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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 531

Posted by 碧井 漪 on  

彼の吐息が、僕の首筋を掠めて耳に掛かった。


腕の重なる部分が、周りの暑さよりも熱くなって、鼓動が速くなる。


でも、僕の姿を見て、びっくりしたかのように一瞬動きを止めた勇田さんも、さっきより激しく、ブンブン手を振ってくれたのを見たら、僕の恥ずかしさは薄れた。


何度か手を振った後、もういいかとようやく皇くんは僕の手を放した。

縺曖 530

Posted by 碧井 漪 on  

僕の彼女の勇田さんには大変申し訳ないけれど、僕の彼女であって良い事など何もないように思える。


一番の罪は、僕がまだ皇くんを好きで居る事なのだけれど、それを彼女にも皇くんにも、他の人にも絶対に明かせないんだ。


「あっ、ねえねえ伸長くん、見て!」


正門を出ようとした所で、ふと後ろを振り返って足を止めた皇くんが、何かを見つけたように言った。


「どうしたの?」と僕も足を止め、振り返る。

自殺相談所 58 待ち人

Posted by 碧井 漪 on  

「おーい!」と聞こえた若い男性の声に、俺はハッと足を止め、振り向いた。


もしやと期待して目を凝らす。


人垣を掻き分けて現れたのは、俺が待ち続けていた人、タケノウチくんだった。


「え?何で・・・」


何故今になってと、でも嬉しい、だからこそ夢か幻かと、目を疑った。


あれほど待っても現れなかった彼が、今、目の前にいるのは、警察官に職務質問後の連行中に見ている都合の良い夢ではないのかとも思ったが、違った。

乙女ですって 255 (R-18) 愉悦の波

Posted by 碧井 漪 on  

「いいよ、俺が片付ける。」


「ううん、私が。」


「天気いいから、洗濯物干したら?俺、これも洗いたいし。」


今市が指差したのは、持参したシンク内の保存容器だった。


────そっか・・・もうここに来ないから、洗って持って帰るって事ね。うん、分かった。


「じゃあ、私、洗濯しちゃおう。」


「それがいい。」


エプロンを着けた今市が私に向かってフッと笑った。何故か嬉しい。


ドキドキドキ・・・変な気分。


私に色々言われて怒ったんじゃないの?口も利きたくないんじゃないの?


男って、よく分からない。

泣け

Posted by 碧井 漪 on  

泣いたって何も変わらない



だから安心して泣けるんだ



泣いても泣いても泣いても



良くも悪くもならない






このまま



ここに居るだけ




縺曖 529

Posted by 碧井 漪 on  

「そんな事ないと思うよ。勇田さん、伸長くんに見られて居たら却って頑張っちゃうと思うけどね。まあ、伸長くんが行きたくないなら行かなくてもいいよ。」


そんな風に言われると、僕が恋人の練習を見に行かない薄情な人間のように思えて来る。


「行きたくない訳ではないんだけれど・・・」


彼女の走る姿を見たくない訳では無いけれど、彼女がそれを望んでないらしい事を聞かされてまで僕は、彼女の練習を見に行く勇気がないだけだ。