乙女ですって 180 (R-18) 一等星が消える日まで - sazanamiの物語
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    乙女ですって 180 (R-18) 一等星が消える日まで


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    ファン、曲、芸能人・・・


    別に、そんなのどうでもいい。


    ギターを弾けるから何だって言うんだろう。


    私、過去の真琴さんを知りたいって、それで―――知って、どうしたかったの?


    これ以上好きになる?これ以上嫌いになる?


    答えはどっちでもない。


    過去を知っても知らなくても、私はこれからの真琴さんと生きて行く。


    秘密にしておきたい事の一つや二つ、あったっていいじゃない。


    私が間違ってた。

    そりゃあ、真琴さんの過去を知らないより知りたいけど、嫌ならもう訊かない。


    「私が好きになったのは、”マシマロココア”の”ゲンゲン”じゃ、ない!」


    「え?」


    「西尾さん?」


    「えっ?私、今、口に出してました?」


    「思いっ切り。ファンって嘘だったんですか。」


    「ファンじゃなかったのね。」


    「あ、いえ、そうじゃなく、私の”彼”が、そのっ・・・ゲンゲンに、”そっくり”な人で。」


    「彼が?そう。それでマシココのファンって言ったの。」


    「彼は45で、マシココの事をよく知ってるんですけど、私には教えてくれなくて。さっき聞き出そうとしたら喧嘩になっちゃって・・・」


    「あら、その点はうちの主人と同じ。男の人って、女が別の男の話をするのをよく思わないわよね。芸能人に嫉妬したってしょうがないのに。」


    「あ、そういうのとは違うと思うんですけど。」


    「男の人って誰かと比べられるのが嫌なのよね。うんうん。比べてなんかないのにね。知りたいなら私が教えてあげましょうか?」


    寺沢さんのお母さんの話を聞いたら、きっと昔の真琴さんがどんな風だったか分かると思う。


    でも・・・それは寺沢さんのお母さんから見た真琴さんで、私はやっぱり、話を聞いても嫉妬は消せないと思う。


    マコが知ってるゲンゲンという男、それが昔の真琴さんだって思うと悔しくなる。


    別の人、そう思えばいいじゃない。


    私の彼はギターなんて弾かない。


    元芸能人でもない。


    煙草もお酒も飲まない、年老いた両親と借家で慎(つつ)ましく暮らす45の独身男。


    「いえ、彼にもう一度会って、確かめてみます。」


    私は過去の真琴さんと比べたかったんじゃない。


    彼の過去を知る人に嫉妬していただけ。


    過去の彼は、みんなのゲンゲンかもしれないけれど、今の彼は、私だけの真琴さんだって言おう。


    マコって人に嫉妬してた事を認めて、ギター弾かせようとした事、謝ろう。


    願わくは、真琴さんの奏でる音を生で聴きたかったけど、彼氏が「嫌だ」って言う事をしてと望むのは、彼女として間違ってる。


    「着きましたよ。西尾さんの家。」


    「あら、ここなの?うちの近くなのね。」


    「ありがとうございました。寺沢さん、お母さん。」


    「今度遊びにいらっしゃい。ゲンゲンに嫉妬した45の彼も連れて来るといいわ!」


    寺沢さんのお母さんは、ふふふと笑った。


    「はい」と返事をした私もふふふと笑っていた。


    ゲンゲン本人を連れて行ったら、びっくりするかも。


    バタン、ブオォォ・・・


    走り出した寺沢の車は、うちの先の角を曲がって行った。


    「ただいま。」


    玄関で靴を脱ぎながら、迷っていた。


    今からまた、会いに行ったら怒られるかな。


    怒るよね、さっきのように。


    でも、あのまま別れちゃって、明日、どんな顔して真琴さんの家に行ったらいいの?


    『二度と来るな!』とは言わないだろうけど、口を利いてくれないかもしれない。


    ホワイトデーなのに、ううん、別に関係ないけど、一日だって悲しいままなのは嫌。


    思いっ切りバッグで殴っちゃったし・・・痛かったよね?


    それだけでも謝ろう。


    私に秘密は無いけれど、あなたに秘密があってもいいと―――


    今、言いたい。会って直接。


    由佳はリビングで寛ぐ母親に告げた。


    「ただいま。ごめん、溪の家に忘れ物して来ちゃった。取りに行って来る。あ、もしかしたら、そのまま泊まるかも。」


    「そう、溪ちゃんによろしくね。」


    「うん。」


    母親に嘘を吐いた後ろめたさより、今すぐ真琴に会って謝りたいという気持ちでいっぱいの由佳は、大急ぎで二階の自室に向かい、鞄に服と洗面用具を手早く詰めた。


    「あっ、と、化粧品も。よし、これで何とか。」


    鞄を担いだ由佳は、「ただいま」と帰って来たばかりの家を「いってきます」と出た。


    由佳は、不安を振り落とすようにして、夜道を駅まで全速力で走った。


    クラブに行って、それで仕事が終わるまで隠れて待とう。


    真琴さんが許してくれる保証はないけど、このままになっちゃったら嫌だから。


    勿論、拒絶される事は、さっきから何度も考えている。


    『もう、お前みたいな女には付き合い切れない』


    耳を塞ぎたくなる。


    仮に、そんな言葉を浴びせられたとしたって、その原因を作ったのは私。


    謝り倒して、許して貰う。


    私をここまで本気にさせた男は今まで居なかった。


    原元真琴、

    私は何としても、あの人が欲しい。


    私はあの人を手に入れて、あの人のものになりたい。


    諦めない。好きだから。好きになって欲しいから。


    人生一度。


    これが最後の恋になると思ってる。


    あの一等星が消える日まで、私はあの人を好きで居る自信がある。


    振られたって、好きって言ってやる。


    だって好きだもん。


    ほんとはね、もう嫌われちゃったかなと考えると、胸が潰れそうに苦しくて、切なくて泣きそう、だけど・・・


    それでも会いたくて、嫌いになれない。


    あの人の事で、頭がいっぱいになる。


    愛してる、多分そう言ってもいい気持ちだと思う。


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    碧井 漪

    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


    作品の著作権は
    sazanami&ibにあります。
    無断転載は禁止しています。



    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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