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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

縺曖 508

Posted by 碧井 漪 on  

僕の言葉を受け、瞠った目をふっと緩めた皇くんは、

「俺も好きだよ・・・良かった。」と小さく吐き出した。


「えっ?」


今のはもしかして、と期待が膨らんだ。

自殺相談所 56 信用

Posted by 碧井 漪 on  

焦らず、じっくりゆっくり、

俺に足りないものは、受け止める力だった。

勿論、発信力も足りないとは感じる。

しかし、俺が伸ばすのに時間が掛かるのは、受け止める方だと考えた。

所長に言われ、気付かされたあの日から、俺はその力を伸ばす為に有効だと思う事を生活の中に取り入れ始めた。

まず、人の話を"聴く"。

所長を始め、お師匠様、相談所の仲間、それからまた頼まれたバイト先の店長、同僚の話、そして家族。

縺曖 507

Posted by 碧井 漪 on  

ドックン、

心臓が、この胸から飛び出してしまうのではないかと思う程、大きく動いた。


嬉しい感情が波のように寄せられ、そして引いて行く。砂浜にぽつりと残された貝殻のような寂しさが、僕の胸に残った。


君は波、僕は砂浜、

僕の気持ちを攫って、だけど一緒に連れて行っては貰えないんだ。

縺曖 506

Posted by 碧井 漪 on  

────綺麗だな。本当に絵画の中の人だったら、僕は一生、彼を好きで居続けても誰にも咎められなかっただろう・・・

打ち明ける事が許されないなら、いっそ彼がこの世のものではなければ良かったのかもとさえ思えてしまう。


「俺、伸長くんを独り占め出来なくなった事に”ガッカリした”んだ。」

縺曖 505

Posted by 碧井 漪 on  

しかし、今ここで僕の気持ちを打ち明けてしまえば、

イサダさんを諦めた皇くんと僕を好きだと言ってくれたイサダさんの気持ちを台無しにしてしまう。


二人から絶交される。


そして、皇くんの想いもイサダさんの想いも僕の想いも、誰一人報われないまま。


「ごめんね・・・」


縺曖 504

Posted by 碧井 漪 on  

ギクリとした。皇くんに、とうとう僕の本当の気持ちが気付かれてしまったのだと。


「違う、違うよ・・・」


否定しながら、もう唇の下まで『皇くんが好き』という言葉が出掛かって居た。


─────駄目、我慢、我慢して・・・・・・