そうそうない 125 2016年1月3日のこと(1) - sazanamiの物語
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    そうそうない 125 2016年1月3日のこと(1)

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    愛のかたち



    それが"結婚"だと言う人もいる。


    僕も否定はしない。


    ただ僕の場合、結婚出来なかった。男同士だったから。


    仮に結婚出来ていたとして、死に別れたら、結婚せずに一人で生きて来た人より、強い痛みを味わってしまうのは仕方のない事だって、みんな言うのだろうか。


    離婚したり死別したりする事は、お互い愛し合っていない中でなら何ともないと思えるのかもしれないけれど。


    人を愛する事は素晴らしいと同時に、それと同じだけの苦しみも寂しさも併(あわ)せ持っている。


    時々、片想いの美和が羨ましくなったりもするのは、相手の愛を得られない分、苦しみと寂しさも両想いの半分だからなのだろう。


    僕らは二人分、それぞれ抱えている。


    わーさんはわーさんの分と僕の分の苦しみと寂しさを、僕は自分の分とわーさんの分の苦しみと寂しさを抱えている。


    どちらかが重いという事はない。どちらも同じ。愛が同じ分。


    愛して愛されて、それは得とか損とか分からない事。

    「子どもが居たら、また違う形になって居たのかな。」


    男同士でも女同士でもあり得ないけれど、もしも子どもが生まれて居たら、

    二人だけで抱えているものを、子どもにも分け与えられたのだろうか。


    「子どもかぁ・・・想像出来ない。」


    運転しながら独り言を連発する自分に気付いて、本当に危ない精神状態になって来たと感じる。


    変なの。どうしてこんなに焦って美和に会いに行くのだろう。


    ああ、そうか。美和は生きているからか。


    わーさんが死んだ時だって、あそこに行けば会えるよと言われる場所があれば行っていただろう。


    一人になりたい時もあるけれど、一人はもういいやと思える僕は、多分、美和と暮らして居たいのだろう。


    美和の気持ちはどうか分からないけれど、"帰る"気があるなら、僕は迎えに行くよ。


    何故かって?


    だって、一人ではカレーを食べきれないから。


    僕の人生からカレーを消していた時期もあったけれど、これからの僕の人生には、

    カレーと、それを一緒に食べてくれる人が、まだ居て欲しい。








    ショッピングモールに着いたのは、午後一時を回ってからだった。駅前の通りが事故渋滞していた。


    まあ、間に合ったんだし、無事到着出来た事を喜ぼう。


    インフォメーションカウンターに出向き、薄いイエローの制服を上品に纏った女性から、今日の催し物が載っているパンフレットを頂いた。


    美和の参加するバンドって、これかな?


    【aMEh】


    何て読むんだ?まあ、いいけど。


    15時から、屋内広場の特設ステージで、とある。


    僕は、案内図を見ながら、建物一階の南東に位置する広場へ歩いた。


    ステージの上にも袖にも美和の姿はない。まだ時間じゃないからな。


    午後1時半。丁度午後のプログラムが始まった所のようで、半円のステージ前に用意された椅子は、パラパラと埋まっていた。


    吹き抜けの二階、三階の通路からステージを見下ろしている人達も居る。


    お正月早々、ショッピングモールの小さなイベントにも、結構人は集まるんだな。


    正直、観客席はガラガラで、参加する意味は無いのではないかとも思ったりもしていた。


    まあ、とにかく、人が集まっていて良かった。


    ホッとしたら、お腹が空いている事に気付いた。何か軽く食べてから、またこの広場に戻って来よう。





    広場とは対極にあるフードコートに行くと、沢山の人で賑わっていた。


    テーブル席は全て埋まっていて、辛うじてカウンター席がぽつりぽつりと空いている。


    各店舗の前にも行列が出来ていた。


    もはやここは、人混みに耐性の無くなった僕が長居出来る場所ではなく、肩を落とした僕は、ショッピングモールを一旦出て、近くのコンビニへ向かった。


    そこで温かいお茶とおにぎりを買い、駐車場に入れてある自分の車に乗り込んで食べた。


    はあっ・・・どうしてこんなに疲れてしまうのだろう。僕は別に、人混みだってなんて事は無かった筈なのにな。


    それともただ、休日のショッピングモール内を一人で歩くって事に抵抗があるだけなのかな。


    連れが居たり、子どもが居たら、もっと堂々と歩けるのだろうか。


    どうも大型商業施設と言うのは、独身向けの施設ではない気がする。特に休日。


    遠慮する必要は無いと思うけれど、僕の中に浮かんで来る気恥ずかしさは無視出来ない。


    美和が居たらな。


    ───なんて、どうして美和なんだよ。わーさんが居たらな、だろ?


    でも、わーさんには会えない。この地球上のどこへ出向いても、会う事は叶わない。


    美和になら、まだ会う事が出来る。お互いの命が尽きるまでは。


    会いたいな・・・・・・って、僕は本当にどうしてしまったのだろう。


    美和じゃなくても志歩理だっていい筈だ。そうだ志歩理だ。美和である必要はないんだ。


    付き合いは志歩理との方が長い。


    でも・・・志歩理は僕に会いたいとは、そんなに思っていないだろう。


    しかし美和は、僕に会いたいと思って居てくれる気がした。


    だから僕も会いたいと思えるんだ。美和は僕を裏切らないと安心出来る相手だから。


    そうか・・・僕は美和と居ると安心して居たんだな。知らなかった。



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    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


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    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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