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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

それから、ずっと、愛してる 9

Posted by 碧井 漪 on   4 

昨夜から一緒に居ても、まだもっと・・・って欲張りな事を考えてしまう私は、


目の前に差し迫っている、帰らなくてはならない時刻が気になって、とても憂鬱だった。


一緒に居たい・・・


ううん、だめだめ。


そんな駄々をこねたりしたら、瑞樹さんが疲れてしまう。


それから、ずっと、愛してる 10

Posted by 碧井 漪 on   10 

出産祝いの贈り物を買いに行く前に、大和さんに電話をしたら、


「え?お前今からウチ来るの?解った、いいよ、早く来い。


・・・祝い?何がいいかって?要らん。あ、やっぱ要る。オムツ、紙オムツ買って来て。Sサイズ。とにかく早く。」


日曜日の朝なのに、電話の向こうの大和さんの様子は、慌しいという感じがした。


それから、ずっと、愛してる 12 ☆

Posted by 碧井 漪 on   3 

二人分にしては多めの量の食料品を買い込んで僕のアパートに戻ると、


君は早速台所に立ち、食材に向かって楽しそうに次々と手際良く調理して行く。


僕は大した手伝いも出来なくて、手持ち無沙汰で台所の隅に突っ立ったまま、エプロンを着けた君の後姿に見とれていた。



それから、ずっと、愛してる 13

Posted by 碧井 漪 on   9 

お盆休みに、祖父と君と一緒に、朝から祖母のお墓に車で向かった。


駐車場に車を停める。小さな山の中腹、何もなく、見晴らしの良い場所。


お墓のある場所までは、僕が祖父の体を抱えながら何とか歩ける距離で、


昨年は二人だけだったから大変だった。


それから、ずっと、愛してる 19

Posted by 碧井 漪 on   0 

過ぎた事を悔いてばかりいても、何も変わらない。


自問自答で「解ってる」と頭の中で返事をしても、


心の中は、もやもやとはっきりしなくて、ずしんと重くて、ひやりと冷たくて、


少しも安心出来ない。


解っているけれど、悔やんでしまう。


あの時、どうして・・・と、両親と別れた時も、陽芽野の時も、


全部自分の力が及ばなかったせいだという考えが止められない。



それから、ずっと、愛してる 21

Posted by 碧井 漪 on   6 

あの日、君が倒れた日。


病院で君に拒絶された僕は、


「会いたい」と言えなくなった。


そして、君の過去を知り、


君を傷つけた"男"である僕は、


「愛してる」と言えなくなった。


それから、僕に残された、


君の笑顔を再び見られるかもしれないという、


「明日」は、


永遠に来ないと、知らされた。








それから、ずっと、愛してる 24

Posted by 碧井 漪 on   4 

コンコンと部屋の扉をノックされて、勉強していた私は机から離れ、ドアを開けた。


優しい瞳で私を包むように見下ろす美しい人。


サツキさんはトレーにアイスティーと”ジュレふるーつ”を載せて部屋に入ると、ローテーブルの上にそっと置いた。


これ・・・瑞樹さんと選んだお菓子。


手に取ってぼんやり眺めていると、


サツキさんがスプーンを手渡した。


それから、いつものように筆談が始まる。







それから、ずっと、愛してる 25

Posted by 碧井 漪 on   0 

いよいよだ。


例の女からの情報提供を受け、吉岡に関しては仕事よりプライベートの問題を暴露した方が簡単だと判った。


しかしそれではお山を崩して、やつのプライドをズタズタにする「お楽しみ」がなくなってしまう。


吉岡のいるチームの海外新規事業立ち上げの企画案を手伝うふりをして情報を集め、


機密情報漏洩・業務上横領、セクハラ・パワハラについて、


どんな微細な事までも、吉岡に不利になる様に、すべてをこの日発表する為に纏め上げた。


万が一失敗した場合の、プライベートでの女性問題その他の違法行為の方の資料の用意も出来ている。


こちらを先に出してしまったら、すぐ逮捕となってしまうので、つまらない。

それから、ずっと、愛してる 26 ☆

Posted by 碧井 漪 on   6 

ピンポン、ピンポーン。トントン、トントン。


「たんぽぽさん、松田です!こちらに・・・」


慌てた様子でインターホンのモニターに映る瑞樹。


呼吸は荒く、額には汗を浮かべていた。


たんぽぽがガチャリと開錠して玄関ドアを開けると、


「お邪魔します。」


瑞樹が急いで靴を脱いで玄関を上がった。


そして、この家の中に居ると大和から聞いた、陽芽野の姿を探した。


「陽芽野さん!」


「・・・・・・!」

それから、ずっと、愛してる 27

Posted by 碧井 漪 on   6 

まだ、信じられない。


夢の中でも起こらなかった事だから。


君がいなくなって、僕はとても心配だった。


そして君が無事に見つかった事がこの上なく嬉しくて、つい・・・「愛してる」と零してしまった。


その後、ずっと聞けなかった君の声で、


君が僕に「すき」と告げてくれるとは、


ほんの少しも想像していなかった。


それから、ずっと、愛してる 31 ☆☆

Posted by 碧井 漪 on   0 

一同が再び高橋家の居間に戻った。


「松田さん、高橋さん、ありがとうございました。」梧朗がお辞儀をすると、


「俺は余計な事しただけ。功労者は松田だよ。あ、その服たんぽぽからプレゼントするって。」と大和が言った。


「いえ、僕は何もしてません。」


それから、ずっと、愛してる 32 ☆

Posted by 碧井 漪 on   0 

マンションに着いた瑞樹が手を洗っていると、カウンターテーブルの上に置いたスマートフォンが鳴って動き出した。


急いでタオルで手を拭って出ると、


「瑞樹さん。お家ですか?」と君の声が耳に届く。


「はい。先程着きました。」何を話したら良いのか解らない。


「今日は、ありがとうございました。」ちらりと時計を見ると、


もう日付は変わっていた。


「疲れたでしょう、では・・・おやすみなさい。」


「これからお兄ちゃんとセイさんと姫麗さんと、リビングにお布団を敷いて一緒に寝るんです。」


嬉しそうに話す君は、お昼に震えていた君とは別人のようだ。


「良かったですね。」


「はい。瑞樹さんのおかげです。ありがとうございます。・・・おやすみなさい。」


「おやすみ。」


僕のおかげです、か・・・やっぱり僕は、のんきに寝ている場合ではなさそうだ。


一緒に落ちずに、奴だけ落とす為に。












それから、ずっと、愛してる 33

Posted by 碧井 漪 on   0 

カウンターテーブルの上にあるコーヒーメーカーの隣にはミルと、密閉式のガラス瓶に入れられたコーヒー豆が置かれていた。


コーヒー豆の瓶を、後で冷凍庫にしまわなくちゃ、と陽芽野がそれを眺めていると、


「はい。カフェオレ。ミルクと少し砂糖も入れておいた。」


セイはテーブルの上に、カフェオレの入ったカップをコトリと置いた。


「ありがとうございます。」セイが椅子に掛けたので、陽芽野はその向かいに座ってぬるめのカフェオレを飲む。



それから、ずっと、愛してる 34

Posted by 碧井 漪 on   0 

同僚にも上司にも期待されていない僕は、定刻に課を出る事に成功した。


本社玄関ロビーで僕が待っているのは、このグループ会長の秘書、橋本恵理子さん。


過去に大和さんに仕組まれて、お見合い?をさせられた相手だ。


平の僕より、年下だけど格上の才女。


それから、ずっと、愛してる 39 ☆

Posted by 碧井 漪 on   7 

瑞樹さんのパジャマを借りて、二つ並べたお布団に横になると彼は照明を落とし、私達は常夜灯のほのかな灯かりに包まれた。


お仕事が忙しくて、瑞樹さんはこのお部屋に引っ越してからは一度もお布団で眠っていなかったと教えてくれて、私はとても心配になった。


一緒に暮らしたら、絶対にそんな事は私が許しません。


ご飯は?と聞くと、それなりに、という返事。


きっとちゃんと食べていないですね?と黙って顔を覗き込むと、彼は目を逸らした。



それから、ずっと、愛してる 41

Posted by 碧井 漪 on   4 

僕がインスタントコーヒーを飲んでいる時、ちら、ちらと、僕の後ろを気にする君の視線に気が付く。


何だろう?と振り返ると、作り付けの多分電話などを置く為のものなのだろう小さなコーナースペースが目に入る。


「何か珍しかった?」と訊いてみる。特段女性がかわいいと言いそうなデザインでもないけれど、かわいいと言うのかな?


「ネクタイ・・・しないんですか?」


それから、ずっと、愛してる 43

Posted by 碧井 漪 on   0 

「それでは、レポート頑張って。」


「はい。瑞樹さんはお仕事頑張り過ぎないで下さいね。後・・・」


「後、何?」


「いいえ、何でもありません。」


後、橋本さんとデートする時は教えて下さい、私が間違って電話をしないように・・・なんて言ったら、やっぱりおかしいわ、と考えて口を噤んだ。

それから、ずっと、愛してる 44

Posted by 碧井 漪 on   1 

君に会いたかったとは、恥ずかしくて口に出せなかった。


口を開けないで黙ったままの僕が突然君をきつく抱きしめたら、


驚かせてしまうのは解っていたけれど、


理性が吹き飛んだ、君の姿を見たら。


ぎゅ・・・と君の華奢な体を抱きしめると、


20%だけ安心する。




それから、ずっと、愛してる 48 ☆☆

Posted by 碧井 漪 on   0 

君がそれほどまで橋本さんの事を気にしているとは思わなかった。


橋本さんに、『父に逢っていただけませんか?』と言われた事を君に知られたら、大変な事になる。


ああ、どうしよう。


考えながら、瑞樹は陽芽野からされたキスに応じていた。


その間に、陽芽野はパジャマのボタンをすべて開き、上衣を脱いだ。


それから、ずっと、愛してる 50

Posted by 碧井 漪 on   0 


「ひめちゃん、どこに行きますか?」


「私は・・・すみません、わからなくて。こんなに大きな会社は初めてで、私、やっぱり来るべきではなかったかもしれません」


正面エントランスホールから続く長いエスカレーターに乗って、話す内、三階のエレベーターホール前に着いた。


「そうですね。父も広過ぎて最上階まで歩くのが大変だから、この辺に会長室を作れば良かったといつも言っています」


くすっとたんぽぽさんが笑った。


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