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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 122

Posted by 碧井 漪 on  

────あ、この道知ってる。先輩の家の近く。


陽は西に傾いて、もう少ししたら街を朱く染めるだろう。


カイトの歩幅に合わせて歩く夢野の足は、本当はヘトヘトに疲れて居た。


しかし、登山に比べたら大した道のりではない。


夢野の分の荷物もカイトが担いで居る為、山中を歩いて居た時より楽な筈だったが・・・夢野の息は荒くなった。


「疲れた?もう少しだから、頑張れ。」


振り向き、気遣うその姿は、夢野のよく知る快人そのものだった。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 121

Posted by 碧井 漪 on  

臙脂の瓦屋根の大きな邸の、カイトは南にある表玄関ではなく、北にある裏の勝手口に回り込んだ。


北側で狭く、陽の当たらないジメッとした場所で、葉が落ち、枝だけになった大きな木があった。


表に似つかわしくない近代的な金属製のドアはとても違和感があり、夢野の謎を益々深めた。


────本家は分かったけど、納品って何を?薬?ああ、先輩のお母さんが薬局を開いて居るから?だけど何で今?しかもカイトのまま納品?急ぎなのかな?


カイトは慣れた手つきで鍵を開けると、振り向いて夢野に言った。


「すぐ戻る。ここで待ってて。」


夢野が返事をする前に、カイトは建物の中へと消えた。


先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 120

Posted by 碧井 漪 on  

カイトは裏?で、先輩が表?、

カイトは夜で、先輩が昼、

カイトは女好きで、先輩は女好きではない、

カイトは体育会系で、先輩は理系、

カイトは本能的で、先輩は理性的。


どっちが好き?どっちが嫌い?


分からないよ、そんな事・・・・・・


先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 119

Posted by 碧井 漪 on  

「俺の女にしてやるって言ってるのに不満かよ?じゃあ別にいいぜ?お前よりもっといい女引っ掛けるから。」


「そ、それはダメ!」


「そんなの俺の勝手だろ?」


「ダメ!」


「お前ほんとバカだよなあ。そういう時は、”ダメ!”じゃなくて”ヤダ!”って言うんだよ。言ってみ?」


「・・・ヤ、ヤダ。」


「もっと可愛く素直に。”カイトは私の!他の女の所に行っちゃヤダヤダヤダー!”って。そうしたらユメと付き合ってやるよ。」


「そ、んなの、言える訳ないでしょっ!」

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 118

Posted by 碧井 漪 on  

「え、だから、何が?」


コップを持つ夢野の指先は震えた。


それでも快人に頼まれた薬の事は明かさず、惚け続ける夢野に対し、カイトは大きな溜め息を吐いた。


「ユメ、分かってないよ。どうしてアイツの言う事を信じて、俺を信じない?」


「それは・・・」


「付き合いが長いからって言いたいのか?アイツの事を何も知らないくせに、どうして信じる?」


「あんたの事より知ってる!」

そうは言ってみたものの、家族の事や、薬の研究の事など、カイトに聞かされるまで、夢野は何も知らなかった。


「嘘だ。俺の方がアイツを知ってる。悪いけど、ユメの知ってる事は、アイツの”表に出したい部分だけ”だよ。」


カイトに言われて、夢野の背中がゾクリとした。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 117

Posted by 碧井 漪 on  

カイトの話は、夢野の考えの及ばない話で、にわかには信じがたかったが、辻褄は合って居た。


本当の話なら、夢野に出来る事は何もなく、関わらない方が快人の為になるとも思えた。


────信じたくない。だけど、もしも本当なら、このままトラウマを消す治療をしたら、先輩の方が消えてしまう・・・・・・?


夢野の体は随分温まった筈なのに、まるで凍えて居るかのように、全身がガタガタと震えた。


今すぐ快人の口から、『ヤツの言う事は嘘っぱちだ。信じるな』と聞きたかった。


────先輩が”消える”なんて”嘘”よね・・・怖い、二度と会えなくなるかもしれないなんて・・・お願い、先輩、今すぐ出て来て!


でも、どうすればカイトから快人にチェンジ出来るのかと考えた夢野は、ハッと思い出した。


ブラジャーの中に隠したピルケース。その中に、快人から託された薬があった。

先輩の好きにしていいですよ? -女子大生Mの恋愛事情- 116

Posted by 碧井 漪 on  

「そんな事言ったって、先輩の体好きにしたら、怒られるわよ?」


「これは、俺の体だっつーの。まったく・・・いつもいつも好きにヤッてくれてんのは、アイツの方だからな?俺は被害者。こんな山に来る時だけいつも、うっすーく、意識引っ張り出されて迷惑だ。おかげで、女の子いっぱいの学生生活とは無縁になっちまいやがってさあ・・・ほんと、そこの所が分かんねぇ。枯れてるアイツは何を生き甲斐として生きてるのかってな・・・生き甲斐・・・・・・ん?あー、分かった!そーゆー事か!」


カイトがようやく腑に落ちたという風に、顔を輝かせた。


「生き甲斐が分かったって、それは何?先輩が好きにヤッてるって・・・どういう意味?」


「ふうん、アイツの好きにヤッてるコトが気になる?知りたいなら俺が教えてあげようか?」