SとS 30 (BL) 承知 - sazanamiの物語
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    SとS 30 (BL) 承知

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      来月12月に出産予定で、すでにお腹の大きな叔母さんと、来年3月に出産予定でだんだんお腹が目立って来た母。


      共に40歳前後の高齢出産。


      初産ではなく経産だから大丈夫というが、二人共、前回の出産から十年以上経つから不安なのか、最近は毎日のように電話でお互いに「大変よ」「大変ね」と話しているらしい。


      本当に大丈夫なんだろうかと、俺は男で子宮のハリとか痛みとか全く解らないので、考え出すとどんどん心配になって来る。


      お父さんも、叔父さんも、家族計画という言葉を知らないんだろうか?


      お母さん達の体を心配するなら避妊すべきなのに。


      だけど、お母さん達の騒ぎぶりを見ていると、時々楽しんでいるようにも思えるし、何より羨ましいなと考えもする。


      子どもを産みたいとは思わないけど、でも、もしも監督の子どもが産める体だったら、迷わず「産む」と言ってしまうだろう。


      男同士の付き合い。俺の持つ負い目の中に、子を成せないという理由がある。


      結婚というのは家同士の結び付きとも言われているが、俺と監督は結婚出来ないから、家同士を結び付けられない。


      うちにはまだ弟達が居るから五月家を継ぐ人がいるけれど、弟さんを亡くした監督の家には監督一人しか跡継ぎが居ない。




      もしも監督が女性と結婚をせず、子どもを持たなかったら、血は途絶え、監督の家、潮田家を監督の次に継ぐ人が居なくなってしまう。


      俺が居なければ、監督は誰かと結婚して、子どもを設けていたかもしれない。


      その方が監督の為―――と考えて二人きりの時に訊いてみたら、

      「それは俺の為というより、俺の家の為だろ。継ぐっていっても由緒ある家とかじゃないし、土地や会社、作品の権利とか資産関係が主だな。両親に孫は見せてやれないけど、それってそんなに不幸な事か?俺にタネがなかったら、女と結婚しても子どもが出来ないし。その上、愛せない相手と結婚・離婚を繰り返すよりマシだろう?泥沼離婚で慰謝料取られて、報道なんてされたら両親も仕事がやり辛くなって、それこそいい迷惑だな。だから俺の為っていうなら、お前が息子になってくれれば、それでいいんだって。」

      と・・・可能性はなくもない話で論破されて、恋人にも奥さんにもなれない俺は、監督の優秀な弟子兼家族になるという目標に向かって頑張るしかなくなった。


      けれど・・・


      俺が未成年の今は、両親の感情を考えると説得が難しいだろうと、ゆくゆくは監督の正式な養子になろうという計画は、まだ内緒。


      俺は、監督と恋人として付き合っている事を家族に打ち明けるのが怖い。


      あと一週間、12月に入ったら離れ離れになってしまう監督との仲を両親に知られて反対されたらと思うと、留学どころか、海外と連絡すら取らせて貰えなくなるんじゃないかと不安で堪らなかった。


      「母に反対されるのは覚悟してますけれど、父に反対されたらと思うと、怖くて堪らないんです。だから、まだ父と母には黙っていてもいいですか?」


      「梧朗?反対しないだろ。スタッフとの飲み会の時、子ども達が留学したいって言ったらどうするか?の質問に、留学したいならさせる派だって答えてたよ?」


      「いえ、あの、留学の事ではなくて、その・・・俺と監督の、なんていうか、関係というか・・・」


      「関係?関係なら、俺の親友の息子、そして父親の親友ってだけでいいんじゃないのか?」


      「え・・・?」


      「今はな。そのうち、明かしたらいい。黙っているのが、騙してるみたいで嫌だって言うなら両親に本当の事を明かすか?」


      「そ、それは、まだでもいいですか?母は妊娠中で神経がピリピリしてますから。」


      「まーな。留学の話だけでも、かーさんの説得は厳しいだろうな。よし、じゃあここで一旦忘れよう。俺とカラダの関係しちゃった事。」


      「そんな、嫌です!絶対忘れたくありません!」


      「俺に親友を騙せって?」


      ―――“親友”、それは父の事。


      セイがまだ、梧朗を大切に想っているという響きは、瞬太朗の胸を抉った。


      「そ・・・れは・・・」


      口を噤んだ瞬太朗は、自分のシャツの胸元をグッと強く握り締めていた。


      「そんな顔するな。俺が今一番大事にしたいのは、お前の気持ちだ。何よりも優先する。」


      「監督・・・」


      俺を“優先する”と、監督の言葉を聞かされたら、ぶわっと涙が込み上げて、パタパタと床に落ちた。


      監督は、俺の背中に腕を横切らせて肩を抱き、掴まれた肩をトントンと叩いて宥められた。


      「あー、泣くなよ。冗談のつもりだったんだ。騙すなんて言い方して悪かった。いつかきちんと言おう。時間かけて説得しよう。それでいい?」


      俺は声を出せずに、こくりと頷いた。


      何でこんなに好きになっちゃったんだろう・・・


      監督の手が、俺の頭をポフポフと包む。


      何でこんなに安心出来るんだろう・・・


      傍に居られるだけで、しあわせで、涙が出ます。


      もうすぐ離れる事、考えたくないな・・・このまま、時が止まってくれたらいいのに。


      監督は俺の肩から手を離し、コーヒーを淹れにキッチンへ向かって歩いて行った。


      「とにかく、ケジメを付けないとな。」


      「はい・・・」


      もしも、留学の話も、監督との事もバレて両親に反対されたら―――――俺、どうなるんだろう。


      夢、そして好きな人を失ったら・・・不安が押し寄せ、呑まれたくないと、息を止めてしまう。


      ぎゅっと拳を握ってやり過ごしていると、監督がマグカップを持ってリビングへ戻って来た。


      「なーに心配してんだよ。大丈夫だって。ほら、ソファーに座れよ。」


      「わ、わかってるつもりなんですけど、俺が女だったら何の問題もなかったんですけど・・・俺・・・」


      「瞬太朗が女だったら好きになってなかったかも、って言ったら満足?」


      「え・・・?」


      「男とか女とか気にする人が多いけど、今は生きたいように生きていい世界なんだから、男らしく女らしく生きろっておかしいと思わないか?子どもを産めるからという理由で女と結婚する・・・じゃあ、俺と結婚した女が子どもを産まなかったらどうなの?それと、瞬太朗の方が俺より若くてこれから出逢いなんていくらでもあるんだから、その中で結婚したい女が現れるかもしれないだろ?そっちの可能性の方が高いよ。」


      「そっちの可能性って?」


      「瞬太朗の事だから、俺に捨てられるとか考えてるんだろ。そんなワケないだろ。瞬太朗の方が不安だよ。俺がここを離れたらすぐに忘れて、女とヤりまくって、やっぱりそっちには行かないとか、春になったら言って来そうだなって。だから―――」


      「だから?」


      「梧朗と姫麗に約束しておかないと。春になったら、俺の所に瞬太朗を来させてって言っとかないと不安。」


      「監督。俺、絶対行きます。反対されても、絶対。」


      「攫いに来ないからな。」


      「それは残念です。」


      俺はいつの間にか、ははは、あはは・・・と、監督につられて笑っていた。


      監督も、実は不安があるという事を打ち明けてくれたから、俺も前を向こうと決めた。


      真っ直ぐ、ただ一つの未来に向かって迷わず進む。


      不安が行く道の横から湧いて来ても、考えない、無視しよう。構っている暇はない。


      監督の居る所へ追い付く為には、もっともっとスピードを上げなくちゃ。


      やるしかない。









      そして12月になってすぐ、セイ監督が向こうへ戻る前に、俺の高校卒業後の留学の話を詰めるからと、これからの進路について、両親に話をする日がやってきた。


      国内の大学には通わず、向こうの映画・映像技術研究学校に入学したいとセイ監督と一緒に父と母を説得した。


      大学へ行け、と言われるかと思っていたけれど、二人共、

      「瞬のしたい勉強をした方がいい」と父が言ってくれて、母は「セイと一緒なのが心配だけど・・・」ぼそっと言った。それは俺だけが聞いていた、と思いたい。


      「学費や生活費は一緒に暮らす俺が持つ。その代わり、俺の仕事を瞬太朗に手伝って貰おうと思う。」


      「でもセイ、それは駄目だよ。学費や生活費は自分達が払うから・・・」


      その話は俺も監督に断った。けど、監督の意志は変わらず、

      『俺が瞬太朗を養いたいんだって事が解らない?』とか、それが本音だって言われて、俺は『はい、ありがとうございます』と返しながら、嬉しさのあまり震えてしまった事を思い出した。


      でも監督は、両親への説明にそうは言わなかった。


      「梧朗、春に四人目が産まれるんだろ?いくら人気俳優と脚本家で稼いでるとしたって、金はかかるぞ。学費と生活費は、かけようと思えばいくらでもかけられる。だから、瞬太朗の事は俺に任せて、懸太朗と麗太朗と、これから産まれて来る太朗の為にとっとけ。」


      「えっ?太朗って・・・!次も男の子だっていうの?」お母さん、反応するところ、そこじゃないから・・・


      「ヒメ、そんなに男か女か性別が気になるなら、俺に訊かずに医者に訊け。」


      「だって、もしも男の子って言われちゃったら・・・うー、ショックでしょう?」


      「いーじゃねーか、元気なら、性別なんてどっちでも。男四兄弟、羨ましいね。」


      「うう・・・だけど、女の子も欲しいのっ!セイのだーい好きなサッちゃんみたいな子が産まれて来るかもよ?」


      「贅沢言い過ぎ。ま、ただ・・・サツキ似の女の子で、俺の嫁にしていいっていうんなら期待するけどな。」


      えっ?!嫁?俺に妹が産まれた場合、監督が嫁に貰っちゃうの?


      「いくつ離れてると思ってんのよ。42よ。ぜーったいやだ。」


      「いくつ離れてるとか、男だからとか、俺は気にしないけどな。」


      「そ、それって・・・新しい恋人がマサカ、男で・・・超年下とか?」


      ぎく、ぎくっ!お母さん、スルド過ぎる。


      「ヒメに言ったらドラマ脚本に使われそうだから秘密。」


      「え、えーっ?!」


      瞬太朗は母・姫麗に対してセイの言った言葉が胸に響いていた。


      それは自分の事?と思った時、セイが瞬太朗の顔をちらりと見て微笑んだので、瞬太朗は嬉しくなった。


      瞬太朗は頬がとても熱くなり、口元も緩んで来てしまうので、バレないようにと慌ててキッチンへ向かった。


      洗い物を片付けようと、シンク内に手を伸ばしてコップを掴んだ時、あっと気付いてコップから手を離した。


      そして大事な腕時計を外した瞬太朗は、それをシンク上の棚の見える位置に置いた。


      監督から貰った腕時計は、古い物だけどしっかり動いていた。


      一番大事にしていたという腕時計を監督から貰ってしまった。


      俺に”持ってて欲しい”って、それ・・・監督が向こうへ戻ってしまったら終わりって事じゃなく、これを持って来てくれという、監督と暮
      らせるチケットみたいにも感じてる。


      この時計に、監督の俺への想いが詰まっていて、離れている時間も俺を守ってくれていると考えると、心がじんわりあったかくなる。


      瞬太朗の背後に梧朗が立った。


      「その時計、セイの・・・」


      「あ、これ、監督に貰ったんだ。俺の18の誕生日プレゼント代わりにって。」もし誰かに、その時計はどうしたのか?と聞かれたらそう答えろと、セイから言われていた。


      どきどきどき・・・


      瞬太朗は大きくなる心臓の鼓動音に気付かれないようにと、平静を装いつつ腕まくりをし、右手で食器用のスポンジを掴むと、水道の水で濡らした。


      そして瞬太朗が再びコップを手にした時、瞬太朗の背後に立ったままの梧朗が訊いた。


      「何となく気付いてたけど、やっぱり本当だったんだ・・・セイの好きな相手って瞬の事でしょ?」



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      なかさんの別館BL小説ブログ「ただ好きだという、この気持ち。」をリンクさせて頂きました。

      とてもすっきりと読みやすい文体で書かれていらっしゃいます。

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      そして書けなくなります・・・(*T▽T)b ヨンジャッタラカケナイ・・・皆さまの素敵な文章を、是非ご覧になって下さい。

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      碧井 漪

      Author:碧井 漪
      絵師 西洋蔦(ib)さんと共に更新中


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      ☆総合目次☆

      *乙女ですって 相関図*

      *近男 登場人物紹介*

      *SとS 家系図*

      *恋愛小説 官能小説 作品一覧
      +覚書 2017.2*

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      2014.10.16設置



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