そうそうない 183 2016年1月12日のこと(13) - sazanamiの物語
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    そうそうない 183 2016年1月12日のこと(13)

    僕は美和の紺色のカーディガンのボタンに手を掛け、一つ、また一つと外し始めた。

    この時、僕の首から上は、妙に火照って居た。

    酔ってるからだ。そうでなければこんな事は絶対に──「元、大丈夫。一人で脱ぐから。」

    そう言って、美和は僕の手の上から手を添えると、伏せていた顔を上げ、僕と真っ直ぐ目を合わせた。

    僕の手の甲にある美和の冷たい指先が、僕の中の熱との差を教えてくれた。

    僕だけが燃えるように熱く、どうにかなって居るのだと。

    僕の手は、美和のシャツを掴んでいた。

    美和の手は、僕の手の上から下へと移動して、白いシャツのボタンを外して行った。

    そうして、美和がすべてのシャツのボタンを開き終えた時、僕の手はまだ、美和のシャツの胸元を掴んだままだった。

    美和のシャツの下は白いタンクトップ型の下着で、その不自然に丸く見える胸は、僕をとてもイケナイコトをして居る気分にさせた。

    「あ、えっと──ごめん!」

    顔を火傷してしまったような僕は、美和の前から逃げ出した。

    この前の下着の事といい、僕はお風呂絡みで失敗してばかりだ。

    恥ずかしくてわーさんにも会わせる顔がなかった僕は、台所へ行き、水を一杯飲んだ。

    飲み込んだ冷たい塊は、僕の体の中を真っ直ぐに落ちて行った。

    まだ冷めやらぬ頭の中に浮かんでしまうのは、美和の一糸纏わぬ姿・・・「わーっっ!」

    僕は顔の前で手のひらをブンブン振ってみるけれど、それは全く消えなくて、頭を左右に振ってもダメで、慌てた僕は、

    自分の頬を両手で、バチバチ音がする程叩いた。

    反省、反省、反省──何をして居るんだ僕は。

    お風呂に入ったら即寝よう。

    しかし・・・と僕は居間への硝子戸を開けた。

    いつも通りに二組並べて敷かれた布団・・・いつも通りで他意は無い筈なのに、さっきあんな事をしてしまった後でのこれは、よろしくないと思う。

    僕の布団だけ箪笥部屋に移動しよう。

    あっちは暖房が無くて寒いけど、普段より厚着をして布団に潜ればきっと大丈夫だろう。

    布団を畳んで運ぼうとした時、開けていた戸からパジャマ姿の美和が顔を覗かせた。

    「あ・・・」

    「元、何してるの?」

    「布団、曲がってたから、直しただけ。」

    「そうなんだ。あ、お風呂どうぞ。」

    「うん。」

    そう言って、僕はお風呂場に向かった。

    すっかり温まって居間に戻ると、先に寝て居ると思って居た美和の姿が無かった。

    美和だけじゃない、美和の布団も無かった。

    まさか・・・ヒヤリとした。

    僕の冗談が過ぎたせいで嫌になってうちを出て行ったとか?

    しかしこんな夜中、しかも雪に覆われた道を歩くなんて事、自殺行為だ。

    勝手口へ急いだ。美和のブーツはある。

    今度は玄関へ急ぐ───途中、「くしゅん!」と、美和のくしゃみが聞こえた。

    どこから?と僕は辺りを見回し、耳を澄ませると、

    「くしゅん!」再びくしゃみが聞こえて来たのは、真っ暗な箪笥部屋からだった。

    一応、柱をコンコンとノックしてから戸を開けると、

    暗く寒い部屋の真ん中で美和は、布団に包(くる)まりながら身を縮込ませていた。

    パチッ、僕が部屋の灯かりを点けると、美和は目をギュッと閉じ、眩しそうだった。

    「何でこんな寒い部屋で寝ようとしてるの?」

    訊きながら僕は覚悟していた。僕に向けて美和から吐かれるであろう拒絶の言葉を。

    少しの沈黙の後、上半身を起こした美和が言った。

    「だって、元が私と一緒に居るの、嫌だったみたいだから。」

    「え?」

    予想外と言うより、逆にそれは僕が考えていた事だった。

    さっき僕も別々の部屋で寝ようと考えたのは、顔を合わせづらい事も勿論だったが、何よりお互いに気まずいだろう、特に美和の方が、あんな事をしてしまった僕を嫌がるだろうと思っての事だった。

    「ごめんね。私が変な事を言っちゃったから。」

    「いや、僕の方こそ・・・ハックション!」

    僕が大きなくしゃみをすると、美和は慌てて起き上がり、「元、風邪引いちゃう!早く戻って!」と、僕を居間へ押しやろうとした。

    「いや、美和が戻って。僕がこっちで寝る。」と僕が言うと、

    「じゃあ、私もこっちで寝る。」美和も譲らない。

    二人ともこっちの部屋で寝たら同じ事だ。

    可笑しくなった僕は、少しニヤケた顔で

    「それじゃあ同じだから、向こうへ戻ろう。」と、美和の足元の布団を二つ折りにして抱えた。

    「え?元、ダメだよ。」

    「何がダメなの?」

    「だって、私と一緒に寝るのは嫌だったんでしょ?」

    「そうじゃないよ。」

    同じだったんだよ。

    お互い相手の気持ちを考えて、分かったつもりで先回りしようとするのは、本音を聞くのが怖いからなんだって所が。

    「元!」

    布団を運ぶ僕のパジャマを引っ張って邪魔する美和に、僕は言った。

    「美和が、僕と同じ部屋で寝るのが嫌じゃなかったら一緒に寝て欲しい。」

    「嫌じゃないよ?だけど───」

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    ジャンル : 小説・文学

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    碧井 漪

    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


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    sazanami&ibにあります。
    無断転載は禁止しています。



    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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