Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 前編 - sazanamiの物語
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    Valentine wedding -SとS(BL)番外編- 前編

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    (「SとS」最終話の6か月前)


    2月13日の夕方。


    瞬太朗は23歳、正式にセイの養子になる為の手続きをしに、セイと共に日本に戻って来ていた。


    芸能事務所へ行くというセイと別れ、瞬太朗は一人で実家に顔を出すと、父・梧朗はドラマの撮影で不在、母・姫麗は7月スタートの連続ドラマ脚本執筆の追い込みで部屋から出て来られない状態だった。


    相変わらずだな。


    料理は家政婦さんが作ったり、最近は麗太朗が作ったりしていると、愛麗が教えてくれた。


    ・・・けど、何だこのキッチン・・・酷い有様。


    「これ、愛麗がやったの?」


    「えーん、えーん!」


    「泣かなくていいけど、何を作ろうと・・・あ、これ?ハートのチョコレートケーキ?一人で?」


    「だって、ばれんたいんだから。でもママおしごといそがしいし、けんちゃんいないし、れいちゃんブカツだって・・・」


    「愛麗一人で作るのは無理だよ。オーブンでやけどしたら大変。ママ、鬼になるよ?」


    「ママがオニ?ううん、オニはけんちゃんだったよ?」


    「節分の話じゃなくて・・・わかった。これはお兄ちゃんが作るよ。」


    「だめ!あいり、まぜたいの!あいをこめて。」


    「ぶっ!愛を込めて?一体誰に作るつもり?パパ?」


    「ちがうもーん!けっこんしたいひと!」


    「ええーっ?!誰?!」





    2月14日、瞬太朗は愛麗の想い人にチョコレートケーキを届けた。


    「これ、愛麗からのチョコケーキだ。」


    瞬太朗から箱を受け取って開けたのは、いとこの松田光樹(まつだひろき)。


    大学二年生の現在、瞬太朗の父・梧朗と共にHARUNOの広告モデルをして、日本では注目を集める人物になりつつある。


    しかし、光樹の本当の夢は会社員。


    HARUNOのモデルではなく、光樹の父親のようなHARUNO本社の正社員を目指している。


    「ありがとう。わーすごい。愛麗ちゃんの手作り?」


    「まぁ、そういう事にしておいてくれると助かる。」瞬太朗は苦笑いしながら、肩をコキコキと鳴らした。


    「瞬くん、いつ日本に戻って来たの?」


    「一昨日。」


    「セイさ・・・ううん、監督と一緒?」


    「いいよ、”セイさん”って呼んでも。俺も昔は独占欲丸出しで融通利かない馬鹿だったから、迷惑掛けたな。」


    「今は違うの?」


    「まあ、どっちかっていうと、束縛されてる方?」


    「ソクバク?縛るってこと?」


    「まあ・・・そんなことより、光樹に頼みがあるんだけど。」


    「僕に頼み?」


    「愛麗の一生のお願いだそうだ。」


    「愛麗ちゃんのお願い?」


    「そう。出来れば断って欲しいが・・・断られたら大泣きするだろうな、愛麗。」


    「いいよ。チョコケーキのお礼もしたいし、会いに行くよ。愛麗ちゃんは、何が好きかな?」


    「光樹。」瞬太朗は光樹の鼻の頭に人差し指を付けた。


    「ん?」


    「愛麗の好きなものは光樹らしい。愛してるそうだ。」


    「えー?そうなの?嬉しいなぁ。僕も愛麗ちゃん好きだよ。色白で、さらさらの黒髪ロング、伯父さん似で将来大女優になりそうだよね。そうなったら、瞬くんの映画の主演女優になって貰ったら?」


    「それはともかく、今夜、うちのマンションに来てくれるか?」


    「うちのマンションって、セイ監督のあのマンションだよね?愛麗ちゃんのおうちじゃなくて?」「そう。それでその時・・・」


    ガチャッ、バターン!


    突然、光樹の部屋のドアが開かれ、部屋の中に入って入って来たのは、小さなレディー。


    「だめーっ!ヒロちゃんはわたしのだもん!」くりくりした丸い瞳、さらさらの黒髪は光樹好みの三つ編みおさげ、瞬太朗の妹と同い年の光樹の妹・由宇野(ゆうの)。いとこの愛麗と並べたら、白い肌に黒い髪、双子のようにも見えてしまう顔立ちだった。


    似過ぎているせいなのか、仲は良いどころか悪かった。互いを意識し、敵対してしまうという何とも悲しいいとこ同士の愛麗と由宇野。


    「由宇野。」


    「ヒロちゃん、あいりちゃんがすきって、どういういみ?ゆうののこと、すてるの?」


    「何言ってるの。由宇野を捨てる訳ないでしょう?」


    「じゃあ、しょうらいけっこんしてくれる?」


    「いいよ。」


    「おい、光樹。兄妹で結婚って・・・」


    「しぃっ、今はそういう事になってるんだ。それより由宇野。新しい盗聴器、どれか教えなさい。」


    「盗聴器?」


    「し、らない・・・」


    「僕は、秘密を作る子とは、結婚出来ないよ。」


    「やだ。えっとね、CDのケース。」


    「そういえば、夢野から返って来たCDのケース、中の色が違ってた。」


    光樹はラックからCDを取り出すと中を開き、ケースをを分解して確かめた。


    中からフィルム状の基盤と小型の集音器が出て来た。


    「またやられた。夢野は本当にこういうのが好きなんだから・・・」


    「盗聴って、夢野ちゃんが?まさか。」確か高校二年生だったよね?


    「いつもだよ。実験台にされてる。叱っても言うこと聞かないんだ。盗聴器探知センサーも夢野が勝手に分解して狂わすから、手の打ちようがないんだ。」


    「ははは・・・」松田家、怖いな・・・と瞬太朗は思った。


    「それで今夜、何時にマンションの方に行けばいいの?」


    「18時。夕飯用意しておく。それでさぁ、あのHARUNOの彼女に頼めないかな?衣装借りたいんだ。」


    「HARUNOのって、こうめのこと?」


    「名前は憶えてないけど、たんぽぽさんの娘さん。」


    「それならこうめだよ。訊いてみるね。どんな衣装?」


    「この前の光樹の広告のと、それから・・・」


    「OK。」


    光樹はこうめに電話をかけた。


    『もしもし、こうめ?光樹だけど、衣装借りたいんだ。いい?』


    『丁度良かった。連絡しようと思ってたの。新作出来たから、着てくれない?』


    『しょうがないなぁー』


    『最近、その言葉ばっかり好きなのね、言いたいんでしょう?』


    『まあね。18時までにお願い。場所は、地図送っておくね』


    『了解。こっちもモデルお願いね!』


    『了解!あとでね!』


    瞬太朗に頼まれて、こうめに衣装を頼んだ光樹の電話が終わった途端、由宇野が「ゆうのもいく!」と言い出して聞かなくなった。


    ゆうべ泊まった実家に戻って、午後、愛麗を連れてマンションへ。


    芸能事務所に行った監督は、まだ戻っていなかった。


    良かった。監督の帰りが遅いといいな。


    「愛麗、夕飯作るの手伝って。」


    「あいあいさっ!」


    ここで騒いだら怒るかな・・・仕方ないけど。それにしても、こんな事になるなんて。


    瞬太朗は、夕飯を作りながら、ゆうべの事を思い出していた。








    2月13日、チョコレートケーキを作り終えた夜―――五月家。


    「ケーキ、いっしょにつくってくれてありがとう、おにいちゃん!」


    「ラッピングはこの箱でいいかな。明日、光樹に渡しに行くんだろ?」


    「はずかしいから、おにいちゃんわたしてきて。」


    「えっ?俺が?」


    「あとね、おにいちゃんじゃなくなるまえにきいて?あいりのいっしょうのおねがい!」


    「お兄ちゃんじゃなくなるって、どういう意味?」


    「だって、おにいちゃんサツキからウシオダになまえがかわって、ちがうおうちのひとになっちゃうって、れいちゃんがいうから・・・」


    「ああ、それはそうだけど、愛麗のお兄ちゃんなのは変わらないから。」


    「あとね・・・うそだよね?」


    「うそって、何が?」


    「おとこのひととけっこんしきするって。でもおにいちゃん、ドレスきないよね?」


    「ぶっ!・・・何それ、誰が。」


    「けんちゃんが、けっこんするのとおんなじだよっていうの。」


    「あいつー・・・」


    「ドレスきるならみたい!」


    「着ないよ。」


    「ヒロくんみたいになって!」


    「ヒロくんって、光樹?」


    「うん!おうじさまもおひめさまもりょうほうしたの!」


    「ああ、あのHARUNOの広告か。またお父さんに撮影現場に連れてって貰ったのか?」


    「ううん、スカートさん。パパのかいしゃのひと。」


    「スカートさんって、スカウトのこと?愛麗を事務所に入れるつもりだって?」


    「わかんない。こんどドレスきるかもしれないって。でも、あいりはでんきむけるひとになりたいの。」


    「照明さん?」


    「そう、しょーめいさん。かっこいー。あとね、せんぷうきぴゅーってして、はなびらとばすひと。」


    「へぇ。裏方好きならお兄ちゃんと一緒だね。」


    「そうだ、おにいちゃん。あいりのいっしょうのおねがいきいて。」


    「愛麗のお願いって何?」


    「ヒロくんに・・・・・・」


    「えーっ?!・・・それは、ちょっと、うーん・・・」


    「おねがいー!」








    ふーっ、夕飯完成。18時前に済んで良かった。


    ピンポーン。


    「だれかきたー!」


    「光樹かな。はーい。あ、やっぱりそうだ。今開ける。」


    「あいり、げんかんでる!」


    ガチャッ、愛麗が玄関ドアの鍵を開けて少ししてから、「なんできたのー?」「べつにいいでしょー?」と聞こえて来た。


    ははあ、これが話に聞いていた、由宇野ちゃんとの喧嘩かぁ。


    瞬太朗は玄関に向かった。


    「いらっしゃい。」




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    プロフィール

    碧井 漪

    Author:碧井 漪
    絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


    作品の著作権は
    sazanami&ibにあります。
    無断転載は禁止しています。



    ☆総合目次☆

    *乙女ですって 相関図*

    *近男 登場人物紹介*

    *SとS 家系図*

    *恋愛小説 官能小説 作品一覧
    +覚書 2017.2*

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    2014.10.16設置



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