんだよ。


相違相恋 3

Posted by 碧井 漪 on   0 

「あっ、ちょっ、小椋、待てって・・・」


急いで絵本を棚に戻した廉(すなお)は、図書館の外に出て行った桃の後を追いかけた。


ガーッと図書館の自動ドアが開く音が聞こえた希が顔を上げると、


玄関から出て来た桃の姿が見えて、


希はバッグを前に抱えると、建物の角まで走り、その陰に隠れた。


相違相恋 5

Posted by 碧井 漪 on   4 

駅前のコーヒーショップに一人で入った光樹(ひろき)は、


きょろきょろと店内を見回した。


「いらっしゃいませ。」とどこからからか声が聞こえるけれど、


特に席に案内されるという事はなさそうな様子。


そう判断した光樹は、入り口付近で止めていた足を店内奥へと運んだ。



相違相恋 6

Posted by 碧井 漪 on   0 

僕の顔が行き交う人達にジロジロと見られていたのは、どうしてなのか判ったのはその日の夜の事だった。


“自意識過剰”かな位にしか思っていなかった僕は、


二つ年上、現在私立高校二年の従兄弟、五月瞬太朗(さつきしゅんたろう)くんに自意識が過剰ではなかった"事件?"を知らされた。

相違相恋 7

Posted by 碧井 漪 on   2 

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相違相恋7




松田光樹(まつだひろき)が高校生生活&日本デビューしてから二か月が過ぎた六月最初の月曜日。


じめじめとした空気の漂う中でもテンションの高いこの一年三組の皆さんは、受験をした日とは違う恰好の僕を見ても騒がない。


それどころか敬遠されている気がする。


眉毛を隠す若干鬱陶しい前髪にもみあげと襟足も長目のまるでカツラを被っているかのようなもさっとした髪型、そして黒縁の軽い乱視の矯正眼鏡。


髪型について当初、妹の夢野は反対したけれど、「伯父さんの息子か?って受験の日に騒がれた」とおとうさんもおかあさんも夢野も話してからは、素顔を見せない事に賛成してくれた。


瞬くん達が騒がれるなら息子なのだから当然だけど、甥っ子の僕の方が似てると騒がれたら、彼等だっていい気はしないと僕は思っている。


相違相恋 8

Posted by 碧井 漪 on   0 

「それでは、そういう事で。」と担任の先生がまとめた時、丁度チャイムが鳴った。


え?”それでは、そういう事で”って、先生、どういう事ですか?


『制服・風紀指導係』って何だろう?


シャープペンシルを眺めていないで、きちんと聞いておくべきだった。


しまった・・・



相違相恋 9

Posted by 碧井 漪 on   2 

相違相恋9


「松田くん、待って・・・!」


各務茉莉香は正門へ下るスロープの途中でドキンと胸の奥で強く響いた鼓動に気が付いた。


じっとこちらを真っ直ぐに見つめる、眼鏡越しの松田くんの瞳。


呼び止めてしまったけれど、何を話そう・・・あっ、係の事とか・・・しかないわ。


ドキドキする・・・みんなは気付いて居ないけれど、松田くんは本当はすごく顔がかっこいい。


うちのお父さんも、よく、かっこいいって言われるけれど、それより、もっと、ずっと、かっこいい。


相違相恋 10

Posted by 碧井 漪 on   4 

相違相恋10


雨が降り始めた時に感じた土埃の匂いが気にならなくなる頃には、暗い雲から無数に落ちて来る雨粒の、アスファルトにぶつかる勢いは強くなって来ていた。


落下数も増え、集まった雨は緩い傾斜のつけられた側溝に向かって流れ、小さな小川が出来始めた。


6月の梅雨、頬に当たる風は生温かったが、時折耳に当たる雨の粒は冷たく感じた。


相違相恋 11

Posted by 碧井 漪 on   2 

相違相恋11

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    ドン!


    あと少しで、茉莉香のスマートフォンに手が届くという時、光樹の脇腹に何かが強くぶつかった。


    屈んだ姿勢で横から押された光樹はそのまま前に倒れ、スマートフォン近くの泥で汚れた通路の床に、両手と両膝を付いた。


    痛っ!という声を上げずに我慢した光樹の耳に、

    「いったぁぁーいっ!ちょっと!こんな通路の真ん中で立ち止まって何してんのよっ!邪魔っ!」

    キンキンとヒステリックで耳触りが悪く、横柄な態度を表したような声が飛び込んで来た。




    相違相恋 13

    Posted by 碧井 漪 on   0 

    相違相恋13


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      今まで、男というものは女を見下している人間だと思っていた。


      だから自分も、いつしか男に見下されないように、先に見下すような態度を取ってしまっている事に気付かなかった。


      私は間違っていたの?


      男の人への接し方がどうしたら良いのかが解らない。


      今までずっと女子高で、同じ年齢の男子と話す事なんて年に何回もない。


      大人とは話すけれど、それはみんな私をHARUNOの社長の娘として扱うから、“かわいいお嬢さんですね”と思ってもない事をお決まりに言われ続けてすっかり信じられなくなっている。


      私は”かわいくない”。


      相違相恋 14

      Posted by 碧井 漪 on   0 

      相違相恋14


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        その夜、夕食後の各務家では、茉莉香が机に向かって英語のノートを開き、提出課題の英訳に励んでいた。


        「ええっと、ここは・・・」


        そういえば、松田くんは海外暮らしが長かったって言っていたから、これ位の英訳はすぐに終えて、今頃、アニメ”そんなにアイシテル?”の録画DVDを見ているのかしら?


        茉莉香は、机の上の壁に貼られたリリカとハルキが並んで描かれたポスターを眺めた。


        相違相恋 15

        Posted by 碧井 漪 on   2 

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          相違相恋15



          「は、い、もしもし・・・」光樹(ひろき)がハローと言いかけた口を誤魔化しつつ電話に出ると、

          「もしもし光樹?瞬だけど、今大丈夫?」はっきりとした声で話した相手は、現在私立高校三年生の従兄弟、五月瞬太朗だった。


          「うん、大丈夫。どうしたの?」


          時刻は午後九時三十分を過ぎていた。


          「いや、特に用事って訳じゃないんだけど、その後どうしているかなと思って。明日、学校終わったら、一緒に映画観ないか?」


          「映画、って何の?」


          「字幕版の洋画。光樹は字幕なしで余裕だろ?」


          瞬太朗にアニメ映画だよ、と言われていたら光樹は即座に「うん」と返事をしていただろう。



          相違相恋 16

          Posted by 碧井 漪 on   8 

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            相違相恋16

            茉莉香が中庭の花壇の前にしゃがみこんだ光樹に向かって歩いていた時、光樹の後ろから近付いて、肩を叩いた男子生徒が居た。


            それに気付いた茉莉香は、横にあった立木と植え込みの陰にサッとしゃがみ込んだ。


            「ヒロ!何してんの?」同じクラスで茉莉香と出身中学も同じだった千谷廉(ちやすなお)だった。


            「わ、びっくりした。廉か・・・そっちこそ、どうしたの?」


            光樹は受験の日に知り合った廉とは仲良く話せていた。


            それは廉が誰とでも仲良くなれる、明るくて名前の通り素直な人柄だからだろう。


            相違相恋 17

            Posted by 碧井 漪 on   0 

            相違相恋17

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              「光樹!おーい!」


              改札口の方面から聞こえて来ている筈の瞬太朗の声に光樹は反応しなかった。


              「私は一度学校に戻るけどまた来るから・・・そうね二時間位時間を潰していてくれるかしら?」


              「こうめ・・・私、よく知らない男の人と話せないわ。」


              「あら?茉莉香ちゃんのお友達でしょう?大丈夫よ。あのね、彼は”そんなにアイシテル?”のリリカちゃんが好きなんだって。今の希はそっくりだから、その姿で彼を何とか虜にして、”いいなり”になるようにするのよ。いい?」


              こうめは昨日と同じ三つ編みに高校の制服姿、しかし希は、こうめの用意した白いガーリィーなワンピースに着替えさせられた上、三つ編みを解かれ、アニメに出て来るリリカによく似た姿にさせられていた。



              相違相恋 18

              Posted by 碧井 漪 on   4 

              相違相恋18

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                「おーい、マツダくん?」


                こうめは広げた手のひらをサッサッと光樹の目の前で上下に振って、固まっている光樹の意識を確かめた。


                「えっ?はいっ!」


                「学生証、貸して?」


                「学生証?」


                「制服注文するなら身分証がいるでしょう?時間がないし、手っ取り早いのは学生証を持って行く事。この制服買ったのってこの上のお店?」


                「そうだったと思う。」


                「それなら採寸データもあるから・・・ズボンの裾丈は同じでいい?」


                「うん。だけどいいよ、僕が自分で行くから。」


                「映画観られなくなったら困るでしょう?いいから、私に任せて。ね?希。」


                「うん・・・あの、松田くん、こうめに任せても大丈夫です。こうめは自分でお洋服を作れるの。このワンピースもこうめが・・・」


                「そんな事より、早く。希、映画が終わったら電話して。マツダくん、学生証。」


                捲し立てたこうめは、はい、と光樹の前に手のひらを差し出した。


                「そろそろ行かないと、次の回に入れなくなる。」


                瞬太朗は後ろから光樹の肩を掴んで、軽く引いた。


                相違相恋 19

                Posted by 碧井 漪 on   0 

                相違相恋19
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                  その頃、光樹の制服ズボンと採寸データを手にしたこうめは、学園に迎えに来た車に乗って自宅へ戻っていた。


                  大急ぎでマツダくんのズボンの裾上げをしたら、おばあちゃんの家へ行くと言って抜け出そう・・・


                  そう考えていたこうめだったが帰宅してすぐ、姉のあやめに、「出掛けるの?今夜のお食事会にこうめも連れて来る様にって、おとうさんが・・・」と言われた。


                  「お食事会?行かないわ。私、おばあちゃんの家に行くの。」


                  「駄目よ。嘘でしょう?」


                  「嘘じゃないわ。」


                  「私には本当の事を言ってもいいのよ。わかっているから。だけどねこうめ、今夜のお食事会には春野のおじいちゃんもおばあちゃんも高橋のおじいちゃんもおばあちゃんも来るから、その言い訳は通らないわ・・・」


                  「えっ・・・そんな、どうしよう。」


                  「お友達と約束でもしたの?それなら待っているかもしれないから早く連絡した方がいいわ。」


                  「うん、お姉ちゃん・・・この事は黙っててね。」


                  「ええ、もちろん。それよりもあまり時間がないから、出かける支度をして来て。私は将大を見て来るから。」


                  「うん・・・」


                  相違相恋 20

                  Posted by 碧井 漪 on   1 

                  相違相恋20
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                    先に希が改札を通過し、その後に光樹も続いた。


                    手を離してと言われたのは、希がバッグの中から定期券を取り出す為だった。


                    良かった・・・手のひらに汗をかいていたから、希ちゃんに嫌がられちゃったのかと思った。


                    また手を繋いでいいか、思い切って聞いちゃおうかな・・・と少し大胆な考えを巡らせていた光樹の耳に、


                    「ヒロ、おーい、光樹。待てよ。彼女か?紹介してくれよ。」と後ろから廉の声が届いた。


                    光樹が足を止めて振り返ると、部活のジャージを着て、改札を通り抜けた廉の姿がすぐ目の前にあった。


                    相違相恋 21

                    Posted by 碧井 漪 on   2 

                    相違相恋21


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                      希と光樹は混雑している車両の中で、ホームとは反対側の開かない方のドアへ押しやられていた。


                      車両内は何故か男性の比率が高く、優先席隣に立って扉に手を付き、外を見る希の隣にもサラリーマン男性が押し出されて、今にもぶつかりそうだった。


                      それが嫌だと感じた光樹は、左肩に掛けていた通学鞄を何とか背中側に押しやり、サラリーマン乗客と希の間に右腕を伸ばして、ドアに突っ張り、遮った。


                      希はその時、窓の方に伏せていた顔を光樹のいる方へ向けた。


                      えっ?というような驚いた表情で振り返った希を見た光樹は、「ごめんね。掴まる所がなくて。駅に着くまでこのままでもいい?」と心の中ではまごつきながら訊いた。


                      別のもっと上手な理由を見つけて言えなかったのかと後悔しながら、希が恥ずかしそうに黙って頷くのを見た光樹は、ドキドキが止まらなくなって、思わず目を伏せてしまった。


                      再び扉の窓の方へ顔を向けた希と、希の後ろで他の乗客が希の体を押さないように扉に向かって腕を突っ張る光樹は、共に揺られながら、夜の色に染まった車窓に映る顔を、いつの間にか、お互いに見つめていた。


                      相違相恋 22

                      Posted by 碧井 漪 on   0 

                      相違相恋22

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                        光樹が希の横に並んで歩いていると、希が急に曲がり、図書館の敷地に入った。


                        人気(ひとけ)は無いが、灯かりが見える図書館の入口に向かって無言で歩く希に、「図書館に寄るの?ここに図書館があるって知らなかったな・・・」と光樹は、明るさを作りつつ言った。


                        疲れてしまったのか、何かを思い悩んで沈んでいるように見える希の様子を光樹はずっと気にしていた。


                        「松田くん、送ってくれてありがとう。」


                        "本日は閉館しました"という看板が立てられている図書館入口付近の街灯の下で足を止め、顔を上げた希が光樹の目を見て言った。


                        相違相恋 23

                        Posted by 碧井 漪 on   0 

                        相違相恋23

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                          暗い気持ちを拭い切れないまま自宅に辿り着いた廉は、

                          「おかえり。どうしたの?今日は遅かったじゃない。待ってたのよ。先にご飯食べるでしょ?」と玄関の鍵を開けた母親に訊かれた。


                          きっと早く夕飯の片付けを済ませたいんだなと、母親の一方的な都合だけでこっちの気持ちも考えずに、せっつかれている感じが今日は何故か堪らなく嫌だと思った廉は、「片付けていいよ。食べたくなったら一人で勝手に食べるから。先に風呂入る。」とぶっきらぼうに言うと、

                          「あら、今、お父さんが入ってるのよ。」と挫かれているかのように返された。


                          「ふーん、そう。わかった。」


                          廉の母親は、帰って来ると「腹減ったぁ!今日のメシ何?」とスニーカーを脱ぎながら大きな声で聞いて来るいつもの様子と違うので心配になったが、そっとしておこうと考え、

                          「食べる時、言いなさい。おかず、あっためるから。虫刺されの薬も出しておくわね。」とだけ言って、居間へ向かった。


                          廉は自分と弟の共同部屋へ向かった。


                          相違相恋 24

                          Posted by 碧井 漪 on   0 

                          相違相恋24
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                            カチャッ。


                            灯かりの消えている光樹の部屋に忍び込む人物がいた。


                            パチッ。


                            灯かりを点けて光樹の部屋の扉を閉めた。


                            制限時間はあと10分。


                            ゆっくり入って来てね、と言ったものの、シャワーだから時間はそうそうかからない。


                            ぐるりと光樹の部屋を見回したおかっぱ姿の中学一年生の少女は、光樹の机の上に置かれている目的の物を見つけて駆け寄った。



                            相違相恋 25

                            Posted by 碧井 漪 on   0 

                            相違相恋25
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                              カチャッ、パチッ。


                              シャワーを浴びて、半袖パジャマ姿になった光樹がほわーっとした顔をして部屋に戻ると、すぐに机に向かった。


                              手に取った机の上のスマートフォンを指先で操作して電話帳を開く。


                              い・・・


                              伊藤希の文字を眺めた光樹の頭の中では、名前の文字はすでに希の姿に置き換えられていた。


                              stady、恋人、彼女って、それは希ちゃんが僕を好きという事?


                              えー、えー、えーっ?本当に、いいのかなぁ?


                              だって昨日出逢ったばかりで、付き合うなんて・・・と考えていた光樹は、

                              海外でのクラスメイト・メリーという女の子が、「出逢ったばかりだからなおさら付き合ってみなければわからないんでしょう?好きか嫌いかは一緒に過ごす時間が増える事で自動的に決定されているのよ」と言っていた事を思い出した。・・・その時は尤もだと思った。


                              相違相恋 26

                              Posted by 碧井 漪 on   0 

                              相違相恋26

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                                夢野と瞬太朗が電話をしている時間、光樹はスマートフォンの液晶画面に表示された『発信』ボタンを押せずに、机の引き出しの中から、アニメのキャラクターがプリントされたクリアファイルを取り出した。


                                リリカちゃん・・・僕に勇気を与えて下さい。


                                微笑むリリカのイラストを眺めながら、光樹は思い切って『発信』を押した。


                                トゥルルルル、トゥルルルル・・・呼び出している間、光樹はそわそわと落ち着かない。


                                なんて言おう。


                                希ちゃんの声を聞いたら、上手く話せなくなってしまうかもしれない。


                                という光樹の心配には及ばず、しばらく鳴らし続けても希が電話に出なかった為、光樹はコール中の電話を一旦切った。


                                ふーっ・・・そうだ、慌てないようにシュミレーション・・・ノートに書いておこう。


                                まず、ええと、希ちゃんとあの子・・・こう、ま?ちゃんだっけ?


                                こうまちゃんに連絡をして、僕の学生証をいつ返してくれるのかという事と、


                                制服と眼鏡は弁償しなくていいからそのまま返して欲しいという事と、


                                それから・・・


                                希ちゃんと僕が付き合うとは、その・・・本当に恋人同士になってもいいという事なのか、というのを、こうまちゃんに訊きたい。


                                僕が希ちゃんの恋人になってもいいの?と、本来なら希ちゃんに訊かなくてはならないと思うけれど・・・訊けないよ。


                                『本当に僕の恋人になってくれるの?』


                                『それはこうまが言い出した事だから、私の意志ではないの。ごめんなさい・・・』


                                その可能性があるかもしれないと、僕は考えていた。


                                「好きだって言われた訳でもないのに、いきなり付き合うっていうのはおかしいよね・・・」


                                「うんうん、そうね。」


                                えっ?!


                                凭れていた椅子の背から背中を浮かせた光樹は振り向いた。


                                椅子のすぐ後ろに夢野が立っていて、驚いた光樹は「わぁっ!」と声を上げた。


                                「お兄ちゃん、彼女が出来たの?どんな人?」


                                「な、何言ってるの?彼女なんて出来てないよ・・・夢野、部屋に入る時は一応ノックしてね?」


                                「ノックしたよ?お兄ちゃん、ぼーっとしてて、それは彼女の事を考えていたから?」


                                相違相恋 27

                                Posted by 碧井 漪 on   2 

                                相違相恋27
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                                  光樹は、強く言い過ぎちゃったかな?と慌てて口を手で押さえた。その仕草は瑞樹によく似ている。


                                  「あのね、お兄ちゃん。今日、帰った時、眼鏡掛けてなかったけど、どうしたの?失くしたの?」


                                  さっきとは打って変わって沈んだ声になってしまった夢野の質問を、光樹は無下に出来なくなった。


                                  「あっ、あの、眼鏡は・・・人に貸したんだ。」


                                  「それと、新しい制服を注文して来たの?持って帰って来てないっていう事は、出来上がるまでに時間がかかってしまうの?」


                                  夢野は光樹の制服の事は瞬太朗に聞かされて知っていながらも、わざとそう訊いた。


                                  「そう、時間がかかるって・・・在庫がないらしいんだ・・・」光樹は夢野に嘘を吐いた。


                                  「制服はいいとしても、明日、眼鏡はどうするの?」


                                  「眼鏡?あっ!どうしよう・・・」


                                  「もうー、お兄ちゃんたら。おとうさんの老眼鏡借りるって言っても、一つしかないから無理よね。」


                                  「じゃあ、これは?」


                                  「これって・・・液晶画面のブルーライトを遮って瞳への負担を軽減するメガネ、でしょう?」


                                  相違相恋 29

                                  Posted by 碧井 漪 on   0 

                                  学園 門
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                                    光樹の視線に気が付いたこうめは、どきりとした。


                                    自分の顔に自信のないこうめは、綺麗な顔の人間が苦手だった。


                                    不細工な顔だけど、大会社の社長令嬢だから仲良くしていると、小・中学時代からの周囲の可愛い女子達は本気でそう思っていると考えたこうめに気の許せる友人は居なかった。


                                    初め、希も苦手だと思っていたこうめだったけれど、希の容姿はモデルとして理想的だったので思い切って話し掛けてみた。


                                    そうしたらとてもやさしくて思いやりのある子で、すぐ打ち解けたこうめにとって、親友と呼べる存在になった。


                                    相違相恋 30

                                    Posted by 碧井 漪 on   2 

                                    相違相恋30
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                                      放課後の部室で聞かせて貰う約束まで待てないこうめは、午前中の休み時間に希を引っ張り、トイレへ連れて行った。


                                      広くて綺麗な女子トイレの中をキョロキョロ見回すと、ひとけは無かった。


                                      大きな鏡を壁一面に備えたアンティーク調の洗面台の前で、こうめは希に訊いた。


                                      「ねぇ、イケナイコトって、もしかしてキス?希、松田くんとチューしちゃったの?」


                                      「えっ?!何を言うのこうめ。チューって、私、松田くんとキスなんてしていないわ。」


                                      「じゃあ、何かしら?イケナイコトって。教えて?」


                                      「いけない事って、それは・・・私は他の人が好きなのに、松田くんとお付き合いするというのは間違っているという事よ。」


                                      「それは分かっているけれど、でも、本命の彼には告白出来そうにないんでしょう?練習と思ってお付き合いしてみたらいいのよ。松田くんはいい人みたい、希もそう思うでしょう?」


                                      「え、ええ・・・」


                                      あんなにつんけんした態度で接していたこうめが、松田くんの事をいい人と言うなんて、と希は驚いた。


                                      母の日の贈り物 繭香と茉莉香

                                      Posted by 碧井 漪 on   2 

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                                        「相違相恋」の各務茉莉香、「雪の香」の繭香、

                                        茉莉香が光樹と話す前、五月の母の日という事で書いてみたところ、

                                        纏まらなくて、今夜出せない・・・諦めようとも一度は思いました。


                                        他シリーズもずーっと先の原稿しかないので、もうこれしかm(-_-;)m


                                        上手く書けなかったφ(T-T;)上に長くなってしまったので、ご興味のある方だけ、ご覧下さい。


                                        母への感謝と揺れる思春期の娘の気持ちというテーマで、全部を書き切る力がないこの未熟さと口惜しさをバネに、

                                        「相違相恋」本編(六月)の方で頑張りたいと思います(本編更新予定:六月か七月頃)。







                                        相違相恋 31

                                        Posted by 碧井 漪 on  

                                        相違31

                                        にほんブログ村 トラコミュ 恋愛小説(オリジナル)へ
                                        恋愛小説(オリジナル)


                                        6時間目、現国の時間。退屈で、この時間は特に眠い。


                                        廉(すなお)は教室の自分の席に着き、机の上のノートにぼんやり視線を落としながら、少し窮屈になって来たうわばきのかかとをこっそり踏んだ。


                                        誰も気に留めない。


                                        軽く痛んでいたつま先だけじゃなく、全体的に少し開放されたような気持ちを感じた。


                                        ストレス、溜まってる、多分。


                                        でも、上手い発散のさせ方なんてわからない。


                                        放課後は部活だし、余計なことを考えながら練習している暇はない。



                                        このカテゴリーに該当する記事はありません。