百世不磨の心 93 (ムーンライトノベルズ108話) (R-18) 片想いのカラダ - sazanamiの物語
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    百世不磨の心 93 (ムーンライトノベルズ108話) (R-18) 片想いのカラダ

    百世108
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    「金・・・ちゃ、ん・・・」


    「なに?」


    「・・・キモチ、いい・・・」


    「うん」


    どきどきと、くらくらが、同時にやって来る。


    薄暗い部屋、お布団の上、二人っきり。


    甘く蕩ける恋人同士の時間って、どんな感じ?


    本当に口の中が甘くなる?


    それとも何かがとろとろに蕩けてしまう?


    重ね合わせた肌も唇も息も、みんな熱くて、


    少し怖くて、とても恥ずかしいけど、嬉しくて―――


    「金、ちゃん・・・」


    「琥珀―――」


    お布団の中で、裸で抱き合うと・・・


    と・・・?


    「く、く、すぐった・・・あはは、はは、ははっ!」


    「こら、暴れるな。」


    「でも、そこ触られるとくすぐったい。」


    「・・・触るなって事か?」


    「そうじゃないけど・・・くすぐったいんだもん。」


    「じゃあ、こっちは?」


    「・・・っ、痛い。毛が擦られて。」


    「毛とか言わないの。」


    「じゃあ、なんて言っ・・・んん、ん・・・!」


    さっきよりも激しいキスに驚いている間に、金ちゃんの指先は、私の脚の間の熱くてジンジンしている所へ潜り込んだ。


    どきん、どきんどきん・・・


    口の中で舌を絡めるのと同じ速さで、昔、金ちゃんに触られた事のある部分を今、再び金ちゃんの指先でこうして弄られている事はまだ少し信じられない。


    本当に、あの日出来なかった事を、今日、ようやく―――


    唇を離してもまだ指先の愛撫を止めない金ちゃんに、確かめたくて言葉を放った。


    「本当に、するの?・・・セックス・・・・・・」


    「するよ?初めて逢った時に約束しただろう?」


    「金ちゃんは憶えてなかったくせに。」


    「そうだっけ?」


    「そうだよ。」


    「じゃあ、忘れる前に約束果たしておく。」


    「果たしておくって―――」


    「しぃっ、もう喋るな。静かにしないと、琥珀の心臓の音が聞こえなくなる。」


    「心臓・・・?」


    「・・・・・・」


    金ちゃんは、黙って目を閉じると、私の左胸に耳を当てた。


    どくん、どくん、どくん・・・


    さっきから、金ちゃんに触られる度に大きくなる胸の音。


    金ちゃんにも聞こえたかな?


    どくんどくんが、だいすきだいすきって言ってるみたい。


    何度も何度も何度も、繰り返し鳴り止まない。


    見つめられ、キスを交わし、抱きしめ合って。


    生きている間だけ、


    あなたを好きで居られる。


    あなたにも好きで居て貰える。


    出逢った時には知らなかった未来。こうなる運命だったなんて、今の今まで知らなかったよ。


    一寸先は闇、未来は誰にも解らない。


    不幸だ、死ぬしか、この苦しさから逃れる方法はないと思ってしまっていたあの日、

    金ちゃんに出逢って、その時持っていた苦しさより、別の知らない事に興味を持たされて、私は今ここに居る。


    あの時、何も見えないからって死ななくて良かった。


    見えなくても、ちゃんと未来はあったんだ。


    毎日毎日、真っ暗な闇と闘いながら、一日一日を一生懸命生きて来た金ちゃんだから、あの日あの言葉が響いたんだって、今だから解る。


    私が捨てようとした未来の胸の音と、金ちゃんがあると思っていなかった未来の胸の音が今、重なっているね。


    「生きて行こうね、一緒に。」


    「うん。」


    二人なら、生きる事も死ぬ事も、恐れない。


    百世が終わる時、離れる気がしない。


    だけど、肉体には限りがある。


    この身が亡(ほろ)びるまでの百世より短い時間、言葉で態度で体全部で、愛を示して、感じよう。


    「力、抜いて。」


    「うん・・・・・・」


    いよいよ・・・金ちゃんと―――








    翌朝。


    「・・・んー?」


    眩しい。


    あれ?何だか背中がいつもより硬い。ふあぁ・・・


    カーテン、開いてる。


    窓も、違う・・・はっ!そうだ!


    私、泊まったんだ。ここ、金ちゃんのお部屋!


    琥珀は、布団に包まれた身を起こした。


    掛布団の下から現れた体には、真新しいピンクのチェック柄パジャマを纏っている。


    確かゆうべは、隣にもう一枚布団を並べて敷いていた筈・・・


    お布団がない。押入れ、かな?







    二階の金矢の部屋から出た琥珀は、階段を下りて、一階の台所をそっと覗き込んだ。


    トントントン、シューシューシュー。


    賑やかな調理音と温かな湯気が立ち込め、古くてもお手入れが行き届いていて使いやすい台所は、さすが金ちゃんだと思う。


    朝ごはんの匂いを吸い込んだ琥珀の目には、すでに着替えてエプロンを掛け、包丁を握る金矢の後ろ姿が映っていた。


    金ちゃんを見ると、お腹の奥が、きゅんって締め付けられた。


    金ちゃん・・・ゆうべ、私と・・・・・・


    何と声を掛けようか迷った琥珀は、柱の陰から金矢の背中をぼんやり見つめ、朧げなゆうべの記憶を辿り始めた。








    お夕飯の後、金ちゃんに連れられて行った二階のお部屋でパズルをしていたら、だんだん距離が縮まって、キスして、畳の上で抱きしめ合って―――それから、しばらくして、私が『シャワーを浴びたい』と言ったら、金ちゃんが『さっき買って来た』と、真新しいパジャマをプレゼントしてくれた。金ちゃんとお揃いだって。金ちゃんがパステルグリーンで私がパステルピンク。


    そうして、私がシャワーを浴びている間、金ちゃんはお布団を二つ並べて敷き、パジャマに着替えて待っていてくれた。


    灯かりを消した部屋の中、私がお布団の上に正座して、どうしたらいいか分からないでいると、金ちゃんは私と手を繋いで、ぎゅっと握った。


    そして首にキス、耳朶にキス、頬にキス、おでこにキス、鼻にもキスして、最後に唇。


    啄んで、開いて、絡めて、吸って、噛んで、舐めた。


    とにかくドキドキさせられて、シャワーの直後より体が火照った。


    繋いでいた手を解いた金ちゃんの指先は、私のパジャマのボタンをサッと外し、肩から脱がせた。


    金ちゃんは少しの間、薄暗い部屋の中で私の体を眺めて、そしてそっと胸に触れた。


    下から掬い上げるように、手のひらに包んで、軽く握った。


    そうされる事は、気持ち良かった。


    『金・・・ちゃ、ん・・・』


    『なに?』


    『・・・キモチ、いい・・・』


    そう言うと、金ちゃんは私の唇の前に近付けた唇から『うん』と返して、くちづけながら、私の背中に腕を回し、布団の上に仰向けに倒した。


    裸にされて、金ちゃんも裸になって、繋ぎ合わせたお布団の中、抱き合って、擽り?合って、心音を聴いて、


    そしてついに――――





    初めてカラダが一つに・・・結ばれた、って言うのかな?目を開けて居られなかったから、よく憶えていない。


    とにかく、物凄く、痛かった・・・ググッて、カラダの内側を強いチカラで押し進められて、

    『いっ、たぁーいっ!』って、思わず叫んじゃった。



    そう!


    憧れていたセックスは、すっごく痛くて、どこがキモチいいの?ってカンジだった。


    これで処女じゃなくなったとか余韻に浸る余裕はなく、22年以上、女として持っていた物を失った瞬間は、それまでの想いに比べて呆気ない気もした。


    カラダの中を裂かれるような痛みに歯を食い縛って、涙を流して、


    『やめようか?』『やめないで!』


    やせ我慢して・・・みんなの言う『甘くてしあわせ』が大多数のえっちなんじゃなかったの?


    それともこれはレアケース?


    ドラマとかマンガとかえっちなビデオとかでは、初めてが、こんなに痛くて辛いなんて事、言ってなかった。


    社会問題になりつつあるセックス レスとこの痛みって関係あるのかな?


    私みたいに、現実はセックスが痛くて辛いって人が多いから、セックスしないのかな?


    だとしたら、ドラマとかマンガとかえっちなビデオで女の人が『気持ちいい』って言うのは嘘になる?


    セックス=痛い=結婚したら一生痛い?


    ううっ・・・


    結婚してセックスしないと妊娠出来ないのに、痛くて無理・・・だけど男の人はセックスしたいって言うよね?


    金ちゃんも多分?そう、なの、かな・・・?


    それと、生理中とか、みんなはどうしているんだろう?


    出来ない日だよって言ったら、余計したくなって、他の女の人とつい=浮気しちゃう?


    そんなの駄目。


    なるべく、セックス出来ないって言わないようにしよう。


    えっと、だから、一か月の予定を立てて、この日はセックスする日って決めておけばいいかもしれない。


    そうだ、そうしよう!一か月に何日かは痛いの我慢する日!


    「どうした?琥珀。眉間に皺寄せたと思ったら、急に何か閃いたみたいな顔して。もしかして、具合悪いのか?」


    ハッと琥珀が顔を上げると、すぐ目の前に金矢が立っていて、心配そうに琥珀の顔を覗き込んでいた。


    「ひゃっ!き、金ちゃん・・・いつの間に。びっくりした。違うよ。」


    「本当か?熱は・・・?」金矢は琥珀の額に手を当てて、熱を測った。


    「えっとね、あの、訊きたい事があってね。金ちゃん、えっと、セ、セ、セッ、クスって、月に何回位、する?」


    「何回って・・・どうして。」


    「決めておいた方がいいかなって、思って。」


    「ああ・・・別に、俺は・・・セックス、しなくてもいいよ。」


    金矢の表情が曇った。そして琥珀から目を逸らし、背を向けた。


    何それ・・・『しなくていい』って、それは、『琥珀とはセックスしたくない』って意味?


    金矢の態度が気になった琥珀は、わざとふざけた口調で、へらへらと笑いながら金矢に話しかけた。


    「別にって、セックスしなくてもいいって嘘でしょ?月に何回位するか、お・し・え・て?」


    金矢は流し台へ向かって歩いた。その背中を追いかける琥珀の心に不安が広がって行く。


    「ゆうべまで一度もした事なかったんだし、琥珀が嫌なら、もうしなくていいよって言ってるの。」


    「嫌なんて言ってないよ。もうしないって、何で・・・それって、金ちゃんが嫌だったの?私のカラダ、抱いてみてダメだったって事・・・?」


    「ダメだったって、どういう意味?」


    「だから、金ちゃんが・・・私のカラダじゃ、き、気持ち良く、なれなかったってコト・・・でしょ?抱きたいと思える女じゃなかったって事でしょ?」


    自分で言ってて悲しくなった。好きな男の人の前で自ら、女としての魅力のないカラダだと認める事は、とても惨めだった。


    「・・・・・・」


    カチャン。


    金矢は、布巾で拭いていた皿を調理台の上に重ねて置くと、その手を止めたまま黙って立っていた。


    否定しない。


    と、いう事は、やっぱりそうなんだ―――


    「そうだったんだね。実は私も気持ち良くなかったよ。叫んじゃった通り、痛かったの。ごめんね。私のカラダと金ちゃんのカラダは相性悪かったんだね。本当に知らなくて、ごめん、ね・・・」


    えへへ・・・・・・泣きそう。金ちゃんがこっちを向いてなくて良かった。


    琥珀は金矢の白いシャツを見つめていた。


    縋るように一度、金矢の背中に向けた指先を、金矢のシャツにも触れられずにぎゅっと胸の前で握り締めながら、琥珀は"これからどうしよう"と考えた。


    金ちゃんも私と同じで、セックス・・・気持ち良くなかったんだ。かなり絶望的な気分。


    心と体―――結ばれるのは、心の方が難しくて、体の方は簡単だと考えていたけれど、実際は違ったみたい。


    心で想い合っていても、体は簡単には、お互いの思う通りにはならなかったんだって。


    気持ちは変えられるけれど、カラダは変えられない。


    セックスが気持ちいいと感じる二人なら、これからの未来が拓けそうだけど、私も金ちゃんも、どっちもセックスが気持ちいいものだと感じなかったら、きっとお互いのカラダに触れ合う事もしなくなる。


    キスもハグも、手を繋ぐ事すらなくなるかもしれない。


    女は性欲弱いって言うけど、男の人ってそうじゃないって言うでしょ。


    それならいつか、金ちゃんはカラダの相性のいい女の人とセックスして触れ合って、その人を好きになってしまうかもしれない。


    私よりも、カラダの相性のいい女の人と・・・心が惹かれてもダメな愛がある事に、気付けたけど、そんな愛にしちゃうの嫌だな。


    金ちゃんが、私じゃない他の誰かのカラダを愛おしむ所、見たくない―――なんて、心が狭いけど、でも嫌だよ――――


    想像しただけで、吐き気がして、涙が溢れて来る。金ちゃんが、誰か別の人を抱きしめて、キスする姿を考えたくない。


    好きなのに―――でもただそれだけじゃ、ダメだったんだ。


    どうして私は、金ちゃんと相性の悪いカラダを持って生まれて来てしまったんだろう。


    どうしてセックスを気持ち良いと感じられないカラダなんだろう。


    心が通い合っただけでしあわせだって思っていたけれど、

    今は、それじゃ全然足りなかったんだって、思い知らされた。


    金ちゃんの心だけじゃなくて、カラダも全部、私だけのものにしておきたいって思うなら、セックス出来ないと付き合えない。


    心も体も全部なんて贅沢だけど、でもでもでも、好きだから、世界で私が一番金ちゃんの事、考えている女になりたい、

    金ちゃんの隣にくっついて居たい。


    本当に別れたくないけど、金ちゃんが私のカラダに満足出来なかったら、いずれそうなるのかな・・・金ちゃんが今みたいに私の方を見てくれなくなる日が来て。


    別れる日かぁ・・・結婚式のあの時みたいに、突然、やって来てしまいそう。


    嫌だけど、こんなカラダを持ってしまった私には仕方のない事なのかな・・・


    ほんと、どうしたらカラダも両想いになれるんだろう。


    好きだけど、好きなら金ちゃんのこれからを真剣に考えた方がいいよね。


    セックスが上手く出来なくて別れた人っている、かな・・・いるかも・・・・・・今の、私達みたいに。


    金矢の背後に立ち尽くしたまま、琥珀は静かに涙を零した。


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    テーマ : R18要素あり恋愛小説
    ジャンル : 小説・文学

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    碧井 漪

    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


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    sazanami&ibにあります。
    無断転載は禁止しています。



    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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