乙女ですって 181 (R-18) ギターを弾く男 ※「雨のち晴れた日に 10」 - sazanamiの物語
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    乙女ですって 181 (R-18) ギターを弾く男 ※「雨のち晴れた日に 10」

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    現在23時10分前。


    クラブの営業時間は0時まで。


    真琴さんが店を出るのは、いつも午前1時過ぎだと言っていた。


    それから家に帰って、お父さんの様子を見て、問題ないようだったら二階で寝ると。


    23時からの入場だと確か1000円になった筈。


    真琴さんはホール係だから、今夜も受付に居ない。


    ワンドリンクのチケットを受け取り、騒がしい店内への扉を開けた。


    ドンドンドンドンドン・・・派手な音楽とキャアキャア騒ぐ男女の声が混ざって落ち着かない雰囲気。

    ううん、落ち着かないのは私だけ。


    今ここで真琴さんに見つかって抓み出されたらと思うと気が気じゃない。


    持っていた大判のハンカチをスカーフみたいにして、最初頭に巻こうと思ったけど、それじゃあ余計目立つから、首に巻き、口元を隠した。


    けど、不自然。


    私は隅のドアからトイレへ向かうと、女子トイレの中に二つある個室の片方に入った。


    ふーっ。ここで営業が終わるのを待とう。


    時折入って来る女性客の声にビクビクしながら、由佳は営業終了時刻を15分過ぎた頃、トイレから出た。


    そっとホールのドアを開けて覗いて見ると、客は0で、照明もステージ以外は落とされていた。


    元々暗い店内、でも音楽がないだけでこんなにも印象が違うなんて。


    テレビで見たライブハウスみたい。


    あのステージで、ギターを演奏する真琴さんを、ちょっとだけ見てみたかったな・・・と由佳が思った時、


    トントン、不意に肩を叩かれた。


    ひゃっ!


    おそるおそる振り向いた私の後ろに、

    「お客様、閉店の時刻です。お出口はあちらになります。」

    見知らぬ男性従業員が立って、手で出口の方向を示していた。


    見つかったのが真琴さんじゃなくて良かったような・・・でも、この後、店の出口で真琴さんが出て来るのを待ってたら怒られるんだろうな。


    どうしよう、どうしたら・・・


    考え込んで固まる由佳に、

    「お客様。」と畳みかける従業員。


    分かってる、分かってるわよ・・・


    由佳が出口に向けて一歩足を踏み出すと、「ギィヤァーン!」と、歪(ひず)んだ音が聞こえて来た。


    「え?」


    足を止めて振り向くと、ホールドアの窓から照明を最大にしたステージが見えた。


    「あれ、何ですか?」


    「あれはプライベートなので。」


    プライベート?


    ステージの中央に誰か立っている。手には、さっきお店で見たような形の真っ赤なギター。


    その後ろにドラムセットが、そして、立っている中央の人の前にはマイクスタンドもある。


    「何のバンドですか?」


    「さあ?」


    ギターの旋律が始まると、それにドラムの音が重なった。


    ぞくん、鳥肌が立った。


    知ってる、この古い曲。


    海外バンドの有名な曲。


    どくん、どくん、どくん・・・もしかして、もしかして・・・


    「お客様、出口が閉まる時間ですのでお急ぎ下さい。」


    黒服の従業員は由佳を追い立てた。


    真琴さんな訳ない・・・だって、ギターは弾かないって。


    出口に向かって歩きながら、由佳は若い黒服に訊いた。


    「あのっ、ステージでギターを弾いてるのって誰ですか?」


    「さあ?」


    面倒そうな表情を見せた黒服の後に付いて出口に着くと、別の黒服から、

    「お客様、すみません。こちらの出入り口は閉めてしまいましたので、裏からお願いします。」と告げられた。


    「はい。」


    「裏って分かりますか?ここを真っ直ぐ行って、ホールを通って反対側のドアの先なんですけど。」


    多分、あれだわ。ドリンクブース側のドア。真琴さんが休憩していた裏のバス広場へ通じるドア。


    「知ってます。一人で行けます。」


    黒服二人にぺこりとお辞儀をした由佳は、くるり、踵を返すと、スタスタ、少し下りの通路を歩き出した。


    「なぁ、ステージ居るの誰?」


    「オーナーとそのダチらしい。昔バンドやってたんだって。」


    「へーっ。」


    「練習するから、ホールの掃除、今夜免除だって。」


    「ふーん。じゃあ着替えて帰ろうぜ。戸締まりオッケーなんだろ?」


    「ああ。」


    話し方から、バイトの学生かなと思った。詳しくは分からないけど。


    帰るみたいね、しめしめ。


    タッタッタッ、キィー。


    由佳はホールのドアを開けた。


    照明の煌びやかなステージに立つ人は、このクラブオーナーの友達かぁ。


    そう言えば、真琴さんもオーナーと友達っぽかったけど。


    ぽっちゃりしたガラの悪い人だったわね。ヒョウ柄とか着そうな。


    あ、知ってる、この曲。


    CMとかでも使われる名曲よね。


    ギターとドラムだけ?


    ボーカルはギターと兼ねてるの?


    でも歌わないみたい。黙ってギターを弾いている。


    真琴さんもオーナーの知り合いなら練習に参加すればいいのに。


    ハッ!そうだった。真琴さんも、帰っちゃう!


    急いで外に出て、待ち伏せしないと。


    由佳は出口へと急いだ。


    「ゲン・・・歌えよ!・・・マ・・・あんだから!」


    今、途切れ途切れ聞こえたドラムの男の声。ゲン?って・・・


    由佳は振り返り、まさか、とステージに目を凝らした時、丁度曲が終わった。


    パチパチパチ・・・


    由佳は拍手しながら、そっとステージに近付いた。


    キラキラ眩しいステージに立つのは、もしかして・・・・・・


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    テーマ : R18要素あり恋愛小説
    ジャンル : 小説・文学

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    碧井 漪

    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


    作品の著作権は
    sazanami&ibにあります。
    無断転載は禁止しています。



    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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