Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 中編 - sazanamiの物語
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    Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 中編

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    2月14日18時過ぎ、セイのマンション。


    「瞬くん、来たよ。」


    「おじゃましまーす、あいり、どいてよ!」


    「なんでゆうのまできたの?」


    「いいでしょっ、ゆうののおにいちゃんだもん!」


    あーあー、この先が思いやられる。


    光樹が由宇野ちゃんの手を引き、後ろには、荷物・・・?


    「こんばんは。お邪魔します。」荷物が喋った。


    「あ、ああ、気付かなくてすみません。」瞬太朗は光樹の後ろで衣装らしき荷物に埋もれるこうめに気付くと、慌てて荷物を受け取ろうとした・・・が、


    「大丈夫です。どちらまで運びますか?」と、光樹と由宇野に続いて靴を脱いだ小柄なこうめは、荷物を抱えているので瞬太朗から顔が見えない。


    「じゃあ、こっちの部屋にお願いします。」


    「はい。」


    瞬太朗は、かつて梧朗が使っていて今は衣類雑貨を置いている部屋にこうめを案内した。


    「自由に使って下さい。足りないものがあったら買って来ます」と瞬太朗が言うと、こうめは「ありがとうございます。十分です」てきぱきと支度を始めた。


    さすが、たんぽぽさんの娘さんだ。しっかりしてる。


    「光樹、先に、これ着て。」


    「え?先にドレス?」


    「約束でしょっ?!」


    「はーい。」


    パタン。


    こうめと光樹が部屋に入った。


    「あのおんなのひとだれ?」


    「ゆうの、しらないの?こうめよ!」


    「こうめ?どういうかんけい?」


    「たんぽぽさんのこどもで、でざいなーなのよ。」


    「でざいなー?うそだー!」


    「ほんとよ。さつえいのときあったもん。」


    「さつえいって?」


    「おこさまはしらなくてい・い・の!」


    「あいりのほうがとししたでしょ!たんじょうびしたから、ゆうの、もう5さいだもん!」


    「ふ、ふーんだ!としより!おんなはね、わかいほうがいいんだって!」


    何なんだ、その会話。


    5歳と4歳でも、しっかり女・・・そして年寄りって、くくくっ!


    これじゃあ光樹、苦労するなぁ・・・


    「出来たわよー!」


    満足そうな笑みを浮かべたこうめが部屋から出て来た。


    後から続いたのは、ブルーローズをモチーフにした豪華なドレスを着た光樹。青いレースのベールまで被っている。


    へえ、すごいな。こうめさんが作ったのかな?結婚式用のカラードレスに見える。


    「きゃああああー!きれーい!」


    「おひめさま、ほんものー!」


    かつての父のように女装させられた光樹は、確かに女にしか見えなかった。


    光樹のこの姿をセイ監督が見たら、どう思うか気になった。


    見せたくないな――――だって、女装した光樹は本当に綺麗で、昔の父の写真とそっくりだから。


    「写真撮れるのよね?」


    「ああ、うん。瞬くんにお願いしてもいい?」ドレス姿の光樹、当然だけど声は男だから、少し不気味だ。


    「いいよ。こっちで。」しかし、化けるな。すご過ぎる。


    「新作ドレスの写真使うので、バッチリお願いします。じゃあ、レディー達、ドレス着ましょうか。」


    「えー?ドレスはあいりだけでしょう?ゆうのも?」


    「いやなら、きなければいいでしょっ!」


    「はいはい、そこまで。モデルは黙って素早く着替える!」


    「はーい。」


    頼もしい女性だな。光樹に合いそう。しかも、HARUNOの社長令嬢。光樹は彼女と結婚したらHARUNOに必然的に入社出来る・・・けど、そういうの光樹は望まないだろうな。


    写真を撮りながら、俺は撮る方、光樹と父は撮られる方、そして監督は撮る方・・・合うのは撮る方と撮られる方なのかもしれないって考えてしまう。


    同じ立場で、考えが違うとすぐぶつかって、その溝は、立場の違う人との比じゃない。感じ方の違い一つで、俺達の関係にすら影響するんじゃないかって、本当はそんな気持ちを持ち出してはいけないんだけど。


    見た目も立場も、俺より光樹だったら・・・なんて、もう考えないと思ってたのに。


    「どうしたの?瞬くん。疲れちゃった?」


    「あ、いや、ごめん。何でもない。」


    一通り撮り終えてオーデイオルームを出ると、愛麗と由宇野ちゃんが子供用ドレスに着替えて、可愛らしい花嫁さんになっていた。


    ぷっ・・・ドレス姿の光樹と並ぶと、母と娘って感じに見えるというのは黙っておこう。


    今度は光樹が着替えの為に部屋に入った。


    喉が渇いたと騒ぐお姫さま達に飲み物を飲ませていると、ガチャッ、ドアが開いて、ドレス姿から一変、白タキシードを纏った王子さまが登場。


    二人共、ドレス姿で光樹に駆け寄ると、光樹の白スラックスの脚に一人ずつしがみ付いた。


    「ヒロくんはあいりのほうがかわいいって!」


    「ううん、ヒロちゃんはゆうのがだいすきだっていってたもん!」


    「二人共、とってもかわいいよ!」


    「どっちかえらんで!」二人の声が揃った。光樹の事がなかったら、二人の気はピッタリ合うんじゃないだろうか?


    「えーと、ええとね・・・」


    ははっ、色男は大変だなぁ、光樹。


    「さー、あいりちゃん、ゆうのちゃん、写真撮ろうね。とっても綺麗よ!」


    こうめさんが居るから大丈夫そうだな。


    再び、俺は写真撮影係となった。


    新郎と新婦達の身長が違い過ぎるからな・・・でもその辺、高校時代からモデルをしている光樹は慣れたものらしく、愛麗と由宇野ちゃんの笑顔を引き出しながら、色々なポーズを決めてくれたおかげで撮りやすかった。


    ふうん、これじゃあ、光樹の夢は可哀相だけど、遠ざかりそうだな。


    勘もいいし、自分がどう見られているかも解ってる。


    英語も話せるから、将来一緒にカメラを挟んで仕事したりして・・・勿論、光樹は撮られる側。


    「はい、お疲れさまでした。撮影終了です。」と声を掛けると、光樹にべったりだった小さなお姫さま二人が、スカートをたくし上げてカメラに駆け寄って来た。


    「わーい、みせてみせてー!」


    「きゃあー、かわいいー!」


    愛麗のお願いは、”光樹と結婚式を挙げたい”というものだった。


    来月5歳になる愛麗と、今年21歳になるいとこの光樹との結婚式って・・・


    16歳差、15年後だったら、愛麗20歳と光樹36歳か・・・まあ、俺達も23歳差だからな。


    そんな頃には光樹も結婚していると思うし。


    結婚――――


    俺と監督にとっては、永遠に出来ない行為。


    養子になるから戸籍は一緒になるけれど、本当に成りたかったのは”配偶者”だ。


    男女ではないから”事実婚”とも呼べない。


    仕方なくという訳では決してないけれど、戸籍上、親子の関係になる。


    今更、嫌だとか言いたい訳じゃない。


    ただ、こうしてドレスに着替えた愛麗を見たら、


    愛麗なら"養子"ではなく、監督の"配偶者"になれるのにと思うと、チクンと胸が痛んだ。


    結婚式か・・・男同士じゃ、それも無理だし・・・


    「何ぼんやりしてるの、瞬くん?」瞬太朗の肩に手を乗せた光樹は、ここに来た時の姿に戻っていた。


    「あ、ああ、光樹、いつの間にタキシードから着替えたんだ?」


    「今だけど?愛麗ちゃんのドレス姿に随分見惚(みと)れてたみたいだね。大きくなって、お嫁に行く時の心配しちゃったの?」


    「え・・・見惚れてた?そうか?」


    違うよ、俺は――――



    トントン。


    不意に瞬太朗は、後ろからこうめに肩を叩かれた。


    「あの、よろしかったら、あなたも着てみませんか?」


    「着るって、俺・・・?」


    「わっ!きてみて、おにいちゃんも!」


    「しゅんくんもいっしょにしゃしんとろー?」


    断り切れず、まぁすぐ終わるだろうと踏んで、着替え部屋に入った俺。


    着るのはさっき光樹が着ていた白のタキシードかと思っていたら・・・真っ白なウエディングドレスを着せられた。


    しかも頭に黒のロングウイッグ・・・父が女装モデルをしていた時と同じカツラ・・・


    「メイクはいいです!もう脱ぐので・・・」俺は何を血迷ってドレスなんて着てしまったんだろう?


    昔の父や光樹のように着こなせないというのに、どこかで勝ちたいという気持ちがあったのか?


    悔しかったのかな、俺。


    女になれなくて。女装も出来なくて。


    父や光樹みたいに見た目で満足させられないって、負い目に感じてたのかもしれない。


    どう足掻いたって俺は男なのに――――父や光樹のようにせめて女みたいに見せられたらなんて短絡的だった。


    これじゃ、絶対女装なんてしちゃいけない男だと証明しただけだ。


    コンコン。


    着替え部屋のドアがリビング側からノックされた。


    入って来て背後に立ったので、光樹かと思って鏡を見たら、なんと父だった。


    「お父さん!何でここに!」


    あわあわあわ・・・!


    梧朗の姿を見た瞬太朗は、冷や汗をかくほど慌てた。


    「セイに呼ばれたんだ。今夜、オフになったから・・・男三人で飲もうって。それで瞬、ドレス着て、どこか行くの?」


    「いや、これは手違いで、もう脱ぐところで・・・」


    「いや、瞬・・・ちょっとそのまま座ってて。それで、こうして、ここをこう。こうめちゃん、こっちの色の方がいいな。そこのベール頂戴。これでよし!うん、完璧!」


    じゃーん!と見せられた鏡台の中の俺は、ちょっとだけ父似の女っぽい男・・・だった。


    「やっ、なにこれ。全然駄目だよ。こんなの絶対監督に見せられない!早く、脱がせて!メイクも取って!」


    椅子から立ち上がった瞬太朗は焦り出した。


    もうすぐ監督が帰って来る―――こんな姿を見られたら大変だ。恥ずかし過ぎる。


    『全然似合ってねぇ。やっぱサツキには勝てないよ』


    わかってる。女装したって何したって、父に勝てる訳ないのに。


    そんな事をちょっとでも考えてしまった自分が恥ずかしい。


    「早く、脱がせて――――」


    「何で隠す。瞬太朗は、俺に見せずに脱ぐつもりか?」


    この声は!


    「・・・監督!」


    一番見られたくない人に見られてしまった。


    「セイ、おかえり。どう?瞬。可愛いでしょ。」


    「ああ、昔の梧朗より断然可愛いな。」


    「うそ・・・そんなこと、絶対ない・・・日本中の人が否定するよ。お父さんの方がいいって言う!」


    「日本中が何て言うかなんて関係ないね。俺は、瞬太朗の方が好きだってこと。」


    「はいはい、セイも瞬太朗も、この部屋狭いから、リビングに行こう。」


    セイ、梧朗、瞬太朗、こうめの順にリビングへ出た。


    「わー、およめさん!」


    「だれ?え?おにいちゃん?」


    ヒューッ!と口笛を鳴らしたのは光樹だろう。やめろよ、こっちはもう顔も上げられないし、ドレスの裾を踏みそうで、歩くのもやっとだっていうのに・・・


    梧朗はウエディングドレス姿の瞬太朗のベールで顔を覆うと、手を引いて、セイの元へ連れて行った。


    「花嫁の父気分。あ、今度ドラマでやるんだった!」


    「確かに受け取りました。お義父さん。」


    「あはは、やめてよセイ!」


    二人は楽しんでる。俺は顔から火が出そうな程熱くて、すっごく恥ずかしいっていうのに。


    「光樹、神父さんやって!」こうめが言うと、


    「そうだね、結婚式だ。セイも着替えて。」と梧朗も賛同した。


    セイ監督が、白いタキシードなんて着る訳ないよ・・・


    そう思っていた瞬太朗の前で、セイは「白って着た事ないな。初めてだ。」と言い、ニヤリと笑った。



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    ※想定より長くなってしまい(前・後編の予定が・・・φT-T;)バレンタインまでに終わりませんでしたm(- -;)mそして明日の後編に続く。
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    テーマ : 自作BL小説
    ジャンル : 小説・文学

    プロフィール

    碧井 漪

    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


    作品の著作権は
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    無断転載は禁止しています。



    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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