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sazanamiの物語

恋愛小説を書いています。 創作表現上の理由から、18才未満の方は読まないで下さい。 恋愛小説R-18

それから、ずっと、愛してる 70 ☆☆(R-18・閲覧注意)

Posted by 碧井 漪 on   2 

「あっ・・・そうですよね。私ったら、気が付かなくて、ごめんなさい。少し待っていて貰えますか?」


悲しい気持ちを、零れ落としてしまいそうな涙を堪えながら、陽芽野は大急ぎで自分のバッグに荷物を纏め、


「私が佐々木さんのところへ戻ります。・・・ごめん、なさい・・・っ・・・」


瑞樹にお辞儀しながら言う陽芽野の声は涙声だった。



それから、ずっと、愛してる 69 ☆☆(R-18)

Posted by 碧井 漪 on   2 

ちゅっ、ちゅぷっ、ちゅっ・・・


僕は、君の細くて長い指を口に咥え、舐めしゃぶった。


「あ・・・くす、ぐっ、たいです・・・」と君は恥ずかしそうに、


だけど嫌がっているようには見えなかったので、


僕は、君の手首の内側に唇を付け、強く吸った。



それから、ずっと、愛してる 68

Posted by 碧井 漪 on   4 

結婚式?


僕の替えられた上着は燕尾服になっていた。


いや、しかし婚約を発表した場ですぐにこの光景はおかしい。


夢か?幻、夕方の白昼夢かもしれない。


寝不足の僕は、パーティー前に裏にあったパイプ椅子に座った途端、


つい居眠りをしてしまったのだ。


それから、ずっと、愛してる 62 ☆

Posted by 碧井 漪 on   10 

僕は、迎えに来た二人に現地の病院へ連れて行かれた。


右腕は、レントゲンを撮った結果、骨には異常がなく、


打撲という事で湿布を貼られ、包帯を巻かれた。


それから点滴を受け、薬を処方されると、帰っていいと言われた。


熱も下がり、昨夜より随分楽になった。


耳と頬の傷も、薬のおかげか殆ど痛まなくなっていて、


今は、大きな絆創膏のような、肌色の保護パッドを貼っている。


アパートで君と二人で荷物を纏めていると、帰りの飛行機のチケットが取れたと、


大和さんが戻って来た。


それから、ずっと、愛してる 60

Posted by 碧井 漪 on   18 

「松田は、行方不明らしい。」朝一でウチに駆けつけたひめちゃんに、俺は隠さず打ち明けた。


昨夜、吉岡常務から会長宛に入った報告を、電話したたんぽぽが聞いた。


俺も何度も松田や向こうの拠点オフィスに電話しても出ないから、


信じたくはないが、連絡が取れないという事は、


爆発に巻き込まれた可能性があると思っている。


それから、ずっと、愛してる 59

Posted by 碧井 漪 on   0 

何とかオフィスに着いた僕は、現地採用された同僚のスタッフに心配されながらタオルを渡された。


僕は、血で赤く染まったシャツの襟を洗面台の鏡で見て、着替えないと・・・


と考えながら、右耳と頬を濡らしたタオルで拭うと、そのタオルも赤く染まって行く。


耳の端と頬に刃物で切った時のような傷を確認した。



それから、ずっと、愛してる 55

Posted by 碧井 漪 on   2 

ゆうべから、頭の中で僕は何度も君を突き放す。


もう愛していないフリをしよう。


しかしそれは僕が今、君に突き放されたいからだ。


そうでもしなければ、


何も言えない僕は君を抱きしめて離したくなくなってしまうから、


君の方から僕を突き放して欲しいと願っている。



それから、ずっと、愛してる 53 ☆

Posted by 碧井 漪 on   12 

僕が今、一番失いたくないのは・・・


それを口にする事すら許されない現実に打ちのめされて、


何もしたくないのではない、何もしてはいけない。


君を大切に想うのならば。


心に激しく渦巻いて、止めるのに苦労すると予想出来る様々な感情を、


君に知られてはならない。


それから、ずっと、愛してる 52

Posted by 碧井 漪 on   2 

「たんぽぽさん、ヒメノさんとおっしゃる方を私も捜しましょうか?」


瑞樹が去ったエレベーターホール前で恵理子が言った。


「はい、お願いします。


ええと、大学生の女の子なのですけれど、


お洋服が今日は、秘書さん風の黒いスーツで、黒ふちの眼鏡をかけています。」


「その方は松田さんと吉岡さんのお知り合いなのですか?


それでしたら吉岡さんにもお願いして、ご一緒に捜していただくのはいかがでしょうか?」


「だめ!だめです!吉岡は悪い人なんです。」


「たんぽぽさん。」人目を気にした恵理子は、たんぽぽに向かって人差し指を唇の前に立てた。



それから、ずっと、愛してる 50

Posted by 碧井 漪 on   0 


「ひめちゃん、どこに行きますか?」


「私は・・・すみません、わからなくて。こんなに大きな会社は初めてで、私、やっぱり来るべきではなかったかもしれません」


正面エントランスホールから続く長いエスカレーターに乗って、話す内、三階のエレベーターホール前に着いた。


「そうですね。父も広過ぎて最上階まで歩くのが大変だから、この辺に会長室を作れば良かったといつも言っています」


くすっとたんぽぽさんが笑った。


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