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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

それから、愛してる 2 

Posted by 碧井 漪 on   0 

裏口から出て少し駅に向かった場所、ショッピングモール裏手の連絡階段下に設けられたタクシー乗り場は、バスターミナルと同じく屋根のある場所で僕の傘に二人で入って向かう途中、




「だけどよろしいのですか?」「本当はよろしくないですが、そのスカート・・・」




「えっ?」「何でもありません。」

それから、愛してる 4

Posted by 碧井 漪 on   1 

朝、学校に着くと、陽芽野は鞄から一限目の古典のノートを取り出して開いた。

古文の現代語訳の最後の一行、どちらの意味かわからないから、愛梨ちゃんか若菜ちゃんに聞こうと思っていた。

「ねー、見て。陽芽野(ひめの)。」

愛梨ちゃんが持って来たのは黒い小さな粒。私の目の前に指で摘んだ黒い丸を角度を変えて見せた。

「種?」何の種か解らない私に、

「お・ま・じ・な・い用。」と言って黒い粒を私の手のひらの上に載せる愛梨ちゃん。

それから、愛してる 7

Posted by 碧井 漪 on   6 

えっ、えーっ?



松田さんがまさか、女子高生?と手を繋いで歩いているなんて信じられない、と目を疑った堀越だったが、冷たい階段の手すりを掴んだまま、頬は熱く、口元が緩むのを感じた。




変わったばかりの信号を、制服を着た背の高い女の子の手を引いて、足早に大通りを渡る彼の後姿を見送りながら、




想いを寄せる地味な女性って彼女の事だったのね、と微笑ましく思った。




それから、愛してる 8

Posted by 碧井 漪 on   3 

好きな人?



違うと思う。




やさしくて面倒見の良い人だと思う。




もしも好きになってしまったら、それはいけない事。




彼には恋人がいて、そして私は会う度彼に迷惑を掛けてしまうから。




会わないようにしようと思うと会いたくなる。




思い出さないようにしようとすると、彼のことで頭がいっぱいになる。




声を聞きたくなってしまうと、私にはどうにも出来なくて、切なくなってしまう。




それから、愛してる 9

Posted by 碧井 漪 on   4 

学校が終わって、いつもは乗らない電車に三人で乗って降りた駅を出る。




彼の会社に向かって三人で、夕焼け色に染められたスズカケ並木の道を、冷たい風に落ちた葉っぱを踏みしめて歩いていた。




「寒っ!ねー、コンビニ寄ってこ。この時間じゃ、まだ会社は終わらないでしょ?」




若菜ちゃんがそう言ったのを聞いた愛梨ちゃんが、




「若ちゃん、自分が上手く行ったから安心してんのね。さっきはあんなにガチガチだったのに。」くすっと笑いながら小声で私に言った。




それから、愛してる 10

Posted by 碧井 漪 on   0 

日も落ちて、辺りはすっかり暗くなった帰り道の電車の中で、



「ライバルってさっきの人?」「まぁ、いいカンジの人だったけど、ミズキさんより年上っぽくなかった?」愛梨ちゃんも若菜ちゃんも元気だった。




「・・・・・・」




「どうしたのよ、陽芽野。さっきからずっと黙ったままで。」




電車が停車してドアが開き、高校最寄りの駅のホームに、最初に降りた若菜ちゃんが訊いた。



それから、愛してる 11

Posted by 碧井 漪 on   2 

おまじないが効いているのか、週末にお兄ちゃんのマンションに行く度に利用する駅で、彼に偶然出逢う事はなくなった。



これで良かった、と笑うフリをずっとしている心は疲れ過ぎて、真っ赤に色付いて落ちる葉っぱですら、綺麗だと感じられなくなる程、褪めていた。



右手に握ったひなたのベンチは温かくて、左手に握った日陰のベンチは冷たい。




半分ずつの私のココロみたいだと息を吐いた時、




「なぁに?ため息?どーなのよ、おまじないしたんでしょ?あれから彼に会った?告白は?」




それから、愛してる 28

Posted by 碧井 漪 on   6 

昔からいつもそうだった。




しあわせな事の次には、そうじゃない事が訪れるって知っていたのに。




だから『しあわせ』って感じた後は怯えて、そして警戒していた。




だけどあなたといると、そのしあわせがずっと続くと気を緩めてしまっていたから、




世界には今日もたくさんの『悲しみ』があるって事を忘れていたの。




その一つが、今日、私のもとに降りて来るとは思っていなかった。




それから、愛してる 29

Posted by 碧井 漪 on   4 

「年末の忙しい時期に、たんぽぽさんに会いに行って会社に遅刻するなんて。たるんでますよ。」



「松田だって人の事言えないだろ?」いつも通りにいい訳する大和社長。



クリスマスイブの日、遅刻をして来た社長に呼ばれてはいないのに、



昼になって僕は、自ら訪ねた社長室のソファーに腰を下ろしていた。



それから、愛してる 31

Posted by 碧井 漪 on   7 

マンションの前で待っていると姫麗さんとお兄ちゃんが帰って来た。


「どうしたの?」「うん。チョコケーキ焼いたから、持って来たの。もう帰るね。」


21時を過ぎている時刻、暗い表情の妹の姿に梧朗は、


「姫麗も泊まるから久しぶりに泊まって行ったら?」と陽芽野に勧めた。





それから、愛してる 33

Posted by 碧井 漪 on   4 

土曜日の朝、四人で朝食を済ませた後、私は仕事に行く前のお兄ちゃんと一緒に、高校最寄り駅前の予備校に向かう事になった。


それというのもセイさんが昨夜、


「受験勉強?それならいっそ、予備校に行かせた方が確実だって。」とお兄ちゃんに提案したから。


「予備校?そうか、そうだね。」またお金かかっちゃうのに・・・


それに、9月からの申し込みでは遅いのではないかと思っていた。





それから、愛してる 34

Posted by 碧井 漪 on   4 

冬のそれほど寒くない日。



君と過ごしたあの日のように芝生の上に寝そべって、緩やかなスピードで動く雲を眺めていた。



ウトウトとして、芝の匂いを感じていた意識がすうっと遠のいて行った。



・・・やわらかい、そして温かい感触。



夢だろうか。



ああ、夢だ。やっと君が来てくれた。



現実ではなくて夢だから、僕の体に身を寄せる君。



少し照れる、けど・・・抱きしめてもいいかな?






それから、愛してる 37

Posted by 碧井 漪 on   8 

濡れた芝生を踏み分けて、君は確かに僕に近付いて来る。


帰ったのではなかったの?


「何か、用ですか?」こんな惨めな姿で、君と話したくないな。


「何をしているのですか?傘は・・・?濡れて風邪を引いてしまいます。」


僕に傘を差しかけて、肩を濡らす君のその手を押し返す。


それから、愛してる 44 最終話

Posted by 碧井 漪 on   5 

「おはよう。」


写真たての中で僕に笑顔を見せる君の写真に向かって挨拶する。


君は今日も元気ですか?


君の受験が終わって、会いに行けるようになったけれど、


僕から連絡はしなかった。


会いたくないという訳ではない。


会いたいけれど、それだけで君に会っても、面白い話も出来ないから・・・合格発表もまだで、卒業に向けて色々と忙しいだろうし。


「いってきます。」



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